【しごヤニ】仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件 作:熊鏡
また、始まる。
死に物狂いで調整して。調整したら報告して。
相手と擦り合わせて。身内の他部署と揉めて。
そんな地獄を繰り返している。
「これが終わったら絶対有給とるんだ」
「そうです。絶対休んでやる」
バチバチにキマった目になり、死に物狂いで仕事を終わらせていると、課長から声がかかった。
「七瀬、真壁。この案件終わったら代休込みの有給でまとまった日にち休んでいいぞ」
「承りました。終わらせますよ真壁先輩」
「承知しました。ミスらないで下さいね七瀬さん」
「それはそう」
俺たちは修羅もかくやという表情で仕事を終わらせた。
昼休憩。俺は急ぎつつも味わって弁当を食べ、駆け込むように喫煙室に入った。
シャッシャッ!とオイルライターを回し、急いで火をつけタバコに灯す。
「はぁあああああああ⋯⋯」
「お疲れだな」
「修羅場えぐいす」
一足先に来ていた先輩に軽口を叩いて、思わず愚痴をこぼした。
「まぁ、今回のやつはそうそうねえけどな」
「そうそうあっちゃ困るんすよ」
「そうね」
ぷけー、と紫煙を吹き出す先輩の背中は黄昏ていた。
「まぁいいじゃんお前彼女いるんだから」
「はい」
「ころす」
「なんでだよ」
同意したやん。
「どうせえっちなことしてもらってるんだろ!!」
「せいぜい添い寝ですよ平日は。仕事あるもん」
「こ ろ す」
「なんでぇ!?」
「癒されたまま床に就くとかふざけんなよマジで」
キレすぎだろ。
「じゃなかったら壊れてるっすよ」
「七瀬さんの前で言えんのかそれ」
「言えるね!!」
だってあの人普通にモテるから!!
「モテるのといい出会いがあるのは違うぞ」
「うわ説得力すご」
「なんだ貴様張り倒すぞ」
「過去の恋愛経験」
「⋯⋯⋯」
「黙っちゃった」
「うるせえよ」
そっぽまで向かれた。
「まぁいい出会いもありますよ」
「なら紹介してくれよ」
「出来る子居ません」
「カス!!!」
あえてなくてもいうじゃん。
「俺は重力に魂引かれた覚えは無いんすけど」
「女にひかれてるもんな」
「それは先輩」
「は?」
「ちがうんすか」
「⋯」
ききすぎでは?
「クソが」
「まぁまぁ」
いつも通りの昼もいいものです。
「あーーー、戻りたくねえ」
「とっとと苦しめクソ野郎」
「カス!」
最悪や。
この後戻ってめっちゃ仕事した。
―――――――――
残業も終えて、優奈さんのところに帰る。
「おかえりー」
「ただいまー」
帰ってきた流れでハグして、手洗いうがいして食卓へ。
「まだしばらく忙しそ?」
「そうなんすよ⋯まだまだ忙しいのが現状っす」
「大変だねえ」
「ほんまに」
落ち込みつつもご飯を口にする
「⋯!うま」
「でしょ?」
やっぱ美味い。
「毎回美味しいって言ってくれると作りがいがあるねえ」
「こっちとしては本音っすけどね」
「それが大事なんだよー。よく出来てる 」
やったぜ。
「お。自慢げ」
「できてるって言われたら嬉しいじゃないすか」
「あーね」
ニコニコとしながらこちらを見てご飯を食べる優奈さんを見ると、なんとなく居心地が悪い。
「ま、これがあれば仕事頑張れちゃいますからね」
「んふふ。なら良かった」
あとは決定的に間違えないだけ。
「なんか余計なこと考えてない?」
「いいえ?」
余計なことは考えてませんよ。余計なことは。
「まったく」
「なんで???」
こっちが悪いの?
「嘘嘘。悪くないよ」
「なら良かった」
プレミしてたら切腹してた。
「取り敢えず蓮くんが楽になるまで私も頑張らないとねえ 」
「無茶はさせたくないんすけど」
「無茶はしてないよ。私がしたくてやってることだもん」
「ならいいんすけど」
無理無茶はさせたくないよね。
「甘いねえ。蓮くんは」
「そりゃ彼女にはね。大好きですから」
「んぐっふ」
「大丈夫ですか?」
「大丈夫ですけどぉ!?」
キレすぎでは?
「まあまあ落ち着いて」
「落ち着いてますー⋯!」
絶対嘘。
「絶対嘘だ」
「落ち着いてるもん!」
「な、なら信じますけど」
まぁ本人が言うなら⋯
「それはそれとしてご飯食べたらいつも通りね」
「はーい」
と、残り少ないご飯を味わって食し、俺はシャワーを浴びに行った。
上がると、優奈さんはソファーに座ってサブスクを見ているようだった。
「あ、蓮くん」
ぽんぽん、と膝を叩きながら手招きする。
「え?」
「おいで」
「はぁ」
とりあえず横に座ると、優奈さんに肩を抱かれて倒される。
「⋯?」
「お疲れ様ってわけ」
「なるほど」
ふにふにの太ももを枕に、俺は膝枕を堪能していた。
「重くないすか?」
「心地いい重みだよ」
「ならいいんすけど」
ちゃんと髪乾かしといてよかった。
「今日はゆっくり癒してあげるよ」
「は?ちょっとま」
あばばばばば。
このあとしっかりしぼられました まる