「んでコイツが出てきた」
不機嫌そうに言うアリサの隣には血の様に赤い槍を持つ爽やかな青年が立っていた。
「よぉお嬢ちゃん方、俺はサーヴァント ランサー、そこの不機嫌なマスターに呼ばれて参上した。ま、仲良くやろうや」
「ランサーはその名の通り槍の逸話が有名な英霊ね」
「槍の英霊、ですか…」
「何かあんまり思い浮かばないな、英雄って剣の印象が強いから」
その言葉にランサーはソワソワとする。
「槍…槍…あ!!グングニルは確か槍だったよね?」
ミリアの言葉にランサーの耳がピクリと反応し少女達の言葉に更に耳を傾ける。
「確かに、後は…………あ!!えっと…………何だっけほら、あの有名な、確かゲ…………ゲ…………ゲイボルツ!!」
その言葉にランサーはガクリと滑り落ちる。
「ボルクな!!ボルク!!俺の愛槍をそんな変な名前で呼ぶのは止めてくれ!!」
「ゲイ・ボルクが愛槍、という事は貴方はクー・フーリンね」
「クー・フーリン、何か聞いたことあるな」
「ケルトの英雄ね、その逸話から別名【クランの猛犬】とも言われているわ」
「猛犬ですか?そんな感じはしませんけど…………」
「んな事はどうでも良いだろうが、おいクー・フーリン、アンタウチらをここから出せるのか?」
「あん?そりゃあどういう意味だ?」
クー・フーリンの問いに少女達は自分達の置かれている状況をクー・フーリンに話した。
「つまり誰かに捕まって島に囚われちまったってわけだな、しっかし参ったな〜」
「んだよ、まさか出来ないなんて言わねぇだろうな?」
「いや、マスター達を逃がす時間稼ぎなら幾らでもしてやれるんだが…………」
「何か問題があるの?」
「島なら逃げるには船が必要だろう?俺は船なんて持ってねぇからマスター達で作って貰うことになる」
「船か……」
「でもそれなら、気球を作ってアリサちゃんの炎で空から逃げようと……」
「マスターのあのロウソクみてぇな火でか?そりゃあちょっと無謀だな、大体ここが何処にある島で船なり気球なりで何日掛かるか分かってんのか?」
「そ、それは……」
「それも計算に入れねぇとは、はっきり言って計画が杜撰過ぎる、だから俺が手直ししてやるよ」
『え?』
それからクー・フーリンは少女達の脱出計画に手を加える事になった。
それから数日
「お前何してんだ?」
アリサが何時もの湖に足を運ぶとそこには手作り感満載の釣り竿の釣り糸を湖に垂らしているクー・フーリンがいた。
「見てわかんねぇのかマスター、釣りだよ、釣り」
「お前脱出計画考えるんじゃねえのかよ、今日までそんな事してる様子がねぇんだが?後この湖に魚は居ねぇよ」
「マジかよ!?なら海釣りに切り替えるか、脱出計画を考えるにしてもあんまり根詰めすぎると何処かに綻びが生まれちまう、こう言うのは時間を掛けてゆっくりじっくりやっていくのが良いんだ、釣りと一緒だな、アンタもそうした方が良いぞ、ずっと張り詰めた糸は簡単に切れちまうからな」
クー・フーリンはそう言うと釣り竿とバケツを持って塀のある方へ向かった。
「……………………………………変な奴」
アリサはその背中を見ながらそう呟くと湖に手を付けた。
結局クー・フーリンが脱出計画を持ってきたのはそれから1週間半後の事だった。