今回から始まりましたモルタデロとフィレモンの新作です。さあ、皆さん準備は宜しいでしょうか? それでは行ってみよー!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
東京都高度育成高等学校。そこは日本政府が設立した国立の名門校で、進学率・就職率ほぼ100%を誇っている。その学校には、三つの特色があるのだ。
一つ目は完全実力主義。テストの点数だけでなく、生徒の行動や価値が「プライベートポイント」というお金に換算されるシステム。下手な行動をすれば、プライベートポイントは低くなり、最終的には〇に。
二つ目は隔離された環境。広大な敷地を持ち、生徒は卒業まで原則として、外部との連絡や校外への出歩きが禁止されている。グラビア活動や芸能界も禁止されている為、こうなると卒業まで我慢するしか方法はないだろう。
そしてクラス分け。成績や評価によってAからDまでのクラスに分かれている。Dクラスは最底辺で、問題児ばかりだ。
これらの厳しいシステムが存在している学園だが、ある二人組が来る事で、そのシステムが全て破壊される事に。その始まりはある出来事から起こり始めた。
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四月の入学式。多くの一年生が入ってくる中、校門前には場違いな二人組がいた。一人目は眼鏡のツルッパゲでスーツを着ていて、う一人は二本の毛が生えた中年の男性だ。その様子だと生徒ではないみたいだが。
「モルタデロ。ここが総監が言っていた我々がスパイ活動する場所だ。まずは理事長に挨拶に行くぞ」
「そうですね。理事長に直談判しに行こうかと思いまして」
「直談判!?」
モルタデロと呼ばれた男性の発言に、中年の男性は驚いてしまう。まさか理事長に対して直談判するとは前代未聞だ。
そう。この二人こそ、モルタデロとフィレモンだ。
彼らは私立探偵だが、現在はT.I.A.と言う組織でスパイ活動をしている。今回も総監からの任務で、この学園のスパイ活動をする事になっているのだ。
「そうです。理事長に対してはある事を要求しますので。では、早速」
「お、おい、モルタデロ!」
モルタデロが校舎の中へと向かい出し、フィレモンが彼の後を追いかける。同時にこの学園の長い歴史も、ここから狂い始めていたのだ。
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「――というわけで、理事長殿! 我々T.I.A.のエリート諜報員にふさわしい、最高にして最強の特別クラス……その名も『
理事長室に着いたモルタデロは、坂柳理事長に対して直談判。しかも今日の変装(?)の一環なのか、彼の頭にはなぜか植木鉢が乗っており、そこから立派なサボテンが生えている。
「ふむ、Sクラスの教室だが……ちょうどいい場所がある。校地の隅にある『旧プールの更衣室』をあてがおう。もちろん、特別にプール施設全体の改造も許可しよう」
坂柳理事長が不敵に微笑みながら差し出したのは、錆び付いた巨大な鍵だった。まさか簡単に手に入れるとは思わなかっただろう。
「良いのか!?」
「勿論だ。ただし、生徒は五人以上が必要になる。他クラスからの引き抜きを許可しよう」
理事長からあっさり許可を得たモルタデロとフィレモンは、彼から鍵を受け取る。そのまま彼らは指定された場所へと移動し始めたが、ここからが難題である。
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「おいおいモルタデロ! 本当にこれでいいのか!? Sクラスの教室って言われたから来てみたら、ただのボロっちい旧プールの更衣室じゃないか! 壁は湿気でふやけてるし、天井からは謎の液体が垂れているぞ!」
旧プールの更衣室の錆び付いた巨大な鍵を開けて中に入ったフィレモンは、あまりの環境のひどさに頭を抱えて絶叫した。中は滅茶苦茶なのは無理なく、長年使っていないのも丸分かりだ。
しかし、相棒のモルタデロはなぜか植木鉢のサボテンに水やりをしながら、ケラケラと笑っている。
「何を言っているんですか、ボス。ここから我がT.I.A.の華麗なる世界制覇……じゃなかった、学園スパイ活動が始まるのです。それに、最初の仲間はすでに私の目に狂いがない限り、この学校にいるはずですからね」
「は? もう仲間のアテがあるのか?」
「ええ。何せ、かつて私の華麗な変装と卓越した説得力によって救われた、とびきりの逸材ですから」
モルタデロが自信満々に胸を張ったその時、更衣室の扉がトントンと控えめに叩かれた。
そこに立っていたのは、整った容姿に明るい笑顔を浮かべた、Bクラスの看板娘――一之瀬帆波だった。
「モルタデロさん、お久しぶりです! 連絡をもらってすぐ来ましたよ。ここが新しいクラスなんですね?」
「お、おい、一之瀬さんじゃないか! なんでBクラスのエース級がこんなところに……?」
フィレモンが目を見開いて驚愕する。それもそのはず、一之瀬といえば、将来を嘱望されるBクラスの中心人物だからだ。
だが、二人の間には、誰も知らない深い絆があった。
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時は少し遡る――。一之瀬がまだ自分の過ちに悩み、魔が差して店で万引きをしようとしてしまったあの暗い日。彼女をその場でお茶目に、かつ圧倒的な存在感で取り押さえたのは、なぜかスーパーの特売品コーナーで「商品棚のフリをしていた」モルタデロだった。
『お嬢さん、欲しいなら正々堂々とスパイの技術を使って手に入れなさい。あるいは、私と一緒に世界を救うアルバイトでもどうだい?』
当時、家庭の事情で追い詰められていた一之瀬は、モルタデロの奇妙な勧誘と、彼が裏で手回ししてくれたT.I.A.の非公式な任務(お小遣い稼ぎ)によって救出された。家族の生活は守られ、彼女の心も救われたのだ。モルタデロは彼女にとって、命の恩人であり、憧れの存在だった。
※
「フィレモンさん、驚かないでください。私はね、モルタデロさんにスカウトされたんです。もちろん、喜んでお引き受けしますよ」
一之瀬は爽やかな笑顔を浮かべながら、手元に持っていた書類をひらりと見せた。そこには、Bクラスからの退会と、新設された『Sクラス』への転籍届がしっかりと記入されていた。
「なっ……! 本気か、一之瀬さん! Bクラスの担任や仲間たちはどうするんだ!」
「うーん、坂柳理事長にも許可をもらいましたし、何より私を救ってくれたモルタデロさんのためなら、クラスの移動なんて軽いものですから!」
一之瀬は悪びれもせず、むしろワクワクした表情で言い放つ。彼女の持つ高い交渉力と人望が、これからスパイ活動においてどれだけ強力な武器になるかは言うまでもない。
「素晴らしい! さすがは我が愛弟子、一之瀬さんです!」
モルタデロは感極まった様子で、なぜか頭のサボテンを引っこ抜いて一之瀬に手渡そうとした。もちろん一之瀬は笑顔で華麗にスルーする。
「これでメンバーは俺とモルタデロ、一之瀬さんで……合計三人だな。あと最低でも二人集めないと、理事長との約束が……」
フィレモンが冷や汗を流しながら呟くと、モルタデロは不敵な笑みを浮かべて鼻を鳴らした。その宛だとまだまだ余裕があるのが丸分かりだ。
「心配いりません、ボス。この学校には、一癖も二癖もある面白い人材がまだまだゴロゴロ転がっています。さあ、次は誰をスカウトしに行きましょうか!」
こうして、最底辺の旧プール更衣室を拠点とした『Sクラス』に、まさかの優秀なスパイ候補が加入。平和だった高度育成高等学校の秩序は、モルタデロたちの手によって、いよいよ本格的に崩壊へのカウントダウンを始めたのだった――。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
ここからが始まりの合図。滅茶苦茶な物語はガンガン続きます!
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