「えっと…………ナノカちゃん、その人は」
少女達はナノカの後ろに控える色黒白髪の男が放つ異様な覇気に呑まれながらナノカに尋ねる。
「宝生マーゴが持って来た【英霊召喚の儀式】の本で呼び出した英霊よ、挨拶して」
ナノカがそう言うと男はため息を1つ吐く。
「アーチャーだ、揃いも揃って酷い面構えだな、まぁ俺には関係ないが」
「関係なくなんか無いよ!!」
「そうですわ!!貴方には私達をこの島から脱出させてもらわなければならないのですから!!」
「俺が君達を?冗談はその酷い顔と格好だけにしてくれ、何故俺がそんな事をしなければいけない」
「そ、それはだって、その為に呼んだのですし…………」
「ハッ、随分と身勝手な理由で呼んでくれたものだ、もう良いだろうマスター、私はこれで失礼させてもらう」
アーチャーと名乗った男はそう言うと少女達に背を向け何処かに去っていく。
「私も失礼させてもらうわ、そもそも私は目的を達成するまで脱獄するつもりはないもの」
ナノカもそう言いその場を去っていき少女達は最後の希望も奪われ失意の底に沈んだ。
ナノカは牢屋敷を出るとアーチャーの後を追いログハウスに来ていた。
「貴方何してるの?」
「見れば分かるだろう、寝床を探しているんだ、君も追われる身なのだろう?寝床は気をつけた方が良いぞ」
「わかってる、私の目的を達成するまでは死ねないしここから出られない」
「そう言えば、君の目的を聞いていなかったな」
「私の目的はこの牢屋敷の黒幕を見つけて殺す事、お姉ちゃんの仇を討つまでは」
「ならば皆殺しにするか?」
怒りと憎しみに燃えるナノカにアーチャーは平然とそう言う。言われたナノカも何を言われたのか理解出来なかったのか啞然とする。
「……………………え?」
漸くナノカの口から漏れた言葉にすらならない声にアーチャーは更に続ける。
「この牢屋敷と言う施設に黒幕が居るのは確かなのだろう?ならこの施設にいる人間、或いは生物すらも皆殺しにすれば君の目的は達成される。確実にな」
「私は殺戮者になりたいわけじゃないわ、お姉ちゃんの仇を討ちたいだけ、その為に貴方の力を使わせてもらうわ、もう目星も付いてる」
「ほぉ、参考までにお聞かせ願えるかな?」
「佐伯ミリア、彼女はその肉体に【入れ替わり】の魔法を持っているわ、そして私の魔法は【幻視】、彼女に、いえ、アイツに起こった過去を見たわ、佐伯ミリア本人から無理矢理肉体を奪った男、それがアイツの正体よ」
「それは興味深い話だが、核心に至るには些か浅い考察ではないかね?」
「そうかしら?」
「ああ、俺が直接見た訳では無いから何とも言い難いが現状その男は佐伯ミリアから肉体を奪っただけだ、君の姉を殺した決定的な証拠とは言い難いのではないか?」
「………………………………」
「君は少し冷静に物事を見るべきだな」
それから暫く、ナノカはアーチャーの手を借りながら確実な証拠を集める為動きその証拠を掴んだ。
「まさか彼女が黒幕だったなんてね」
「慈愛溢れる聖母の裏の顔は血に塗れた化物か」
「……………………アーチャー、力を貸して」
「報酬次第だな」
「なら令呪を切るまでね」
「全く、とんでもないマスターだな、【
アーチャーが呪文を唱えるとその両手に白黒の銃剣が現れる。
「魔女狩りと行こうか」
アーチャーはそう言うとナノカと共に牢屋敷に押し入り2人は氷上メルルを殺しナノカの目的は達成された。