ロゼッタの弟は虚狩り 作:ンナンナ
○月○日 隕石らしき物がエリー都郊外に落下。しかし、衝撃波もクレーターも起きず真相は不明。大気圏で燃え尽きたと思われたが、それにしては落下時の光球の大きさから考えて燃え尽きるのは不可能。
○月✕日 攻略予定だった大規模ホロウが突如として消失。ホロウが存在していた場所は現行技術では考えられない損壊や爆発後が残されており、我々の把握していない者の手で戦闘が行われたことが予想できる。
○月△日 ホロウ攻略途中、苦戦していた部隊が謎の人物に救助される。その人物は真紅のアーマーを纏い右腕の肘から先が大砲のような物となった機械だと思われる。しかし、明らかに自我が有るようであり、知能構造体ではないかと思われる。しかし、部隊からの証言と企業のデータから考えて一致する知能構造体は確認されていない。
○月○✕日 市長とアーチ教授の指示により、件の知能構造体の捕獲を実行。対象が消耗した所を見図り、作戦を開始
○月○△日 ダメだ…件の対象は強すぎる。攻撃を開始した瞬間、戸惑う様子を見せたが、再度攻撃した瞬間、此方を殲滅対象と判断したのだろう。圧倒的な実力で此方を退けた。右腕のキャノン砲からは青いレーザーを放ち、一撃で大軍を破壊可能、出力を絞ることでマシンガンのように連射も可能。腕力、脚力も我々の想定を越えており、虚狩りを上回る。その上、バスケットボールほどの球体に変形可能で…その状態で転がるように高速移動可能。球体に変化し高速で転がりながら、大爆発を引き起こすボムを撒き散らすことも可能のようだ。知能構造体の良心だろうか、此方の死者は奇跡的に0だったが、彼がその気ならどうなっただろうか?
△月○日 大規模ホロウの攻略に派遣した虚狩り、レミエール・ダン中佐、ベリオラ・ヴァイク大佐の両名が件の知能構造体と接触。どうやら危ない所を件の知能構造体に救われたようだ。そして判明した事だが、件の知能構造体は知能構造体ではなく…宇宙人だった。我々が知能構造体と判断した外見はロボットではなく、パワードスーツの外装だったようだ。
「おいおい、カツ丼の1つも出ないのかよ?てか、ここの地球何があった?文明滅ぶ寸前じゃねーか」
「…質問に答えてもらうぞ。貴様は人間と同じ染色体の数を持ち、異星人の遺伝子も持っているのか?」
宇宙人…もといマリクは出会ったばかりのレミエールとベリオラに連れられてエリー都…未来では旧都と呼ばれる場所にやって来て、やって来て早々、サンブリンガーから事情聴取を受けていた。
事情聴取の前にマリクの遺伝子を採取して検査が行われたが、染色体の数は地球人と同じ数であり、遺伝子は地球人と未知の星人の物が混ざった物だった。
「まあ、そうなるよ。俺はキノコ王国という国の王子だったからな。滅んじまったけど。
宇宙人の遺伝子が混ざってる訳は、俺を保護したチョウゾの爺さん達がやった。惑星ゼーベスの過酷な環境に耐えられるように爺さん達とチョウゾの戦闘民族のDNAを俺に移植した」
「チョウゾ?」
「鳥人間とも言うな。高度なテクノロジーを持った大昔に栄えた人種さ。数百年前に爺さん達が死んだから、多分滅んだな」
「数百年前?貴様は幾つなのだ?」
「500からめんどくさくなって数えてない」
サンブリンガーは表情を変えないが、驚くことしかない。後天的とは言え目の前の男が地球人とチョウゾのハーフであること。数百年は生きていること。謎のパワードスーツだったり、軍隊を一方的に退ける実力や大規模ホロウを単独で解決させる戦闘力などキリがない。
「貴様の所有品を一通り調べたが、パワードスーツは無かったぞ?」
「それは俺の中に有るからだ。チョウゾのパワードスーツは細胞の中に記録されていてな。任意に構築できて纏えるんだ、こんな感じに」
そう言うと、マリクは瞬時に真紅のパワードスーツを展開し、そして数秒で解除した。
「まるで変身だな」
「それに近いかもな。で、俺の所有品はいつ返してくれるの?お父様の形見とか色々有るんだけど」
サンブリンガーが押収したマリクの所有品だが、マリク自作の多機能ブラスター、ひらりマント、めっちゃ頑丈な傘、何故か顔があるカブ、謎のキノコが2種類、謎の花である。
「この銃、傘、マントは分からんでもないが…このキノコは?」
「赤い方は食べると面白いぞ?毒はないさ」
サンブリンガーはそう言われて、赤いキノコを食べる。その瞬間、謎の効果音が響いてサンブリンガーは3倍ほどに巨大化した。巨大化したサンブリンガーは天井を突き破り、立ち上がると…更に天井や壁を破ってしまった。
「なっ…これは何が起きたぁぁぁあ!?」
「スーパーキノコは食べるとでっかくなって強くなる!」
「もう1つのキノコは!?」
「緑のキノコは1upキノコ!!力尽きてもへっちゃら!人生もう一回できるぐらい元気になって、どんな怪我や病気もへっちゃらさ!前もって食べても効果があるぞ!!」
サンブリンガーパイセン、キノコ王国の洗礼を受ける。
しかし、単独でホロウを解決できる戦力。いくら宇宙人としても置いとくのは持ったいなさすぎる。そこで政府は考えた。宇宙人マリクをホロウ災害の戦力として使い潰し、その後は解剖するなりしてチョウゾのテクノロジーをゲットしてしまおうと。なに、死人にくちなしだし、そもそも宇宙人…死んでも誰も悲しまないさと。
だが、政府の思いに反して…
「速!?」
「生身でも私より速くないですか!?」
マリクは想像以上に強すぎた。パワードスーツ無しでも、時速200キロ以上の速度を叩き出して、腕力でエーテリアスを叩き潰す。自作ブラスターで的確に射撃で潰していくし、時には自作ブラスターを光波を放つ剣に変形させて切り裂いたり、そこら辺の道路標識を捥ぎ取って鈍器にして振り回す。
そして…彼は…
パワードスーツを纏ったマリクがホロウを突き進む。前方には無数のエーテリアスが迫り来る。迫り来るエーテリアスに対して、マリクは球体…モスボール形態に変形し、高速で転がりながらボムを射出する。モスボールになることで、エーテリアスの間を圧倒的な速度で通りすぎて、通りすぎた頃には無数のボムが連鎖爆発を引き起こし、エーテリアス達は木っ端微塵にくだけ散る。
そしてモスボールから元に戻り、前方に右腕のブラスターを向けて...砲口から音速でミサイルを放ち、ミサイルは遠くから迫ってきたエーテリアスの弱点に着弾し爆発する。
「グギャァァ!!」
エーテリアスの悲鳴が聞こえ、空気が破裂する音が聞こえて…マリクが立っていた所がくだけ散る。その刹那…爆発的な速度で跳んだマリクはとあるエーテリアスの眼前に現れて、左の拳の一撃でそのエーテリアスを叩き潰す。
「終わりだ」
確認した巨大エーテリアス。その巨大エーテリアスに向けて右腕のブラスターを向ける。すると、ブラスターの砲口からバチバチと青白いエネルギーが溢れだし…莫大な熱量と共にレーザーが放たれて…巨大エーテリアスを一撃で撃ち抜いた。
そして彼は虚狩りとなった。
百年前時点のマリクに勝てるヤツいるの?
レイヴンビークなら。まあ、銀河系終了のお知らせだけど(笑)
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