ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら 作:りんごりら
ルーデウス視点
俺は今、トマの部屋にいる。
同じ宿に泊まっているので基本的に内装は俺と変わらないが、パウロが送った大剣が壁に立て掛けられていたり、トマが作った人形が棚にズラリと並べられていたり、小さな祭壇が置いてあったりした。
祭壇は小さいながらもホコリ一つ汚れ一つ見当たらず、とても丁寧に扱われていることが分かる。
はて、祭壇とな。
トマから宗教に入ったなんて報告は聞いていない。
肝心の祭る御神体が置かれていないことが疑問だが、この手入れ具合を見る限り、彼女が信心深く何かを信仰していることは確かだ。
そんなトマはベッドに座り、そこらで捕まえてきたであろう魔物をぐにゃぐにゃ弄って無為転変の肩慣らしをしている。
隣に座るエリナリーゼは片手を自身の頬に当てながら、それを興味深そうに覗き込んでいる。
俺はいつもの服装ではなく、ゆったりとした前開きの甚平の様な服を来ている。
胸元ははだけていて、ズボンも激しく動いたらずり落ちそうだ。
はぁ……。
なんでこんなことになってしまったのか。
なんでこんな目に合わなきゃならないのか。
その原因、否、元凶を俺は知っている。
ソイツは俺の腹をぶち抜き、妹を誘拐した世界最強の男。
そう……龍神オルステッドだ!
オルステッドの転移魔方陣のせいで、俺は女にされる。
ベッド脇に突っ立ってる俺は、死んだ魚の様な目をしていることだろう。
別に、トマの無為転変の精度を疑ってる訳じゃない。
トマの技術力なら俺を無事に女にすることだろう。
嫌なのは、女になったとき俺の精神がどうなるか分からないからだ。
もしかしたら案外なんともならないのかもしれないが。
「よし!じゃあ早速!…………いや、念には念を入れよう」
ニマニマしながらベッドを降りて立ち上がったトマは、自分の顔に手を当てて呟いた。
「無為転変・
トマの艶やかな金髪が根本からくすんだ水色に変色する。
と、同時に顔、腕、足にツギハギ模様が浮かび上がる。
見えていない服の中、腹や背中にもツキハギが走っていることだろう。
そうして、髪色が変わったトマは俺の左手をその両手で包み込んだ。
「……心配なら、目を瞑ってね」
「いや、大丈夫だ…………なぁトマ、今からでも別の」
「じゃあやっちゃうね」
トマは灰色の魔眼を見開いた。
エリナリーゼは心配そうに俺を見るが、興奮を隠しきれていない。
トマを信じているんだろう。
はぁー……くそ、受け入れるしかないのか!?
本当に女になってしまうのか俺は!?
エリスと百合百合しちまうのか!?
「無為転変」
その言葉を聞いた瞬間から、俺の視点は徐々に低くなっていった。
背中の感触から紐で纏められるくらいに伸ばした後ろ髪がさらに伸びていくことが分かる。
あ!
ヤバイ!
俺の息子が小さく、いや無くなっていく!
くそっ!逝くな相棒!相棒ー!!!
焦って股間を見ようとしたら、柔らかな二つのメロンで視界が埋め尽くされた。
前開きの服を来ているので谷間がもろに露出している。
俺の視点はそれに固定され、そのまま暫く動けずにいた。
「…………うん。兄さま、調子はどう?」
トマの投げ掛けでようやく我を取り戻した。
どうって言われても……
若干の違和感はあるが、痛みや不快な感覚はない。
「へい……きだ!?…あれ!声が違う!」
若干、ほんの少しだけ高くなっている。
「むふふ、声だけじゃないよ。ほら、鏡見て」
言われるがままに鏡を見る。
そこに写っていたのは、最近筋肉がついてきた男の俺じゃない。
どこまでも穏やかで、見る者のすべてを優しく包み込むような若葉色の瞳。
左目の端には色気を与える泣きボクロが存在している。
唇を触ってみると、男の時よりプルプルしていた。
顔から下へ目線を向けていくと、服からまろび出そうな程大きい巨乳があった。
町で歩いてるときに見かけたら思わず目が釘付けになりそうな胸だ。
体をよじって尻と腰を確認する。
こちらも大きい。
いわゆる安産型と呼ばれる尻だ。
腰はキュッとしまっているが、それは痩せているからではなくきちんと筋肉によって締められたものらしい。
でも程よく脂肪ついていて、滑らかな曲線を描いている。
再び正面を向く。
全体的に丸みを帯びていて、まさにボンッキュッボン!な体型の美少女が鏡に写っている。
髪は腰まで伸びたようだ。
俺は震えながら、抗いがたい欲望に操られその巨乳に手を伸ばした。
モミモミ……モミモミ……
「……兄さま?」
うわっ……なんだこれ……
でかいしハリがある。
まるで手に吸い付くような触り心地。
けれどしっかり揉むとその通り形が変わり、離すと元の形に戻る。
「あら……ルーデウス?」
モミモミ……モミモミモミモミ……
いつまでも触りたくなる感触だ。
夢中で胸を揉んでいたら、徐々に服がはだけ、谷間どころか下乳まで空気に触れていることに気がついた。
そして見た。
男を惹き付ける柔らかな胸の先に、淡い桜色が見えかかっている。
こ、これは!?
『ほっほっほ、そなたなら分かるじゃろう?』
突如俺の脳裏に白髪の老人が現れた。
あなたは、おっぱい仙人!
エリスとの夜以来ですね!
『気になるなら見ればよい触ればよい。誰も止めはせん』
なるほど。
確かにそうだ。
頭で色々考えていても、結局行動しなければ意味はない。
俺に足りないのは行動力だ。
教えをありがとうございます!仙人!
『では、さらばじゃ』
今回もあなた様の神勅本当に感謝いたします!
よし、早速触ろう見よう舐めてみよう。
俺は勢いよくその先端へ、細くしなやかな白い手を伸ばし────
「兄さま!!!」
「うわっ!」
はっ!?
いつの間にか目の前に立っていたトマに肩を揺さぶられた。
お、俺は一体何を……
「調子はどう?変な感じしない?」
「あ、ああ。特に痛みはない……」
なんだ。
さっきまでの記憶がない。
ないのだが……エリナリーゼはニヤニヤしてるし、トマは顔を赤らめている。
本当に何が起こったんだ。
まるで時が消し飛んだような……
キ○グ・クリ○ゾンか?
「……まぁ大丈夫そうなら、今日はもう寝よっか。明日服買ったり体を動かしたりしよう」
「ええ、そうですわね。ルーデウスも一人でシたい事がありそうですし」
「ちょっと!エリナリーゼ!」
「うふふふふ」
トマはプリプリ怒った。
エリナリーゼは妖艶に腰を揺らして立ち上がり、部屋を出ていった。
「ま、まぁ……その、一人でする分には別に何も言わないけど……むしろ、兄さまの場合はしないと手を出しそうだし……」
「何の話だ?」
「なんでもない……あっ言い忘れてた!」
言い忘れ?
まさか副作用とか言うんじゃないだろうな。
一秒後事に一時間寿命が縮むとか、寿命が13年になるとか。
「その体、赤ちゃん産めるから。男の人とえっちしちゃダメだよ」
「しねぇよ!」
俺をなんだと思ってるんだ。
すぐ人を好きになるチョロいヤツだと思われているのだろうか。
俺は愛する女性を健気に待つ『誠実』のルーデウスだ。
ちょっと酒飲んだら怪しいが。
俺はトマの部屋を出て、隣の自室へ戻った。
そのまま寝ようとした時、偶然鏡が目に入った。
巨乳が完全に丸々露出している。
ゴクンと、生唾を飲む音がやけに大きく聞こえた。
……いや、まて。
何を考えている。
女になったとはいえ、自分の体だ。
ここ数日ゼニスの事を考えて、ロクに溜まった欲を解消していないが、俺の体なんだ。
しかし、なんだろう。
この感じは、男の時と違う。
なんだか腹の下が熱を持つような感じがする。
いや、いや……落ち着け……落ち着け俺。
俺はゼニスを発見出来たらすぐに男へ戻る。
というか、ベガリットから出た瞬間に男に戻る予定だろう。
…………待てよ。
ベガリット大陸は過酷だ。
魔力溜りが多く魔物も迷宮も多い。
こんな調子で俺は生き残れるのか?
こんな集中できない状態で、俺はトマやエリナリーゼに一切迷惑をかけないと言いきれるのか?
それなら……それならば。
もう、抜いちゃっていいんじゃないか。
無言で立ち上がり、鏡の前でズボンを脱ぐ。
そしてパンツに手を掛けて─────
---
「やぁ」
俺は白い空間にいた。
前世の体だ。
恐らく気絶するように寝てしまったんだろう。
「お盛んだね」
うるせぇ。
勝手に見てんじゃねーよ。
「あはは、ごめんごめん。でも珍しくってさぁ。性別を変える力なんて久しぶりに見たよ」
他にもあるのか。
「あるよ。迷宮の罠とか魔道具とか、過去にそんな力を持った神子もいたかな」
ほう……改めてすごい世界だな。
で、なんで今さら出てきたんだ?
ゼニスを探している最中、なんどか呼びかけたんだぜ?
「僕も色々忙しいんだよ。ほんと、参っちゃうよね」
ヒトガミは肩をガクっと落とし、溜め息をついた。
マジで疲れてそうだな。
「はぁ………で、そんな忙しい僕がわざわざ出てきて上げた理由は、君に助言するためなのさ」
またあの胡散臭い助言か?
「そんなこと言わないでおくれよ。君の為を思って言うんだよ?」
はいはい。
いつも通り聞くか聞かないかは俺が決めるからな。
「そうかい。でも、今回は僕のいうことを聞いておいた方がいいよ。ベガリット大陸に行くと、君は必ず後悔する事になるからね」
後悔?
なんでだ?
「それは言えない。けれど、ベガリット大陸にどうしても行きたいのなら、ある事を守れば後悔せずに済むかもね」
うん?
俺が助言を守らない場合も、そのある事をやれば後悔せずに済むのか?
「まあね。でも僕としてはね、ラノア魔法大学に入学したほうがいいと思うよ」
ラノア魔法大学?
ロキシーの母校か。
ああ、そうだ。
俺が家庭教師に行ったのは、シルフィと大学に行くためだったな。
「明日、君とトマにラノア魔法大学から推薦状が届く。それを持って大学に入学し、神子や呪い、転移事件を調べなさい。
さすれば君は幸せになり、家族を助ける事ができるでしょう」
その家族って、ゼニスのことか。
ゼニスはベガリットで迷宮探索をしているだけじゃないのか?
それを助けるって……ゼニスはどういう状態なんだ?
「どうだろうね」
ああ、そう。
お前はそういうヤツだったな。
肝心な所はロクに話しやしない。
で、ある事ってなんだ?
「ふふ、聞きたいのかい?」
聞くだけ聞いてやる。
「ある事とはね、君が女でいることさ。
それもこの先一生ね」
は?
女のままって……
おい!
消えるな!
どういう事だ!
ヒトガミはエコーを残し、意識が薄れていった。
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トマ視点
朝の諸々を終わらせて、兄さまの部屋をノックする。
オルステッド様が示した遺跡は改造魔物や馬を使えば1日で行ける。
つまり1日保険を掛けたとして、今日含め3日余裕がある。
その間に兄さまに女の人の体を慣れて貰おう。
あとストックやお金も欲しい。
誰にも見つからない場所で赤竜を狩ろうかな。
「兄さまー起きてるー?」
返事がない。
女の子になったばかりなのに、もうランニングをしているのだろうか。
一階へ降りて宿の主人に話を聞く。
「あの、茶髪巨乳の女の人を見ませんでしたか?」
「茶髪巨乳?いや、見てないよ」
「そうですか、ありがとうございます」
予想が外れた。
まだ寝ているのか。
再び兄さまの部屋の前まで移動して、強めにノックをする。
「兄さまー?にーさまーー?」
しかし返事がない。
いつも早起きの兄さまがまだ寝ているのか?
それなら先に朝ごはん食べようかな。
階段まで歩き、最後に チラッと振り返った。
本当に寝ているだけなのだろうか。
本当に兄さまは無事なのだろうか。
わたしは最悪の事態を想像した。
まさか、無為転変が失敗した?
そんなバカな。
百万回やってもミスすることはないレベルの技術に成長したのに。
わたしはじっとしていられなくなって、兄さまの部屋へ無理矢理入った。
バンッ!と扉が弧を描き、開いて90度横の壁にぶち当たった。
鍵をしてない?
うっかりか?
それともそれを忘れるくらいの何かがあったのか。
「兄さっ…わぁ!……わ…………でっか!」
すぅすぅ寝息立てながら、全裸の兄さまがベッドで寝ていた。
呼吸で胸が上下する度に巨乳が動く。
クシャクシャのベッドのシーツには濡れた後があった。
わたしは無音の太刀の踏み込みで部屋から出た。
うん、わたしは何も見なかった。
ただ健全な兄さまが寝ていただけだ。
わたしは全てを無かった事にして、魔術でドアノブを塞ぎ、朝食を食べに行った。
身長やバストサイズは分かってるし、わたしが下着とか買っておこう。