「【で、この男が現れた】」
スケッチブックにそう書くアンアンの隣には筋骨隆々の赤い頭髪の男が仁王立ちで立っている。
「えっと、貴方のお名前は?」
ミリアが尋ねると男は目をカッ!!と開く。
「我は征服王イスカンダル、此度の聖杯戦争では、ライダーのクラスを得て現界した」
「聖杯戦争?」
「ライダー…………」
「聖杯戦争は分からないけれどライダーは呼び出される英霊の1種ね、特徴は…………名前の通り乗り物に関する話が多いみたいね」
マーゴが【英霊召喚の儀式】の本を見ながらそう説明する。
「イスカンダルって…………」
「イスカンダルはアレクサンドロス3世の別称よ、双角王とも呼ばれているわ」
「へぇ~、何でそんな事したんですか?」
「うむ、最果ての海、オケアノスを目指してな!!」
「と、兎に角その人がいればこの牢屋敷から出られるんだよね!?」
「かも知れませんね!!アンアンさん、早速お願いしてみて下さい」
「………………………………」
「アンアンちゃん?」
「しかし余はこの場所に些か興味があるのだが…………」
「ならば気が済むまで探索しろ」
「うむうむ、流石は余のマスターだ!!では探索と行こう!!」
イスカンダルはそう言うとズンズンと先に進んでいく。
「あ、ちょっと!!」
「そんな場合じゃねぇですわ〜!!」
「愉快な人ですね~!!」
何人かの少女達がイスカンダルの後を追いその場にはアンアンとミリアだけが残される。
「アンアンちゃん、今のは…………」
「分かっている、しかし吾輩は…………」
「じゃあ、どうして【英霊召喚の儀式】を自分がやるって言い出したの?」
「…………そうすれば英霊と言う奴の行動を制御出来る。だから名乗り出たのだ」
「アンアンちゃん…………」
それから数日後
「いやはや、この屋敷は面白いな!!」
ガッハッハッハッ!!と笑うイスカンダルをアンアンは鬱陶しそうに遠ざける。
「しかしマスターよ、余はそろそろこの島以外の場所を見てみたいと思うのだが?」
その言葉に少なからずアンアンは体を強張らせる。
「そ、そんな事しなくてもここでの生活で十分ではないか」
「何を言う、王の欲無くして発展は無い、お前とて欲の1つや2つあるだろう?」
「吾輩は満たされてはいけないのだ、外に出ればまた吾輩は…………」
「その力で他人を傀儡にしてしまう、か?」
「ッ!!知っていたのか」
「これでもサーヴァントだ、その位は分かる。そしてお前がここに行き着くまでの道筋もな、大方肉親をその術で傀儡にしてしまったと言った所だろう」
「なら分かるはずだ、吾輩は何も無いここで生きるしか…………」
「ほぉ、それは異な事をいう。お前はここで満たされているではないか」
「ッ!!何?」
「何だ気付いておらんのか、他の娘達と映画を見ている時、絵を描いている時、その他ここで生活しているお前はそれはそれは満たされた様な顔をしておったぞ、にも関わらず満たされていないと言うのは他の娘への侮辱も等しい所業だ」
「………………………………そうか、吾輩は満たされていたのか」
「その術故に難儀しておろうが、口にせねば伝わらぬ事もあるぞ?」
「……………………そうだな」
アンアンはそう言うと夕飯時、自分は脱出しない事を宣言しそれを了承させた上でイスカンダルに脱出を手伝わせる事にした。
数日後、牢屋敷ではイスカンダルと共に牢屋敷での生活を楽しむアンアンの姿があった。