仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件   作:熊鏡

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第10話

 

 あのデートから二日後。

 俺は相変わらずしっかり仕事していた。

 

「で、デートはどうだったんだよ」

「大成功?」

「殺すわ」

「この先輩えぐ」

 

 なんで即殺害予告はいるんだよ。

 怖すぎだろ。

 

「当たり前だろボケが。ふざけんなよお前」

 

 呪詛が聞こえるレベルでこええんだけど。

 怨 呪 殺 みてえなさ。

 

「まぁいいじゃねえか幸せそうだし。俺が呪っても」

「いいわけなくてやばい」

 

 なんて事言うんだこの人。

 

「何でお前だけ——————!!」

「先輩と違って地雷にかかってないだけっす」

「ち゛く゛し゛ょ゛う゛」

「こっわ」

 

 人の形保ててねえって。

 

「なぁ、今度飯行くか」

「いいっすね」

「ついでに紹k—————「きっしょ」おいお前マジで傷つくぞ」

「いやきしょいでしょ」

 

 何言ってんすか。

 

「クソが」

「まぁとっととヤニ吸い切って仕事終わらせましょうや」

「せやな」

 

 今日もがんばろ。

 

 ———————————

 

 はい今日もクソでしたよっと。

 今日も今日とて喫煙所に向かう。

 

「よ」

「お疲れ様っす」

 

 タバコを吸っている途中の優奈さんとかちあった。

 今日もいるなあ。

 

 カチャッ、シュッ、ボッ。と、オイルライターに火をつけて、タバコに火を灯す。

 

「スゥー…スゥ」

 

 口腔にはいった紫煙を肺に入れる。火をつけて一番最初に入るこの煙が好きだ。いの一番に肺を埋めて、脳にニコチンを届けてくれるこの時間が好きだ。

 

「ハァアアアア…」

 

 大きく吐き出し、もう一度咥える。

 うん。うまい。

 

「今日も変わらず?」

「今日も変わらず。そちらは?」

「変わらず」

「「はぁあああああああ…」」

 

 ああ、煙も出ない吐息に何の価値があるのか。

 

「不労所得が欲しい」

「私も欲しい」

 

 空から6億くらい降ってこねえかな。

 

「まぁ、そんなうまい話なんてあるわけもなく」

「今日も今日とてクソ労働と」

「ゴミー」

 

 ゴミ。

 

「月曜ってのがまた最悪っすけどね」

「わかるなぁ」

 

 最悪だねぇ。

 

「明日のことなんて考えずにおねーさんとしっぽり飲まないか?」

 

 と、こちらへ向ける眼差しはあまりにも蠱惑的で。思わず誘いに乗ってしまいそうだった。が

 

「明日の仕事で死ぬんでやめときます」

「釣れねえでやんのー」

 

 正直危なかった。

 

「俺が高卒すぐのクソガキだったら負けてましたね」

「クソガキであれよ」

「無理でーす」

 

 まーじであぶねえ。まじであぶねえ。思わず別サイト掲載ルート入るところだった。

 あぶねえええええええええ。

 

「意気地無しめ」

「無茶言うな」

 

 無茶言うなよまじで。

 まだそんな関係性じゃないだろって。ここで転がり落ちたらひっどいことになるぞ。

 

「なれよ酷いこと」

「とんでもねえなこの人」

 

 ぷけ〜。と煙を吐きながらさっきより若干やさぐれている。

 

「今俺のこと笑ったか?」

「弟さんいるんすか」

「いないわ」

 

 伝わりづらいネタはやめなさい。

 

「あーあ。私が年下なら蓮くんに『先輩』って呼べた世界線もあったのに」

「怖いっすねその世界線」

「なんで」

「俺が犯罪を疑われそう」

「えぐ」

 

 ネガティブすぎでしょ。と優奈さんは二本目に火をつけた。

 

「ネガティブくらいが丁度いいんすよ」

「よくないわ」

 

 ばーか。とデコピンされる。

 

「いった」

「全く」

 

 ふむ、と口元に手を当てて。何かを思いついたように優奈さんはニヤけた。

 

「なぁ蓮くん。明日に響かせないからさ。イケナイこと…しよ?」

「は??????」

 

 は???????

 

 

 

 —————————

 

「いやーやっぱこの時間帯の揚げ物は罪深いねぇ」

「そんなこったろうと思いましたよ」

 

 俺たちはコンビニでホットスナックを買って食べていた。

 

「えー?そんなことって何?蓮くんは何を期待したのかな?」

「えっちなこと」

「えっ!?」

「自分で振ったくせになんでそんなキョドるんです」

「セ、セクハラ!!」

「すみませんでした」

「弱ぁっ!?」

「何言ってんですか女性の匙加減で俺たちはいつでも社会的に死ねるんですよ」

「ご、ごめんね??」

「許します」

 

 全く。気をつけてほしいものだ。

 

「ん〜。んま〜!!やっチキンにはコーラだよね」

「俺はコーヒー派です」

「それはコーヒー好きなだけでしょ」

 

 当たり前じゃないすか。

 

「当たり前みたいな顔するじゃん」

「当たり前でしょ」

「…まぁ、これにもデメリットあるんだけどね」

「なんすか?」

「…またタバコ吸いたくなる」

「それはそう」

 

 この後めちゃくちゃタバコ吸った。

 

 

 —————————

 

「割と本気だったんだけどなー」

 

 あの後二人でタバコを吸って解散した。私としてはあのままホテルに行ってここじゃ言えないような事をぬっちゅんぶっちゅんヤる気だったのだが。

 

「まだ足りないのか」

 

 次回こそダボ酔いして「終電、無くなっちゃったね(はぁと)」するべきか。

 まぁまだ他の女の影はない。まだチキれる…いや。これがダメか?

 

「もう既成事実作った方が早くね?」

 

 やっちゃえ!するか。

 

「覚悟しとけよ」

 

 するのは私か。

 静かに覚悟決めながら、私は帰路についた。

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