モルタデロとフィレモン よう実スパイ大作戦   作:蒼牙王

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どうも、モルタデロです。須藤君の無実を証明しましたが、いよいよ無人島サバイバル試験に入ります。私たちは監視役ですが、ルールを守っているのか確認しますので。
さあ、皆さん! 物語の始まりです!

OP:モルタデロとフィレモンのテーマ


第13話 Sクラスの運動服

「運動する服のアレンジ?」

 

 期末テスト終了後の翌日。Sクラス要塞の三階にある室内運動場では、モルタデロの発言に鈴音たちが疑問に感じていた。何故無人島サバイバルを前にして、運動の服をアレンジする必要があるのか。

 

「そうです。Sクラスである事を自覚するだけでなく、他のクラスと被らない様にアレンジする必要があります。今の姿では駄目だと思いますので」

「確かにそうね。他のクラスと間違えられる恐れもあるし、何よりサバイバル試験での機動性も考慮すべきだわ」

 

 鈴音が腕を組んで納得の表情を見せると、桔梗たちも同時に頷く。今のままでは良くないと判断しているだけでなく、機動性も重要だと判断しているのだ。

 

「話が早いですね! では、さっそく我がSクラスの女子生徒全員に、今後から使う特別アレンジ運動服を支給します!」

 

 モルタデロは高らかに指を鳴らしながら宣言し、鈴音たちも一斉に頷く。しかし、それが想像を超えた予想外である事を、この時の彼女たちは気づかなかった。

 

 ※

 

 数分後、更衣室から続々と姿を現した鈴音たちの格好を見て、その場にいたモルタデロ、フィレモン、佐枝は驚きの声を上げる。

 そこに立っていたのは、全員が共通してスタイリッシュな黒のスポブラに、学校指定のジャージズボンを穿きこなした姿だった。引き締まったお腹周りとスポーティな黒のスポブラが抜群のフィット感を生み出し、ただの運動着とは一線を画す洗練された『スパイ仕様の戦闘スタイル』に仕上がっている。

 

「ねえ。良いかしら?」

「どうしました?」

「なんでこんな服装なのよ!」

 

 鈴音は両手で胸元を隠し、耳まで真っ赤に染め上げながらモルタデロに詰め寄る。いくらスパイとしての機動性を考慮したとしても、学校の施設内でこの露出度の高いスポブラ姿で過ごすのは羞恥心が限界を突破してしまうのも無理はない。

 だが、その一方で他のメンバーの反応は対照的だった。

 

「わあ……! なんか、すごく引き締まって見えてカッコいいです! 動くときも軽やかだし、私、これすごく気に入りました!」

 

 帆波は自分の黒のスポブラの上からお腹周りを嬉しそうに触り、クルリと軽やかにターンしてみせる。彼女はこの様な姿がとても気に入っているのだろう。

 

「ふふっ、なんだか秘密組織の精鋭って感じがしてワクワクしますね。着心地も抜群です」

 

 ひよりもうっとりとした表情で自身の姿を鏡に映し、満足そうに頷いている。さらに、麻耶と恵もノリノリの様子だ。

 

「ねー! デニムの時とはまた違ったスポーティさがあって、テンション上がるよね! 恵も気に入った?」

「うん! むしろこれからのサバイバル生活、これで動き回った方が絶対ラクだし、見た目もクールで最高じゃん!」

「でしょー!」

 

 恵が両手を腰に当てて満面の笑みを浮かべると、麻耶も大きく同意する。サバイバル生活でこの様な姿をするのも悪くなく、見た目としてもありなのだ。

 

「えっと……露出はちょっと恥ずかしいけど……でも、体にぴったりフィットしてて、走る時とか邪魔にならなそう……かも」

「まあ、あたしたちもサバイバルで足を引っ張りたくないしね。これくらい割り切った方が動きやすくて悪くないんじゃない?」

 

 少し離れた場所でモジモジしていた愛里も、自分のスポブラ姿をそっと見下ろしながら小さな声で呟いた。波留加も腕を組みながら、納得したようにクールに微笑む。

 

「これ、何だか自信がないな……」

「うん……でも、動きやすさならありかも……」

 

 美雨と桔梗も恥ずかしがるが、動きやすさとしては悪くないと判断。鈴音以外の女子生徒がこの衣装を気に入る事になっているのだ。

 

「服装は制服、運動、スパイに分かれているが、アレンジするのは制服以外OKだ。これ以上すれば大変な事になるからな」

「そ、そうですか……けど、スポブラとジャージズボンは異常過ぎます!」

 

 佐枝の説明に鈴音は納得するが、彼女はモジモジしている仕草でジャージズボンを両手で掴む。彼女としては動きやすさとしては大丈夫かも知れないが、人から見られたら恥ずかしがるのも無理はない。

 

「心配なく。この様な衣装であれば、周囲の戦意を喪失させる効果がありますので。更に無人島サバイバルでは監視役となっているので、他のクラスの反則もできなくなります」

「戦意を喪失させる効果って……それスパイの任務じゃなくて、ただの目の毒だろバカヤロー!!」

「違いますボス。美しきSクラスの精鋭たちのスポブラ姿を前にして、敵はあまりの眩しさに攻撃の手を止めるのです。これぞ究極の精神攻撃、『ブラック・スポーツ・ブラスター作戦』です!」

「勝手に物騒かつ意味不明な作戦名をつけるな!!」

 

 フィレモンの的確すぎる絶叫が、室内運動場に盛大にこだまする。確かにこんな作戦で敵の戦意を喪失させるのはありかも知れないが、下手したらハイエナの様に襲い掛かる可能性があり得るだろう。

 鈴音もモジモジとジャージの裾を両手で強く引っ張りながら、こめかみを押さえて深いため息をついた。羞恥心で顔は真っ赤なままだが、これ以上議論しても無駄だと悟ったらしい。

 

「……もういいわ。動きやすいのは事実だし、無人島でのサバイバルを生き残るためよ。けど、これで本当に反則する輩を戦意喪失させる事が可能かしら?」

「勿論です。特に胸が大きい人程、その威力は抜群ですので」

「いくら何でもそれは無いでしょ!」

 

 鈴音はハンマーでモルタデロの頭を叩き、彼は当然目を回しながら倒れてしまう。まあ、お約束なので無理ないが。

 その様子を見た桔梗は、苦笑いしながら鈴音を落ち着かせる。

 

「まあまあ。この姿でも悪くないと思うから。で、茶柱先生は?」

「私の運動はスパイ衣装で十分だ。この姿こそ私の真の衣装として相応しい」

「そうですか……」

 

 茶柱の意見に桔梗たちは苦笑い。まあ、彼女が選んだ事は否定できないが。

 

「後は男子たちが何人やられるかね。モルタデロさんは何人だと思う?」

「確か数名が生き残りますね。殆どが見惚れて動けなくなりますが、本当にぶっ叩くことないでしょうに……」

「自業自得だろ!」

 

 モルタデロが頭に大きなタンコブを作りながらフラフラと起き上がると、フィレモンが呆れ返るのも無理はない。

 

「まあ、冗談はさておき……本番の無人島では、この機動性とチームワークを武器に、我がSクラスの圧倒的な存在感を叩き込みますよ!」

 

 モルタデロが気を取り直してビシッとポーズを決めると、鈴音も深く息を吐き出し、恥ずかしさを振り払うようにキリッと表情を引き締めた。

 

「……そうね。モルタデロのふざけた作戦はどうでもいいけれど、私たちがこのサバイバル試験を完全に管理し、監視役としての役割を果たすためには、クラス全員の連携が何よりも不可欠だわ」

「うん! どんなハプニングが起きようと、私たちSクラスなら絶対に乗り越えられるよね!」

 

 鈴音の凛とした言葉と恵の明るい声に、帆波やひより、麻耶、愛里、波留加、美雨、桔梗が力強く頷く。最初は戸惑っていた黒のスポブラとジャージのスタイルも、不思議と今では全員の絆を繋ぐ誇らしい戦闘服に思えてきた。

 

「なお、私も参加する事になるが、反則する輩は徹底的に倒すのみだ」

「その通りです! 明後日から始まる無人島試験、頑張りましょう!」

「「「おう!」」」

 

 佐枝の捕捉とモルタデロの宣言に、鈴音たちも拳を上げながら応える。無人島サバイバル試験も、彼らの手によって新たな展開が起ころうとしていたのだった。




ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)

服装が決まりましたが、スポブラとジャージズボンはアリだと思います!

感想等宜しくお願いします!
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