二日目がスタートしたけど、まさかCクラスが脱落するなんて! みーちゃんのトラップで見事倒したけど、これはこれでありかもね。
さあ、今回も始まるわ! 準備は良いかしら?
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
Cクラスの脱落は他のクラスにも伝わっていた。あの美雨の象によって脱落するとは前代未聞で、誰もがSクラスを恐れる羽目に。逆らえばお仕置きは確実だと。
Dクラスのメンバーはこの事を受け、森の中で皆で緊急会議。あのSクラスの罠をどう切り抜けるかだ。
「Sクラスがとうとう本気出しやがった! 奴らは本格的に他のクラスを陥れるつもりだ!」
「スポブラとジャージズボン姿の堀北、櫛田、軽井沢、王、佐倉、長谷部、一之瀬さん、椎名さんの八人。さらにモルタデロさんとフィレモンさん、茶柱先生に新たな女性、機械生命体までいるぞ!」
「Sクラスは化け物揃いだ! スポブラジャージズボンはまだ良いが、罠だけは勘弁だ!」
須藤たち殆どの男子勢は、絶叫しながら大混乱。このままでは自分たちもCクラスと同じ末路を迎えるだろう。
その様子を見た平田は皆を落ち着かせ、すぐに今後の行動を説明する。
「まずは落ち着いて。罠については仕方がないけど、ここは罠のある場所を確認し、敵がいないか正確に確認するべきだ。そうすれば安全に食べ物を確保できる」
平田の冷静な提案に、パニック状態だった男子たちも徐々に息を整え始める。須藤は歯噛みしながらも、荒い息を吐き出した。
「くそっ……! 平田の言う通りだ。怖がってばかりじゃ、じり貧で餓死するのを待つようなもんだろ。だが、相手があの一之瀬さんや椎名さん、さらには元Dクラスの長谷部たちまで揃ったSクラスだぞ? 特に王が仕掛けた罠なんて、想像もつかないぜ……!」
須藤の言葉に、周囲の男子たちも再び不安そうなざわめきを上げる。そう、かつて各所で警戒されていた彼女たちが、今や恐るべきSクラスとして君臨しているのだ。モルタデロによって引き抜かれたお陰で勢力を増し、その脅威は計り知れない。
「確かに、一之瀬さんの交渉力や椎名さんの知略、そして長谷部たちの不気味な連携が加わったSクラスは脅威だよ。だけど――」
平田はまっすぐに前を見据え、クラスメートたちを鼓舞するように声を張り上げた。
「僕たちがここで立ち止まっていては、何も変わらない。情報を集め、誰一人欠けることなくこのサバイバルを生き抜くんだ。そのためには、みんなの協力が必要不可欠なんだよ」
その力強い言葉に、Dクラスの面々は重い沈黙の末、ゆっくりと頷き始めた。恐怖心を押し殺し、生き残るための反撃の狼煙を上げるために。
「だな。Sクラスは監視役だし、ちゃんとルールを守れば大丈夫だ。規則正しくするのが第一だ」
「須藤の言う通りだな。だが、あのモルタデロという人は変装していきなり出現する可能性がある。もしかすると、とんでもない事になる可能性もあり得るぞ」
須藤の意見に池は同意するが、別の不安を感じ取っている。
確かにモルタデロはこれで大人しくなるとは思えない。違反しなくてもイタズラでとんでもない事を仕掛ける恐れもあるのだ。
「モルタデロの変装か……確かに、あの奇抜な男が何に化けて現れるか予測がつかない。それに、機械生命体やフィレモンといった得体の知れない存在も絡んでいる以上、通常のサバイバルゲームの常識は通用しないと見るべきだな」
綾小路の冷静な分析に、平田も険しい表情でしっかりと頷く。
「そうだね。油断すれば、いつ足元をすくわれるか分からない。だからこそ、僕たちは単独行動を徹底的に避けて、常に複数人で行動しよう。情報収集の班と、食料調達の班に分かれて――」
その時、パッと周囲の空気が凍りついた。
遠くの木々の間から、チリチリと微かな電子音が響き渡る。機械生命体が近くを巡回しているのか、それとも別の罠が作動したのか。
「……っ! みんな、身を隠して!」
平田の鋭い声と共に、Dクラスの面々は一斉に近くの茂みや大きな岩陰へと身を潜めた。息を殺し、じっと気配を消す彼らの視線の先――木漏れ日の差す小道に、ふわりと奇妙な影が現れる。
それは、どう見ても森の中にポツンとあるはずのない、妙に不自然な「巨大な切り株」だった。だが、よく見るとその切り株には立派なヒゲが生えており、ご丁寧にサングラスまでかけている。
「ふっふっふ、私こそがこの森の熟練した切り株! 気づかれまいと思って完璧な変装で来ましたが、驚きましたか!」
誰の目にもバレバレの変装で堂々とポーズを決めるモルタデロの姿に、茂みの中で須藤が思わず頭を抱えて絶叫しそうになる。その口を、綾小路が背後から素早く、そして無表情でしっかりと塞いだ。
「おや。誰もいませんか。では、別の場所へ」
モルタデロは歩きながら別の場所に向かい、その直後に平田たちが茂みの中から姿を現す。どうやら逃げ切れた様で無事で何よりだ。
「助かったみたいだね……って、爆弾!」
「「「何!?」」」
なんとモルタデロがいた場所にはいつの間にか爆弾が置いてある事が発覚。しかもあと数秒で爆発する。
「あと五秒――いや、三秒だ!」
平田が青ざめた顔で絶叫する。デジタル表示の赤く冷酷な光が、不気味なカウントダウンを刻み続けていた。
「冗談だろっ!? 逃げるぞ!」
須藤が悲鳴を上げ、反射的に身を翻そうとする。しかし、周囲は岩場と茂みに囲まれ、全員が一斉に退避するにはあまりにも時間が足りない。
その瞬間、綾小路は即座に周囲の地形を把握し、近くにあった頑丈な大岩の陰へと平田や池たちを押し倒すように飛び込ませた。
「伏せろ!」
――ドカンッ!!
盛大な爆発音と共に、森の中に強烈な衝撃と閃光が走る。
砂煙がもうもうと立ち込め、周囲の葉がヒラヒラと舞い散った。あまりの勢いに、Dクラスの面々は耳鳴りと共に地面に突っ伏したまま固唾を呑む。
(……死んだか?)
全員が恐る恐る目を開けると、誰一人として致命傷を負ってはいなかった。しかし、爆風の代わりに降り注いできたのは、熱さでも破片でもなく――大量の、甘ったるい香りのするカラフルな紙吹雪と、鮮やかな赤や青のペンキだった。
「ごホッ、ごほっ……なんだこれ……?」
池が頭から真っ赤なペンキを被り、情けない声を上げる。須藤の髪型は爆風でさらに逆立ち、まるで別の生き物のようなシルエットになっていた。
静まり返る現場に、スピーカーからモルタデロのアナウンスが木霊する。
「皆さん、これはドッキリ爆弾です。本物の爆弾はそこにあります」
「「「な!?」」」
須藤たちが再び驚いた直後、盛大な爆発が発生。彼らはそのまま真っ黒焦げになってしまい、髪型がアフロになってしまった……。
※
「「「待てゴラァァァァァァ!!」」」
海岸では須藤たちが全員包帯まみれになりながら、オリックスになっているモルタデロを追いかけていた。平田と綾小路はこの様子を見ているが。
「やっぱりこうなったか……」
「ハハハ……」
モルタデロの行動にフィレモンは呆れてしまい、平田は苦笑いをしていた。
波打ち際を猛烈な勢いで逃走するオリックスに姿を変えたモルタデロは、その立派な角を誇らしげに揺らしながら、ひょいひょいと軽快なステップを踏んで見せる。
「フハハハ! 怒りのパワーで足が速くなっていますよ、若者たち! だが、野生のオリックスの俊敏さには敵いませんよ!」
「逃がすかあああ!! その角を引っこ抜いてやる!!」
アフロ頭のまま全身包帯姿の須藤が、血走った目を剥き出しにして砂浜を疾走する。その後ろを、同じ包帯まみれの池やクラスメートたちが鬼の形相で追従していく。あまりのシュールな光景に、見守るギャラリーからもどよめきが漏れていた。
その様子を少し離れた岩陰から眺めながら、Sクラスの面々はそれぞれの反応を見せる。
「まったく、モルタデロさんは相変わらずやりたい放題ね……。一之瀬さん、あんなんで本当に大丈夫なの?」
スポブラとジャージ姿の恵が、呆れ半分、呆れ顔半分で隣の帆波に声をかける。彼女は苦笑いを浮かべつつ、ふわりと柔らかな笑みを零した。
「うーん、でもモルタデロさんのおかげで、他のクラスとの緊張感も少し和らいでいる……気はするかな? 少なくとも、Dクラスのみんなは元気を取り戻したみたいだし」
「元気というか、怒りでリミッターが外れてるだけじゃないの……」
近くで腕を組んでいた鈴音がやれやれとため息をつく。その隣では、ひよりが文庫本をパタンと閉じ、楽しそうに目を細めていた。
「ふふ、でも退屈しないサバイバルになりそうね。次はどんな趣向を凝らしてくれるのかしら」
そんな会話が交わされる中、追う者と追われる者のドタバタ劇はさらに激しさを増していく。
砂浜を転げ回るモルタデロと、それを必死に取り押さえようとするDクラスの男子たち。その背後では、機械生命体が不気味な電子音と共に新たな罠のチェックを始めていた。
静かなはずの無人島サバイバルは、今日も今日とて予測不能な混沌の渦に包まれている。今後がどうなるのか。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
モルタデロの仕掛けた罠で、Dクラスの殆どが包帯まみれ。しかし、次回には戻ります。
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