前回の話ちゃんと読んでないと唐突に出てくるルネが誰か分からなくなりそう……かな?
お気に入り登録者が増えてました……!!みっさんさん、ありがとうございます!
フランの心の中から戻り、目を開ける悠翔。その隣には、まだ気絶しているフランの姿があった。
悠翔「戻ってこれたか……。」
ルネ《戻れてなかったらびっくりだよ……。》
悠翔「(ルネの声?こんな感じに聞こえるんだね。)」
ルネ《そうだよ!改めて、これからもよろしくね、悠翔!》
悠翔「(あぁ、よろしく。)」
ルネとの会話を済ませ、悠翔はフランの方を向く。
悠翔「(……フランのこと、どうしよう?運んだ方がいいかな?)」
ルネ《その必要はないと思うよ。》
悠翔「(え?)」
ルネの言葉の意味が理解できず、悠翔が首をかしげたその時、突然フランの姿が消えたのである。
悠翔「えっ、消えた!?」
ルネ《咲夜が連れていったんだと思うよ。咲夜は確か……『時間を操る程度の能力』を持ってるから。》
悠翔「(つまり、その咲夜さんが時間を止めて、フランを連れていったってことか。)」
フランが急に消えたカラクリに納得した悠翔は、さとりのことを探す。しばらく歩くと、少し先で霊夢と魔理沙の2人と話すさとりの姿があった。
悠翔「(霊夢と魔理沙がいるってことは……元凶のレミリアって人を倒したのかな?)」
ルネ《あの人たち、お姉様より強いんだ……!》
悠翔「(なんか目を輝かせてる感じが伝わってきたよ……。)」
ルネとそんな話をしながら、悠翔はさとりたちの方へ歩いていく。
魔理沙「お〜い悠翔ー!!こっちだー!!」
悠翔「そんな大きい声出さなくても分かってるよ!」
悠翔の姿に気づいた魔理沙が、大声で悠翔のことを呼ぶ。それに悠翔は苦笑いしながら返事を返し、3人と合流する。
霊夢「聞いたわよ悠翔。あんた、能力が目覚めて、レミリアの妹に勝ったんでしょ?」
悠翔「1回負けたけどね……。」
魔理沙「謙遜すんなって!戦い方覚えてまだ1日だろ?大金星じゃねぇか!」
ルネ《……それであれだけ戦えてたの?》
悠翔「(まぁ能力に目覚めたおかげっていうのが1番の理由だけどね。)」
さとり「そういえば悠翔さん、いくつか聞きたいことがあるんですが?」
悠翔「え?何?(能力についてかな?)」
さとりにそう言われ、悠翔は自分の能力についての質問かなと考える。
さとり「違いますよ。(まぁそれも気になりますが……。)まず1つ目は……フランさんの狂気はどうなったんですか?」
悠翔「あぁ、ルネのことか。今は俺の心の中にいるよ。心配しなくても、暴走する危険はないから大丈夫。」
さとり「本当に大丈夫なんですか……?というか、ルネ……?」
悠翔「狂気の方のフランの新しい名前。だってフランはもう1人いるんだし、紛らわしくなっちゃうでしょ?」
さとり「な、なるほど……。」
ルネについての説明を聞き、まだどこか納得していない様子を見せるさとり。
さとり「……まぁそこは一旦置いておきましょう。2つ目です。どうしてあの時、私と同じスペルカードが使えたんですか?」
悠翔「それは簡単だよ。俺の能力で、さとりの能力を作ったんだよ。」
3人「「「能力を作った!?」」」
霊夢「その力……かなり規格外ね……。(さとりから悠翔が目覚めた能力は『ありとあらゆるものを創る程度の能力』だと聞いているけど……お金も作れたりするのかしら……?)」
さとり「(霊夢さん……何を考えてるんですか……。)」
悠翔の力が規格外であることを認識するとともに、お金を作れないかと考える霊夢。その考えを読んださとりは、呆れながらそう心の中でツッコんでいた。
さとり「それでは、最後の質問です。個人的にはこれが1番重要なことです。」
悠翔「1番重要……!?」
悠翔はゴクリと息を呑んで次の言葉を待つ。
さとり「それはですね……どうして急に私の名前を呼び捨てで呼んだんですか?」
悠翔「(それ1番重要なの!?)いやそれは……さとりさんの妹だっていうこいしからそう言われたっていうか……。」
さとり「それが1番重要なんです……ってこいし!?こいしがここに来てるんですか!?」
悠翔「うわびっくりした!?」
さとりはここに妹のこいしが来ているということを知り、悠翔に詰め寄って肩をガシッと掴む。
魔理沙「こいし?妹とか言ってるけど、さとりの妹なのか?」
さとり「はい。こいしは『無意識を操る程度の能力』を持っていて、普通なら存在を認識することもできないんです……。」
悠翔「俺の場合は……こいしの助けを求める声が聞こえたんだよな……。それで半分認識できたってところかな。」
霊夢「……そのこいしって子の心からの願いが、自分の能力を少しだけ打ち破ったのかもしれないわね。」
悠翔「あと完全に認識することができたのは、もしかしたらこいしの能力で無意識に俺が能力を使ってたのかも。それでこいしの存在を認識する力を作ったんだと思う。……とりあえずそんな感じだから、さとりは手を離してくれない?そろそろ痛くなってきた……。」
さとり「あっ!?ごめんなさい!!」
さとりは自分がずっと悠翔の肩を掴んでいて、話が進んでいくごとに掴む力が増していたことに気づかず、悠翔に言われて慌てて手を離した。
悠翔「ていうか……すぐ近くにいるんじゃないの?こいし。」
こいし『気づいてたの〜?まぁいいや。じゃあ、悠翔。もう1回私の手を握ってくれる?』
悠翔「あぁ。」
悠翔は先ほどこいしの姿を見ていたので、どこにこいしがいるのかが分かっていた。そして悠翔はこいしに言われた通りにこいしの手を掴む。すると、こいしの姿が明瞭になる。
さとり「こいしっ!!」
こいし「お姉ちゃ〜ん!!」
久しぶりの再会を果たした2人はお互いに駆け寄って抱きつく。それを見た悠翔は姉妹の時間を邪魔してはいけないと霊夢と魔理沙に話しかける。
悠翔「ところで2人とも、異変は解決したってことでいいの?」
魔理沙「あぁ。もうすぐ霧が晴れてくるはずだぜ。」
魔理沙がそう言った瞬間、空を覆っていた赤い霧が消え、オレンジ色の空が現れた。
悠翔「もう夕方だったのか……。……とりあえず、これで異変解決だね。そういえば、2人はどんな戦いをしてたんだ?」
霊夢「私はまず、あの咲夜ってメイドを倒して、それから元凶のレミリアと戦ったわ。その途中で魔理沙も来たのよね。」
魔理沙「私はあの図書館でパチュリーっていう魔法使いと戦っててな……。戦いが終わったら2人がいなくなってて、先に元凶のもとに向かったんじゃないかって早とちりしちまったんだよな……。」
2人に詳しい話を聞くとこんな感じだったそうだ__。
霊夢「はぁ……結構しぶといわね……!」
レミリア「当たり前じゃない……私だって負けられないのよ!」
2人が戦い始めてからどれだけの時間が経ったのだろうか。弾幕を撃ち合い、避け続け、そんなことを繰り返して、2人の息がだいぶ上がっていた。
レミリア「紅符『スカーレットシュート』!!」
レミリアがスペルカードを使い、中・小の弾幕を纏わせた大弾をいくつも放ってくる。霊夢はそれが自分を狙って一直線に飛んでくることに気づき、弾幕を左右に動いて避ける。
レミリア「ちょこまかと……!」
魔理沙『今だっ!!『マスタースパーク』!!』
レミリア「ッ……!?」
スペルカードの弾幕が当たらず、イライラするレミリア。そこに突然、箒に乗って飛んできた魔理沙がミニ八卦炉から極太レーザーを発射し、紅魔館の壁ごとレミリアを外に吹き飛ばした。
霊夢「魔理沙!?遅いわよ!」
魔理沙「悪い悪い、
霊夢「来てないわよ。むしろ、あんたと一緒にいると思ってたんだけど?」
魔理沙「げっ、じゃあ早とちりだったのか……。大丈夫かなあの2人……。」
霊夢「まぁさとりがいるから大丈夫でしょ。私たちはあいつを倒すわよ。」
魔理沙「よし!行くか!」
霊夢と魔理沙は吹き飛んだレミリアを追って外に出る。……ちなみにこの時、悠翔が覚醒して、さとりと共にフランと戦っていた。
レミリア「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
霊夢「くっ!?」
魔理沙「あぶねっ!?」
外に出たタイミングで、2人のもとに赤い槍が飛んできた。それを2人はギリギリでかわす。
レミリア「(また避けられた……!2人に増えて数的不利……ここで決めるしかない!)天罰『スターオブダビデ』!!」
魔理沙「またスペルカードかよ!魔符『ミルキーウェイ』!!」
レミリアがスペルカードを発動し、放たれるレーザーと弾幕を、魔理沙もスペルカードを発動して螺旋状に星形の弾幕を放って弾幕を相殺していく。その後も弾幕やスペルカードの応酬で戦いは続く。勝敗を分けたのは……レミリアが作ってしまった隙だった。
レミリア「はぁぁぁぁぁ!!(このまま押し切れば……!……はっ!?)」
弾幕を放ち続け、2人を押し切ろうとするレミリアだったが、その2人の後ろの方で、とある光景が見えていた。……悠翔とさとりのスペルカードを食らい、落下していくフランの姿だった。
レミリア「フラn「そこだぜ!全力『マスタースパーク』!!」ッ……!?」
レミリアは魔理沙のマスタースパークに気づいて横に動いて避ける。
レミリア「(危なかった……!もう1度グングニルで……!)」
そして、グングニルのスペルカードを発動しようとしたその時、
霊夢「夢符『封魔陣』。」
レミリア「何!?結界!?」
一瞬の隙をついた霊夢がスペルカードを発動させ、レミリアの周囲に結界を展開させた。レミリアは弾幕を撃って結界を破壊しようとするが、かなり頑丈なものらしく、傷一つついている様子がなかった。
霊夢「油断したわね、レミリア。これで終わりよ!霊符『夢想封印』!!」
霊夢は懐からお札を取り出し、再びスペルカードを使用する。霊夢の周りに色とりどりの弾幕が出現し、結界で動けないレミリアに向かっていく。
レミリア「(……フラン……!!)」
レミリアが気絶するまでに考えていたことは、妹のフランのことだった__。
悠翔「つまり……俺たちが戦ってなかったら隙が見つからなかったってこと?」
霊夢「絶対とは言い切らないけど、そういうことね。本当にしぶとかったわ、あいつ。」
さとり「それで、レミリアさんという人はどこに?」
悠翔「さとり?いつから聞いてたの?」
さとり「外で戦い始めたってところですね。」
話を聞くのに夢中になって、途中からさとりも聞いていたことに悠翔は気づいていなかった。
魔理沙「あいつらは確か……館の中で休んでるんじゃなかったか?」
悠翔「それなら中に入らない?ちょっと話したいこともあるし。」
霊夢「その必要はないわよ。」
悠翔「え?なんで?」
紅魔館の中に入ろうという悠翔の提案に対し、霊夢が必要ないと言う。
霊夢「それはねぇ……異変を解決した後には宴会があるからよ!」
悠翔「宴会?それとこれになんの関係が……。」
霊夢「異変を起こしたやつらも普通に参加するのよ。なんなら主催者になることだってあるわ。」
悠翔「やっぱとんでもないな幻想郷!?」
まさか敵だった人まで普通に宴会に参加するとは思わず、何回目か分からないツッコミをする。
霊夢「だから、あんたらは1回帰りなさい。体を休めて、それから宴に参加するように。」
悠翔「フランのことも気になるけど……しょうがないか。さとり、こいし、行こう。」
さとり「はい。」
こいし「うん!」
霊夢の言うことを素直に聞き、悠翔はさとりとこいしと共に、地霊殿へ向かって飛び立つのだった。
……地霊殿に繋がるゲートのようなものを作ればいいと気づいたのは、それから数分後のことだった__。
異変解決から3日が経った。悠翔とさとりは、異変で疲れ切った体を回復させ、いつものような生活に戻っていた。変わったことといえば……。
こいし「えへへ〜。」
さとり「ふふっ。」
楽しそうに過ごすさとりとこいしの姿を見るようになったことだ。こいしの腕には、何か腕輪のようなものがつけられている。これは、悠翔が作った腕輪で、能力の使用を制限するものだ。これをつけることで、こいしを認識することが簡単になっている。(なお、こいしが能力の使用を願えば、普通に能力が発動するようになっている。)
悠翔「さとり、幸せそうだな……。」
お燐「な〜に傍観者気取ってるの?」ニュッ
悠翔「ヴェッ!?あ、なんだお燐か……。」
お燐「なんだって何さ……。」
ちょっと傷ついたように唇を尖らせるお燐。
悠翔「で、どうかしたの?」
お燐「あ、そうだった。紅魔館から招待状が届いたよ。」
悠翔「もう来たの?さとりー!こいしー!招待状が来たよー!」
こいし「ほんとー?」
さとり「悠翔さんは嘘はつきませんよ……多分。」
悠翔「(そこは言い切って欲しかったけど、絶対つかないとは言い切れないな……。)」
さとり「(お願いですからやめてくださいね?)」
お燐から渡された招待状を、悠翔はさとりとこいしにも渡す。
さとり「主催者がレミリアさんなんですね……てっきり宴会自体は霊夢さんが開くものかと……。場所は紅魔館みたいです。」
悠翔「じゃあ紅魔館までゲートを開けばいいのか。」
さとり「……ゲートがあれば、もう動く必要はないかもしれませんね。」
悠翔「そこはちゃんと運動しようよ……。ところで、お燐とお空は来るの?」
お燐「あたいらは地霊殿を守らないといけないからね。お土産だけお願いするよ。」
悠翔「分かった。魚料理でもあったら持って帰ってくるよ。」
ガッツポーズをとるお燐を横目に、悠翔は紅魔館に繋がるゲートを作り出す。
さとり「それじゃあ、地霊殿のことは頼むわね、お燐。」
お燐「お任せください!」
そうして、悠翔たち3人はゲートの中に入っていった__。
ゲートの出口は紅魔館の門の前にしてあったので、ゲートを出ると、そこには異変の時寝ていた門番が立っていた。
??「うわびっくりした!?あなたたちは……?」
悠翔「招待客の星月悠翔です。これ、招待状です。」
??「あ、どうも……って星月悠翔?妹様を倒したっていう……ということはお隣にいるのは……覚妖怪のさとりさんに妹のこいしさんですね!どうぞお通りください!」
悠翔「ありがとうございます。」
美鈴「あ、そういえば名乗ってませんでしたね。門番の『紅美鈴』といいます!よろしくお願いします!」
悠翔「よろしくお願いします、美鈴さん。」
美鈴に挨拶を済ませ、悠翔たちは紅魔館の中に入る。
咲夜「お待ちしていました、星月悠翔様。」
悠翔「へ?(誰だこのメイドさん……?)」
ルネ《その人が咲夜だよ!》
悠翔「(この人が……。)」
紅魔館に入って目の前にいたメイド……咲夜にそう言われ、悠翔は素っ頓狂な声を出す。咲夜の姿を知らない悠翔は誰なのかと首をかしげるが、ルネが咲夜だということを教えてくれた。
悠翔「えっと……俺だけなんですか?さとりとこいしは?」
咲夜「もちろんお2人も歓迎しておりますが、悠翔様には個別で御用があるんです。」
こいし「よかった〜、歓迎されてないわけじゃなかったんだね。」
咲夜「不安な気持ちにさせてしまい、申し訳ありません……。」
咲夜はさとりとこいしに向けて頭を下げる。
さとり「別に構いませんよ。心を読みましたが、そんなことは考えていませんでしたし。」
咲夜「……流石ですね。」
悠翔「それで咲夜さん、俺に用っていうのは?」
咲夜「それはですね、妹様……フラン様に会っていただきたいというものです。」
悠翔「それなら問題ないですよ。俺もフランに話があったので。」
咲夜「そうでしたか……。分かりました、ご案内します。」
悠翔は咲夜についていき、フランがいるという部屋に向かう。
咲夜「悠翔様、ありがとうございます。妹様を救ってくださって……。」
悠翔「俺はフランを気絶させただけですよ?」
咲夜「いえ、それだけではないはずです。フラン様がおっしゃっていたんです。『狂気がいなくなった。』と。妹様を連れていく少し前、妹様の隣にはあなたがいました。つまり、あなたが妹様の狂気を消してくださったのですよね?」
悠翔「……消したって言い方はダメだよ。そもそもフランの狂気は、今俺の中にいる。……その子は言ってたよ。自分が邪魔者扱いされてたって。」
咲夜「ッ……!?(悠翔様の心の中に妹様の狂気がいるということにも驚きましたが……私たちのせいで狂気の方の妹様が苦しんでいたとは……。……本当、この人は頭が上がりませんね。)……失礼なことを言いました、お許しください。」
悠翔「こっちこそごめんなさい。咲夜さんを責めるようなことを言ってしまって……。」
咲夜「いえ、大丈夫です。それと改めて、ありがとうございます。……それと悠翔様、私に対して敬語を使う必要はございません。どのように話していただいても結構です。」
悠翔「いいんですか?じゃあ……これでいいかな、咲夜さん。」
咲夜「ええ、それで良いですよ。」
そして2人は、フランの部屋に到着した。咲夜が前に出て、部屋のドアをノックする。
咲夜「妹様、悠翔様をお呼びしました。」
フラン『入っていいよ。』
咲夜「悠翔様。私はお嬢様に先程の話をお伝えしに行きますので、ここからはお一人でお願いします。」
悠翔「うん、分かった。」
すると、咲夜が姿を消す。おそらく、能力を使って時間を止めた間にレミリアの部屋に向かったのだろう。悠翔は部屋のドアを開けて中に入る。そこには、ベッドに座るフランの姿があった。
フラン「来てくれたんだ、悠翔。」
悠翔「あぁ。俺もフランと話したいこともあったし。」
そう言うと、悠翔はフランの隣に座る。
フラン「その……悠翔!ごめんなさい!私、悠翔のこといっぱい傷つけちゃった……!」
フランは悠翔に向かって頭を下げてくる。
悠翔「もう過ぎたことだし、気にしなくていいよ。その代わり、後でさとりにも謝っておいてね?」
フラン「うん。それで悠翔。聞きたいことがあるんだけど……私の中の狂気はどうなったの?」
悠翔「それなら俺の中にいるよ。ルネっていう名前になって。」
フラン「そうなんだ……。……ルネは暴走したりしないの?」
悠翔「全然しないよ。特訓の時とかにアドバイスをくれたりするんだ。」
フラン「良かった……。……ねぇ、ルネと話すことってできる?」
悠翔「どうなんだろう?《体を貸してくれれば話せるよ。》……話せるって。ちょっと待ってね。」
そう言って悠翔は目をつぶる。……そして目を開けたかと思うと、黒かった目が真っ赤に染まっていた。
悠翔(ルネ)「初めまして、かな?フラン。」
話し出した悠翔……いや、ルネの声は、フランの声とまったく同じだった。
フラン「あなたが、私の中にいた狂気なの?」
ルネ「うん。今はルネって名前だけどね。」
フラン「……ねぇルネ。あなたは、本当にもう暴れたりしないの?」
ルネ「そうだよ。悠翔が私を必要としてくれた。悠翔の役に立ちたいって思えるから、暴走しないでいられるんだと思う。……フラン。私はもうあなたの中にいないから、もうあなたが他の人に迷惑をかけることはないと思うよ。その……イタズラとかしたら分からないけどね。」
フラン「あははっ、そうだね。」
ルネ「……私のせいで、フランにはいっぱい迷惑をかけちゃったけど、これからは自分の生きたいように生きるんだよ。」
フラン「うん。ありがとう。」
そして、ルネは目をつぶり、意識を悠翔のものに戻した。悠翔の目は、ちゃんと黒色に戻っていた。
悠翔「……どうだった?」
フラン「……私の中にいた狂気だって思えないくらい、優しい子だったよ。悠翔があの子を助けてくれたんだよね。……ありがとう。」
悠翔「どういたしまして。……さてと、そろそろ宴会が始まるんじゃない?」
フラン「あっ、そうかも!行こう、悠翔!」
悠翔「ちょっ、引っ張るなって!?」
悠翔はフランに引っ張られて、宴会が行われるホールへ向かった__。
レミリア「乾杯っ!!」
みんな「「「かんぱーい!!」」」
悠翔「(いやなんでみんな酒を飲んでるんだよ!?霊夢とか魔理沙とか、どう見ても未成年のやつ多いだろ!?)」
レミリアが乾杯の音頭をとり、パーティーに招待された全員がグラスをコツンと合わせる。……そんな中、悠翔だけが、この場にいる全員がお酒を飲んでいることに(宴会の雰囲気を壊さないよう)心の中でツッコんでいた。
ルネ《気にしたら負けだよ〜。ここじゃあ悠翔の常識は通用しないからね!》
悠翔「まじかよ幻想郷……。」
さとり「あはは……。私も正直びっくりしてますよ……。」
悠翔「さとりも普通に飲んでるもんね……俺は未成年だから飲めないけど……。」
さとり「そういえば、どうしてお酒を飲まないんですか?そもそも、さっきから言っている未成年ってなんなんですか?」
悠翔「……それについて話す必要があるか。」
悠翔はさとりに手招きをして、近くにあった椅子に座る。
悠翔「俺さ、ちょっとだけ記憶が戻ったんだ。」
さとり「記憶が!?じゃあさっき言っていたことは……!」
悠翔「あぁ。俺がいた世界の決まりだよ。未成年っていうのは、まだ20歳になってない人のことを言うんだ。(……今は18歳から成人なんだっけ。お酒を飲めるのは変わらず20歳からだけど。)それはともかく……俺はやっぱり、外来人みたいだ。」
さとり「でも、どうしてそれを思い出せたんですか?」
悠翔は、狂気に呑まれたフラン(ルネ)に気絶させられた時、真っ暗な空間で忘れていた記憶の1つ……自分の名前の由来についての話を聞き、記憶を少し取り戻したことを話した。そして、父親と話したことで、能力に目覚めたことも話した。
悠翔「でもあくまでそれだけ。元々何をしていたのか、どうやってここに来たのか、なんてことはまったく分からない。」
さとり「そうですか……。その、寂しくありませんか?家族のことを思い出して。」
悠翔「……確かにちょっとだけ寂しいよ。でも……今はさとりたちがいる。だから大丈夫。」
それを聞いたさとりはふわっと笑う。その場が穏やかな空気が包まれ……。
魔理沙「おい!なんでそんなところにいるんだよ〜!こっちに来て飲めよ〜!!」
悠翔「だから言ってるだろ!?俺はお酒飲めないの!」
魔理沙「なんだって〜!?私のお酒が飲めないっていうのか〜!?」
悠翔「いや別にお酒注がれてないしって飲ませようとしてくるなよ!?」
そのままワーワーギャーギャーと取っ組み合いを始める悠翔と魔理沙を見て、さとりはまた、楽しそうに笑うのだった__。
悠翔「危なかった……。」
魔理沙からの酒の押し付けを回避し、離れた場所で悠翔はホッと息をつく。
??「災難だったわね、酔った魔理沙に絡まれるなんて。」
悠翔「ほんとですよ……。助けてくれてありがとうございます、『アリス』さん。」
魔理沙から逃れるために手を貸してくれた、金髪で金の瞳の少女、『アリス・マーガトロイド』。魔理沙と同じく魔法使いで、人形を使役する魔法を得意としている『人形遣い』だ。
アリス「あの状態の魔理沙は面倒だから……。」
悠翔「違いないですよ本当に……。」
2人で同時にため息をつく。実際、助けに来たアリスも魔理沙に無理やり酒を飲まされそうになったのである。
アリス「なんでこうも酔っ払いが多いのかしらね……。」
悠翔「宴会で気分が盛り上がってるとしか言いようがn『あやややややや〜!!』うわっ、何!?」
??「あなたが噂の、最近幻想入りしたという人間ですね!」
悠翔に勢いよく近づいてきたのは、黒髪の少女。黒いミニスカートに白の半袖シャツを身につけ、底が一本歯の下駄のようになった赤い靴を履き、頭に赤い山伏風の帽子を被っている。
悠翔「(幻想入りって確か……幻想郷に外の世界から入ってくることを言うんだっけ。)そうですけど……あなたは?」
文「清く正しい『射命丸文』です!『文々。新聞』を作っているジャーナリストですよ!」
悠翔「新聞記者ってことか。」
アリス「付け足すと、文は『妖怪の山』に住む妖怪で、『鴉天狗』っていうのよ。……それと、文の作る新聞は捏造の記事が多いわ。」
悠翔「あっ、天狗なんだ……って、はい?」
悠翔に近寄ってきた少女、文。鴉天狗の新聞記者で、『文々。新聞』を作っている。……が、その内容は捏造のものが多いとアリスから聞いた時、悠翔は耳を疑った。
悠翔「……新聞って、色んな人が知るべき情報を知るためのメディアじゃなかったっけ?」
文「失礼な!私は事実を面白おかしく伝えているんですよ!」
悠翔「……アリスさんって魔法使いでしたよね?炎を出す魔法とかありませんか?あの人焼き鳥にした方がいいと思うんですよね。」
アリス「私は人形を使役する魔法を主に使うから、そういうのはパチュリーに頼んだ方がいいわ。」
悠翔「パチュリーさんって確か……紅魔館に住んでる魔法使いの人でしたよね。その人に頼んだ方がいいんですかね……?」
文「(や、焼き鳥……!?いや私鴉だから焼き鴉なんじゃ……ってそんなこと言ってる場合じゃないですね!ここは逃げましょう!)」
2人の会話から命の危機を感じた文は、身を守るために悠翔に近寄った時と同じくらいのスピードでどこかへ逃げていった。
悠翔「あっ、逃げた……。」
アリス「はぁ……いい加減ちゃんとした記事を書けばいいのn「あ!見つけたぜ悠翔!大人しく飲め〜!!」げっ、悠翔逃げて!」
悠翔「やっべ!?魔理沙まだ諦めてなかったのかよ!?」
文に対して呆れていた2人のところに、魔理沙が再び迫ってきていたため、アリスは悠翔を逃し、1人で魔理沙と対峙した。……なおその数分後、魔理沙に酔わされてしまうのだった__。
悠翔「……執念が凄すぎるよ……。」
レミリア「探したわよ、星月悠翔。」
魔理沙から(アリスの犠牲もあって)逃げ切り、息を整えている悠翔のもとに、レミリアが近寄ってきた。後ろには咲夜の姿もある。
悠翔「レミリアさん……ですよね?」
レミリア「えぇ。紅魔館の主でフランの姉のレミリア・スカーレットよ。悠翔、今回はフランと……狂気の子を救ってくれてありがとう。」
悠翔「いえいえ、俺がやりたくてやったことですから。」
レミリア「……優しいのね。」
そのまま沈黙の時間が続く。
レミリア「……私、間違ってたわ。ちゃんと、狂気の方のフラン……今はルネだったかしら?とにかく、その子とちゃんと向き合うべきだった……。姉として、不甲斐なかったわ。」
悠翔「……それなら、これからはちゃんと、フランと一緒に過ごしてあげてくださいね。」
レミリア「当然よ。……悠翔。あなたの心の中にいるルネに伝えてくれない?『今までごめんなさい。そして、愛しているわ。』って。」
ルネ《お姉様……!……大丈夫、ちゃんと伝わってるよ……私も愛してるよ……!》
レミリア「!!(聞こえた……ルネの声が……!)ふふっ、伝言の必要は無くなっちゃったわね。」
悠翔「え?」
レミリアは確かに、自分に対するルネの言葉を聞いた。そしてレミリアは微笑むが、悠翔はどういうことなのか分かっていなかった。
レミリア「さてと、湿っぽいのは終わり!飲みましょう!咲夜!」
咲夜「既にご用意しています。」
レミリアが声をかけた瞬間、咲夜が手にワインボトルとグラスが入ったトレイを持ってくる。
レミリア「悠翔、あなたも付き合いなさい。」
悠翔「あぁいや、俺は元の世界だと未成年なので……。」
レミリア「
悠翔「えぇ……?」
咲夜「お嬢様……押し付けるのはよろしくないかと……。」
レミリアにそんなことを言われるが、やはりまだ抵抗がある悠翔。そんな悠翔に、咲夜が助け舟を出す。と、
さとり「悠翔さ〜ん……。」フラフラ
悠翔「あれっ、さとり?どうかしたの?(あれ、なんかフラフラしてる……。)」
さとりがちょっとフラフラしながらこちらに寄ってくる。悠翔が心配して近寄ると、
さとり「ゆうとさ〜ん!」
悠翔「ちょっ!?なんで急に抱きつくのってうわっ!?」
何故かさとりが悠翔に勢いよく抱きついてきた。その勢いに悠翔は耐えきれず倒れてしまう。
悠翔「いってて……。ほんとにどうしたの……?」
さとり「どうもしてませんよ〜?」
悠翔「いや絶対どうかしてるって!酔ってるでしょ!?」
レミリア「あら、もしかして2人はそういう仲だったのかしら?だとしたらさとりに悪いことをしたわね。」
悠翔「どういう仲ですか!?てか笑ってないで助けてくださいよ!?」
さとり「ゆうとさ〜ん……?」ガシッ
悠翔「むぎゅっ!?!?」
明らかに酔っているさとりに戸惑う悠翔。それを見て面白そうに笑っているレミリアに助けを求めるが、そこでさとりが悠翔の顔を掴んで自分の顔の前まで持ってくる。
さとり「な〜にほかのおんなのことはなしてるんですかー!わたしがいるのに〜!!」
悠翔「いやなんで話しちゃダメなの!?」
レミリア「乙女心は難しいのよ。」
ルネ《……悠翔って鈍感なのかな……?》
悠翔「そういうものなんですか……!?」
さとり「……だ〜か〜ら〜!!」
悠翔「ちょっ!?」
レミリアの方に顔を向けてしまった悠翔は、その顔をさとりに無理やり戻されてしまう。
さとり「なんですか?レミリアさんのほうがいいんですか!?わたしにはみりょくがないっていうんですか〜!?」
悠翔「いやさとりにも魅力はあるって!(顔すごく可愛いし!)」
さとり「そんな、かわいいだなんて……///。えへへ……///。」
悠翔「酔ってても能力使えるの!?てかいい加減誰か助けてよ!?」
周りに必死に助けを求めるが、
みんな「「「…………。」」」グッ
悠翔「(プチッ)サムズアップしてんじゃねぇぇぇぇ!!」
こいし・フラン「「悠翔がキレた!?」」
周りが誰一人として助けに来てくれず、サムズアップをしているだけだったので、悠翔はついにキレて口調が荒くなる。ちなみにこいしとフランは悠翔を助けようとはしているのだが、近くの酔っ払いどもに妨害されており、それができていなかった。
悠翔「ああもう!さとりもそろそろ離れて!」
さとり「……ゆうとさんは……ゆうとはわたしのことすきですか?」
悠翔「へ?それはまぁ、家族として好きだよ。」
さとり「……そーですか、わたしはただのかぞくにしかみえないんですね!?」
悠翔「ただの家族って……?」
さとり「そんなことかんがえるなら……わたしのほんきをうけとってください!!」
そう言って、さとりはだんだん顔を近づけてくる。今何をされかけているのか、今までのさとりの行動の意味が分からなかった悠翔でも分かっていた。
悠翔「さとり!?流石にそれ(キス)はダメだって!?」
さとり「やめません!わたしはほんきですよ!」
悠翔「俺なんかにそんなことしないでっ!!」
さとり「……『おれなんか』じゃないです……ゆうとだからするんですよ……。」
悠翔「……それって……?(ってしまった!?止められない!!)」
さとりのそんな言葉を聞いて、悠翔はその意味を考える。だが、今その意味を考えてしまったせいで、近づいてくるさとりの顔を止めることができなかった。そしてキスをされる……と思ったところで、さとりの顔が止まった。悠翔が恐る恐るさとりの顔を見ると……顔を赤らめながらも、目に理性が戻っていた。
悠翔「もしかして……酔いが覚めたのか!さとり!一旦はなr「うわぁぁぁぁ///!?」ゲフッ!?」
さとり「わ、私、今……///!!」
自分が悠翔を押し倒していたことに気づいたさとりは、慌てて悠翔を突き飛ばして離れ、自分がやってしまった行為を振り返る。そして後ろを向いてどこかへ走っていってしまった。
悠翔「さとり!?」
それを見た悠翔は、慌ててさとりを追いかけるのだった__。
さとり「(私……なんであんなことを……!?)」
さとりはひたすら走りながら、心の中で自分がどうしてあんなことをしてしまったのかを考えていた。悠翔を押し倒し、キスをしようとしていた理由を。
さとり「(まさか私……本当に……!?)っあ!?」
その理由の答えが出ようとしたその時、さとりは床につまづいて転びかけてしまう。思わずギュッと目をつぶる……が、いつまで経っても痛みが来ないため、さとりは目を開ける。どうやら、自分は床スレスレで動きが止まっているようだった。そして、ゆっくりと体が勝手に動き、転ぶ前の状態まで戻った。
悠翔「危なかった……。……さとり、なんで逃げるの?」
さとり「悠翔……さん……。」
そこには、自分に向けて手をかざしている悠翔の姿があった。おそらく、悠翔の能力で何かをして転ぶのを防いだのだろう。
さとり「……先ほど迷惑をかけたのが申し訳なかったのと……単に恥ずかしかったからです……。」
悠翔「別にさっきのは未遂で終わったから俺は気にしないよ。恥ずかしいのは……どうにもならないけど。」
さとり「(本当……優しすぎますよ……。)……悠翔さん。」
悠翔「何?」
さとり「私はきっと、あなたに甘えてたんだと思います。……心を読む能力のせいで嫌われてきた私に対して、こんなに優しく接してくれる人は……悠翔さんが初めてなんです。」
初めて会った日から、悠翔はさとりの能力を嫌がったりしている様子はなかった。それが、さとりにとって一筋の光だった。
さとり「さっきのも、そんな甘えたい気持ちが爆発しちゃったんだと思います。……我ながら情けないというか……。」
悠翔「……別にさ、甘えちゃいけないなんて誰も決めてないよ。甘えたいなら、素直にそうしちゃえばいいと思う。」
さとり「あ……。……なら、少しだけ甘えてもいいですか?」
悠翔「いいよ。」
さとりは悠翔にゆっくりと抱きつく。
さとり「頭……撫でてください……。」
悠翔「分かった。」
悠翔は優しく、さとりの頭を撫でる。
さとり「(あぁ……好きだなぁ……。……やっぱり私、悠翔さんのことが好き。……でも私は妖怪で、悠翔さんは人間。……もしかしたら、すぐに別れる時が来てしまうかもしれない。でも、今だけは……。)」
さとりは自分の思いに気付きながらも、種族の違いですぐに別れてしまう可能性を考える。それでも今だけは、この時間が続いてほしいと思うのだった__。
続く
※宴会までの数日の間に、パチュリーとアリスは会って話をしていました。(主に互いの魔法についてと魔理沙からの被害について話して意気投合してます)
朗報:さとり様、恋心を自覚する(さとり様ガチ恋勢の方からしたら悲報とする)
この小説のさとり様は酔っ払うと家族や信頼している人にくっついてきます。絡み酒ですね。
レミリアが地底に招待状をどうやって届けたか、ということに関しては、使い魔に手紙を届けさせた、ということにしています。