【しごヤニ】仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件   作:熊鏡

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第14話

 

 愛おしくも憂鬱な日曜の朝。俺はタバコを燻らせながら朝日をみていた。

 これで朝日を浴びながらタバコを吸えれば文句はないのだろうが、ベランダで吸うのはマナー違反だろうし。わざわざ下でタバコ吸うほどの体力はない。

 地元なら吸えたのになぁ…

 

「コンクリートジャングルがよ」

 

 チョーシのってんちゃうぞ社会性が高かっただけのハゲザルが。

 

「まぁ俺も一緒か」

 

 紫煙が換気扇に吸い込まれるのを眺めながら、朝イチのヤニをゆっくりと。噛み締めるように吸い込んだ。

 

 

 ——————————

 

「朝かぁ…」

 

 起き抜けに、昨日の通話を思い出して笑いそうになる。

 昨日は楽しかったなぁ…ちょっと話すだけで満たされるなんて、我ながら単純すぎるかもね。

 

「まぁ、単純でもいいよ」

 

 その方がきっと生きやすい。

 全部直球ストライクぶちまける方が絶対強いんだから。

 

「スゥ…」

 

 ジェットライターをつけて、タバコに火を灯す。

 口腔に煙を吸い込んで、ジジジ…と、音を立てながら燃えていく。

 ひとしきり煙で口を満たしたら肺に煙を入れて、吐き出す。

 

「はぁああああああああ…」

 

 大きく煙を吐き出して。朝一番のそれを味わう。

 

「…吸ってみれば存外ハマるものなんだなぁ…」

 

 蓮くんと話す口実に始めたタバコだけど、私のストレス解消に一役買っている。

 クソ客にクソ不運が重なっても、とりあえず一吸いしておけばなんとなく持ち直せるし、朝イチの一服の時なんて天国だ。

 

「高いのだけめんどいよねー」

 

 ちくしょうタバコ税。

 

「今日もいい日にしたいね」

 

 紫煙が換気扇に吸い込まれていった。

 

 —————————

 

 愛おしくも憂鬱な日曜が過ぎ、今日も仕事に従事する。

 

「真壁。頼んでいた仕事はどうなってる?」

「現在7割程度終了しています。あとは先方からの返答次第です」

 

 実際これ以上はこっちでやりようないんだから間違ってない。

 

「催促するなり擦り合わせるなりあるだろうが」

「それで先方の機嫌を損ねたら責任は誰が?」

「お前の仕事なんだからお前が持て!!」

「なら責任があるんで催促もすり合わせもしません」

 

 それで機嫌損ねたら意味ないだろうが。

 

「生意気な…!!」

「これで迷惑がかかるのは課長のみならず部長、ひいては会社ですよ」

「ぐぬ…しかし上司に対する言い方というものがあるだろう」

「そちらに関しては申し訳ありません。ですが、課長には嘘をつきたくないので」

 

 これで面倒な受け取り方されたら困るんだよ。

 

「なるほど…なら仕方ないか」

 

 なんか照れたみたいな顔すんなキメェなマジで。

 

「そういうことですので、これで失礼させていただきます」

「わかった。よぉく励めよ」

 

 そして、面倒な課長の対応を終え、自分のデスクに戻ると。

 

「真壁先輩ってよくあの課長とまともに話せますよね」

 

 隣のデスクの後輩、七瀬が話しかけてきた。

 

「ああ、七瀬はよくだる絡みされてんだっけ」

「あの課長女ってだけでデレデレしてくるからキモいんですよね」

「言っても七瀬もしっかり対応してるじゃん」

「さしすせその応用でなんとかなりますよ」

 

 料理じゃない方のやつか。さすが。すごい。みたいなやつ。

 まぁ七瀬は美人なのもあるだろうな。

 

「よかったら今度飲みに行きません?」

「彼女に殺されるから無理」

「彼女いたんですか…!?」

 

 そんな驚く顔する??????

 俺と七瀬は仕事をする手を止めないまま、小声で雑談していた。

 

「だって、女性の影とかなかったのに…」

「まぁ最近だからな」

「え、いつですか??」

「金曜に」

「最近じゃないですか」

 

 確かに。

 

「どんな相手なんですか??」

「んー…残念系年上喫煙美女??」

「なにそれ詳しく」

「秘密」

「ケチですね」

 

 なんでやねん。

 

「ま、いいですけど」

「ならよかったわ」

 

 お、昼休きた。

 

「じゃ、昼行ってくるわ」

「はーい」

 

 ————————

 

 昼休憩、いつもの喫煙所で。

 

「で、最近はなにがあった?」

「付き合えました」

「よぉしおにーさん根性焼きしちゃうぞぉ」

 

 えぐ。昔の土木かよ。

 

「シンプル暴力でやばい。部長にちくりますね」

「ごめんじゃん」

 

 えー?

 

「許せねえなぁ」

「コーヒーでどうすかパイセン」

「いいすよパイセン」

 

 俺は寛大なので。なので!

 

「あざぁっす!!」

 

 人の金でのむコーヒーは美味い!!

 

 

 ————————

 

 仕事が終わり、俺は優奈さんと待ちあわせた喫煙所に向かった。

 

「よ」

「お疲れ様っす」

 

 先に仕事を終えてタバコを吸っていた優奈さんがいた。

 懐からタバコを取り出して、オイルライターでタバコに火をつける。

 

「スゥ…スゥー…っはぁあああああああ……」

 

 口で煙を吸って、肺に取り込んで。煙を吐き出した。

 

「ぁあああああ゛…」

 

 うますぎる。

 

「わかる〜…」

 

 憂鬱な月曜日でも、これなら意外と悪くない。

 紫煙が空に溶けていき、月曜の夜が更けていく。

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