ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら   作:りんごりら

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第14話 冒険者ギルド

ルーデウス視点

 

 

 

 俺達は、リカリスの町にある狼の足爪亭にいる。

 

 あの日、白い光の奔流の巻き込まれ、魔大陸へと飛ばされた。

 そばにいたのはエリスとルイジェルドだけで、トマやギレーヌはいなかった。

 直ぐにルイジェルドに小さな金髪の女の子と、獣族のムキムキセクシーお姉さんがいないか聞いてみたが、俺達2人以外見当たらなかったそうだ。

 

 その後、突撃!ロキシー師匠の実家のご飯、をやったり、リカリスの町へ入るため変装をしたりした。

 そして、無事に町の中へ入ることに成功し、冒険者ギルドで冒険者登録をした。

 目的は、スペルド族のイメージアップと資金調達だ。

 

 狼の足爪亭に三日分の料金を払い、ちょっとしたトラブルがありつつも、俺は部屋のベッドに腰かけた。

 

 (金を稼ぐ、ルイジェルドの評判を上げる、二つ同時にやらなきゃいけないのが辛い所だ。なにか……いい方法があればいいんだがな)

 

 ………………そして、トマ、ギレーヌ。

 

 あの2人は巻き込まれなかったのか?

 いや、巻き込まれたとして、ギレーヌは何処でも生き延びるだろう。

 しかしトマは?

 あいつも魔大陸に飛ばされていたら?

 俺達はルイジェルドに助けられた、それでここまで順調にやってこれた。

 トマが誰かに助けられるという保証はない。

 よって、もしあいつも魔大陸に飛ばされていたら、恐らく……………………………………。

 

 (違う。あいつは巻き込まれなかった。そう考えろ。巻き込まれたとしても、安全な所へ飛ばされる可能性もある。最悪のことばかり考えるな!とにかく今やることは、資金調達とルイジェルドの評判を上げることだけだ!)

 

 俺は、何も考えないように努力しながら、目を瞑った。

 ……前世の時みたいだ。

 

 

---

 

 

 いつの間にか、俺は前世の体になり、一面何もない白い場所にいた。

 目の前には卑猥なモザイク野郎。

 はあ。

 

「今回もつれないね。ルイジェルドを頼ったお陰で、町までたどり着いただろう?」

 

 確かにな。

 でも、ルイジェルドの性格を考えるにだ。

 もし俺たちが逃げても、影ながら守ってくれただろうさ。

 

「随分と彼を信頼してるねえ。

なのに、どうして僕は信用してくれないんだい?」

 

 わかんねえのか?

 神を名乗っているくせに?

 妹の安否でも知らせてくれたら、ちょっとは信用してやるよ。

 

「妹ってのは、トマ・グレイラットのことかい?」

 

 そうだ。

 俺を尊敬してくれるにいさま好き好き系金髪オッドアイ妹のトマだ。

 

「ふぅん、まぁ信用してくれるなら、教えてあげなくもないよ。」

 

 本当か!?

 頼む、教えてくれ!

 あいつは無事なのか?

 

「ちょっと落ち着いてくれよ、これからも僕の助言をちゃぁんと聞いてくれるなら、教えてあげるからさ。」

 

 ちっ、糞が。

 こういうところだぞ。

 しかし背に腹は代えられん。 

 …はいはい、聞いてあげますよー。

 だからさっさと教えろ。

 

「はいはい…………妹はね、無事みたいだよ。今はおやすみ中かな?怪我はしてないみたいだね。馬車……?っぽいものの近くでベッドに入ってる。」

 

 そうか……無事か。

 よかった……。

 しかしベッドに馬車とは、光に巻き込まれなかったのだろうか。

 

「じゃあ僕の助言だよ。ルーデウスよ、ペット探しの依頼を受けなさい……。それであなたの不安は解消されるでしょう……」

 

 でしょう……でしょう……でしょう……。

 エコーを聞きながら、俺の意識は沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

  

 夜中に目覚める。

 嫌な……いや、悪くない夢をみた。

 少なくとも、トマは無事なようだ。

 胸のつっかえが取れた。

 

 部屋を見回すと、エリスが起きていた。

 眠れないのだろうか。

 俺は静かに起き上がると、彼女の隣に座った。

 

 

---

 

 

トマ視点

 

 

 赤竜の下顎を抜けた。3日くらいかかったな。

 そしてアスラ王国へと入った。

 なんだか……こう、感動するね。

 遂にここまで来たって感じだ。

 

「ここからは街道に沿って歩きましょう。安全を期してちょっと遠回りするため、3ヶ月くらいで着くと思います。」

「わかったー!」

 

 あと3ヶ月、あの光に巻き込まれてから約5ヶ月で家に戻れる計算だね。

 いやーここまで長かった。

 思い出すのは苦悩の日々……ちょっと楽しいところもあったけど。

 

「ロキシー先生、馬車とか使うの?」

「そうですね……見つけたら乗りましょう。」

「改造竜ならひとっ飛びで家に着くよ?」

「トマさん、約束しましたよね?」

 

 ぶー

 空の旅は心地いいのに。

 高所故の絶景と体を吹き抜ける爽やかな風。

 安全が保証されているのなら最高の移動手段だ。

 

「グギャ。」

 

 改造竜が鳴いた。

 おまえもそう思うか。

 

 

 

 

 

 ウィシル領に入った。

 遠くの方に人影が見える。

 むふふ、町に入ったら何食べようかな?

 お肉にお魚、パイも食べたいなー。

 でも一番食べたいのはかあさまが作るパウンドケーキ!!!

 中に入ってるドライフルーツはイチジクが好き。

 にいさまはチェリーだっけ?

 

「ロキシー先生がパウンドケーキに入ってたら嬉しいものってなに?」

「りんご、ですね。パウンドケーキ以外でも、甘い物はだいたい好きです。」

「甘い物……町に入ったらあるかな?」

「心配しなくても、色々買ってあげますよ。」

 

 ロキシー先生はふふっと笑って言った。

 やったー!

 あ、でもお金が必要だよね。

 確か盗賊から取ったやつがあったような。

 前を歩く改造竜のバックの中から、いくつかの貨幣を取り出す。

 あんまりお金使ったこと無いから価値がわかんないな。

 

「これあげる。お金必要でしょ?」

「これは……アスラ硬貨ですね。どこからこれを?」

「盗賊が持ってた。殺して奪ったよ。」

 

 おわ、ロキシー先生止まっちゃった。

 彼女は屈んでわたしの目を正面から見つめた。

 なんだろう。

 そんなに見つめられると照れちゃうなー。

 

「トマさん、無闇に人を殺してはいけません。襲われているなら仕方無いですが、それ以外は極力危害を加えないでください。」

「ん、わかった。」

 

 別に殺したい訳じゃないんだけどな。

 敵だから殺すだけで。

 ストックも人じゃなく魔物でもいいし。

 

「しかし……凄い金額ですね。金貨3枚に銀貨7枚とは。」

「集団だったからね、全部合わせた金額。」

「道理で…。」

 

 まぁ、ロキシー先生の役に立てたならよかった。

 でもこれからお金どうやって稼ごうかな。

 

「どうやってお金を稼げばいいの?」

「お金は大丈夫ですよ。安心して着いてきて下さい。」

「んー、それでも稼がなきゃ、いつか宿にも泊まれなくなるよね。」

「……そんなに頼りないですか、わたし。」

「いやいや!そうじゃなくて!自分でもお金を稼ぎたいなーっていう話で。」

「ふむ、それなら冒険者になるのはどうでしょう。登録だけでもしますか?」

 

 冒険者か。

 魔物退治するイメージだけあるな。

 

「やってみたい。お願い!ロキシー先生。冒険者登録してください!」

「分かりました、宿に泊まる前に、冒険者ギルドへ行きましょう。」

 

 わたしも遂に冒険者か。

 かあさまもとおさまも冒険者だったらしいけど、これでお揃いだ。

 

 

---

 

 

「ここが冒険者ギルドです。」

 

 キョロキョロと周りを見回す。

 ざわざわと活気溢れる雑音、装備を身に付けた人々、掲示板に依頼の紙が打ち込まれている。

 入り口近くの机を囲むのは駆け出しのパーティーか。

 上等ではない剣と装備をしながらも、目はキラキラと未来へ向け輝いてる。

 奥の席には料理をかっ喰らう依頼帰りみたいな感じの上級パーティーがいる。

 装備は駆け出しとは段違いだ。

 料理は焼いた肉に野菜に酒、いいなー美味しそう。

 

 まるでギルドに来たみたいだぜ

 テンション上がるなぁ~

 

「おーなんだ?子供が来るとこじゃねぇぞ。依頼かぁ?」

 

 布を頭に巻いた男に絡まれた。

 酒を飲んで顔が赤くなっている。

 

「まずわたしは子供ではありませんし、依頼をしに来たのでもありません。この子の冒険者登録をしに来たんです。」

「へーなんかの記念か?誕生日にねだられでもしたのかよあっはっはっは!」

 

 酔いすぎ。

 ロキシー先生が迷惑そうじゃん。

 嫌な男だ。

 

「ほれ、嬢ちゃん。肉だうまいぞ。」

「ありがとうございます!いただきます!」

「ちょっとトマさん!」

 

 噛むと肉汁がじゅわっと広がる。

 塩胡椒がしっかりとかかっていて、それが油の甘味を引き立てる。

 美味しい。

 誤解してたな、いい男だった。

 

 腕を引っ張られて受付に着いた。

 わたしはまだモグモグしている。

 

「この子の冒険者登録をお願いします。」

「分かりました。こちらの用紙にご記入ください」

 

 名前と職業を書く欄と、注意事項と規約が書いてある。

 とりあえず書こ。

 トマ・グレイラットと……

 職業は、村娘?

 

「ロキシー先生、職業って何書けばいいの?」

「職業は剣士や魔術師等を書けばいいです。トマさんは剣を持っていますよね?なら剣士でいいと思います。」

 

 剣士ね。

 よし書けた。

 これを職員へ渡せばいいのかな?

 

「書かれましたら、こちらに手を乗せて頂きます」

 

 用意されたのは透明な板。

 真ん中のあたりに魔法陣が刻まれていて、下には、金属のカードが敷かれている。

 なんだこれ?

 ぺたっと手を乗せる。

 

「名前・トマ・グレイラット。

 職業・剣士。

 ランク・F」

 

 職員が用紙の内容を読み上げ、板の端をポンとたたく。魔方陣は赤く光り消えてしまった。

 おお、これでわたしも冒険者か。

 

「どうぞ、こちらがあなたの冒険者カードになります」

「ありがとうございます!」

 

  渡された鉄の板にはボンヤリと光る文字で

 

 ------------------------------

名前:トマ・グレイラット

性別:女

種族:人族

年齢:8

職業:剣士

ランク:F

------------------------------

 

 と書かれていた。

 

「これで貴女もわたしと同じ冒険者ですね。」

「うん!一緒。」

 

 これでお金を稼げるようになった。

 身分証としても使えるのかなコレ?

 なら赤竜倒して素材集めて売りたいな。

 

「パーティの登録はなさいますか?」

「え、そんなのできるの!?したいです!」

「あっそれは…………。」

 

 ロキシー先生が気まずそうだ。

 もう他のパーティーに入ってるとかかな?

 

「わたしはAランクなので、トマさんとパーティーを組むことができないんです。」

「Aランクかぁ、BCDEF…だいぶ差があるね。」

「なので……ごめんなさい。」

「ううん、わたしのランクが低いせいだから、先生が謝ること無いよ。」

 

 残念だけど、仕方無い。

 さっさと宿に行こう。

 ん?

 ああ、ご飯のいい匂いがする。

 

「宿に行く前に、ここでご飯食べよう?」

「いいですよ、何食べますか?」

「お肉お肉お肉!」

「なら私はぶどう酒を……。」

 

 わたし達は運ばれてきた料理に舌鼓を打って、宿に泊まってその日は寝た。

 紛争地帯とは大違いの日々だ。




誤字報告ありがとうございます 8/24、8/25
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