カス性格バトル   作:匿名の筆者

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2mの身長を誇る筋肉女、イヴォンドー

 

 我が能力は【硬化の怪光】! 

 そんな決めゼリフを子供の頃、いくつも考えたくらいには、私のパワーはものすごい。

 学校に通っていた頃はもしも能力が手に入ったらどんなのがいいかとか考えてて、正直みんな通る道だろうけど、妄想を重ねてた。

 どんな土にだって小麦を生やせちゃう能力! 

 本に書かれていた英雄の能力は、それだった。強い能力が欲しくて、流れ星があれば祈り続けた。

 

 ただ、作物を生やす能力は発現したものの、竹限定だったから悲しい。期待させておいて落胆すぎる。

 でも、なにより竹は小麦と比じゃないくらい勝手に広がっていくから危うい。

 

 能力をあんまり使わないように誓ったのは、あの時だ。

 ちょっとした嫌がらせで、仕事を増やしてやろうと嫌いな奴の畑に竹を生やした。

 あの時は春──ちょうど種まきの時期だった。

 領主の畑に行くとなれば毎年、村長が農奴に向かって働けと言ってくる。自分の土地で耕す農奴まで村長に取り上げられる。動機の説明はこれだけでいいだろう。自分の土地の農奴を勝手に毎年領主が持っていくだけでもマジで大嫌いだし、村長の畑を対象にしたのは……まあ、ほんの出来心というやつだ。耕すのに困ればいいじゃないかと、そう思って使った。

 ぽわわん、ぽわわんと音を出しながら、緑色の光が地面を覆った。

 領主から犂と馬を借りてきたというけれど、それでも耕せないくらいには土がまず異常に硬くなった。

 村長は怒り狂っていたが、それが家ひとつ分くらいの面積だったからよかった。

 やがて竹がどんどんと生えてきて、さらには耕した地面にまで芽が出てきた時点で確信に変わった。

 村長の畑は竹林になる。

 近場の林は領主が持っているものだし、竹は色んなものに使えるから土地を取り上げかねないと思って、村長は慌てていた。

 みんなでタケノコを刈り取ったり、木こりたちはノコギリを持ってきて地下茎を削ったりした。

 

 味は美味しかったけれど、ちょっぴり罪悪感がした。

 竹は領主様が高級木材が取れない場所に植えていたりして、けっこういろんなところで食べる。

 元手が0で、農奴たちを働かせるだけでこんなにも美味しいタケノコが食べられるなら、村長の畑がちょっぴり耕せなくてもまあいいや。

 ──と、当時の私は思っていて、竹が自分の畑までも覆い尽くすことを知らなかった。

 

 私は顔が美しいだけでなく、お金を稼ぐパワーがある。物憂げにベンチに座るだけで、求婚してくる連中は絶えない。

「お金を持ってきたら会話してあげる」と言えば、衛兵がすぐ横にいるベンチだし、もしも求婚者たちが怒ってぶん殴ってきてもすぐに斬って成敗してくれる。

 

 短気の悪者は成敗されて、とってもせいせいする。

 田舎出身っぽい雰囲気を出さないように、姿勢とかそういうのに気をつけているからかなあ。

 不労所得の極み、と言ってもいい。

 

 責任を負わなくても勝手に金が舞い込んでくるなんて嬉しいね。

 とまあ、きらびやかな都市からお金を稼いで帰ってきたのも束の間、村長の息子からの求婚をどうしようか迷っている。

 立場としては村長も貴族の役人とはいえ農民だし、そこらの連中とは格が違うのはわかる。でも、私はもっとイケメンな人と結婚してみたいし、なにより性格も悪くはないんだけどイマイチ。

 なんかこう、うまく言い表せないんだけどパッとしないというか、武勇伝も嘘か誠かわからない。

 

 領主の息子は弓術の達人と聞くけど、その人が開いた弓の試合で、なんと10の的に、用意されていた10本の矢を見事命中させたらしい。

 「ふーん、じゃあ皆中させてすごいね」って話だ。十回やって十発命中した、まあそれが凄いってのは漠然とわかる。でもいまいち何が凄いのかはよく分からない。

 

 なんか領主様にも声を掛けられたとかは自慢してくれたけど、夫が武官になるのは嫌だな。

 戦争になったら弓兵なんて馬に乗っていなきゃ活躍できないし、なにより、そうそう弓矢なんて当たらないはずだ。

 今まで戦争帰りの農奴たちから話を聞いてきたけど、「弓矢は一発も当たらなかった」とか「最前線で敵の農奴と戦ってきた」とか、そういう話ばっかり。

 戦争帰りの農奴たちは全員、弓矢に当たったことがないと言っている。

 実体験として語っている人が全員「俺は矢に当たったことがない」と言うのだから、クロスボウも弓も大して当たらないはずだ。

 

 

 領主の息子と同じスコアだ〜とか語られてもさ。ちょっと思うんだけど、今の時代に武力って本当にいるのかな? 

 武官になっても指揮はできないし、ただ最前線じゃなくてちょっと後ろから平民に混ざって弓矢を撃つだけ。

 

 戦争があっても死ぬのはだいたい、どっか遠くからやってきた農奴たちだし、自分の農奴が徴兵されても困るけど……前回の戦争は季節の変わり目だったし、これなら戦争でもすぐ終わるはずだ。

 

 そう考えて、当時の私は戦乱から目を離した。




イヴォンドー

身長:およそ2メートル
体重:およそ110キログラム

趣味:飲酒・岩の破壊・近くにある木の幹に拳の跡をつけること・風呂に入りながら酒を飲むこと・睡眠中でも酒を飲むこと

最近の思惑:村長は有力者だけど気に入らないし困らせてやる
村長の息子も生意気だし、顔もイケメンっちゃイケメンだが図に乗りそうだし、褒め言葉は言わないで自己肯定感を下げてやろう
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