結界師 墨村 利守〜六面世界で奔走する〜   作:rOOd

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神隠し
烏森


      【水無月 夕方】

 

      [とある高校 校門前] 

 

 

「本当か?」

「ああ。詳しい話は場所を変えてしよう」

 

 高木は後ろにいたクラスメイト二人へ視線を向

ける。

 

「お前らも来い」

「ああ」

「よし、マックで話そうぜ」

 

 こうして四人は、放課後のマクドナルドへ向か

うことになった。

 

 ハンバーガーとドリンクを注文し、テーブル席

に腰を下ろす。

 全員が席に着くと、高木が真剣な表情で口を開

いた。

 

「実は、神隠しの件を何とかしてくれる心当たり

 があるんだよ」

 

 その一言に、俺たちは一斉に高木を見つめる。

 

「高木、その心当たりとは何だよ!?」

「落ち着けよ、黒木。その話をする前に、烏森っ

 て知ってるか?」

 

 クラスメイトたちは、ハンバーガーを食べたり

ジュースを飲んだりしながら、俺の話を聞く。

 黒木は聞き慣れない言葉に聞き返した。

 

「烏森?」

「俺、中学に上がる前は他県の小学校にいたって

 話したことがあっただろ?」

 

 クラスメイトの一人が思い出したように呟いた

 

「ああ、そういえば前に言ってたな」

「うん。その烏森が俺の生まれ故郷なんだ」

 

 みんなは首をかしげた。

 

「っで、その烏森が、どうしたっていうんだ?」

 

 クラスメイトの川田が問うと、高木は静かに頷

く。

 

「そこには、昔から強大な力を持つ土地神が祀ら

 れているんだ」

「土地神って・・・・・・本当にいるのかよ?」

「信じられないのは分かる。でも、俺の家族は

 ・・・・・・その地元から逃げてきたんだ」

「逃げた? なんで?」

 

 クラスメイトの沢村が聞き返すと、高木の表情

が少し曇る。

 

「ああ。理由は・・・・・・天変地異が起きたからだ」

「天変地異・・・・・・?」

「ああ。さっき話した土地神の影響で、妖怪や怪

 異なんかが出る・・・・・・いわゆる怪奇現象の土地

 ・・・・・・忌み地なんだ」

 

 黒木が眉をひそめる。

 

「しかし、その怪奇現象って・・・・・・・・・一体、何が

 起きたんだよ?」

 

 高木は少し視線を落とした。

 

「俺も直接目撃したわけじゃない。だが・・・・・・」

 

 そこで一度言葉を切る。

 

「目撃者の話では、巨人を見たとか、龍が空から

 降ってきたとか・・・・・・」

「・・・・・・巨人? ・・・・・・龍?」

「それだけじゃないんだ。その町の中学校や高校

 でさっき話した怪奇現象が多く目撃させた」

 

 高木は一拍置いて続けた。

 

「さらに、学校周辺では震源地不明の地震が起き

 たり、青空だったのに突然、台風並みの局地的

 な豪雨や雷が襲ったりと、異常現象が相次いで

 いたんだ」

 

 深呼吸をして言葉を終わらせる

 

「そのうえ、二つの学校の校舎が原因不明の崩壊

 を起こしてな。地元じゃ『土地神様の怒りだ』

 なんて噂まで広まっていた」 

 

 あまりにも現実離れした話に、俺たちは言葉を

失う。

 

「・・・・・・だから、うちの家族は生まれた土地から

 逃げ出したんだ」

 

 黒木は咳払いをし、話を元に戻した。

 

「で、神隠しの件に、どうつながるんだよ」

「実はな。烏森には、その忌み地の穢れから人々

 を代々守っている退魔師の末裔がいるらしいん

 だよ」

「退魔師の末裔?」

「ああ。そして、その退魔師の家系の一人に俺の

 小学校時代の友達がいる。

 そいつなら、この神隠しの件も何か分かるかも

 しれない」

 

 高木の言葉に、俺たちは思わず顔を見合わせた

 

「つまり、その友達に会いに行くってことか?」

「ああ。神隠しを解決するには、まずそいつの力

 を借りるしかないと思ってる」

 

  黒木は少し考え込むと、静かに口を開いた。

 

「高木・・・・・・その友達に連絡を取ってくれないか

 ?」

「黒木・・・・・・俺の話を信じるのか?」

「信じるというより、藁にもすがる思いなんだ。

 正直、このままじゃ心の整理がつかないんだよ

 あの神隠しの真相を、はっきりさせたいんだ」

 

 黒木の真剣な言葉に、高木は力強く頷いた。

 

「わかった。すぐに連絡を取ってみるよ」

「高木ありがとう、頼むよ。ちなみに、その友達

 の名前は?」

「ああ。墨村――墨村利守だ」

 

 話し合いを終えた俺たちは、それぞれ帰路につ

いた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

        【同時刻】

 

      [神隠しの十字路] 

 

「おいおい・・・・・・こいつは、相当ヤバいぞ」

 

 頭巾をかぶった着物姿の男は、神隠しが起きた

十字路をじっと見つめ、額に冷や汗を浮かべた。

 

「裏会からの依頼で簡易調査に来たが・・・・・・・・・

 これは俺の手に負える案件じゃねぇな」

 

 扇六郎は眉をひそめる。

 

「これほど濃く、しかも感じたことがねえ残留思

 念は久しぶりだ」

 

 額に手を当てた。

 

「下手に手を出せば、俺まで消されかねん・・・・・・

 なんでこんなものが?」

 

 静かに息を吐くと、空高く飛んだ。

 

「仕方ねえ・・・・・・、あの苦労人の手を借るか」

 

 上空であの十字路見下ろす。

 

「だぶん。あれは、あの墨村でも手に余るがな」

 

 ニヤッと笑いを浮かべて、飛び去った。

 

ーto be continuedー

 

 

 

 

 




次回 墨村家
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