【しごヤニ】仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件 作:熊鏡
七瀬さんをどうにか宥めつつ仕事を終わらせ、俺は仕事終わりにいつもの喫煙所で優奈さんと待ち合わせていた。
「おつー」
「おつかれっす」
ゆったりと優奈さんの横に移動してタバコに火をつける。
肺まで紫煙を取り込んで、大きく吐き出す。
「あーーーーー」
「おつかれだねえ」
「彼女持ちになったらなったでしっかりやっかみを受けまして」
「ぜーたくな悩みじゃん」
「それはそう」
まぁそうなんだよな。しょうがねえけど。
「ま、仕方ねえっすね」
「そうそう。仕方ない仕方ない」
ニマニマとこっちを見る優奈さんに若干はモヤつきつつも、まぁ仕方ないかと流すことにした。
「今日泊まってく?」
「いいえ。金曜辺りにしておきます」
「その方がゆっくりできるもんね?」
どこか艶を含んだような優奈さんの笑顔に気圧されつつ、俺は本題を切り出した。
「そういえば、課長から有給と振休貰ったんで今週末から結構長めに休めるんですよ」
「え?マジで?」
キラキラと瞳を輝かせ、嬉しそうに聞き返す優奈さんを見つめて、俺は言葉を返した。
「まじです」
「泊まり放題じゃん!」
「優奈さんの負担になりません?」
「居てくれた方がめちゃくちゃ嬉しいけど!?」
おおすっごい元気じゃん。
あ待って周りの視線が痛い!!ごめんなさい!!!
「なら良かった」
「んふふふふ⋯これは楽しみですなあ」
「そうすか?」
「うん!!!」
すごい笑顔。やり甲斐があるというものだ。
「じゃ、また明日」
「ん。また明日。駅まで着いてっていい?」
「逆に家まで送りましょうか?」
「送られたらそのまま泊めたくなるからだーめ」
「うーす」
そうして、俺たちはタバコを揉み消して、喫煙所をあとにした。
―――――――――――――――
「あーーーーーー、泊まりゃよかったか」
クソ。今更寂しくなるとは。
離れてからの方がきっついんだよなあ。泊まればそんなことは無いんですけど⋯
「泊まりゃそもそもズブズブに溺れそうだからやめて起きませう」
ほんまに。
「あーーー、ヤニ吸って寝よ」
さぁてさてさて。あと数日。本気で頑張りましょうかね。
――――――――――――――――――
「そういえば真壁先輩」
「ハイなんですか七瀬さん」
「彼氏が出来そうです」
「お。良かったじゃん」
「うへへへへへ」
浮かれポンチになってやがる!?
「どうしたんですかそんな締りのない顔で」
「ゲーム経由で話してる子がめちゃくちゃ純で可愛いんですよーー」
子⋯!?
「まさか未成年じゃ⋯!」
「なわけないでしょ歳下だから子って言ってるんです」
「そ、そうか。なら良いんだけど」
あ、焦った⋯!!遂に犯罪するのかと。
「なんか失礼なこと考えられてる気がする」
「気のせいです」
あぶねーーーーー。
「まぁこれで俺が嫉妬される要因はないですね」
「そうでもないですよ」
なんでやねん!!
「福島の子なんです。遠いんですよね」
へ、へーーーー。まさか⋯!?いや、流石に
「へー、それアルファベットでryoって名前で、俺の4歳下の20歳だったりします?」
「なんでわかったんですか?こわ」
「暫定俺の従兄弟だからですねえ」
「え゛」
あ、あのー。アイコン見せてもらっても?と聞くと、おずおずと見せてもらった。
「oh....」
うちの従兄弟です。
「ah...」
世間って狭いんですね(バチギレ)。
そんなことある???
「ええ⋯」
「ま、まぁ見なかったことに⋯」
「そ、そうしましょう。それがいい」
アブナカッタ⋯アブナカッタ。
そのあと、俺たちはギクシャクとしながら仕事を終わらせた。
⋯⋯気まずいってェ!!!!
――――――――――――
昼。逃げ出すように喫煙所に行ってタバコを吸うと、そこには先輩がいた。
「先輩、同僚が俺の年下の従兄弟と付き合いかけてるんですが、俺はどうすれば⋯!?」
「おもろ」
「は!?!?」
こいつマジで!!
「両方大人なんだから行く末を見てやれよ」
「それはそう、なんすよね」
は?まるでちゃんとした先輩みたいじゃん。腹立つーーー
「なんか失礼なこと考えてんな??」
「考えてません」
尊敬してます先輩。
「まぁええわ」
「あざっす!」
たすかったーーーーーー!!!
「やっぱり締めるべきか⋯?」
「パワハラです」
「パワハラかっこぶつり」
「あたまわるそう」
ここだけIQ下がりすぎじゃない?
「いつものことでしょ」
「は????」
ゆるせねーーーー!!!!
ゆるせねぇ!!!!!
「こんな優秀な後輩を⋯」
「自称されると腹立つよな。そりゃ」
「そんなぁ」
俺はちゃんとしているはずなのに。
「ちゃんとはしてても普通にふざけるじゃんおまえ」
「それはそう」
テキトーやってるほうが楽なので。
「ったく⋯」
やれやれ。と呆れた先輩を眺めつつ、俺は紫煙を吐き出した。
まだ1週間は始まったばかりである。