モルタデロとフィレモン よう実スパイ大作戦   作:蒼牙王

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フィレモンだ。帆波たちの運動用の衣装がスポーツブラとジャージズボンとなってしまったが、いくら何でも目に毒としか言えない。無人島サバイバル試験は大変な事になるぞ!
さあ、今回も始まるぞ。準備は良いか?

OP:モルタデロとフィレモンのテーマ


第14話 無人島サバイバル試験の始まり

 無人島に向けて海を渡る豪華客船。そこに多くの生徒たちが乗っている中、最上階の特別待遇ルームではSクラスの者たちが乗っていた。全員スパイ衣装となっているが、無人島に着いたら運動スタイルへと着替えなくてはならない。

 

「今回の無人島試験は監視役だけど、今の運動スタイルとなると脱落者が続出するわね……」

「特に須藤君なんかドキッとしてしまい、木にぶつかるんじゃないかな?」

 

 鈴音は腕を組みながら真剣な表情をしていて、桔梗も笑顔で頷きながら推測する。

 確かにモルタデロによって動きやすくなったが、スポーツブラと学校指定のジャージズボンは反則級其の物。下手したら男子の殆どが目を奪われてしまい、呆気ないドジで脱落する可能性もあり得るだろう。

 

「まあ、無人島に着いたら我々から説明がある筈だ。その時は運動スタイルになるが、多くの男子が見惚れるだろう。その時は爆弾を投げても良い」

「いや、そんな事をしたら駄目だろ!」

 

 佐枝の物騒な発言にフィレモンはツッコミを入れる。こんな事をしたら試験どころではなく、下手したら行われずに終わる可能性もあり得るのだ。

 

「そろそろ島に着くから着替えてきます!」

「いよいよか。楽しみだね」

「後は男子たちがどう反応するかね」

「多分気絶するかもね……」

「まあ、その時はその時ですけどね」

 

 帆波を筆頭としたSクラス女子生徒たちは、お喋りしながらスポーツブラとジャージズボンの姿へと着替えに向かい出す。無人島に着いたらの説明はどうなってしまうかだが、その時にならないと始まらないだろう。

 

 ※

 

「では、次に無人島サバイバル試験のルールを説明します。Sクラスの皆さん、どうぞ」

 

 無人島に辿り着いた後、試験官の一人であるDクラス教師の飛山から、生徒たちに話が行われる。彼らは真剣な表情をしながらまともに聞いているが、この後のSクラスでどうなるかだ。

 すると、砂浜に整列した各クラスの生徒たちの前へ、堂々と歩み出してきたSクラスの面々。

 その最先頭に立つ佐枝は、漆黒のスポーツブラに屈強なカーゴパンツという出で立ちで微動だにせず立ち、その圧倒的な美しさとただならぬ威圧感で周囲の空気を一瞬で凍りつかせた。

 そして、その背後から続く帆波、鈴音、桔梗、恵たち女子生徒全員が、揃いの黒のスポーツブラとジャージズボンという洗練された『スパイ仕様の戦闘スタイル』で姿を現したのだ。

 

「……っ!? な、なんだあれは……っ!?」

「う、嘘だろ……!? あ、あれは元Dクラスの堀北に、元Bクラスの一之瀬さんじゃねえか……!? なんであんな、めちゃくちゃスタイリッシュで……かつ目のやり場に困る格好をしてやがるんだ……っ!?」

 

 Dクラスの列にいた池や山内をはじめ、他クラスの男子生徒たちも一斉に目を剥き、あまりの眩しさと衝撃に言葉を失って固まりかけた。やはり刺激が強過ぎたのだろう。

 

「うわっ……! ま、マジかよ、あんな姿で見つめられたら、緊張して心臓がもたないって……! うわっ!」

 

 須藤健は真っ赤になりながら盛大に後ずさり、ものの見事に自分の後ろにあった流木につまづいてすっ転んでしまった。予言通りの綺麗すぎるドジっぷりである。

 

「ほら、言わんこっちゃない。見事に自爆したわね」

「人のこと言えないでしょ、あんたも真っ赤になってるじゃない!」

 

 恵が呆れたようにツッコミを入れるが、鈴音に赤くなっている事を指摘されてしまう。当の彼女自身も恥ずかしさをごまかすように腕を組んでそっぽを向いていた。

 因みに叫んだ鈴音に至っては、顔をトマトのように真っ赤に染め上げ、殺気すら帯びた冷徹な視線をモルタデロの背中に突き刺している。

 

(……この私にこんな破廉恥な格好を……後で絶対に覚えていなさい……!)

「フッ、どうやら我がSクラスの『ブラック・スポーツ・ブラスター作戦』は大成功のようですね。敵の戦意は完全に喪失し、視覚的混乱による制圧率は百パーセントを突破しました!」

「お前のそのふざけた作戦名のせいで、まともな監視どころか海岸線が大パニックになってるだろバカヤロー!!」

「痛っ! しかし事実です!」

 

 フィレモンが盛大に絶叫してモルタデロの頭をはたくが、当のモルタデロはケロッとした顔で胸を張る。まあ、何時ものお約束展開ではあるが。

 

「こ、これは流石にどうかと思うし、失態を犯すのは確実に起こりますが……」

「何を言いますか、平田君。スパイとは常に冷静で行動しなければなりません。今回のサバイバル試験でも、スパイに相応しいかの実力もテストしますので」

「いや、僕らは違いますが……」

 

 モルタデロの説明を聞いた平田は、苦笑いしながら応える。スパイでも無いのにこんな事に巻き込まれるとは予想外。こうなると落ち着いて行動できるかがカギとなるだろう。

 

「えー、では、改めて説明を。担任の先生方から聞いていますが、数日間のサバイバル生活となっています。「試験専用ポイント(Sポイント)」の管理と「リーダー」の秘匿・看破を競う、頭脳戦とサバイバルが融合したルールとなっているので、皆さん真面目に取り掛かる様に。我々Sクラスは監視役ですので」

「分かったが……それよりも前に男子の殆どがパニクっているぞ」

 

 モルタデロの説明に綾小路は納得するが、他の者たちの状況の方を指差す。

 砂浜のあちこちで、他クラスの男子たちが眩しすぎるSクラス女子たちの姿に耐え切れず、次々と白目を剥いて倒れたり、鼻血をダラダラと垂らして地面を這いつくばっている。もはやサバイバル試験どころか、戦場跡地のような惨状だ。

 

「全く……まあ、無理もないな……」

 

 佐枝はため息をつきながら微動だにせず腕を組み、冷ややかな美笑を浮かべながら全体を見回す。これ以上野放しにすれば、大変な事になるだろう。

 

「……これより、無人島サバイバル特別試験における我々Sクラスの監視業務を開始する。ルールを破る者、あるいは無様な失態を演じる者がいれば、我が要塞の総力を挙容赦なく叩き潰す――心して掛かりなさい」

 

 佐枝の低く響く凛とした声と、背後に控えるSクラスの圧倒的な存在感。そして何よりその予測不能すぎるビジュアルの衝撃に、無人島に集まった全生徒たちは冷や汗を流しながらも、これから始まる過酷すぎるサバイバル生活への恐怖と緊張を嫌が応にも叩き込まれるのだった。

 

「よし、これより無人島サバイバル特別試験、ならびに我がT.I.A.特別Sクラスによる『全島監視作戦』を開始します! 各員、持ち場へ移動しなさい!」

「「「了解!」」」

 

 モルタデロの高らかな号令を合図に、佐枝を先頭としたSクラスの面々は、それぞれの持ち場である島内の要所へと一斉に駆け出していく。

 こうして、笑いと混乱、そして絶対的な実力が入り混じる波乱万丈の無人島試験の幕が、盛大に切って落とされたのである。




ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)

サバイバル試験スタート! 果たしてどうなるのか?
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