今回は馬視点多めです。
それじゃよろしくお願いします。
1996/2/25(日) 中山11R
第14回中山牝馬ステークス GIII 芝1800m
このレースはある男にとって最後の舞台だった。
4番人気15番サクラキャンドルと大島太。
前年の秋に10番人気で
立て直しを図ったのがこの中山牝馬ステークス。
そして長らくサクラ軍団の主戦騎手を務めた大島太の騎手引退レースでもあった。
『……第四コーナーをカーブ残り400のハロン棒を通過、前はブランドノーブルメジロアムールこの2頭だ』
サクラキャンドルは1番外を通り、7番手から8番手の位置。
中山の直線は短いがこの位置ならまだ差し切りはありえる。
『さあ四コーナーカーブから最後の直線コース、ようやく来たプレイリークイーンあたりが3番手上がってきている!更にはオレンジの帽子アルファキュートか!』
先頭はメジロアムールと先頭を争っていたブランドノーブルが早くに失速しメジロアムールが先頭に立ったが、プレイリークイーンの手ごたえもいい。
『さあサクラキャンドル大島太!サクラキャンドル大島太はどうか!もがいているもがいている!あーどうか?伸びないか!大島太は伸びない!』
直線に入ってサクラキャンドルは加速できず馬群でもがき、徐々に失速してしまっていた。先頭争いに入っていけずそのまま中山の急坂を迎える。
『さあ先頭はゼッケン8番、ゼッケン8番プレイリークイーンだ!外からショウリノメガミ!竹豊来た!竹豊来たが届かない!』
到達順 1着 8番プレイリークイーン 菊山隆徳
2着 1番ショウリノメガミ 竹豊
3着 5番スプリングバーベナ 田中勝秋
サクラキャンドルと大島太は9着に終わった。
ピンクの勝負服が緑のターフに映える男、大島太はこれにて騎手人生を終えた。
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サラブレッドとは走るために生まれたとはよく言ったもので母親から離乳してからというものの毎日放牧地で走り続けている。走り続けているうちに同世代の馬たちなのかは分からないがその馬群のトップを走るようになった。
俺たち馬の世話をしてくれている牧場のスタッフたちの話を盗み聞きしたのだが俺はテスコボーイのクロスが非常に濃いらしい。人間だった頃は競馬ファンでウイポなるものをプレイしていたので血統表にある大体の馬は分かる。
テスコボーイはトウショウボーイやテスコガビーの父親で現代競馬でもその血はサクラユタカオーによって引き継がれていて、トウシンマカオとかもテスコボーイの血を持っていたはずだ。
クロスが非常に濃い馬は体質の弱さや気性の激しさを生むというが、俺は元人間だ。気性が激しいことを望むドM牧場関係者は流石にいないとは思うが一応謝っておく。
スタッフの話を聞いて《そういえば自分の父親と母親が知りたい》と前々から思っていたので頑張ってこれまでの記憶を遡ってみることにした。
母はキャンドルとスタッフから呼ばれていてエリザベス女王杯を勝利したことがあるらしい。頑張ってエリザベス女王杯の歴代勝ち馬を思い返すとサクラキャンドルという名前を思い出した。
サクラキャンドルが勝ったエリザベス女王杯は確か馬波アナウンサーがサクラキャンドルをフェアダンスと誤認して直線ゴール板手前まで『フェアダンス先頭!フェアダンス先頭!』と実況していたがゴール板で『先頭はしかしこのあたりサクラキャンドル!サクラキャンドル!サクラキャンドルであります!大島太とサクラキャンドル!』
みたいな実況をしていた気がする。
まあ勝負服が似ていたのは確かだし誤認は仕方ない。
ん?なぜそんな記憶があるのかって?
WINSでフェアダンスの単勝馬券握りしめてぬか喜びしたからだよこんちくしょーめ!
まあこの話は後々するとして。
問題は父親だ。俺が産まれた時に柏木さんは… 柏木さんっていうのは特に俺のことを世話してくれているスタッフのことだ。柏木さんに代わってこれからよろしくと言っておく。
話を戻すが、その柏木さんは確かに『ロータリーとキャンドル』と言っていた。その後は聞こえなかったが確かに柏木さんはこう言っていたはずだ。
俺の記憶の中ではロータリーという馬で重賞を勝利した馬はクリロータリーという馬しか知らない。だがそのクリロータリーは牝馬だ。ならばこの候補は間違いだろう。
重賞未勝利で繁殖入りした可能性もなきにしもあらずだが…
とりあえず父親は頑張って記憶を遡ってみても分からないままだ。しかし母親が分かったのは大きい。
まあサクラキャンドルの年代から逆算して2000年前後なのは間違いないだろう。2000年前後に当歳なら牡馬クラシック戦線では…
01世代だったらアグネスタキオンやジャングルポケット。
02世代ならタニノギムレットとシンボリクリスエス。
03世代ならばネオユニヴァースandゼンノロブロイ
04世代であればキングカメハメハ+ハーツクライ
05世代を相手取るならディープインパクト
魔境過ぎる。
クラシックを勝てる未来がまったく見えないじゃないか。
古馬路線にいってもどうせ同じ相手を迎えることになる。
逃げ場が無い…
調教師大島の話はまた今度。
次話に持っていこうかなと考えています。