食料については何とかなるけど、まさかスポブラとジャージズボンで殆どの男子が倒れるなんてね……まあ、楽しているから良いけど。
さあ、今回も張り切って行ってみよう! 皆、遅れないでね!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
サバイバル生活二日目。この期間は七日間なので、生徒たちが何処まで耐えきれるかがカギとなるだろう。しかし、ここからSクラスによるトラップもあるので、要注意としか言えない。
龍園と石崎は茂みの中を歩きながら、食料を取りに向かい出した。目的はコンテナの中にあるお米と、近くにある果物の回収だ。
「噂には聞いたが、果物には様々な種類があります。確かスイカ、アケビもありますが」
「そうか。Sクラスの奴らがいたら逃げるしかないな。またアイツらに絡もうもすれば、あのトラウマが蘇るからな……」
石崎の報告を受けた龍園は、Sクラスの事を思い出した途端にガタガタと震えてしまう。
以前、彼らはSクラスに突入したが、サボテントラップと王の鉄球で返り討ちに。それ以降、トラウマになっているので、その威厳さも塵となって崩れ落ちているのだ。
「ですね。あっ、コンテナ発見……って、象!?」
「は?」
石崎が指差す方を見ると、何故かコンテナの前に象がいた。しかもアフリカゾウであるが、恐らく美雨が仕掛けたに違いない。
「な、なんだこれ……!? 無人島にアフリカゾウがいるわけねぇだろ……ッ!」
石崎は文字通り腰を抜かしそうになりながら、目の前に鎮座する巨大な影から一歩、また一歩と後じさる。
南国のジャングルに似つかわしくない、堂々たる巨体のアフリカゾウ。耳をパタパタと動かしながら、こちらをじっと見つめているその姿は、幻覚でも見ているのではないかと疑いたくなるほど現実離れしていた。
だが、事態は現実だった。そしてその背後には、うっすらとハイテクな電子回路の輝きと、美雨が好んで仕掛ける特殊な罠を示す奇妙な紋様が刻まれている。
「ま、まさか……!」
龍園は、かつてSクラスの本拠点へ乗り込み、サボテントラップの針の嵐と『王の鉄球』の圧倒的な暴力によって完膚なきまでに叩きのめされた記憶を鮮明に思い出す。あの時のトラウマが脳裏によみがえった瞬間、普段の冷徹で不敵な笑みはどこへやら、彼の顔面は一気に青ざめ、全身の震えが止まらなくなっていた。
「アイツら……Sクラスの連中め、こんなところまで悪趣味な罠を仕掛けやがったのか……っ!」
「り、龍園さん! 象がこっちに向かって鼻を上げましたよ! 突進してきますって絶対!!」
石崎が悲鳴を上げた次の瞬間、アフリカゾウは鋭い咆哮を上げながら、巨体を揺らして一気に突進を開始した。
地面がドスンドスンと激しく揺れ動き、逃げ場のない二人に迫り来る。
「ふざけやがって……! 逃げるぞ石崎ぁーっ!!」
「パオーン!」
龍園としての威厳もプライドも完全に投げ捨て、二人は文字通り命からがら茂みの中へと猛ダッシュで逃げ出した。その後を軽快な電子音とリアルすぎる足音)を響かせながら、美雨特製のハイテク象が容赦なく追い回していた。
※
「助けてくれー!! ゾウが来たぞー!!」
石崎の悲鳴に伊吹などのCクラスのメンバーが振り向くと、茂みの中から龍園と石崎が命からがらの様子で姿を現した。彼女たちは何事かと思いながら、龍園たちに駆け寄る。
「何があったの?」
「出たんだよ。この無人島に象が! Sクラスの罠だ!」
「ま、まさか!?」
石崎の報告に伊吹が冷や汗を流した直後、そのハイテク象が姿を現す。ハイテク象はCクラスを見つけたと同時に、勢いよく目を光らせる。本気で彼らを潰して殺すに違いない。
「嘘……でしょ……?」
伊吹は、目の前にそびえ立つ巨体のアフリカゾウが放つ威圧感と、その瞳が怪しく赤く光るのを目撃して、思わず絶句した。無人島にゾウがいるというだけでも異常事態なのに、機械仕掛けのハイテク紋様まで浮かんでいる。どう見ても普通の野生動物ではなく、悪意を持って調整された「動く要塞」そのものだった。
「伊吹、ぼさっとしてる場合じゃないぞ! あのバケモノ、本気で俺たちを潰す気だ!」
「分かってるわよ! 一体どういう神経してたらこんな島に象を放り込めるのよ、あのSクラスは――ッ!」
「パオーン――!!」
伊吹が毒づいた次の瞬間、ハイテク象が耳をつんざくような電子音混じりの咆哮を轟かせ、地面を揺らしながら再び突進の猛スピードへと移行した。こうなると考える事は唯一つだ。
「全軍、撤退だぁぁぁ──っ!」
龍園の指令というよりはただの絶叫に合わせ、伊吹、石崎、そして周辺でコンテナの回収や果物狩りをしていたCクラスのメンバーたちは、一斉に背中を向けてジャングルの中へと蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
その後ろから、美雨特製のハイテク象が「踏み潰してやりますよ」と言わんばかりの圧倒的スピードで追尾してくる。巨体が木々をなぎ倒し、スリリングすぎるチェイスが島の一角で繰り広げられていく。
「うげっ!」
「ぐはっ!」
「ひ、ひえぇぇぇ――っ!?」
Cクラスの仲間たちが次々とハイテク象の巨体に踏み潰され、文字通り『紙のように薄っぺらいペシャンコ状態』になってふわりふわりと空の彼方へ舞い上がっていく。無人島の青空を背景に、文字通り星のようになって消えていくクラスメイトたちの姿は、もはやシュールレアリスムの極みである。
「なっ……あいつら、一瞬で紙切れに……!? 一体どんな物理法則が働いてんだよコレ……っ!」
「感心してる場合か石崎! 次は私たちの番だろ――っ!」
「パオーン!」
伊吹が冷や汗を滝のように流しながら、龍園の腕を引っ張って必死にジャングルの中を駆け抜ける。残るは自分たちの番であり、必死に逃げようとしていた。
だが、ハイテク象の追尾能力は伊達ではない。背後からは甲高い電子音と共に、地面をえぐるような轟音が容赦なく迫ってくる。
「ふざけやがって……! この俺が、こんな機械仕掛けのバケモノごときに踏み潰されてたまるか……っ!」
龍園はかつての不敵な笑みを完全に引っ込め、必死の形相で木の枝を避けながら走り続ける。普段は冷徹にクラスを支配するリーダーの威厳も、目の前の理不尽すぎるハイテク象の前にはまったく通用しなかった。
「龍園さん、危ない――っ!」
石崎が叫んだ瞬間、ハイテク象が鼻を大きく振り上げ、強烈な突風と衝撃波を伴った一撃を放った。
ドゴォォォンッ!!
「「「ぐわぁぁぁ──っ!!」」」
その衝撃波に巻き込まれた龍園、伊吹、石崎の三人をも容赦なく捉え、彼らもまた見事にペシャンコの紙切れ状態へと変貌を遂げる。そのまま頼りない軌道を描きながら、空の彼方へと仲間の後を追うように舞い上がっていったのであった。
※
こうして、無人島サバイバル二日目の午前中にして、Cクラスは全員揃って大空へ打ち上げられるという、美雨特製トラップの圧倒的すぎる洗礼を受けることになってしまった。当然全員失格であり、最下位は確定したのも当然である。
しかし、Sクラスの罠は此処では終わらない。果たして今後のサバイバル生活はどうなるのか。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
Cクラス脱落。果たしてどうなるのか。
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