ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら 作:りんごりら
甲龍暦500年
再生の巫女と呼ばれる少女がいた。少女は物体の1日前に戻す力を持っていた。その上、彼女は死んでもまた生まれ変わる。けれど他の人間になるわけではない。繰り返すのだ。ほんの少しだけ異なる自分の地獄の人生を。
彼女の生涯はたいてい王宮の片隅へ飼われ苦しむだけの人生だった。しかし転機が訪れる。王宮の地下、巨大な魔方陣によって1人の少年が召喚された。そこから少女は変化を感じていた。少年と護衛をつけて王宮を歩いたり、知らないことを教えてくれる護衛ができたりしたのだ。少女はようやく生きることを実感した。
地獄は終わったのだ。
と思っていた。
王国は戦火に巻き込まれ、少年は死んだ。
少年の亡骸だけが戻ってきた。
少女は必死に力を使った。
何も起こらなかった。
少女は嘆き悲しみ無力感を覚えた。
だが、少女は諦めきれなかった。
少年と共に生きたいとそう思ったのだ。
少女は死ぬ瞬間、あらんばかりの力を使った。
時間を1日だけ巻き戻す。
否
過去を改変する力を。
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甲龍歴400年
フィットア領・ロアの町に、次元の裂け目が出現した。少年が死なない未来、それを作るために。
裂け目の奥には、少女と近しい存在がいた。件の少年と生きたいと願う、再生の神子とは違う少女の存在である。
その少女をこちらの世界へ召喚すれば、自ずと少年は助かるだろう。けれど、いくら再生の神子の力とは言え、本来いないはずの人間を過去に存在させるだけの力は無く、次元の裂け目を維持するので精一杯だった。
1年、2年、3年……月日が過ぎる。
その時、次元の裂け目を通って1つの魂が
迷い混んだ。そしてふらふらと彷徨い、今まさに死のうとしている赤子の中へと、入り込んだ。その魂の持ち主はルーデウス・グレイラットと名付けられた。
4年、5年……月日が過ぎる。
次元の裂け目から、もう1つ…………
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「地球の呪霊達よ、すまない、せめて安らかに」
マルルは呪霊の生まれない世界を作るために、
真人という呪霊の持つ魂に干渉する術式を、宇宙船と乙骨の呪力で強化して、日本の人間の魂を呪霊が生まれないように整えようとしていた。
そのとき、次元に亀裂が生じた。
「ッ!?」
マルルは素早く身構えた。たとえ罪を背負ってでも、これを成し遂げると誓ったのだ。
しばらく亀裂を見ていたが、変化は生じない。
(術式を使うべきか……?)
マルル・ヴァル・ヴル・イェルヴリの術式は「混沌と調和」。この次元の亀裂を塞ぐことができうる術式である。
(この調和の儀に失敗は許されない。不安要素は消しておくべきか……)
マルルが亀裂に触れ術式を発動したとき、弱く引っ張られるのを感じた。そして、亀裂は消えた。
「なんだったんだ…?」
その後、調和の儀は成功し、シムリア人と地球人は少しずつ歩み寄り始めた。
マルルは気付かなかった。次元の裂け目に真人の魂の一部が吸い込まれていったことに。
それが、生まれたばかりのトマ・グレイラットへ入っていったことに。