最硬の男 伊地過堅護   作:ちゃがまくら

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戦闘無いよ!


第2話 入隊日

今日は新人後輩の2人の入隊日である。

 

遊真くんにはレプリカ先生と修くんがつくから、僕は千佳ちゃんの方を見ることになった。

 

ツインスナイプと東さんに挨拶して、今日は見学することにしたと伝えた。

 

「はい〜どうも嵐山隊の佐鳥と!」

 

「荒船隊の荒船と」

 

「東隊の隊長の東だ。今日から君たちのスナイパーの練習を見ることになるから、よろしく」

 

「そして!見学の伊地過堅護くんだ!」

 

「どーも、一応ボーダーで一番の防御トリガー使いです。年下だけど、歴だけは長いから気になることあったら聞いてね。相手から見た狙撃手の嫌なところとか、味方にいたらっていう強みは語れるから」

 

そう、これでも秘密の組織であった頃からトリガーには触れてきているので、狙撃手以外のトリガーは結構触れてきている。狙撃トリガーは1回触ったときに何となく持て余すと思ったので触れてこなかったのだ。

 

「それで…1、2、3…8人かな?」

 

「あの…います…」

 

「おっと、俺としたことがこんなに可愛い女の子を…!ごめんね〜!」

 

「い、いえ…!」

 

ツインスナイプが咳払いをして、説明を始める。

 

「それじゃあ、取り敢えず狙撃トリガーを試してみようか!基本は構えて、覗いて、狙いを定めて撃つ。これだけ!気になるところはあるかな?」

 

「あ、あの…走らなくてもいいんですか?」

 

「「「?」」」

 

(((へえ…わかってるじゃん)))

 

(レイジさん、ちゃんと教えてるってことは見込みを感じてるんだ)

 

「今は狙撃トリガーを使うってことに慣れるために走らなくてもいいよ!実戦では位置がバレたら狙われておしまいだから走るっていうのは正解だよ!みんなも覚えておいてね!」

 

「「へー、そうなんだぁ…」」

 

周りは何言ってんだ?みたいな顔してたけど、説明聞いて納得はしてたな。

 

「堅護も試してみるか?」

 

「荒船さん、ありがとうございます。でも、これから面白いの観れますよ」

 

「面白いもの?」

 

「あそこです」

 

「ん?」

 

荒船さんが、女の子2人にアイビス*1を撃つように言ってる所を見たあと…帽子が吹き飛んだ。

 

「…は?」

 

「ね?壁に穴開けるなんて、ボーダー初でしょう?」

 

「一体どういう…」

 

「彼女のトリオン量38です。そんなトリオン量の持ち主がアイビスなんて、そりゃこうなりますよ」

 

土下座し始めちゃった…ツインスナイプまで…

 

「ツインスナイプ、東さん、この子連れて開発室行ってきますね」

 

「え?あ、うん」

 

「待て、待て。こんな騒ぎになったら鬼怒太さんが跳んでくるだろうから、待機してて?」

 

「千佳ちゃんのトリオンで修復することになると思いますから、先に言いに行こうかと」

 

「アレくらいの壁の穴くらいなら貯蔵してる分で直ぐに修復できるよ」

 

「そうなんですか?なら任せますね?」

 

「ああ、それにここでの責任はすべてA級の佐鳥にあるからな」

 

「え、ちょ、東さん!?」

 

「応急処置だけしておきますね?」

 

「ああ、それくらいなら頼むよ」

 

「《エスクード》」

 

エスクードで違和感ないに穴を隠した。

 

「一体何の騒ぎだ!?」

 

「タヌキのおっちゃん!」

 

「む?なぜ堅護が…何があったんだ?」

 

「玉狛の後輩の千佳ちゃんがスナイパーの練習に参加してたんだけど、トリオン量が高すぎて壁を撃ち抜いちゃった。つまり事故。今はエスクードで応急処置してるから修復お願いできる?」

 

「ほぉ~ほぉ~、ボーダーの壁を突き破るとは一体どれほどのぉぉぉ…!?なんじゃアレは!?」

 

「ツインスナイプがアイビスで撃たせたからツインスナイプのせいまである」

 

済まない、ツインスナイプ…

ここは後輩のための犠牲となってくれ…

 

「そうです!ツインスナイプこと、この佐鳥賢にすべての責任があります!」

 

「当たり前じゃろう!!」

 

「いった…くなーい」

 

「あの…私がやったんです…!本当にごめんなさい…!」

 

「そうか、そうか。全て、このバカが悪いから気にする必要もない」

 

相変わらず子ども、それも女の子には甘いな…

 

「千佳!」

 

「あっ、修くん!」

 

「あらら…」

 

「お前!ちゃんと千佳ちゃんの面倒を見ろ!全く…」

 

「は、はい…」

 

「…どういう状況?」

 

「遊真くんも来たんだ。簡単に説明すると、千佳ちゃんが大穴開けちゃって、いろいろ終わった後に2人が来て、修くんが何故か怒られた。」

 

「ええ…?」

 

「タヌキのおっちゃんはね、自分の娘と同年代の女の子は全員守る対象になるから、ちゃんとその子が信頼してる男の子には、ああやってカツを入れるんだよ。」

 

「へぇ…じゃあ良い人?」

 

「口は悪いけどね。ボーダーにいるのも才能もあるけど、子どものためだし」

 

「ふーん…」

 

「それはそれとして、多分面倒事を起こした修くんは嫌われてるよ」

 

「あー…外でトリガー使った云々のこと?」

 

「たぶんね」

 

「あらら…」『あとで修に謝らなければな、遊真』

 

「そうだな」

 

もう問題も起きなそうなので、千佳ちゃんは東さんに任せ、遊真くんと近くの自販機に移動する。

自販機の使い方知らないらしいから教えて欲しいらしい。

 

そこで三輪さんと出会した。

正確には三輪さんと米屋さんと陽太郎の三人。

 

「どうも三輪さん」

 

「あ、重くなる弾の人」

 

「もう会ったことあるの?」

 

「千佳と初めて会った時にね」

 

「へー、食らった?」

 

「うん、まさかシールドを貫通するとは思わず…」

 

「なぜ………た…る」

 

「はい?」

 

「なぜ近界民の味方をする!答えろ!伊地過堅護!!」

 

「何故?近界民もボーダーと同じように複数の考え方があるからですよ?」

 

「違う!俺が聞きたいのはそういうことじゃない!」

 

「ん?なら、両親が攫われたのにってことですか?」

 

「そうだ!」

 

「それなら簡単ですよ。僕はあの人たちに育てられてないからです。あなたと違って、家族との絆は無かったから近界民に恨みはないです。……いや、正確にはとある国の近界民に恨みはあるが無関係な奴に恨みはぶつけないってだけです」

 

僕は育児放棄と虐待されてたし、親代わりの林道支部長と忍田さん、桐山さんに育てられたと言っても過言ではない。*2

 

「…ッ!」ギリッ

 

三輪さんは飲み物を買って、どっか行っちゃった。

 

「なんか窶れてましたけど、何かありました?」

 

「アイツ、近界民のコイツがボーダーに入って何を信じたらいいのかわかんなくなってんだよ」

 

「「あー…」」

 

「なにかあってもおれとらいじんまるがまもる。あんしんしろ」

 

「陽太郎と雷神丸も居るなら安心だな」

 

「…だな」

 

「むふん!」

 

「ボフッ」

 

「らいじんまるもまかせろといっている」

 

そんな感じで雑談していると、米屋さんが遊真くんと戦いたいとか言い出した。

 

まあ、本人が乗り気なので特に何もせずについていく。

すると、駿くんが修くんを倒していた。

 

「ありゃ、こっ酷くヤラれてるなぁ…嫉妬かなぁ」

 

「いつぞやのメガネボーイと駿の奴がやってんのか?」

 

それにしても…今日は無駄に多いな…

 

「この見物人集めたのお前?」

 

「……ちがうよ。風間さんと引き分けたって噂に寄ってきたんだろ。俺は何もしてないよ」

 

「へぇ…おまえ、つまんない ウソ つくね

 

怒ってるなぁ…副作用持ってるのかな?

 

「レプリカ先生、遊真くんって副作用あるの?」

 

『ああ、嘘を見抜く副作用がある』

 

じゃあ、駿くんがこの人達集めたんだ?…なんで?別に修くんと接点なかったよね?

 

「俺とも勝負してよミドリカワ。もしお前が勝てたら俺の点全部やるよ、1508点」

 

「「え!?」」

 

「あれ?俺との勝負は?」

 

「今は黙ってください米屋さん」

 

「1500ってC級じゃん、訓練用トリガーで俺と戦うの?」

 

「うん、お前相手なら十分だろ」

 

「!……いいよ、やろうよ。何が欲しいの?3000点?5000点?」

 

「いや、点はいらない。代わりに先輩って呼べ」

 

「OK、俺が負けたらアンタのことを先輩って呼んであげるよ」

 

「いや、おれじゃない。うちの隊長を先輩って呼んでもらう」

 

なるほど…牽制+制裁かな?

 

まあ、駿くんじゃ勝つのは無理だな。

小南に2勝出来る遊真くんに勝てるわけない。

 

「米屋さん、暇つぶしにヤります?」

 

「おっ、ヤるか?全然いいぞ?」

 

「どうせ駿くん負けますしね」

 

「そりゃ同感だ。取れても1勝くらいだろ」

 

「遊真くんが手を抜いてる間しか勝つのは無理ですよ」

 

「厳しいねぇ…」

 

「そも、小手先の技しか使えないならこの先やっていけないでしょうし、ちょうどいい壁にぶつかったと思ってもらうしかないですよ」

 

「おっ、それは優しいな」

 

「それで、5戦くらいにしますか?」

 

「えー、もっとヤろうぜ?」

 

「この後の会議に呼ばれそうなので、あの二人に合わせて終わらせるつもりです」

 

「えー…じゃあ、また今度やろうぜ。俺は一気に何戦もしたいタイプだからよ」

 

「了解です。…それにしても、あそこまで弱いとは」

 

「面目ない…」

 

「いや運動神経と体力はこれから付けるとして、今の貴方は意地の悪さが足りないです」

 

「意地の悪さ…?」

 

「戦闘なんて如何に相手の嫌がることを押しつけるかが基本なのに、ただシールドで受けるだけなんて攻撃してくださいって言ってるものですよ。もっと工夫を凝らしてください。遠征なんて夢のまた夢ですよ」

 

「!…ああ…!ありがとう」

 

「まだ何も成してないので、感謝は後にしてください」

 

「わかった。感謝は成果を出してからだ…!」

 

まだ基本的なことしか言ってないのに…

なんなら、戦術すら言ってないのに…お人好しすぎる…

 

しばらくして、遊真くんの勝利に終わった。

 

「お疲れ、コーラ飲むか?」

 

「オー、ありがと。うぉ!?シュワっとしてるぞ、これ!しかも甘い!」

 

「炭酸飲料の王だぜ?」

 

「王!?」

 

「適当なこと言わないでくださいよ米屋さん…」

 

「間違ってはねぇだろ?」

 

「人気で言えばそうですけど…自分は三ツ矢サイダー派です」

 

「なんと!?三ツ矢サイダーなるものもあるのか!?」

 

「玉狛支部に常備してますから、帰ったら上げますよ。勿論、冷えてる奴を」

 

「おー!」

 

「さて、さあ白チビ、今度こそ俺とy...」

 

「堅護、遊真、メガネくん」

 

「やろ…」

 

「!…迅さん!?」

 

「どもども、ちょっと来てくれ、城戸さんたちが呼んでる」

 

「あっ!迅さん!」

 

駿くんも来ちゃった…

 

「迅さんS級やめたってホント!?じゃあ対戦しよ!対戦!」

 

「おっ駿、相変わらず元気だなぁ」

 

なんか、駿くんが修くんに謝ったり、遊真くんの戦った感想を聞いたりしながら移動した。

米屋さんは置いてきた。

 

「失礼します」

 

「遅い!何をモタモタしておる!」

 

「いやーどもども」

 

「またせたなぽんきち」

 

「何故お前がおる!?」

 

「米屋さんと居たんですけど、こっちに合流しました。米屋さんはソロランク戦のところです」

 

「あいつは子守も出来んのか…」

 

「…そんなこと出来るなら槍バカなんて言われませんよ」

 

「それもそうか…」

 

「時間が惜しい、早く始めてもらおうか」

 

「我々の調査で近々近界から大規模な侵攻があると予想された。そこで君には近界民としての意見を聞きたい」

 

「近界にいくつもの国があるのはわかっとる、いくつかの国には遠征もしておる。だが、いかんせん情報が足りん!」

 

「つまり、遊真くんに何処が攻めてくるのか、どんな国なのかっていう情報を求めるってことですか?」

 

「そういうことだ」

 

「ふむ…そういうことなら、おれの相棒に聞いたほうが話は早いな。よろしく」

 

『心得た』

 

「「「!?」」」

 

『はじめまして、私の名はレプリカ。ユーマのお目付け役だ』

 

「何だコイツは!?」

 

『私はユーマの父、ユーゴに作られた多目的型トリオン兵だ』

 

「トリオン兵だと!?」

 

「空閑有吾…!」

 

『私の中にはユーゴとユーマが旅をした近界の国々の記録がある。おそらく、君たちの望む情報も提供できるだろう』

 

「!」

 

「おお…!」

 

『だが、その前に近界民に対して無差別に敵意を抱く者も居ると聞く。私自身もまだボーダー本部を信用していない。ボーダーの最高責任者殿には私の持つ情報と引き換えにユーマの安全を保証すると約束して頂きたい』

 

「……よかろう。ボーダーの隊務規定に従う限り、隊員『空閑遊真』の安全と権利を保障しよう」

 

「…ん?ストップ横槍入れさせてもらいます」

 

「…何かね」

 

「遊真くんを我武者羅に縛り付けるような隊務規定の追加と変更もしないで欲しいです。」

 

「「「?」」」

 

「…まあ、よかろう」

 

「ありがとうございます」

 

『承った。それでは近界民について教えよう』

 

隊務規定の変更とかで、いきなりアウトにされる可能性もある。城戸さんはそこまで狡いことはしないだろうけど、一応の保険はかけておくべきだろう。

 

 

*1
一応の補足、威力重視の狙撃用トリガー

*2
ちなみに、祖父母はとっくに亡くなってたし親に兄弟は居なかったので他に頼れる相手は居なかった。虐待が原因で(無意識に)防御系トリガーのエキスパートになった




あとは大体同じ

特に読む必要のない話でした
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