ルーデウスに無為転変みたいなのを使える妹が増えたら   作:りんごりら

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第8話 ロアの町・プレゼント

トマ視点

 

 

 

 ガタガタと馬車が揺れている。

 カチューシャをつけ、白のワンピースの上に青のボレロを着たわたしはちょこんと座っていた。

 馬車の中にはソファと小さく丸いサイドテーブルが設けられていて、サイドテーブルの上にはコップと水差しが置いてある。

 落ちるんじゃないのアレ。

 

 左右の窓から見える景色はまだわたしが知っているブエナ村そのものだ。

 それに安心感を覚えながらも、知らない場所へ行く不安とにいさまに会える高揚感で胸の鼓動が早くなる。

 正面を見ると褐色肌で灰色髪のお姉さん、ギレーヌがいた。

 獣族特有の耳と尻尾が生えていて右目には眼帯をしている。

 わたしはおずおずと声を上げた。

 

「あのっ……にいさまってそっちでどんなお仕事をされてるんですか?」

 

 一番気になっていたにいさまのお仕事について訪ねる。

 とおさま達は教えてくれなかったからね。

 未だに知らないのだ。

 

「知らないのか?エリスお嬢様の家庭教師をしている。加えて、あたしも魔術や算術をルーデウスに習っている。」

「家庭教師……!」

 

 なるほど。

 にいさまのイメージにぴったりかもしれない。

 こっちにいた頃はシル姉とわたしに魔術や勉強を教えてくれていたし、それ以外にもおねだりの仕方や友達の大切さなど様々なことをにいさまから学んだ。 

 続けてギレーヌは話す。

 

「ルーデウスの教え方はわかりやすい。

 あたしがいくら間違えようと、嫌な顔をせず懇切丁寧に教えてくれる。おかげで火と水の初級魔術をマスターすることができた。」

 

ギレーヌはしみじみと思い出すように語り、その口元には微笑が浮かんでいる。

 魂も嬉しそうに揺らぎ彼女が本当ににいさまのことをよくも思っていることがわかる。

 

「エリスお嬢様もとてもルーデウスに懐いている。いや、懐いているというよりは……好きなのだろう、ルーデウスのことが。」

「えっ」

「?どうした。」

 

 にいさま?

 にいさまはシル姉の学費を稼ぐために働いているんだよね?

 そっちで恋人とか作ってないよね?

 シル姉泣くよ?

 わたしも怒るよ?

 

「にいさまからシル姉……シルフィエットのことを聞いたことありますか?」

「シルフィエット?聞いたこと無いな。」

「…………そうですか。」

 

 にいさまシル姉のこと忘れてるんじゃないのか。

 それともエリスって人を本気で好きになっちゃったのか。

 どちらにせよお祝いし終わったら問い詰めなくちゃ……

 シル姉がかわいそうだ。

 あんなに頑張っているのに。

 いや、実は心の中ではシル姉第一なのかもしれない。言ってないだけで。

 本人に確認しなきゃわかんないな……。

 

「……パーティーの後、にいさまと話してもいいですか……。」

「構わないが……。」

「ありがとうございます。」

 

 よし、確約を取り付けた。

 逃げられると思わないでね、にいさま。

 

「ところで……その右目、魔眼か?」

 

 ギレーヌが興味深そうにわたしの右目を見つめている。

 

「はい、ロキシー先生は魔眼って言ってました」

「眼帯はしないのか?」

「別に見えすぎて疲れるってことは無いのでしなくて大丈夫です。」

 

 そう言うとギレーヌは何か悩んだように腕を組んで眼を閉じると、しばし沈黙した。

 そして目を開けると右手で眼帯をずらし、その目を見せてくれた。

 

「……あたしの右目も魔眼だ。」

 

 濃緑の色彩を持つ目はまるで大樹の葉のよう……

いや、植物の緑よりもっと煌めいている。わたしの語彙ではうまく言い表せないけど、とにかく美しいと思った。

 

「この眼は魔力を視認できる。」

「へー!すごいですね!魔力ってどんな感じ何ですか?」

「それは……魔力は魔力だ。うまく言い表せん。」

 

 不思議な感覚だ。

 魔眼持ちを見るのは初めてだからかな。

 友達ができたあの感覚と似ている感じがする。

 もっとギレーヌと仲良くなりたい。

 そのためにも、わたしの魔眼も教えてあげよう。

 

「わたしの右目は魂が見えます!焦ったり喜んだり、感情が動くと魂も揺らぎます!」

「魂はどう見える?」

「んーと、もやもやってしたやつですね。」

 

 自分の魂は別として、わたしは魔眼で魂をよく見ないと相手に無為転変が使えないのだ。

 ()()()()()()()()()()()はそれ単体では魂を知覚する力が弱いらしい。

 不便だね。

 なんていうか、()()()()()だ。

 これ単体じゃ自分しか弄れないんじゃないかな。

 ま、今はそんなことよりギレーヌと仲を深めたいのだ。

 

「ギレーヌってかあさまの知り合いですか?」

「あぁ、昔黒狼の牙というパーティーで───」

 

  

---

 

 

 日が落ち始め世界が橙色になり始めた頃にロアの町へ着いた。

 まず目を引かれたのは町を囲む巨大な壁だ!

 ギレーヌに聞くと、これは城壁らしい。

 ロアの町は正式には城塞都市ロアというらしく、400年前の魔族との戦争において、最終防衛ラインとして機能していた由緒正しき町なんだそうだ。

 

 大きな門からロアへ入ると露店商が立ち並んでいた。お土産何にしようかな?

 そのまま進んで行くと馬屋や宿っぽい店が並んでいる。

 それにしても人が多い。今日1日で見た人の数はブエナ村の総人数よりも多いんじゃないかな。

 奥へ行くにつれて武器屋防具屋、いわゆる冒険者向けの店の面々から町人向けの店並みへ変わっていった。

 わたしはアレコレギレーヌに町の質問をしたところ快く教えてくれた。

 

 家が大きいものが立ち並び、高級そうな店が増えてきた頃わたしはあることに気がついた。全然馬車が止まらない。どこに向かってるのこれ?

 

「ギレーヌ、にいさまの勤め先ってどこ?」

「ボレアス家だ。」

「ボレアス……。」

 

 パーティーの招待状が届いたときにとおさまがチラッと言っていたような気がする。

 

「それってどこの家?」

 

 わたしがそう言うとギレーヌは町の中央、この町でもっとも大きい城に指を指した。

 

「あそこだ。」

「えっ、にいさまあんな大きい所で働いてるの!?」

「あぁ」

「すっごい!にいさますっごい!!!」

 

 なんとびっくり、にいさまは7歳の頃からあんな所で働いていたのだ。 

 あの大きいのはロアの町の領主の家らしい。

 にいさまに感嘆していると馬車が止まった。

 

 馬車から出ると執事の人が1人立っていた。

 

「お待ちしておりました。ささ、こちらへ。」

 

 正面からではなく裏口へ案内される。

 わたしの存在はお祝いのサプライズまで、にいさまに見られるわけにはいかないのだ。

 執事の人についていくと応接間みたいなところへ案内された。

 ギレーヌは扉のすぐそばに立っている。

 ソファに座ると執事の人は紅茶を作ってくれた。 

 

「どうぞ」

「ありがとうございます!」

 

 琥珀色の水色をした湯気立ち上る紅茶は、高級そうな香りがする。

 ちょっと一口、うーんおいしい。

 渋さがあんま無い。

 それどころかちょっと甘いような気がする。

 

「ここか!」

 

 うぇっ!びっくりした。

 いきなり筋骨隆々のおじいさん、や、おじいさまが入ってきた。暗い茶髪には白いものが混じりだしている。しかし意気軒昂なおじいさまだ。

 とりあえず挨拶しよう。

 

「初めまして!トマ・グレイラットです!」

 

 リーリャに習ったようにスカートの裾をちょっと上げながらお辞儀をする。

 

「ふん!礼儀は出来ているようだな!他の家族はどうした!」

「とおさまは森の魔物が活性化しているため来れず、かあさま達は妹達が急に熱を出してしまったため来れなくなってしまいました。」

「それで貴様だけが来たのか!」

「はい、1人も家族が祝いに来ないなんて、悲しいことですから。」

「そうか!殊勝な態度だな!よし!この館への滞在を許す!」

 

 許された。

 というか今の問答で失礼しちゃったら帰ることになってたの?そうなったらわたし泣いちゃうよ。

 

「パーティーは明日!ルーデウスには見つかるなよ!」

 

 そう言うと部屋からドシドシと出ていった。

 嵐のような人だったな。

 でも声が大きいだけであんまり悪い人じゃないように思える。

 開けっぱなしの扉の方を見ているとまた1人、この部屋に入ってきた。

 

「あぁ、君がトマ・グレイラットだね。初めまして、私はフィリップ・ボレアス・グレイラットだ。話は聞いているよ。家族の様子はどうだい?」

 

 サラリとした茶髪の、いかにも貴族っぽい体の細い男の人だ。

 

「はい、リーリャもかあさまもいるので必ず治ります。」

「ははっずいぶん家族のことを信頼しているんだね。」

「家族は大好きです。ほかの何よりも。」

「そうかい、家族を大切にね。」

 

 フィリップさんは目を細め、何かを思い出すように実感のこもった言葉を送ってくれた。

 彼は家族に何かあったのだろうか。

 

「君のお兄さんはとても優秀だよ。ルーデウスが家庭教師になってからエリスは良く成長した。それに2人は仲睦まじくてね、恋仲にまで発展しそうだ。」

「えっ本当ですか。」

「本当さ。」

 

 (ギルティ)か?

 にいさま(ギルティ)か?

 シル姉という人がいながら浮気?

 ちょっと信じられない。

 今一度にいさまにシル姉の良さを語らねばならない。

 わたしの方からシル姉のご神体(一房の髪、魔術の練習中に切れてしまった)への祈り方を教えてあげよう。

 

「それでね、ルーデウスがとても優秀なのは知っているけれど、君はどんなことが出来るんだい?仲良くなるためにも教えてほしいな。」

「んっと、剣神流上級と北神流上級。初級魔術は全部無詠唱でできて、水と風なら中級もいくつか無詠唱でできます。

 一番得意なのは治癒魔術で、治療魔術中級と解毒魔術初級を無詠唱でできます!」

「なるほど……パウロの子供達は皆優秀だね。」

 

 フィリップさんは笑みを深めている。

 純粋な喜びだけに満ちた笑みには見えないが、まぁ、いいか。

 褒められてるし。

 いい気分だ。

 

「君の家族のことやここに来る前のルーデウスのことについて教えてくれないかい?」

「いいですよ!まずにいさまはロキシー先生を神と崇めているんです。祭壇だってあるんですよ。」

「ロキシー……あの水聖級魔術師かい?」

「そうです、ロキシー先生はにいさまの魔術の先生なんです。それからにいさまはシルフィエットという人とすっごく仲がいいんですよ!」

「……へぇ、詳しく教えてくれないかい?」

「シル姉は──」

 

 

 

 っは!話しすぎてしまった。

 この部屋の中からはわからないが、もう外が暗くなっているような気がする。

 そんな空気を察したのか、フィリップさんは執事の人にわたしが泊まる部屋へ案内させるよう言ってくれた。

 

夜ごはんはあてがわれた部屋の中では食べることになった。にいさまにバレないためにね。

 それにしても大きくて立派な部屋だ。

 ベットはふかふか机はピカピカ、さすが領主様の家だね。

 さて、ご飯食べて寝ようかな。

 あ、エリスさんに会ってないな。

 まぁ明日会えるかな。

 

 

---

 

 

 翌日、わたしは部屋で朝食を食べたあと、プレゼントを持って執事の人の後をついて行った。

 どうやらここは食堂らしい。

 豪華絢爛な料理が並べられ、獣族のメイド達が慌ただしくお祝いの準備をしている。

 そのごった返しの中でもとりわけ目立つ少女が目についた。

 燃えるような赤い髪に整った顔、表情は緊張6割期待4割といったところか。

 気の強そうな子だけれども、今纏っている雰囲気は優しく善意に満ち溢れているような感じだ。

 と、まじまじと見つめていたら目が合った。

 

「あんた……ルーデウスの家族?」

「んと、そうです。妹のトマ・グレイラットです。」

「ふーん……。」

 

 足の爪先から頭のてっぺんまでじろじろ見られる。

 えー……服装ダメかな?お気に入りの服なんだけど。

 

「ルーデウスに似てないのね!」

「わたしは母親似ってよく言われます。」

「そう!あ、プレゼントは私が一番最初に渡すんだからね。ちゃんと覚えときなさいよ!」

「わかりました。じゃあ2番目に渡します!」

 

 なかなか激しい子だなー。

 メグに似ている。

 ん?もしかしてこの人がエリスさんかな?

 

「あの、もしかしてエリスさんですか?」

「そうよ、私がエリスよ。」

 

 ……これは、シル姉のライバルになりそう。

 少なくとも、胸では完敗だ。

  

「もうすぐお祖父様達が来るから、そしたらギレーヌがルーデウスを連れてくるわ。あんたは隠れてなさい。私が合図をしたら飛び出すのよ。」

「了解しました!」

 

 用意された箱の中へ入る。

 視界は真っ暗だ。

 これ家族で来ていたらギチギチだったんだろうな。スカスカなのが寂しい。

 

 しばらく待つと、食堂のざわめきが無くなった。

 いよいよにいさまが来る!

 今か今かと武者震いを起こしていたとき拍手が巻き上がった。

 

「こ、これは……?」

 

 っ!!!にいさまの声だ!

 

「ルーデウス! お誕生日おめでとう!」

 

 エリスさんの声も聞こえる。

 心から祝ってるんだろうな。

 そんな感じの声だ。

 

「あ、そっか。俺、今日、10歳か……」

「ご、ごめんなさい。お、俺、こんな……こんな……初めてで……ここにきて……失敗しちゃいけないって思ってて……歓迎されてないって……失敗したら、と、父様に迷惑がかかるからって……い、祝ってもらえるなんて……お、思ってなく……て……ぐすっ……」

 

 えっ!?!?!?にいさまが泣いてる!?

 嘘嘘嘘!

 なんで。

 あのにいさまが?

 そんなに心細かったのかな。

 でも悲しくて泣いてるんじゃなく嬉しくて泣いてるっぽい。

 

「せ、戦争じゃぁ! ノトスん所と戦争じゃあ! ピレモンをぶっ殺してルーデウスを当主に添えるぞ! フィリィップ! アルフォォンス! ギレェェィヌ! わしに続けぇぃ! まずは兵を集めるぞ!」

 

 なんか物騒なことが聞こえる。

 ノトス?ってなに。

 でもにいさまが当主になったらみんな幸せになりそうだな。

 というかそろそろ出たい。

 にいさまに会いたい。

 

「お、お祖父様の事は置いといて……。今日はルーデウスがビックリするものを用意したわ!」

 

 エリスさんがいよいよプレゼントを渡すらしい。

 渡し終えたらついに飛び出せるだろう。

 

「びっくり、するもの、ですか?」

「なんだと思う!?」

 

 さっきチラッと杖が見えた。

 多分プレゼントはアレなんだろう。

 

「まさか、父様がここに……?」

 

 あっ……………………どうしよう……。

 来たのはわたし1人だけだ。

 いや、弱気になっちゃダメだ。

 1人でも精一杯お祝いしたらにいさまも喜んでくれる!はず!

 

「ぱ、パウロ……さんは、最近、森で魔物が活性化してるからこれないって……で、でもルーデウスなら別に俺なんかいなくても大丈夫だって……ゼニスさんも、子供が急に熱を出したからって……それで………えっと……もう!出てきなさい!!!」

 

 合図だ!

 箱の中から勢いよく飛び出しにいさまへ突っ込みそのまま抱き締める!

 

「にいさま!10歳おめでとー!!!」

 

 

---

 

 ルーデウス視点

 

 

 

 わざとらしく置かれていた巨大な箱の中から出てきたのは妹のトマだった。

 勢いよく飛び出して来たトマはその勢いのまま俺に抱きついてきた。

 

「にいさま!10歳おめでとー!!!」

 

 頭をグリグリ俺の胸に押し付ける。

 いやートマも大きくなったもんだ。

 今は7歳、いやもうすぐ8歳か?

 美幼女から美少女へと変貌を遂げている。

 

「エリス、トマを呼んでくれたんですね。ありがとうございます。」

「それもあるけど……もう一つびっくりするものがあるのよ!アルフォンス! 例のものを!」

 

 と、エリスが指をパチンと鳴らそうとしたが、失敗。エリスは赤い顔をした。

 しかしアルフォンスは気にせず、俺に見えない彫像の影から一本の杖を取り出した。

 それは『傲慢なる水竜王(アクアハーティア)』なる完全オーダーメイドの一品だ。

 エリスによるとフィリップとサウロスが頼んでくれたものらしい。

 

「ありがとうございます。パーティーだけでなく、こんな高価なものまで……」

「値段の事なんていいわよ!さぁ、早くパーティーを再開しましょ!せっかくのお料理が冷めちゃうもん!」

 エリスは上機嫌で俺を引っ張り、巨大なケーキが目の前に鎮座するお誕生日席へと案内してくれた。

 

「私も手伝ったのよ!」

 

 なんですって!?

 

 

 

「にいさま、わたしからもプレゼント。受け取ってくれる?」

 パーティーの料理を食べて食べて幸せそうに震えてたトマがトテトテと近づいてきた。

 5歳のときは花をくれたな。

 今回はなんだろう。

 まさかパンツ何てことはないよな……?

 こいつ俺の影響を受けまくってるからな……。

 さすがにパーティーの真っ最中で妹からパンツを受け取ってしまったら皆から俺への評価が著しく落ちる。

 そして門の前へ引きずり出され全裸で張り付けにされるのだ。

 恐ろしい。

 

「わ、わぁ、ありがとうトマ。……パンツじゃないよね?」

「……?パンツがよかった?」

「いやいやいやとんでもない!さーてどんなプレゼントかなー!」

「はい!これあげる!」

 

 渡されたのは骨の意匠が施された短剣だった。

 グリップにはなめされた革が巻かれていて手に吸い付くように握りやすい。

 おそらく土魔術で作られたシンプルな鞘から短剣を抜き出すとクリーム色の刀身が顔を出す。圧縮し練り上げられたように滑らかな刀身は切れ味より頑丈さを優先している印象を与える。

 これをトマが?

 父様に頼んで買ってもらったのだろうか。

 何にせよ、プレゼントをもらうってのは、悪い気分じゃない。

 

「ありがとうなトマ、大事にするよ。」

「えへ、その革のところはメグに頼んで譲って貰ったんだよー!骨の意匠のところと鞘はハナとシル姉に手伝って作ったんだー。」

「メグ?ハナ?新しい友達か?」

「うん!にいさまが友達は作った方がいいって言うから、勇気だして声をかけてみたの!そしたらね、今じゃ一緒にご飯食べるくらい仲良くなってね!」

 

 よかった、トマは俺にべったりだったから、いきなり居なくなったらどうなるか心配だった。

 この調子なら大丈夫だろう。

 前世でも弟はいたが、こんなことは考えもしなかったな。

 この世界にきて初めて兄貴って自覚が出来た気がする。

 っと、エリスがむくれている。

 

「ルーデウス!私の話を聞きなさいよ!」

「わかりましたよ。」

「わたしも聞いていい?」

 

 エリスはトマをジロッと見た。

 

「まぁ、ルーデウスの妹だし、いいわ!特別なんだからね!」

 

 ほ、よかった。

 俺みたいにいきなり殴られなくて。

 さすがのエリスも7歳の子には気遣いをするのだろうか。

 …………俺が初めてエリスと合ったときも7歳のだったような……。

 成長したってことか。

 家庭教師冥利に尽きるぜ。

 

 その後、トマはウトウトし始め執事の人に部屋へ連れていかれた。

 妙なことしたらぶっ殺すぞ!

 

 また、エリスもウトウトし始めギレーヌにお姫様だっこで寝室へ運ばれていった。

 最終的に、俺とフィリップが残った。

 

 

---

 

 

 トマ視点

 

 

 

 ベットに入って目を閉じる。

 するとにいさまの喜ぶ顔が浮かんでくる。

 むふふ、苦労したかいがあった。

 

 土魔術では丈夫な短剣は作れない。

 無為転変ではいずれ死んで腐る。

 よって、死なないように無為転変を調整しながら骨を短剣の形へ変えた後に、殺したのだ。

 

 使ったのはお馴染みターミネートボア、無為転変で腕と足の骨をよく圧縮して練り上げることで刀身が出来た。

 

 その分、魔力は多く使ってしまったけど、にいさまへのプレゼントなら惜しむ理由はないよね!

 それにしても、明日もにいさまに会えるなんて、ニマニマが止まらないー。

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