フラン(狂)「あははははははっ!避けてばっかりじゃつまらないよ!」
悠翔「無理言うなよ!俺は幻想郷に来てまだ1週間も経ってないんだ!」
フラン(狂)「そっか!なら簡単には壊れないでね!」
悠翔「話通じないなぁ!!」
狂気に呑まれたフランと戦う悠翔とさとり。初めはさとりの指示通りに前に出ず、さとりが攻撃している時に、ちょこちょこ弾幕で援護をしていた。だが、ずっとさとりを狙っていたはずのフランが、突然狙いを悠翔に定めてきたのである。さらに、
さとり「はぁ……はぁ……。(もう動けなくなるなんて……今だけは……体力のない自分が憎い……。)」
さとりが体力切れで動けなくなっていたのである。悠翔は反撃ができるほど戦闘に慣れていない。結果、悠翔はずっとフランの弾幕を避け続けることしかできないのだった。
フラン(狂)「はぁ……もう飽きちゃった。終わらせるね。」
悠翔「終わらせる?」
フラン(狂)「禁忌『フォーオブアカインド』!」
悠翔「(スペルカード!いったいどんな効果が……?)」
フラン(狂)がスペルカードを発動すると、なんとフランが4人に増えた。
悠翔「分身!?本当に終わらせに来てる!?」
フラン(狂1)「あははははははっ!!行くよー!!禁忌『レーヴァテイン』!!」
フラン(狂2)「禁忌『クランベリートラップ』!!」
フラン(狂3)「禁忌『カゴメカゴメ』!!」
フラン(狂4)「禁忌『スターボウブレイク』!!」
悠翔「4人同時にスペルカードってうわぁぁぁぁ!?」
分身したフランたちは一斉にスペルカードを発動し、悠翔を攻撃する。弾幕が自分を囲ってくる中、4人のフランの内の1人は炎の大剣を振るってくる。いくら霊力を使えようが、いくら空を飛べようが、悠翔は人間だ。能力もない、ただの人間。相手は妖怪。しかも4人に増え、全員が悠翔を殺す気でスペルカードを放ってきている。
悠翔「これは……無理でしょ……。」
ついに悠翔はフランの弾幕に当たってしまい、地面に落ちてしまう。すると、フランのスペルカード4連撃に耐えきれなかったのか、部屋が崩壊して瓦礫が降ってくる。運良く悠翔は瓦礫に当たらなかったが、動く気力はとっくに失せていた。フランは『フォーオブアカインド』を解除して1人に戻っている。
フラン(狂)「もう終わり?つまんなーい。……そうだ!せっかくだしここを出ちゃおう!どんな感じなんだろう?外にいるものは簡単には壊れないのかな!!」
悠翔「(あの状態のフランを……外に出しちゃダメだ……。でも……俺には何も……でき……ない……。)」
悠翔はフランを止めようとしたが、だんだん意識が薄れていく、すると、こちらに少しずつ、誰かが向かってくる。さとりだ。おそらく、無理して体を動かしているのだろう。
悠翔「さ……ん……て……。」
朦朧とする意識の中で、悠翔は何かをさとりに告げ、そして意識を失った__。
〈さとりside〉
私は、奇跡的に瓦礫に当たっていなかったものの、弾幕のダメージと体力の限界で気絶する悠翔さんの姿を見た。
私のせいで……私がもっと動けていたら……この部屋に入るのをもっと強く引き止めていたら……この異変に関わらないようにしていれば……。
そんな考えがずっと頭の中を巡る。その時、
悠翔「さとりさん……。」
悠翔さんの声が聞こえ、私は悠翔さんの方を見る。まだ意識があったのかと、話しかけようとしたが、
悠翔「逃げ……て……。」
悠翔さんはそう言い残して気絶してしまう。……最後まで、私を思いやってくれていた。私が動けなかった時も、フランさんの弾幕がこちらに来ないように動いていた。……ずっと、悠翔さんに助けられてばっかりだった。だから今度は……!
さとり「私が……悠翔さんを助ける番です……!」
まずは……フランさんが地上に出るのを止める__!
??『お姉ちゃん……。』
〈悠翔side〉
悠翔「……うっ……。」
俺は、どこか分からない空間にいた。何も見えない、真っ暗な空間だ。目が覚めたはずなのに、目覚められてないように感じる。
もしかして俺……死んだのかな……?
そんな不吉なことを考えるくらいには、俺は絶望していた。もう、諦めようかと、そう思った時だった。
??『悠翔、もう諦めちゃうのか?』
??『だって……もう無理なんだよ!』
悠翔「何か……聞こえる……?」
誰かの声が聞こえたような気がして、俺はその声が聞こえた方に向かって歩き出す。しばらく歩くと、周りの景色が変わって、何かが見えてきた。そこには、泣いている男の子と、それに寄り添っている男性の姿があった。俺はそれを見て驚いた。なぜなら、
悠翔「子供の方は俺にそっくりだ……。」
泣いている男の子の顔を良く見ると、俺の顔にそっくりだったからだ。すると、男性が男の子に話しかけた。
男性『いいか、悠翔。お前の名前にはな、こんな意味があるんだ。
悠の字には、遠くって意味が、
翔の字はそのまま、翔ぶって意味が、
それぞれある。お前にこの名前をつけたのは、
『どんなことがあっても諦めず、遠い夢まで翔んでいってほしい』
って願ったからなんだ。今目指していることに向かって、諦めずに翔び続けろ、悠翔。』
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭に何かが入ってくるような感覚がした。いや、と言うより……閉じられていた何かが開いたような感覚だ。そしてその感覚が消えた時、その男性を見て、俺は気づいた。
悠翔「父……さん……?」
あの人は……俺の父さんだ。……どうやら、少し記憶が戻ったらしい。あれは、俺が鉄棒で逆上がりが出来なかった時に、父さんが俺の名前の由来を教えてくれた時のことだ。どうして忘れていたんだろう……?
……いや、今はそんなことを考えてる場合じゃない。フランを止めないと……。でもどうやる?今の俺じゃあフランを止めることは……。
そう考えていた時だった。
??『大丈夫。』
悠翔「あっ……。」
声が聞こえた。振り返るとそこには、父さんがいた。
父「お前ならできる。お前が本当にやりたいことをな。」
俺が本当にやりたいこと……。フランを止めること?この異変を終わらせること?いや、何か違う……。俺が本当にやりたいことは……!
悠翔「俺の手で、理想の未来を創りたい!苦しんでる人が、笑って過ごせる未来を!」
フランやさとりさんみたいに、望まない力で苦しむ人。異変のせいで、いつものような生活ができなくなってる人。そんな人たちを、俺は救いたい!
父「……そうだ、悠翔。お前の手で、その願いを叶えるんだ。」
その瞬間、俺のことを光が包む。体に変化はない。でも、何かが起こっている。まるで何かの力が目覚めたような……。
悠翔「もしかして、能力に目覚めたってこと?」
父「その力で、理想の未来を創るんだ。頑張れよ、悠翔。」
悠翔「あっ……待って!!」
俺は父さんを引き止めようとしたが、父さんは振り向かず、どこかへ行ってしまった。そして、俺の意識が薄れていく。おそらく、現実の方に意識が戻ろうとしているんだろう。再び意識を失う直前で、何か声が聞こえた__。
父『今度こそ、大切なものを失わないようにな……!』
悠翔はハッと目を覚ました。上から爆発音が聞こえてくる。誰かが戦っているのかと体を起こす。その時、
??『あ!起きた!』
悠翔「え?」
また知らない声が聞こえた。今度は女の子の声だ。
??『聞こえてないかもしれないけど、お願い!お姉ちゃんを助けて!』
悠翔「えっと……大丈夫、聞こえてるよ。」
??『えっ!?聞こえてるの!?』
悠翔「あぁ。でも、どこにいるの?」
声は確かに聞こえるのだが、女の子の姿はどこにも見当たらない。
??『すぐそこにいるけど、多分見えないと思う……。私、『無意識を操る程度の能力』っていう能力があって……。』
悠翔「つまり俺が無意識に君を見てないってことか……。あれ?でも声が聞こえてるから意識してない?」
??『うん。私もそれは思ったんだけど……。』
女の子の説明を聞いて、現状の矛盾に気づいた悠翔は首をかしげる。女の子も首をかしげているような気配を感じた。
悠翔「……そうだ、ちょっと俺の手を握ってみてくれない?」
??『え?うん。』
悠翔は手を差し出してしばらく待つ。すると、じんわりと何かの温かみが伝わってきた。
悠翔「(確かに隣にいる!あとは……俺がこの子の姿を見たいって本気で思うだけだ!)」
悠翔は、隣で自分の手を握っている女の子の姿を見たいと願う。すると、手の感触が確かなものとなり、隣を見てみる。そこには、薄く緑がかった灰色のセミロングの髪に黒い帽子を被った少女の姿があった。
悠翔「見えた!君がさっきから話しかけてきてた子だよね!」
こいし「ほんとに見えてるの!?すごい!あ、自己紹介してなかったね!私は『古明地こいし』!古明地さとりの妹だよ!よろしくね!」
悠翔「よろしく……ってえっ!?さとりさんの妹!?ってことは……今フランと戦ってるのはさとりさんなのか!?」
こいし「あ、そうだった!急いで悠翔!このままじゃお姉ちゃんが死んじゃう!」
悠翔「(なんで俺の名前を……って、見えない状態で一緒にいたんだから知ってるか。)分かった。俺、行ってくるよ!」
こいし「あ、もう一個だけお願い!お姉ちゃんを呼ぶ時、『さん』をつけないであげて!ちょっと気にしてたから!」
悠翔「え?わ、分かった。」
こいしの言葉に困惑しながらも、悠翔はさとりを助けるために飛び立った。
こいし「……きっと大丈夫。気絶してる間に、何かあったみたいだし。今の悠翔なら、フランって子にも勝てるはず……!(あとお姉ちゃんのハートも掴めるはず!)」
こいしは(少し邪念が混じっていたが、)悠翔の勝利を信じていた__。
フラン(狂)「あははははははっ!お姉さんもそろそろ限界だね!」
さとり「くっ……!(地下からフランさんを出させてしまった……。体力も……もう限界……!)」
フラン(狂)「終わりだよ!禁弾『カタディオプトリック』!」
さとり「(スペルカード……!避けられない……!)」
フランがスペルカードを使うと、さとりの周囲に大弾・中弾・小弾問わず、無数の弾幕が放たれる。それも一切手加減されていない、殺傷力を持った弾幕だ。さとりは自分の死を覚悟して目をつぶる……その時だった。
悠翔『そこまでだよ。』
さとり「え……?」
そんな声が聞こえたかと思うと、爆発音が辺りに響き渡る。痛みがこないことに気づいたさとりは、恐る恐る目を開ける。そこには、さとりの前で手をかざしている悠翔の姿があった。あれだけあった弾幕は、なぜか消え失せている。
悠翔「さとり、助けに来たよ。」
さとり「(私の名前も呼び捨てで……!)……遅いんですよ、悠翔さん。もう大丈夫なんですか?」
悠翔「あぁ。あとは任せて。」
そう言うと、悠翔はさとりに向けていた顔をフラン(狂)の方に向ける。
フラン(狂)「お兄さん、まだ壊れてなかったんだ!」
悠翔「そう簡単に壊れてたまるもんか。」
フラン(狂)「そっか!じゃあ今度こそ壊してあげるね!」
悠翔「……なぁフラン。お前ってさ、『壊す』って言葉をよく言うよな。それが能力なのか?」
フラン(狂)「そうだよ!私は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』を持ってるんだ!」
悠翔「そうか……なら。(俺の能力はこれしかないな……!)」
悠翔は一呼吸おいて、フランにこう告げる。
悠翔「フランが『ありとあらゆるものを破壊する』なら、俺は『ありとあらゆるものを創る』。」
さとり「まさか悠翔さん……能力が……!?」
フラン(狂)「あははははははっ!!面白いね!!やって見せてよ!!」
そう叫んで、フランは大量の弾幕を放つ。それを見て悠翔は、弾幕に向けて手をかざす。
悠翔「光符『ミラージュインフェルノ』。」
悠翔はたった今作り出したスペルカードを発動する。すると、悠翔の前に巨大な鏡が出現する。そこから、なんとフランが放った弾幕とまったく同じ弾幕が放たれ、2人が放った弾幕はお互いにぶつかり合って爆散する。
フラン(狂)「すごいねー!でもまだだよ!禁忌『レーヴァテイン』!」
フランもスペルカードを発動し、再び炎の大剣を出現させる。そのまま悠翔に斬りかかったが……次の瞬間、レーヴァテインは崩壊していた。驚いて目を見開いたフランが見たのは、水の大剣を持った悠翔の姿だった。
フラン(狂)「水の剣……!?」
悠翔「そのレーヴァテインって剣、どう見ても炎でできてた……。なら、それを消せる水で剣を作ればいいんじゃないかって思ってたけど、合ってたみたいだな!」
フラン(狂)「くっ……!!QED『495年の波紋』!!」
水の剣を見て顔をしかめたフランは、悠翔から距離をとってスペルカードを発動する。弾幕が波紋のように、円形状に広がっていく。だが、悠翔はその弾幕を水の剣で斬り裂いてフランに接近していく。そしてフランの間合いに入った悠翔は水の剣でフランを斬ろうとする。その時、フランが手のひらを広げる。
フラン(狂)「これだけはしたくなかったんだけどなぁ〜。でもしょうがないよね、私は壊れたくないし。さよなら、お兄さん。きゅっとして……ドk「想起『カタディオプトリック』!!」ッ……!?」
フランが手のひらを握りしめようとした時、さとりがフランのスペルカードを放ってそれを妨害する。
悠翔「さとり!?助かったけど今のスペルカードってさっきの……!?」
さとり「えぇ、そうです……。私の能力を使えば……相手のスペルカードを……使うことだってできるんです……。」
息が切れ切れになりながらも、さとりがフランのスペルカードを放つことができた理由を説明してくれる。
悠翔「相手のスペルカードを……。……それならさとり、あと1回スペルカードを使える?誰かのものじゃなくて、さとり自身のスペルカードをさ。」
さとり「それならありますし、1回だけなら打てますけど……。」
悠翔「なら、最後は一緒に決めよう!2人でフランに勝とう!」
さとり「(……どうしてだろう……さっきから胸の高鳴りが抑えられない……。……よく分からないけど今は!)……分かりました、行きますよ!!」
悠翔「あぁ!!」
そして、さとりがスペルカードの準備をし始めると、悠翔は自身の能力でさとりの能力を作り出し、さとりが使おうとしているスペルカードと同じものを発動する。
悠翔・さとり「「想起『テリブルスーヴニール』!!」」
2人は、フランに向かってレーザーと大・中の弾幕を放つ。1人だけなら対処できたのかもしれないが、今は2人分の弾幕が同時に飛んできている。フランはなんとかレーザーや弾幕を避けていたが、ついに限界が訪れ、弾幕がフランに命中し、フランは地面に落ちていく。
フラン(狂)「(私は……まだっ……!!)」
まだ戦えると、空を飛ぼうとしたフランだったが、体は言うことを聞かず、そのまま地面に落ちてしまう……。その時、誰かが自分のことを受け止めた。意識が薄れていく中、フランは自分を受け止めた人の顔を見た。そこには、悠翔の姿が見えた__。
悠翔「フラン!大丈夫か!?」
フラン「ゆう……と……。あり……がとう……。『もう1人の』……私を……止めて……くれて……。」
悠翔「…………!!(元に戻ってる……!……もう1人の私って……フランの狂気はもう1つの人格ってことか……!)」
気絶する寸前、フランが発した言葉に、悠翔は狂気に呑まれたフランがもう1つの人格であることに気づく。
悠翔「さとり!っと……もう大丈夫だと思う。でも一応フランの心を読んでくれない?」
さとり「分かりました。……はい、大丈夫です。狂気が消えています。」
気絶するフランを、悠翔が能力で作った毛布の上に寝かせる。さとりがフランの心を読んでみるが、狂気に囚われている様子はなかったようだ。
悠翔「よかった……。……だけど、まだやることがあるんだ。」
さとり「やること、ですか?」
悠翔「フランの狂気を、なんとかしてあげたい。……あの狂気は、フランのもう1人の人格なんだ。」
悠翔はそう言いながら、気絶するフランのことを見る。
さとり「もう1人の……!?というか、なぜそれが分かったんですか?」
悠翔「フランが気絶する寸前に、「もう1人の私を止めてくれて、ありがとう。」って言ったんだ。だから、そういうことなんだと思う。」
さとり「……でも、どうするつもりなんですか?その狂気の方のフランさんをなんとかするって……。」
さとりは不安そうにそう聞く。
悠翔「フランの心の中に入って、狂気の方のフランと話をしてくる。その狂気の方の人格をなんとかできれば……!」
さとり「フランさんが暴走することがなくなる……と。」
悠翔「そういうこと。」
さとり「……大丈夫……ですよね?今度こそ戻ってこれないなんてこと、無いですよね?」
悠翔「大丈夫。俺を信じて欲しい。……じゃあ、行ってくる。」
さとり「信じましたからね。……気をつけて。」
悠翔はさとりの言葉に頷くと、心の中に入る力を作り、フランの心の中に入っていった__。
悠翔「うわっ……なんだこれ?目がいっぱい……!」
フランの心の中に入ってきた悠翔。フランの心の中は、大量の目のようなものがこちらを見つめてくる空間だった。悠翔はそんな空間を飛び回る。すると、地面にうずくまっているフランの姿を見つけた。そのフランが、狂気の方の人格のフランだと判断した悠翔は、フランのもとに向かう。
悠翔「フラン。」
フラン(狂)「ハッ……!?お兄さん!?なんでここに!?」
悠翔「君と話がしたかったから、かな。」
フラン(狂)「……お兄さんと話すことなんて何もないよ。」
悠翔がそう言うと、フランは顔を伏せてそう吐き捨てる。
悠翔「……フランはさ、なんであんなことしたの?」
フラン(狂)「……ずっと退屈で、遊びたかったから。」
悠翔「そっか……。でもそれって、あんなのでいいと思ってるの?あれじゃあ、遊び相手はすぐ「あなたにっ!!」ッ……!?」
フラン(狂)「あなたに何が分かるって言うの!?私には、何かを壊すための力しかない!普通の遊びなんて、私にはできないんだよ!!お姉様たちだって、私が出てきたら怖いからって、あの部屋に私たちを閉じ込めて!私のことを嫌ってるんだよ!私はいらない存在なんだよっ!!」
フランは悠翔に掴みかかり、自分がずっと抱えてきた思いを悠翔にぶつける。
フラン(狂)「……帰って。私のことなんて放っておいてよ。」
フランは悠翔を掴んでいた手を離すと、うずくまってそう言う。
悠翔「……フラン。」
フラン(狂)「……何?」
悠翔「俺さ……フランみたいに苦しんでる人を知ってるよ。」
フラン(狂)「……それって誰?」
悠翔「さとりだよ。さっき戦ってたピンクの髪の人。さとりは多分、自分が持つ相手の心を読む能力があるせいで、人間とかに嫌われてしまってるんだ。」
悠翔は幻想郷に迷い込んで、さとりと初めて話した時のことを思い出す。
悠翔「前にさとりが、心が読める自分と暮らすのは嫌じゃないのかって聞いてきたことがあったんだ。そう聞いてきたってことは、さとりは自分の能力のせいで、気味悪がられたり、拒絶されたりしていたはず。」
フラン(狂)「…………。」
悠翔「俺は、苦しんでる人を助けたい。さとりだって、『君』だって助けたいんだ。」
フラン(狂)「でも……お兄さんに何ができるの?」
悠翔「そうだな……。俺の心の中にでも来る?」
フラン(狂)「へっ?」
突然悠翔が発したぶっ飛んだ提案に、フランは素っ頓狂な声を出す。
フラン(狂)「どうしてそうなるの!?というか、そんなことしたら、お兄さんの意識が私になって、暴走しちゃうかもしれないんだよ!?」
悠翔「いや、きっと大丈夫だよ。」
フラン(狂)「なんで言い切れるの!?」
悠翔「……フラン、知ってる?創造にはさ、破壊が必要なことだってあるんだよ。」
フラン(狂)「え?」
悠翔「例えば、家を作りかえる時とか、一度住んでいた家を壊して、新しいものに作り変えたりするんだ。」
フラン(狂)「……それが何?」
話の流れが見えないフランは、怪訝な顔をしてそう聞く。
悠翔「つまりさ……俺の力とフランの力はバランスがとれて、フランが俺を暴走させることはないんじゃないかなって。」
フラン(狂)「…………!!」
悠翔「仮に暴走することがあったとしても……君が暴走しない何かを、俺が作ればいい。……それにさ、俺ここに来て、まだ1週間も経ってないんだ。だから戦い方とかまだあんまり分かってない。だから、それをフランがサポートしてくれないかなって。」
フラン(狂)「私が……お兄さんを助けるってこと?」
悠翔「そういうこと。……俺は君を必要としてる。だからさ……。」
悠翔は一呼吸おいて、その言葉を告げる。
悠翔「俺と一緒に来て、フラン。」
その言葉を聞いたフランは、その瞳から涙を流す。
フラン(狂)「私……誰にも必要とされてないって思ってた……。……でも、お兄さんが私のことを必要としてくれてる……!……私、お兄さんと行くよ!私が力を貸してあげる!」
悠翔「……ありがとう、フラン。」
フラン(狂)「ねぇ、お兄さん。その……名前を教えてくれない?」
悠翔「星月悠翔だよ。」
フラン(狂)「ねぇ悠翔!お願いがあるの!」
悠翔「いいよ、何?」
フラン(狂)「私に、名前をつけて!」
その言葉を聞いた瞬間、悠翔の思考が数秒間フリーズした。
悠翔「……え?でも君にはフランっていう名前が……。」
フラン(狂)「それじゃあもう1人の私と同じだもん!お願い!」
悠翔「えぇ〜?ん〜、じゃあ……。」
悠翔はフランに名付ける新しい名前をしばらくの間考える。そして、
悠翔「……『ルネ』ってどうかな?月っていう意味がある言葉なんだけど……。」
ルネ「…………!!うん、それがいい!じゃあ、これから私はルネだよ!よろしく、悠翔!」
悠翔「よろしくね、ルネ。」
そうして、2人は握手を交わす。すると、ルネが光の玉となって悠翔の心の中に入っていった。それと同時に、悠翔の意識は現実世界に帰っていった__。
続く
やっとこいしの名前を出せた……。ずっとついてきてはいたんですけどね。こいしの声が悠翔に届いた理由は後々分かると思います。さとりのハートを掴むっていうのは……まぁそういうことです()
悠翔も能力に覚醒!かなりチートだよねこれ……。
フランと狂気の方のフランは別々の人格という設定です。そして狂気の方のフランが実質オリキャラになるという……どうしてこうなった。(なんか人によっては嫌がられるかなこれ……。)
次回、紅霧異変解決です。ちゃんとレミリアも出します。