仕事終わりにヤニ吸ってたらどこか残念な年上女性に執着されてた件   作:熊鏡

7 / 12
第7話

 

 そして、ついに土曜日。

 俺は早起きして身支度を整えていた。

 

「どーすっぺ」

 

 一旦カーゴパンツ下にするじゃん。色は黒でいっか。

 上は白Tか?白Tでいいな。アウターは⋯着れる気温かこれ?クソ暑いんだけど。

 ⋯着るかぁ⋯コーヒーで汚したらシャレにならん。

 紺の半袖Yシャツでいっか。後はワックスで髪整えて⋯

 

「アクセはネックレスだけでいいや」

 

 バッグは要らんな。ポケット多いしシルエット膨らまないし。

 

「こんな軽装で大丈夫か?」

 

 多分大丈夫だ。問題は無い。

 

「タバコ残数ヨシ。オイル状態ヨシ。サブライターヨシ。財布ヨシ。スマホ充電、モババヨシ」

 

 おっけ。まぁ約束の時間までまだあるけど、30分前にゃ着くようにするか。

 

「香水⋯振る前にタバコ吸お」

 

 タバコアブソリュートの香水とか使ってりゃ楽なのか?これ。

 なわけ。

 

「あ゛ー」

 

 オイルライターでタバコに火を灯して、肺に吸入。深く息を吐く。

 起き抜けのタバコとはかくも気持ちいいものだ。

 今のうちに吸いだめしてえ気持ちはある。

 

「どーせ移動中吸えねえしな」

 

 なら到着地まで吸いだめするのが吉。某袋駅なら駅前にでかい喫煙所あったりするんだけどね。

 某野も割と喫煙所ある。

 

「ふぅ⋯」

 

 タバコを揉み消し、深呼吸。

 しっかり煙を吐き出して、香水を振る。

 

「っし。行くか」

 

 靴を履いて、鍵を掛けて。俺は電車に乗った。

 

 ————————————

 

 一旦待ち合わせ場所に着くと。

 

「あえ」

「や」

 

 もう優奈さんがいた。

 

「あれ?俺待ち合わせ間違えました?」

「全然。私が着くの遅かっただけだよ」

 

 ならよか…よかねえわ。

 

「今度はもうちょい早く着くようにしますね」

「えー?全然気にしないのに」

「俺が気にするんです」

 

 なんか。男の意地的に。

 

「ふーん、変なの」

「変てなんすか変て」

 

 優奈さんは笑いながら続けた。

 

「私が会いたいから会ってるだけなのにね」

「ずる」

 

 それはもう、ズルじゃん。ズルだよズル。

 普通にちゃんと本気で惚れ込みそう。

 

「んふふ。惚れちゃっていいんだぜ?」

 

 それはもう盛大に。と笑う優奈さんがやっぱり綺麗で。

 全然今すぐにも負けそうである。

 

「ま、ヤニ吸ってから行きますか」

「いいよぉ?もちろん」

 

 助かる〜〜〜!!

 

「じゃあ行きますか」

 

 とりあえず駅近の喫煙所で!!!

 

 —————————

 

 喫煙所について、二人揃ってタバコに火をつける。

 

「ふぅうううううう…」

「ふぅ…」

 

 一息ついたので、とりあえず言いそびれていたことを言おうと思う。

 

「そういえば、今日の服装かわいいですね」

「今!?」

「今」

 

 白のTシャツをタックインさせて、アウターはパステルブルー。黒いロングスカートがふわりとした印象を保ちつつ、しっかりシルエットを締めている。

 ネックレスも似合ってるし、いつもと違うポニーテールはインナーカラーの印象をガラッと変えている。

 

「蓮君も服装いい感じじゃん」

「ほんとすか?ならよかったっす」

 

 照れるね。まじで。

 

「そういえば蓮くんの地元って喫煙環境はどうなの?」

「俺の地元はまぁまぁタバコ吸いながら飲めるとことかありますよ?」

「は????連れてって」

「なんで」

「こっちじゃ絶滅危惧種だよそんなの。あと高いし」

「地元だと5000円ありゃ満足に飲めますよ」

「ずる!!!」

 

 これは田舎のいいとこね。あと飯うまい。

 

「あとメタクソ飯がうまい」

「メタクソ飯がうまい?!」

「とてもうまい」

「なるほど??」

「ちなそこらの居酒屋でも飯がうまいっす。浜側なら海鮮が特にうまい」

 

 その話を聞いた優奈さんは神妙な顔をしながらタバコを吸い…

 

「私も行こうかな」

「なんで??」

「ずるいじゃん」

「ずるいって何?」

 

 どう言うこと??

 

「蓮くんだけ美味しいご飯食べてお酒飲むのが気に食わない」

「ええ…?」

 

 そんなことある??

 

「あったじゃん」

「あったかぁ…」

 

 驚きである。じゃなくて。

 

「流石に早くないすか???」

「そう?」

「そう」

「別に挨拶行くわけじゃないよ?」

「ああ。ソロ旅?」

「泣くけど」

「なんで????」

「一人で見知らぬ地に放逐しなくてもいいじゃん」

 

 じゃあどうすればいいの?

 

「じゃあ今日もっと親しくならないとね」

「今日すぐには無理だと思うけど」

「これ以降いけるかもじゃん」

「まぁね」

 

 それはそうなんだよな。

 

「それはそれとして吸い終わったら喫茶店行く感じですか?」

「そそ。まぁ、そんな混むようなところじゃないし」

 

 助かる〜〜〜!!

 

「じゃあ二本目吸ったら行きますかぁ」

「そうしよっか」

 

 二人並んでタバコに火をつけて、大きく深呼吸。

 

「…うまい」

「うまいねえ」

 

 こんな朝があってもいい。

 

「もう昼近いけどね」

「心読まないで」

「顔に出てるんだよ」

「なる」

 

 そんなわかりやすいのかな俺。

 

 そうして二人揃ってタバコをもみ消して喫煙所を後にした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。