魔法少女ノ運命裁判   作:寝心地

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ヒロとエミヤ

「過去の英雄を従える儀式、か」

 

「ええ、面白いと思わない?」

 

「微塵も思わないが、奴らに対抗する手段としては有効かもしれないな」

 

「じゃあ、早速お願いね、やり方はここに書いておいたから」

 

マーゴに半ば押し付けられたメモに従いヒロは例の呪文を唱えた。

 

神々しい光と共に赤い外套の英霊が現れた。

 

「サーヴァント アーチャー、召喚に応じ参上した」

 

「貴方が英霊?」

 

「一応な」

 

翌朝

 

「……………………何これ?」

 

少女達が朝食の為食堂に来るとそこには前日までとは違う豪華なビュッフェが並んでいた。

 

「来たな諸君、済まないな先程惨状を見たばかりで時間も材料も無かったので簡単な物しか出来なかったが是非食べてくれ」

 

紅茶のポットを運ぶアーチャーが厨房から現れそう言う。

 

「いやいやいやいや!?全然簡単な料理に見えねぇし!!どう見ても一流レストランとかで出て来る料理じゃん!!」

 

「スッゴ〜イ!!美味しそ〜う!!」

 

「確かに見事な料理ですわ〜、見てるとお腹が…………」

 

少女達は前日までの料理と比較し我慢出来なくなったのか皿を片手に料理を取っていく。

 

数時間後

 

「ハァ〜」

 

「満足満足、ですわ〜」

 

少女達はアーチャーの食事に舌鼓を打ち幸せそうな表情を浮かべている。

 

「ヒロちゃんも良い英霊を召喚してくれたわね」

 

「狙って召喚した訳じゃないがね」

 

「お褒めに預かり光栄だよ」

 

マーゴとヒロが話しているとアーチャーが現れ2人の前にカップを置きポットに入っていた紅茶を注ぎその紅茶すらも高いクオリティを持っていた。

 


 

アーチャーの手によって牢屋敷での生活は劇的に改善された、共用スペースは完全に綺麗され少女達の部屋も劇的に改善された。

 

しかしそれで全く諍いや問題が消えたのかと問われればそうではなく特にヒロは同室であるエマにとてつもない殺意を抱きやがてそれしか考えられない様になっていた。

 

「あそこの…………いや…………凶器は…………」

 

「そんなに彼女を殺したいかね」

 

殺害計画を考えながら歩くヒロに声がかかり振り返るとそこにはアーチャーがいた。

 

「当然だろう。彼女は悪だ、彼女を排除する事こそ正しい行いだ」

 

「正しい行いか、随分と自身がある様な口振りだな」

 

「あるさ、貴方も英雄なら分かるだろう?正しい行いの為に悪を切る、正しい行いだ」

 

「そうだろうか?私の私見では君は憎しみや恨みを正当化している様に思う。果たしてそれは正しい行いだろうか?」

 

「ッ゙!!貴方に何が分かる!!」

 

「分からないとも、分かろうと思いたくもない、私は正義だの英雄だのが嫌いだ」

 

アーチャーの言葉にヒロの敵意が小さくなりかわりに疑問が生まれる。

 

「何故?」

 

「私も自分が信じる正義に邁進した、【正義の味方】に憧れそれに相応しい行いをしてきた、だがその果てに得た物は後悔だけだった」

 

「それは貴方の正義が正しく無かったからだ、私のそれは違う、もう貴方に構っている暇は無い、失礼する」

 

ヒロはそう言うとその場から逃げる様に去りその場にはアーチャーだけが残される。

 

「そうだと良いな」

 

アーチャーもそう言いココに頼まれていたコラボ配信に向かった。

 


 

それから暫く、少女達が少なくなりヒロも真実を知り完全に活気が無くなった牢屋敷、その一室にアーチャーは足を踏み入れ食事を置く。

 

ベッドの上には寝込んだヒロがいた。

 

「随分と見窄らしい姿になってしまったな」

 

「アーチャー…………放っておいてくれ…………もう、どうでも良い」

 

「君の願いは叶った、何を落ち込む事がある?今日は君の願いが叶った祝にデザートも付けたぞ?」

 

「少し静かにしてくれないか、今は人と話す気分じゃない」

 

「それは良かった、私は英霊、人の括りには入らない存在だ」

 

「………………………………」

 

「私は忠告した、君は自分の恨み辛みを正当化していると」

 

「黙れ」

 

「そんな正義の成れの果てが私であるとも忠告した」

 

「黙れ!」

 

「その結果がこれだ」

 

「黙れ!!」

 

ヒロは起き上がりアーチャーに殴り掛かるが英霊であるアーチャーにとってそんな物は痛手にもならない。

 

「分かっている!!そんな事分かっている!!でもだとしたらどうしたら良い!!全てが遅すぎた!!遅すぎたんだアーチャー!!エマは死んだ!!脱出の方法も現状では使えない!!もう手遅れなんだよ!!」

 

息を荒げながら胸中を吐露するヒロの言葉をアーチャーは黙って聞いていた。

 

「もう誰も…………逃げられない…………助からない…………意味なんて無かったんだ」

 

「本当にそうか?」

 

「え?」

 

「君は確かに間違えた、自分勝手な正義に心酔し道を踏み外しかけた、だがその全てが間違いか?」

 

アーチャーの言葉をヒロは黙って聞いている。

 

「そうでは無いはずだ、間違いに覆い隠され見えていないだけだ、間違っていない物が、そして間違いを正す方法もきっとあるはずだ」

 

まるでパズルのピースが埋まっていく様にヒロの頭の中でそれが組み上がっていく。

 

「………………………………行かなきゃ」

 

やがてヒロはそう言うと立ち上がった。

 

「最後に、貴方の名前を教えてくれるか?アーチャー」

 

ヒロがそう尋ねるとアーチャーは笑って返した。

 

「俺は英霊エミヤ、【正義の味方】の成れの果てだ」

 

そうしてヒロは自ら命を絶った。

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