ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら 作:りんごりら
ルーデウス視点
僕の名前はルーデウス・グレイラット!偉大なる師匠の教えにより
なんて現実逃避していたかったが、目の前の光景が否応にも現実に引き戻す。
その鼠は顔の中心にある大きい1つの目がギョロギョロ動いており、生理的な嫌悪感を引き起こす。口からは5本の細長い舌が忙しなく震えている。全身の毛は毒々しい紫色で、背中にはびっしりと肉の触手が生え剣山のように空に向かって震えている。
吐きそうだ。
この世界にはこんな魔物がいるのか?信じられない。そんなことを考えていたとき、鼠と目があった。
俺はまるでゴキブリが飛びかかってきたような嫌悪感と恐怖を浴びせられながら咄嗟に
「ッ!
水弾は鼠に当たり、そして鼠は動かなくなった。俺はバクバクと鳴る心臓を押さえながら、パウロを呼びに行った。
「父様!鼠がっ、鼠が出ました!」
「お?どうしたそんなに慌てて、お前らしくない。いや年相応か?」
パウロは呑気に椅子に座っていて、焦る俺のことを珍しいものでも見たような感じで返事をした。水飲んでる場合じゃない!
「父様早く来てください!魔物みたいな鼠がいたんです!」
「魔物?こんな家の近くにか?」
訝しげに眉をひそめ、まだ椅子に座ったままのパウロ。早く来てくれよ。あんなバケモノ見たことないんだって。
「ルディ?どうしたの?」
「母様魔物がいたんです!庭のすぐそこに!」
ゼニスが台所から顔を出してきた。パウロと同様珍しいものでも見た顔をしている。
「わかったわかった。見に行ってやるから落ち着け」
パウロは剣を携えて一緒に庭に来てくれた。俺はこの鼠が魔物以上の何かとしか思えず怯えながらパウロを先導した。しかし鼠は見当たらず、水弾の水溜まりしか存在していなかった。
「いないじゃないか。本当に大丈夫かルディ?勉強のしすぎじゃないか?」
「あれ…いない……何で……」
「今日はもう休め、午後の剣術もお休みだ」
俺はパウロが去った後も鼠を探したが、結局見つけられず日が暮れた。その夜魔物について書かれている本を読んでみたが、その鼠のような魔物はいなかった。
翌日、俺はトマに魔物のような鼠がいたら気を付けろ。直ぐに父様を呼べと警告しておいた。トマは何故かギクリとした表情をしていたが素直に言ったことを聞き入れた。昨日のは幻覚だったのか?ストレスか?俺はこの世界で充実しているはずなんだけどな……
トマ視点
(危ない危ない。にいさまにバレるとこだった)
ずっとにいさまの魔術に憧れてた。
左右の腕で別々の魔術を操るにいさま。わたしはまだ3歳だけど、にいさまは3歳の頃には魔術を使っていたらしい。かあさまの自慢なんだって。わたしも魔術を使いたいと思って本の通り詠唱したけど、ちっちゃい水しか出なかった。
かあさまはこの年でちょっとでも使えるのはすごいと言ってくれたけど、わたしはもっと自由な魔術を使いたい。だから毎日毎日お母さんと特訓してる。
料理の手伝いもしてる。お野菜をリーリャに持ってくのはたのしいしリーリャが料理してるのを見るのもたのしい。
とおさまがただ剣を振ってるのを見るのはあんまり面白くない。けどたまーにけんしんりゅう?の技を使ってるときは速くてすごい。みんなだいすきだけど、わたしもたのしいことがしたい!って思ってたとき、庭でねずみを見つけた。
わたしの右目は不思議なもやもや?が見える。不思議な感覚だった。わたしはそれを触れると思った。体に刻まれてるなにかに魔力を流して鼠に触れてみた。
もやもやに触れた。
試しにもやもやの一部分を引っ張って見ると鼠の頭が伸びた。逆に縮めて見ると鼠の頭は潰れた。たのしい。にいさまみたいに無詠唱で自由に
「トマー?どこにいるのー?」
かあさまが呼んでる。行かなきゃ。わたしはおもちゃの後片付けも忘れて、かあさまに呼ばれるままに家の中へ入った。