竜の谷から竜が降りてきた訪竜問題を解決する為に、学区の教師や生徒達が駆り出され、多数の竜を討伐した学区では、Lv4であった第8小隊の面々が、全員Lv5に到達していたみたいだ。
4人で連携し、竜の谷から降りてきた強化種のカドモス3体を倒したことで、生徒でありながら第1級冒険者と同じLv5に到達した第8小隊は、他の小隊とは段違いに強い小隊となっていたようである。
カドモスはウダイオスというLv6相当の階層主よりも力が強い竜種の怪物であり、強力な竜種が多い竜の谷に居た竜であったカドモスは、更に強化種であった為、ダンジョン51階層で出現するカドモスとも遜色がなく、そんなカドモス3体をLv4の4名だけで倒したのは、偉業と判断された第8小隊の面々。
全員がLv5な第8小隊を教導できるのはLv7な私とヴァーデンベルク先生だけだと判断されたが、第8小隊の面々はヴァーデンベルク先生には何故か反抗的である為、変わらず私が第8小隊の教導を担当することになった。
Lv4だった頃の第8小隊の基本戦術は小隊長であるサンジョウノさんが後衛として後方に待機し、状況に応じて前衛3人に指示を出して攻め込ませたり下がらせたりして、サンジョウノさんが魔法砲撃を叩き込んだり、前衛達を回復させたりもしながら臨機応変に戦っていくというものだ。
全員がLv5となった第8小隊は、攻撃魔法が使えるようになっていたシノブノさんや、速度を上昇させる魔法が使えるようになったテントウさんとマシマさんという前衛が更に強化されたことで、より攻撃が強力になっていたが、サンジョウノさんも新たに防御結界を作り出す魔法を覚えたことで、防御力も確かに増していた第8小隊。
ちなみに現在の第8小隊全員のステイタスが書かれた紙を渡された私は、見ても構わないと許可を出されたので、一応確認しておく。
シノブノ・久能
Lv5
力:I56
耐久:I41
器用:I68
敏捷:I97
魔力:I83
耐異常:G
連攻:G
潜水:H
破砕:I
《魔法》
【ヘンゲンジザイ】
・変身魔法
・詠唱式【如何様にも変わるこの身は、ありとあらゆるものとなる】【変わる術持つこの身は忍び】【御覧あれや変化の術】
【カトンジュツ】
・火炎放射魔法
・炎属性
・詠唱式【豪火滅却、灰塵と化せ】【燃えよ燃えよ燃え尽きよ】【我が火遁により消え失せよ】
《スキル》
【鉄鋼投擲】
・金属製の武器を投擲する時、威力に高補正
【万象化身】
・魔法【ヘンゲンジザイ】で変身している時、力と耐久と敏捷に高補正
サンジョウノ・九重
Lv5
力:I73
耐久:I71
器用:I52
敏捷:I46
魔力:H146
耐異常:G
魔導:G
拳打:H
治療:I
《魔法》
【ジンダイコ】
・砲撃魔法
・音属性
・詠唱式【打ち鳴らせ打ち鳴らせ】【鳴らす音色は山越え轟き】【暴れ太鼓は破れ果て】【放つ音色は山揺らす】
【オトギリソウ】
・広域回復浄化魔法
・傷病や体力回復効果
・魔法範囲内の呪詛と毒に瘴気の完全浄化消滅
・詠唱式【ここは果ての薬草園】【穢れを浄めて癒すのは、終わることなき繰り返し】【幾度も使いし薬草が、尽きぬ限りは付き合いましょう】
【エンゲツリン】
・結界魔法
・月光属性
・詠唱式【照らせ、月光】【円を描く月の光は、闇夜に輝く灯火】【輪を成す月よ、築けや堅玉の盾】
《スキル》
【絢爛武道】
・発展アビリティ拳打の強化
・打撃の威力に高補正
【妖狐推参】
・戦闘時、発展アビリティ精癒、治療の一時発現
・魔法の効果に高補正
テントウ・蒼子
Lv5
力:I95
耐久:I98
器用:I96
敏捷:I98
魔力:I92
耐異常:G
剣士:G
治力:H
精癒:I
《魔法》
【トケイカソク】
・速攻加速魔法
《スキル》
【華麗蹴撃】
・戦闘時、発展アビリティ拳打の一時発現
・蹴り技の威力に高補正
【斬所見舞】
・戦闘時、発展アビリティ連攻の一時発現
・発展アビリティ剣士の強化
マシマ・京子
Lv5
力:H123
耐久:I81
器用:I56
敏捷:H157
魔力:I58
耐異常:G
剣士:G
拳打:H
治力:I
《魔法》
【キョウキケンザン】
・速攻疾走魔法
・疾走時、加速効果倍増
《スキル》
【瞬進疾走】
・敏捷に高補正
【天然理心】
・発展アビリティ剣士の強化
・戦闘時、力、耐久、敏捷に高補正
こうして第8小隊全員のステイタスを確認してみると、サンジョウノさんとシノブノさん以外は遠距離に攻撃する魔法がないので、敵と戦う時は近接戦闘を行う必要があるテントウさんとマシマさんも、シノブノさんと同じように遠距離攻撃用の投擲武器等を持ち歩いてもいいかもしれない。
忍びを自称するシノブノさんは手裏剣や苦無などを投擲武器として常に持ち歩いており、小太刀と魔法以外の攻撃手段がある。
持ち歩く投擲武器までシノブノさんと同じものにする必要はないので、テントウさんとマシマさんに合う投擲武器を、私も一緒に探してみた。
幾つか試してみた後で、テントウさんが選んだのは金属製で指先ほどの大きさの球であり、それを指弾として指で弾いて飛ばすことにしたようだ。
マシマさんの方は投げナイフを投擲武器にすると決めたらしく、投げナイフを収納するホルダーを新たな装備として用意し、即座に投げナイフを取り出せる位置にナイフホルダーを装着していたマシマさん。
投擲武器の威力的には、スキル【鉄鋼投擲】で投擲武器の威力を強化できるシノブノさんが1番上だったが、小さなベアリングのような球体を指弾として連射可能になっていたテントウさんと、投げナイフで砲弾のような威力を出すマシマさんも劣ってはいない。
今後、テントウさんやマシマさんにも投擲関係のスキルが発現すれば、シノブノさんよりも強力な投擲攻撃ができるようになる可能性はある。
数が限られているとしても遠距離攻撃用の投擲武器を持つことは生存率を上げることに繋がる為、投擲武器などには特に抵抗がなかったテントウさんとマシマさんに、遠距離攻撃が可能な投擲武器を持たせることに成功して良かった。
そんなことを考えながら第8小隊の教導を行う日々を過ごしていると、ついに3年に1度のメレンへの帰航が数日後に迫り、浮き足だっていた学区の生徒達。
学区は3年間に1度だけメレンに立ち寄って、船の大規模な点検と改修を行い、旅の最中に傷付いた船を修理していく。
巨大船フリングホルニの大規模点検改修で、メレンの港町に学区が停泊している間、戦技学科ではオラリオのダンジョンでの特別実習も授業に組み込まれ、それぞれの生徒達のLvに合わせた階層で定められたドロップアイテムを手に入れるだけではなく、階層についての報告書もレポートとして提出しなければ単位は取得できない。
3年前にダンジョンの下層で実習した第8小隊は、今回は全員がLv5となっている為、下層の更に深い階層に向かうことになるだろう。
第8小隊だけは深層まで行かせてはどうかという意見もあったが、それはまだまだ生徒達には早いと却下した私とヴァーデンベルク先生。
生徒達の安全を考えて、ギルドが定めている適正階層よりも、上の階層を選んで行うダンジョンでの特別実習。
Lvが高くともダンジョンの環境に殺されることがある迷宮という場所を甘く見ずに、教え子である生徒達を無事に生還させるのが、学区の教師の仕事だと私は思っている。
という訳で、今回も下層の深い階層まで向かう第8小隊に、私も同行することになった。
基本的には生徒達に任せるが、危ないと判断した時は、私も手を出しておくとしよう。