ダンまち世界のサムライ先生   作:色々残念

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思い付いたので更新します


密林の峡谷

下層の29階層からは「密林の峡谷」と呼ばれる層域となっており、生え揃った樹林が正規ルートではV字状に切り立って通り道を形成していることから、密林でありながら峡谷の名がついているとのことだ。

 

見上げる程に高い樹木が密に生えた29から32までの階層は、3段から4段の巨大な階段状になっている「密林の峡谷」という場所。

 

今回のダンジョン実習で第8小隊が挑むことになる「密林の峡谷」には、恐竜種の怪物達が出現し、単純に強い恐竜種にはLv3以下では通用しない。

 

現在の第8小隊は全員がLv5である為、ギルドが「密林の峡谷」を攻略するにはLv3以上のパーティ編成が必要だとしていた条件は達成している。

 

しかしそれはダンジョンに慣れた冒険者がLv3以上であった場合であり、学区の生徒達だけで「密林の峡谷」を探索させるのは、まだ早いと判断した私は今回も第8小隊に同行し、29階層の「密林の峡谷」で第8小隊が行う探索を見守っていた。

 

前衛3人に後衛1人が基本の編成である第8小隊は、恐竜種の怪物相手にも退くことなく戦っており、新装備である日緋色金製の武器を振るいながら戦っていた前衛3人。

 

Lv5の前衛3人に小隊長であるサンジョウノさんが指示を出していき、その指示に従っていた前衛達により斬り裂かれていく恐竜種達の身体。

 

強靭な鱗と頑丈な筋骨を持つ恐竜種であろうと問題なく倒せていた第8小隊は、やはり戦闘に関しては優秀な小隊だった。

 

斧のような尾を持つスピノアックスという名の怪物が纏めて葬られると、残るのはドロップアイテムであった「スピノアックスの斧刃」で、今回のダンジョン実習で第8小隊が学区の単位を得る為に必要なドロップアイテムの1つである。

 

「スピノアックスの斧刃」を15個に加えて「アルマロサウルスの突起」が15個、もしくは「ブラッドサウルスの牙」なら10個だけで第8小隊はダンジョン実習の単位を取得できるが、その後には報告書の提出も待っている為、レポートを書くのが好きではない第8小隊のテンションは、それを思い出して低くなっていたみたいだ。

 

問題なくスピノアックスやアルマロサウルスを倒していた第8小隊は、負傷者を出すことなく恐竜種の怪物達を倒し続けて、ドロップアイテムを回収していたが、絶え間なく恐竜種の怪物が襲いかかってきていたことで、大量のドロップアイテムを手に入れていた第8小隊の面々。

 

29階層の「密林の峡谷」に来て1日もしない内に、単位取得に必要なドロップアイテムが集まった第8小隊は、早めに切り上げることも選べたが、まだ「密林の峡谷」を探索することを選択したようで、29階層から安全階層である28階層に戻ることはない。

 

そんな第8小隊の前に現れたのは、30階層から出現する筈のブラッドサウルス達であり、肉食のブラッドサウルスは同胞とも言える恐竜種の怪物すらも喰らう為、強化種が生まれやすい怪物でもある。

 

通常のブラッドサウルスよりも身体が大きく、鱗と身体の厚みが段違いなブラッドサウルスの群れは、全員が強化種で間違いなく、一際大きい最奥の個体が群れの頭目といったところになりそうだ。

 

29階層にまで上がってきたブラッドサウルスの群れは血に飢えており、他の恐竜種を完全に餌としか考えておらず、数多の恐竜種の怪物達がブラッドサウルス達に喰われていく。

 

血肉ごと魔石を喰らって更に強化されたブラッドサウルス達を相手に、それぞれの獲物を構えた第8小隊。

 

「地上のブラッドサウルスよりも凶悪そうでござるな」

 

「セオロの密林に居るブラッドサウルスの3倍は、でけーですね」

 

「おばあちゃんが言っていた。二兎追う者は二兎とも取れ、と」

 

「どうせなら「ブラッドサウルスの牙」を持ち帰っておくのも、ええんやないかっちゅうことやなテントウ」

 

強化種の怪物が群れをなしていようが、普段通りに会話している第8小隊には、とても余裕がある。

 

始まったブラッドサウルス達と第8小隊の戦いでは、小太刀2振りでブラッドサウルスを斬り刻んだシノブノさんに続いて、大剣で両断したテントウさんと、刀で正確に魔石を貫いて倒したマシマさんという前衛達が戦線を掻き回していった。

 

最奥の巨体を持つブラッドサウルスの強化種は、それを見ても動くことはなく、冷静にシノブノさん達の動きを観察しており、明らかに知能が同種よりも高い。

 

「【豪火滅却、灰塵と化せ】【燃えよ燃えよ燃え尽きよ】【我が火遁により消え失せよ】」

 

素早く詠唱を終わらせたシノブノさんが繰り出すのは、火炎を放射する魔法。

 

「【カトンジュツ】!」

 

唱えた魔法名により、シノブノさんの掌から放射された火炎が、最奥のブラッドサウルスへと迫るが、それに対しブラッドサウルスは、瞬時に近くの大木に噛みついて引き抜くと、火炎を放射するシノブノさんへと放り投げてから、射線から一気に飛び退いて離れていく。

 

魔法の攻撃範囲を読み取って、術者本人への反撃も行いながら、退避するという動きを見せたブラッドサウルスの強化種。

 

放り投げられた大木はテントウが蹴り飛ばしたことで、シノブノさんに当たることはなかったが、強化種の一連の動きを見ていた第8小隊は、あのブラッドサウルスが他とは違うことを理解したようだ。

 

「知能が同種のブラッドサウルスとは段違いでござるな」

 

「魔石食べて強化種になると頭の方も強化されるんですかね。めんどーな相手です」

 

「おばあちゃんが言っていた。最高速度でぶち抜いたる、と」

 

「テントウのおばあちゃんは、孫に何言っとるんやってほんまに思うけど、あのブラッドサウルスが反応できない速度で動くっちゅうのには賛成や。わしとテントウの魔法で、ぶちかますで!」

 

「それがいーかもしれねーですね。テントウとマシマに任せます」

 

「頼んだでござるよ、テントウ殿、マシマ殿」

 

戦いの最中に、そんな会話をしていた第8小隊は、次の一手としてテントウさんとマシマさんが、魔法を使用することにしたらしい。

 

「【トケイカソク】」

 

静かに大剣を構えて速攻加速魔法の魔法名を唱えたテントウさんの動きが加速し、移動速度だけではなく大剣を振るう速度すらも速くなり、ブラッドサウルスを斬り裂いていく。

 

「【キョウキケンザン】!」

 

疾走しながら速攻疾走魔法を唱えたマシマさんは、加速効果が倍増され、テントウさん以上の速度で疾走し、刀による斬撃をブラッドサウルスへと連続で叩き込んでいった。

 

動きが明らかに速くなったテントウさんとマシマさんの動きに反応できていなかったブラッドサウルスは、身体を回転させることで丸太よりも太い尾を振り回し始める。

 

反応できない速度の相手に対し、自身の周囲を薙ぎ払うことで攻撃しようとしたブラッドサウルスだが、加速したテントウさんとマシマさんには通じない。

 

テントウさんの大剣で尾を切断されてからマシマさんの刀で斬り刻まれ、剥き出しとなった魔石を破壊されて討伐されたブラッドサウルスの強化種。

 

無事に戦いが終わり、ドロップアイテムなどの回収の時間になると、第8小隊の面々は手早くドロップアイテムを集めていき、ブラッドサウルスの強化種達が残した「ブラッドサウルスの牙」が10個を越えていたことに喜んだ。

 

知能が高いブラッドサウルスと遭遇したとしても、慌てることなく力を発揮できた今の第8小隊なら、下層の「密林の峡谷」でも危うげなく戦えることは確認できたが、それでも生徒達だけで深層に向かわせるのは止めておきたいところだな。

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