仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件   作:熊鏡

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第6話

 

 名前で呼ぶようになって一晩経ち、俺は今日も昼休みに喫煙所でタバコを吸っていた。

 

「あれ。先輩。今日もすか。珍しいっすね」

「おう。お前が失敗して振られてないか確かめにきた」

「ああ。最近休日デート決まりました」

「死ねよ」

「シンプル悪口きた」

「そらそうだろボケ」

「ボケ!?会社で!?」

「休憩時間なんで」

「こわ」

 

 今日もタバコがうまい。コーヒーもうまい。

 

「俺にも女の子との出会いくれよぉ⋯」

「自分で作ってください」

「作れたら苦労しないの!!」

「前まで彼女いたじゃないスか」

「メンヘラだったけどね」

「刺されたんでしたっけ??」

「未遂だからね」

 

 未遂でもこえーよ。

 

「女性遍歴終わってますもんね先輩」

「終わってるやめろ」

「虚言癖に、リスカ、ストーカーetc.etc.⋯(等々⋯)

「事実陳列罪だぞ」

「そんな罪ねえっす」

「あんの!!俺の中には」

「治外法権で生きてます??????」

「自分ルールだ!!」

「緑タイツ着てから言ってください」

「アウトだろ」

「何でやねん」

 

 まあ怒られるか。やめとくか。

 

「先輩なんでそんな地雷ばっか踏むんすか」

「歴代彼女顔がいいんだよな⋯」

「顔で選んでるからじゃないすか」

 

 バッカでぇ。

 

「今お前が狙ってる子だって顔がいいんだろ!?」

「それはそれとして話が合わなかったりスタンス合わない子と長続きするわけないんすから。結局は中身っすよ」

 

 まぁ結構気も合うんだけど。

 

「偽善者が⋯!!」

「面食いうるさ」

「面食いで何が悪い!!」

「面食いがマイナスにばっか作用してんのが悪いんすよ」

「グゥの音もでん」

「出てたまるか」

 

 草。

 

「まぁ今後に期待っすね。せーんぱいっ」

「その言い方女の子から言われたらなぁ」

「きっっしょ」

「それも女の子がいい」

「⋯」

「無言で嫌そうな顔すんな」

 

 そらそんな顔もするだろ。バカ言ってんじゃないよ。

 

「バカまじ??」

「心読まないでくれます?」

「だってお前わかりやすいし」

「上司からは何考えてっかわかんねえみたいに言われますけど」

「あー、まぁ。わかった様なツラしてるやつには難しいだろ」

 

 わお辛辣ゥ。

 

「結局コミュニケーションよ」

「まぁそらそうっすよね。上司も上と下から挟まれてるわけですし」

「お。優等生みたいな返答するじゃん」

「点数稼ぎっす」

「稼ぐ相手今いねえけど」

「まぁ将来的に」

「お前いい後輩だな。喫煙室出たらブラックコーヒーを進呈しよう」

「先輩は最高の先輩っす」

「現金」

 

 心からの返答です。

 と、コントもそこそこに二人揃ってタバコをもみ消す。

 

「おし自販機行くぞ!」

「ごちになります!!!」

 

 人の金で飲むブラックコーヒーはいつもより美味かった。

 

 

 —————————

 

 今日も今日とて仕事終わりに紫煙を吐く。

 今日は俺の方が早かったようで。いつものように人が少ない。さて、あんなことした後にどう接すれば良いのであろうか。

 キモくなかったかな。キモくなかったらええなあ。

 

「はぁあああああ…」

 

 あー、お盆とか長期連休どうすっかな。

 帰る?まぁこっちよりゃ涼しいか。流石に。

 

「帰郷めんど」

「え?転勤??」

「おわ」

 

 いつ来たんだ優奈さん。

 

「君がため息ついて俯いたあたりから」

「ほぼ最初っからじゃん」

 

 はず。やば。

 

「いやー、長期休暇は帰ってこいって言われてんすよ」

「あーね。結構お金かかるんじゃない?」

「意外とかかんないっすよ」

 

 会津はわかんないけど浜中は電車一本だし夜行バスもあるし。

 

「へぇ〜⋯いつ?」

「まぁお盆あたりっすね」

「そっか。寂しくなるね⋯」

 

 めちゃくちゃ寂しそうな顔するじゃん。

 

「そりゃ寂しいよ。ヤニを共にする仲間がいなくなるもん」

「まぁ二日程度なんで。許してくださいよ先輩」

「いつ私が先輩になったのさ〜」

「ノリですノリ」

「あね」

 

 スパスパとタバコを吸いながら。今後の予定を計画する。

 まぁ四日間のうち二日帰省に使って最初と最後は家で休もう。まじで。

 

「じゃあさ。実家帰る前にデートしよ」

「いいっすよ」

 

 どうせ暇は暇だし。

 

「いいの!?」

「もち。どーせあっち帰るまで暇なんで」

 

 あっち帰ったら友達と遊ぶけど言うてそんくらいだしな。

 

「やったっ」

「じゃあおすすめのカフェとか教えてくださいよ」

 

 まだ地元の隠れた名店とかは知らないし。

 

「任せて任せて!私の好みのカフェ連れてって染め上げてあげるよ」

「え。ご遠慮しようかな」

「泣くぞ」

「えぇ⋯?」

「泣 く ぞ」

「ごめん」

「イイヨ」

「アリガチョ」

 

 どういうノリだよ。

 

「私に分かるわけないでしょ?」

「振った側はわかれよ」

「私が!わかるわけ!!ないだろ!!!」

「断言すんな」

 

 そしていばんな。

 

「ったく⋯じゃあ、また近づいたら話しましょ」

 

 まずは土曜のデートから。

 

「ん、まぁそうね⋯まずは直近のデートよね⋯」

 

 ん?なんかもじもじしてら。

 

「まさか照れてます?」

「そりゃ照れるでしょーが」

 

 自分から誘ったのに?

 おもれ〜〜〜〜!!!!!

 

「絶対バカにしてない????」

「いいえ。おもれ〜!!って思ってます」

「おもしれー女ってこと???」

「やめてね」

 

 この顔でそれ言ってもキショいでしょ。

 

「草」

「草生やしとんちゃうぞ」

「じゃあ超えて森」

「木も林も飛び越えることある?」

「あったね」

「あったか」

 

 ほなしゃあないか。

 二本目に口を付けて、静かに火をつけた。

 

「じゃあ、好みのカフェ聞いてもいい?」

「落ち着いてゆっくり出来るところならどこでも嬉しいですね。隠れ家的なところならなお嬉しいです」

「じゃあピックアップしといてあげる」

 

 へにゃりとした顔がかわいい。

 

「かわい」

「へ???」

「おっと、本音が」

「ねぇ!!!」

 

 ちがうじゃんそれは!!!!

 と、怒り顔でこちらを見る顔もまた可愛い。

 

「じゃ、また明日」

 

 吸いきったタバコを揉み消して俺は喫煙所を後にした。

 

 

 ――――――――――――

 

 なにあれ。なにあれなにあれなにあれ!!!

 は???ズルすぎるでしょ。ねぇ!!!!

 

「覚えておけよ真壁蓮ッ⋯!!!」

 

 年上おねーさんにメロメロにしてやるからなちくしょう!!!!!!

 私は静かに反転攻勢を決意した。

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