おっと、今から話が始まるな。さあ、いつものオープニング、行くぞ!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
一之瀬を仲間にしたモルタデロとフィレモンは、彼女と共に次のメンバー探しに。クラスとして成り立つには後二人いるが、モルタデロとしてはそれだけでは足りないみたいだ。
「ボス、一之瀬さん」
「帆波で良いですよ」
「そうでしたね、帆波さん。私としては二人だけでなく、あと七人は必要ですね。せめてこのぐらい増やさなければ、今後の活動にも響きます」
モルタデロの説明に一之瀬は納得の表情で頷く。
確かに五人にしても、クラスの活動はギリギリにしか見えないし、ある程度数を増やさなければ苦戦する可能性もある。最低でも十人ぐらい揃えなければ意味がないのだ。
「狙いは決まっているのか?」
「勿論です。ボス。Cクラスから椎名ひより。Dクラスから堀北鈴音、櫛田桔梗、軽井沢恵、佐倉愛里、王美雨、長谷部波瑠加です。彼女たちを早速捕まえましょう!」
「な、なんだって……!? 今、何人の名前を挙げたんだモルタデロ! 椎名に、堀北に、軽井沢に……おい、Dクラスの主要メンバーを根こそぎ拉致する気か!? そんなことしたら学校中が大パニックになるぞ!」
フィレモンが冷や汗をダラダラと流しながら頭を抱えて叫ぶ。しかし、モルタデロは気にする様子もなく、頭のサボテンに水をやりながらニヤリと笑った。
「何を言っているんですかボス。スパーッと華麗に、かつ強制的に引き抜くのが我々T.I.A.の流儀です。さあ、善は急げ、ターゲットたちを確保しに行きますよ!」
「ふふ、なんだか楽しそうですね。お手伝いします!」
一之瀬帆波も満面の笑みで続き、フィレモンは「お前までノリノリになるな!」と心の中で絶叫するしかなかった。
こうして、モルタデロたちの超迷惑かつ圧倒的なスカウト作戦が幕を開けた――。
*
まずはCクラスの読書家、椎名ひよりの元へ。
図書館の静寂を破るように、突然「本棚そのものに変装したモルタデロ」が壁からスルスルと移動してきた。
「失礼、お嬢さん。この学園の謎を解き明かす『禁断のミステリー小説』の続きが読みたければ、Sクラスへいらっしゃい」
「わぁ……! 私、こういう予測不能な展開、すごくワクワクします! 喜んで参加しますね」
ひよりは意外すぎる変装に目を輝かせ、一秒で仲間になってしまった。フィレモンが「即決すぎないか!?」とツッコミを入れる暇もない。
これでCクラスは問題なく終了。まあ、ひよりだけなら大丈夫だが。
※
続いてはDクラスの面々だ。ターゲットの一人、櫛田桔梗は、廊下でクラスメイトと話しているところを狙われた。
「やあ、可愛いお嬢さん。表の顔も裏の顔も素敵ですが、我がSクラスでスパーッとスパイ活動をしませんか?」
「え……? 私、そんな裏の顔なんて……って、ちょっと何する気!?」
モルタデロが耳元で不穏な囁き(あるいは完璧すぎる見抜かれ方)をした瞬間、櫛田は冷や汗をかきつつも、「この変な人たちを逆に探ってやろう」という計算から、笑顔で承諾せざるを得なくなった。何を言われたかが気になるが。
※
次いで、校内を歩いていた軽井沢恵と佐倉愛里、王美雨、長谷部波瑠加のグループ。
モルタデロはなぜか巨大な工事用コーンに変装して道の真ん中に佇んでおり、軽井沢たちが通りかかった瞬間にパカッと割れて飛び出した。
「きゃっ、何これ変態!?」
「不審者よーっ!」
「待て待て、逃がしませんよ!」
「私が説明するから!」
軽井沢たちが悲鳴を上げて逃げ出そうとするが、モルタデロのギャグアニメ並みの超人的な身のこなしと、一之瀬の人懐っこい説得の前に次々と捕縛されていく。佐倉は恐怖で小さくなり、王と長谷部も呆然とする間に、気づけば全員まとめてSクラスの拠点へと連行されてしまった。
※
そして――最後に残るは大物、Dクラスの頭脳・堀北鈴音である。
彼女は現在、中庭でDクラスをどう一番に上げるか考えていて、その事で悩んでいた。
(このままだとまずいわね。何とかしなければ……)
堀北が心の中で考えた直後、空から鉄球がゴチンと彼女の頭に直撃。そのまま堀北は目を回しながら失神し、倒れてしまった。
そこにモルタデロたちが駆け付け、失神している堀北を見つめる。
「大成功です」
「何が大成功だ! 失神させるバカが何処にいる!」
「全くです、ボス。平和的かつ物理的な交渉こそ、我々T.I.A.の真骨頂というわけです」
「痛打した挙句に拉致するな! スパイじゃなくてただの極悪非道な犯罪組織だろうが!」
「す、少し荒っぽいですけど……これで全員揃いましたね!」
頭を抱えて絶叫するフィレモンの前で、モルタデロは涼しい顔をして、気絶した堀北をまるで荷物のように軽々と担ぎ上げた。その傍らで、一之瀬がどこか楽しそうに拍手をしている。
こうして、モルタデロたちの超迷惑かつ圧倒的なスカウト作戦により、ターゲット全員の確保が完了したのだった。
※
――数分後。
校地の隅にある錆び付いた旧プールの更衣室(改め、新設Sクラスの拠点)。
薄暗い室内には、長椅子や持ち込まれたパイプ椅子が並べられ、そこに一之瀬帆波、椎名ひより、櫛田桔梗、軽井沢恵、佐倉愛里、王美雨、長谷部波瑠加の面々がずらりと座らされていた。そして床の上には、ようやく目を覚ましたばかりの堀北鈴音が、頭に大きなタンコブを作りながら不機嫌そうに起き上がっている。
「……ここは、一体……? 私をどうするつもりですか、あなたたち」
堀北の鋭い視線が、頭にサボテンを乗せたモルタデロを射抜く。しかし、モルタデロは微動だにせず、悠然と胸を張ってみせた。
「目覚めましたか、鈴音さん。ようこそ、我らがT.I.A.特別Sクラスへ!」
「Sクラス……? そんなクラス、この学校に存在するはずがありません。それに、私たちが勝手にBクラスやDクラスから引き抜かれるような真似が、学校側で認められるわけが――」
「ふふふ、坂柳理事長からしっかりと許可をもらっていますよ」
「っ……!」
一之瀬が爽やかな笑顔で書類をひらりと見せると、鈴音は絶句してしまう。まさか裏でこの様な事があったとは予想外だ。
室内に集められた他のメンバーたちも、それぞれの反応を示していた。
「なんだか面白そうなことが始まりそうですね」
(ふーん、この怪しい人たちを逆に利用してやれないかしら)
「学園生活が変な展開に……」
「大変な事になりました……」
「大丈夫かな……」
「まあ、こうなった以上は楽しむしかないよね」
ひよりはワクワクした目を輝かせ、櫛田は腹黒い笑顔を隠す。軽井沢、佐倉、王の三人が不安な表情をしていて、長谷部は苦笑いしている。
「ボス、これで人員は完璧に揃いました。最高にして最強のSクラスの誕生です!」
「もうどうにでもなれ……」
モルタデロが満面の笑みでフィレモンを振り返る。フィレモンは自分の額に手を当て、深い溜息をついた。
もう止めることはできない。この個性豊かすぎる問題児(と優秀な逸材たち)を巻き込んだスパイ活動が、今まさにこの学園の底から始まろうとしていた。
「……こうなったからには、もう好きにしなさい! ただし、私の計画の邪魔だけは許さないからね、モルタデロ!」
堀北がやむを得ず立ち上がり、全員がそれぞれの思いを胸に抱く中、高度育成高等学校の秩序を完全に粉砕する狂騒劇の幕が、高らかに上がったのだった。
しかし、王がある事を思いつき、手を挙げる。
「あの……」
「はい、王さん」
「みーちゃんで良いですよ。担任はどうするのですか?」
王の発言にこの場にいた全員がフリーズしてしまい、この場に冷たい風が吹いてしまう。生徒の人数が揃ったのに、教師がいなければ意味がない。完成目前の前に最大の壁にぶつかった彼らは、今後どうなるのか。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
生徒が揃いましたが、最大の難関が! 果たしてどうなるのか!?
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