では、物語の始まりだ。遅れないように!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
「という理由です。つまり犯人は石崎率いるCクラスの三人です」
生徒会室ではモルタデロがこれまでの報告を学たちに話していた。その事実を聞いた彼は納得の表情をしているが、石崎たちは冷や汗を流してしまう。まさか自分たちの策略がSクラスの連中にバレてしまうとは予想外だ。
「分かった。では、須藤は無罪。Cクラスの三人は鈴音たちからのお仕置きを与えるとしよう」
「お仕置き!? 勘弁してください!」
石崎たちは顔を真っ青にしながら、急いでその場から逃げ出す。それを見た美雨はオーバーオールの胸ポケットから、様々なトラップ道具を次々と取り出した。
「ご心配なく。ここは私にお任せください」
「お前、Sクラスに入ってから性格変わったな……」
美雨の自信満々な笑みに、須藤は冷や汗を流してしまう。Sクラスが彼女を変えたのは知っているが、ここまで変わるとは予想外としか言えないだろう。
※
「うわぁぁぁ、逃げろ――っ!! あんな化物どもに捕まったらマジで人間卒業させられちまうぞ!!」
石崎たちは必死の形相で廊下を全速力で駆け抜けていた。生徒会室から飛び出したものの、背後から迫るプレッシャーと、Sクラスの異常な戦闘力を思い出して冷や汗が止まらない。
「逃げられると思いましたか?」
その前方の曲がり角から、ひょっこりと姿を現したのは――爽やかな笑顔を浮かべた美雨だった。彼女が纏う青緑色のカーゴデニムオーバーオールの胸ポケットからは、怪しげに光るリモコンやスプリング仕掛けの装置がチラリと覗いている。
「ゲッ! Sクラスの王!」
「ダメですよ。だって、石崎くんたちには『特別なお仕置き』をご用意していますから!」
美雨が不敵な笑みを浮かべ、胸ポケットの四次元機能から『超強力マグネットバキューム』を取り出してスイッチを入れる。
ズギャアァァッ!! と凄まじい磁力が発生し、金属製のバックルやファスナーを身につけていた石崎たちは、まるで強力な磁石に引き寄せられるようにその場へ激しく転げ落ちた。
「うわっ、なんだこれ、体が勝手に――っ!?」
「うおおお、吸い寄せられるぅぅ――っ!?」
バタン! と見事に地面へ引きずり降らされた石崎たちに向かって、美雨がさらに別のポケットから『特製・激臭レインボーインク弾』を取り出し、迷うことなく投げつけた。
ドボシュッ!!
「ゲホッ……! な、なんだこの臭いは……って、体が真っ赤……いや、緑……じゃなくて虹色に……っ!?」
石崎たちは見事に頭からつま先までレインボーカラーの激臭インクまみれになり、ショックのあまり白目を剥いてその場に崩れ落ちた。ものの数秒で完敗である。
(……あいつ、恐ろしすぎるだろ……)
少し離れた場所からその一部始終を目撃していた須藤健は、冷や汗をダラダラと流しながらガタガタと震え上がった。敵に回したら絶対に殺されると思いながら。
※
それから翌日。須藤はDクラスの皆にこれまでの事を話していた。それを聞いた平田たちは、Sクラスの行動に唖然としているのも無理なかった。
「まあ、Sクラスには感謝しかないね。でも、須藤君は今後どうするの?」
「ああ。俺は勿論Dクラスに残るし、バスケのレギュラーを目指すからな。それに、新たな目標もできたからな」
「へ? どんなのだ?」
須藤の発言を聞いた山内は、気になる表情で首を傾げる。彼がどんな目標なのか聞く必要があると判断している。
「バスケの練習だけじゃねえ。肉体も、精神も、あのSクラスの化物……いや、すげえ連中に負けねえくらい徹底的に鍛え上げてやるからな。後は勉強でも足を引っ張っているからな。その分努力あるのみだ!」
「勉強……うわっ、そう言えば俺、数学が良くなかった!」
「俺も化学が……こうしちゃいられない!」
須藤の発言を聞いた池と山内は、自身の苦手な科目を思い出し、すぐに勉強を始める。今からでもやり直せば何とかなると判断しているのだろう。
すると、教室に飛山が入ってきた。彼は勉強する須藤たちを見て、感心の表情を浮かべているのだ。
「その様子だと大丈夫そうだな。皆、席に着いてくれ。重大発表だ」
「重大発表?」
「何かあったのですか?」
飛山の合図に全員が反応し、一斉に席に座り始める。恐らく今後の行事の事で、何かあったのだろう。
「一学期の期末テストの後、毎年恒例の夏休みの特別試験がある。その名も無人島試験だ」
「聞いた事あります。確か夏休みの初期に行われると」
飛山の説明を聞いた平田は、真剣な表情で覚えている事を説明する。その内容を聞いた飛山はうんうんと頷きながら感心していた。
「その通りだ。数日間のサバイバル生活だが、「試験専用ポイント(Sポイント)」の管理と「リーダー」の秘匿・看破を競う、頭脳戦とサバイバルが融合したルールとなっている。因みにSクラスは参加しないが、ルールを守っているかの監視役として行動する事になる」
(監視役か……まあ、敵でなければ問題ないか……)
飛山の説明に対し、綾小路は真顔で安堵している。Sクラスが敵として立ちはだかるのなら、Dクラスはズタボロでやられてしまうのも無理はないだろう。
(だが、監視役とはいえ、奴らがただおとなしく見ているだけの連中だとは到底思えないがな……)
綾小路が心の中でそう冷ややかに呟く通り、あの変態スパイ組織『T.I.A.特別Sクラス』と厄介すぎる管理人であるモルタデロが、ただの「お行儀の良い監視役」で済むはずがなかった。
案の定、飛山がさらに続ける。
「あ、そうだ。もう一つ重要な連絡がある。今回の無人島試験、Sクラスの面々は『監視ドローンや極秘レーダー、さらに特別フィールドコーディネーター』として、島全体のあらゆる場所に出没する権限を持っているそうだ。……つまり、変にルール違反やサボりでもしようものなら、どこからともなく怪しいトラップが飛んでくるかもしれないから、くれぐれも真面目に挑むように」
その飛山の言葉に、教室の空気が再び凍りついた。あんなバカな連中に見つかったら、絶対に酷い目に遭うのは確実だ。
「どこからともなくトラップが……? それって監視役っていうか、完全に敵じゃないですか……!」
「冗談だろ……無人島のサバイバルだけでも過酷なのに、あの化物どもが島中に罠を仕掛けてるなんて地獄絵図じゃねえか!」
池が真っ青になりながら頭を抱え、山内も盛大に絶叫する。試験は無茶苦茶の展開になるのが丸分かりだ。
「だ、だがよ……! 昨日の今日だ、俺たちは俺たちで、肉体も頭脳も鍛えてこの無人島試験を乗り切ってやるんだろ! あそこでビビってたら、いつまで経ってもあの要塞の連中に見返してやれねぇぞ!」
須藤が冷や汗を流しながら、力強く拳を握り締めた。彼の意外に頼もしい姿に、平田は爽やかに微笑みながらうなずく。
「そうだね、須藤君の言う通りだ。みんな、不安はあると思うけど、クラス一丸となってこの無人島試験を乗り切ろう!」
クラスの空気が再び一致団結のムードに包まれる中、綾小路は窓の外を眺めながら、静かに思考を巡らせていた。
(……無人島でのサバイバル生活、そして島中に潜むSクラスの監視網か。波乱の夏休みになりそうだな……)
※
一方その頃、華やかなT.I.A.特別Sクラスの本部リビングでは――。
「さあ皆さん! 迫る無人島サバイバル試験に向け、我がSクラスは島全体を『一大極秘スパイアトラクション島』へと改造するための極秘計画を発動します!」
「って、無人島を勝手にテーマパークにするんじゃないわよ!!」
モルタデロが持ち込んだ危険すぎる『島全体ジャングル化&巨大トラップ敷設計画』の図面をめぐり、今日も今日とて鈴音の鋭いツッコミと盛大などよめきが響き渡っていた。果たしてどうなってしまうのか……。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
いよいよ無人島試験へ。Sクラスは何を仕出かすのか?
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