夜海家長男はフラグをへし折り続ける 作:吉田正鷹
リリカルなのは言うてんねん原作名は、ほんならなのは達活躍させんでどうすんねん
……原種0号、この世界瑞穂における本来の厄災、その中でも最も厄災を振り撒いてきたのがこの0号だった。
木のような形をしながら無数の
「はぁ、これじゃまるでシューティングゲームだよね」
その無数の幼体から放たれるビームみたいな攻撃をヒラリヒラリ避けながらレイジングハートで殲滅していく、それでも中々数は減らないけれど。
とは言っても今の私なら実力的にもメンタル的にも問題無し、もうあの時みたいに1人で無茶な事をするような子じゃないからね。
「みんなの……そして光一くんのお陰だね」
『ええ、彼はマスターにとても良い影響を与えました。ただ女性を侍らせすぎだとは思いますが』
「ふふ、それは光一くんのせいじゃなくてみんなが光一くんを好きだからだね。みんなの思いを受け止めようとしたらハーレムになっちゃったんだよ」
『マスターは彼に優しすぎますね』
「それは……そうかも?」
そう、私が無茶をしなくなったキッカケは全部光一くんが始まりで、そこからみんなが団結して止めてくれたんだっけ。
懐かしいな、本当にもう無茶をしなくなったのは2年前だったっけ。
……何にせよ、本当に光一くんに出会えて良かったって、そう思う。
「そこの少女!キミは1人かな?」
「ふぇ……?」
お父さんが大きな怪我をしてみんなが大変になった時、5歳だったかな。私1人が我慢してればみんな大丈夫になるんだって思って、寂しい気持ちを押し殺して毎日毎日ブランコに乗って泣きたくなる気持ちを押さえ込んでいたっけ。
そんな時に話し掛けて来たのが2つ年上の光一くん。
「だれ……?」
「俺様の名前は結城光一、キミは1人なのかな?」
「うん……」
「それじゃあ俺様が傍にいよう、女の子1人では危なかろう」
「でも、しらない人とおはなしするのはダメって」
「そうかそうか、キミの家族はとても良い人なのだな」
最初は知らない人だからって警戒していたけれど、思えば毎日傍にいて話し掛けて来てくれてただけでそれ以外は名前を聞く事すら無かったよね。
だから、信じてみようって決心がついたんだと思うけれど。
「わたしのなまえ、なのは」
「そうか、なのはと言うのか。良い名前だな」
「あのね、わたしほんとはさみしかったの。だからこーいちくんがいてくれてうれしかった」
勢いそのままにどうして寂しかったのか、1人でいたのかまで話しちゃったのは気を許しすぎなんじゃないかな〜とも思っちゃったけど結果としては光一くんだったしOKって事で。
「それで、おとーさんがケガしてにゅういんしてるからみんながたいへんで、でもわたしががまんすればきっとすこしはみんながらくになるとおもって……でもやっぱりさみしくて、どうしたらいいのかな」
「ふむ、では家族に話してみてはどうだ、寂しいという気持ちを、本音を話してみるのだ。俺様も着いていくぞ」
「……だいじょうぶ、かな?めいわくっておもわれないかな」
「そんな事大切な家族に思うまいて。まして、なのはの家族はそんな人達ではないのだろう?」
「うん……みんな優しい……けど、うぅ……」
「ならば問題あるまい、もう一歩踏み出すその為に俺様がいるのだから」
それに、こんな事言われたら頼りたくなっちゃうもん。
ずっと不安だった中で一緒にいてくれて、不安が段々無くなって、安心出来るようになって、そこから自分で打ち明けてこれを言われて、あの時はもう1人のお兄ちゃんみたいに見えたな。
「君は……なのはのお友達かい?」
「はい。まだ出会ってひと月程ですが」
「それで、その君がどうしてここに?」
お兄ちゃんの問い掛けに全く動揺せずに答えてた光一くん、今考えると凄いよね。だって7歳だよ?なのにずっと大人びて見えたもん、2歳年上になんて見えなかった。まるでお兄ちゃんくらい年上に見えた。
そして私がどうしても言えないってなったのを見て、代弁もしてくれた。
「俺様は確かになのはと関わりを持ち始めて時間が短い。でも、話してくれたことに嘘は無いと思っている。だから言うが……彼女は寂しがっている」
「なのはが……?」
こっちを向いたお兄ちゃんは、どう話しかけて良いか分からないみたいな不器用そうな顔で覗き込んで……そして。
「寂し……かったのか?」
そう、恐る恐る聞いてきた。
ギュッと光一くんの袖を掴んで怖々と見上げると、光一くんは優しく頭を撫でてくれた。きっと「大丈夫、お兄さんに本音を話してごらん」って言ってくれてるんだって感じられた。
だから話す事が出来た。
「さみしかった……ずっと1人で、もっとあまえたかった……」
自然と涙が出てきたのを今でも覚えてる、もうどれくらい泣く事が出来なかったのか分からなかったのに、あんなに自然に泣けるなんてって。
「ごめん、ごめんななのは……」
気が付いたら手が離されていて、今度はお兄ちゃんが抱き締めてくれて、お姉ちゃんやお母さんも出てきてみんなで泣いちゃって……そう、そこから光一くんは入院から帰ってきたお父さん含めて高町家のみんなに歓迎される人になったんだよね。
それに2年前も助けてくれた。
「1人で何でも背負おうとするな、今ここには沢山の仲間がいるはずだろう。俺様もみんなやリックを頼っている、自分を嫌いにならないでくれ……そしてしっかり帰ってきてくれ」
宇宙に向かう直前に呼び止められてそれだけ言われ、あの時みたいに頭を撫でられたっけ。ずっと自分が我慢すれば、自分が犠牲になればって、そんな子だって思われてたのかな。でも仕方ないよね、事実だもん。
この頃には私やフェイトちゃん、はやてちゃんにアリシアちゃん、リニスさん、それにアリサちゃんとすずかちゃんとハーレム作ってたからある程度は私の自己肯定感の低さも緩和されてたんだろうけど、それでも根っこの部分は変わらなくて。
だからそれを言われて、そして宇宙で戦って自分と自問自答して、そうしてやっと私は自分を好きになれたんだよね。
うん、全部全部光一くんやみんなのお陰。最初に言葉を掛けてくれたあの人とそれに続くように囲んでくれたみんながいてくれたから私は自分を好きになれた。
だからもう、この身体はどこまでも軽くなれる。
「ロックオン」
原種0号の幼体や卵嚢に向けて斉射し、殲滅を続ける。
数は確かにたくさんだけどこれなら油断せず今までの経験を活かして対処すれば乗り切れる。それに……
「そろそろかな」
その言葉の直後に雷の音が鳴る、この音は……
「来てくれた!」
「ふっ!」
『サンダーレイジ』
「はぁっ!」
落雷と轟音の中見えた、私の親友の姿、フェイトちゃん。
もう音や予兆なんて無くても「来てくれるかな」と思ったら来てくれる、最高の親友なんだよね。勿論はやてちゃん達もそうだけど、戦闘面で一番波長が合うのはきっとフェイトちゃんなんだろうなって思ってる。
「お待たせ、なのは!」
「フェイトちゃん助かるー!」
「篠宮は、シイナさん達と光一が捕まえてくれる。私達は0号を何とかしよう!」
「うん!」
今はシイナさんやトワさん達と篠宮の逮捕、テンマくんの救出をしてくれているだろう光一くんに思いを馳せる。
あの人なら大丈夫、今までだって絶望的な時あの人の声が聞こえたら何とかなってきた、それに何人もの人達を救ってきた。
だったら今度だって、そしてこれからも何度でも託せる。
「シールド、預かるね!」
「うん、ありがとう」
魔力収束効率が悪いからとこの世界用にチューニングしたレイジングハートの収束砲の準備をする、って言っても少し溜めるだけだけど。
『EXTF、モード《フルブレイカー》……ロックオン、収束消滅弾、収束開始』
そういえばこの技に名前付けてなかったっけ、せっかくここまで付き合ってくれたこのチューニングだし名前を付けるのもありだよね。
今までだって名前付いてたし、ちょっとくらい、ね。
シールドで護衛してくれてるフェイトちゃんを見やりながら。
『収束完了、撃てます』
「《フルブレイクキャノン》ファイヤ!」
一直線に0号を貫いたそれを見て、光一くんにエールを送るのだった。