さあ、気を取り直して物語の始まりです! では、どうぞ!
無人島サバイバル三日目。Cクラスが脱落してからは反則行為をする者はいなくなった。しかし、美雨の仕掛けた罠に引っ掛かったり、彼女たちのスポブラ姿に興奮して自爆したりする者が続出。脱落者が出るのも無理なかった。
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「とまあ、反則行為をするのはなかったけど……まさかこの姿で多くがやられるなんてね……」
Sクラスのいるログハウス内では、波留加がスポブラの肩紐を引っ張りながら苦笑い。まさかこの姿でやられる物が続出するのは予想外で、下手したら全滅する恐れもあるだろう。
「そうね。モルタデロ、あなたのやり方は敵に刺激を与えるけど、流石にやり過ぎにも程があるでしょ! 大体この服装も恥ずかしさが増しているし、ポーズを取るだけで敵をここまで全滅させているじゃない!」
「これも作戦の一つです。一流のスパイになる為なら、どんな刺激にも耐え切れないと駄目です。恥ずかしい事でも我慢するのも大切ですよ」
「何処がよ!」
鈴音はモルタデロに文句を言った後、思わず息を荒げてしまう。確かにこの服装では恥ずかしさを増しているし、下手したら他クラスを全滅させる恐れもある。サバイバル試験は既に無茶苦茶となっているので、どうにでもできないが。
「まあまあ。鈴音ちゃん。ここは我慢しないと。それに後四日もあるし、自分の役割を果たさないと」
「そ、そうね……」
桔梗からのアドバイスを受けた鈴音は、ようやく落ち着いたため息をつく。今は自分たちの役割を果たす事が最優先であり、文句を言っても無駄だ。
「ところでモルタデロ。みーちゃんが仕掛けた罠は他にもあるかも知れないが、俺たちが通っても大丈夫なのか?」
「大丈夫です、ボス。では、そのトラップの確認に向かいましょう。みーちゃん、ご案内を」
「はい!」
フィレモンの質問にモルタデロが答えた後、彼は美雨に対して指示。彼女も頷きながら承諾し、モルタデロ、フィレモン、鈴音、桔梗、恵、麻耶、愛里、波留加、帆波、ひより、比瑪と共にトラップの仕掛けた場所へと向かい出す。因みに佐枝とブレンたちはこの場で待機しているのだ。
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生い茂るジャングルの緑の中を、モルタデロたちの一行が慎重に進んでいく。湿度の高い空気の中、足元を踏みしめる音がザクザクと響いていた。
「ここ、ですね……。私が丹精込めて作った、特製の『落とし穴トラップ』です!」
誇らしげに胸を張る美雨の指差す先には、一見すると何変哲もない落ち葉が積もった地面が広がっていた。しかし、よく見ればその周囲には妙にピカピカと光るワイヤーが張り巡らされ、さらに中央には謎の自動発射型ギミックがセットされている。
「……これ、落ちた瞬間に何が起きるのよ?」
恵がスポブラの裾を軽く整えながら、あきれ半分に尋ねる。愛里も不安そうにその場から少し距離を取った。
「ふふっ、落ちた相手の頭上から大量の粘着性ハチミツと極彩色のペンキが同時に降り注ぎ、さらに特製の驚きびっくりおもちゃが飛び出す仕組みです! ちなみに象のぬいぐるみは重量制限があったので今回は見送りました!」
「いや、十分すぎるほどエグいって……」
麻耶が冷や汗を流しながら引きつった笑みを浮かべる。もし男たちがここに引っかかったら、精神的ダメージで再起不能になるのは確実だった。
「ほう、なかなかのトラップセンスだな。心理的なプレッシャーと物理的な羞恥心を同時に攻める、素晴らしい仕掛けだ」
「素晴らしい! これぞ一流のスパイに必要なサプライズ精神ですよ、みーちゃん!」
フィレモンが静かに頷くと、モルタデロは満足そうに拍手していた。ここまでやるとはスパイのレベルを超えているのは明らか。下手したら大物になれる可能性が高い。
「……感心している場合じゃないわよ、モルタデロ。こんな危険で恥ずかしい罠が島中に仕掛けられているとしたら、他のクラスがまともに移動できるわけないじゃない。これじゃサバイバル試験というより、ただの嫌がらせの刑務所よ」
鈴音はこめかみを押さえ、頭痛をこらえながら鋭く指摘する。しかし、桔梗はくすくすと上品に笑いながら鈴音の肩をポンと叩いた。
「まあまあ、鈴音ちゃん。それだけ私たちの防衛力が高いってことだし、他クラスが勝手に自滅してくれるなら私たちも楽ができるでしょ?」
「そういう問題じゃない気もするけど……」
波留加がやれやれと苦笑いする傍らで、ひよりは目を輝かせて罠の構造をじっくりと観察していた。恐らく
「ふふ、でも見事なものね。この巧妙な配置、ミステリー小説の密室トリックを見ているようでワクワクしちゃうな」
「ひよりちゃん、変なところに感心しないでよ……」
帆波も苦笑いを浮かべつつ、周囲に危険がないか目を光らせる。比瑪も無言で頷いたその時、彼女がある物を見つける。それは先程Cクラスを踏み潰した象である。
「これ、確かCクラスを踏み潰したアフリカゾウだよね? 私たちには危害を加えないの?」
「大丈夫です。私たちには攻撃しませんので」
「それなら安心だな」
比瑪の質問に美雨が応え、フィレモンが安心して象に近寄る。自分たちを攻撃しないのなら大助かりだ。
しかし、象は鼻でフィレモンを殴り飛ばしてしまう。そのまま彼は勢いよく飛ばされてしまい、近くにある果樹に頭から激突。その衝撃で果物が次々と落下してしまったのだ。
「言い忘れましたが、改良してボスを殴り飛ばす機能をつけました」
「いつの間に!?」
モルタデロの説明に美雨が驚いた直後、フィレモンがたんこぶを作りながらフラフラと歩き出していた。しかも背中には大量の果物が入った籠を背負っている。
「モルタデロ……お前と言う奴は……」
危機感を感じたモルタデロは猿に姿を変え、木々の間をキーキーと甲高い声を上げながら素早く飛び回る。その背中を狙い撃つべく、怒りに燃えるフィレモンがトゲトゲの巨大なドリアンを再びブン投げる。
「待て、モルタデロォーーッ!! 俺を殴り飛ばす機能などいつの間に仕込んだ!」
「ハハハ、当たるものですかボス! 身軽さなら野生の猿には負けませんぞ!」
すんでのところでドリアンを回避したモルタデロは、別の木の枝にヒョイと飛び移り、あっかんべーとばかりに舌を出して見せる。そのバカバカしい追いかけっこに、見守る女子たちも呆れを通り越して脱力気味だ。
「あんな風に、モルタデロさんが直々に野生動物と化して追いかけっこしてるの……なんかもう、色々と突っ込む気力も湧かないわね」
「う、うん……なんだかすごい世界だね……」
「ふふっ、でもなんだか愉快ね。まるで海外の古いコメディ映画を見ているみたい。こういうハプニングがあるのも、このサバイバル試験の隠し味って感じでワクワクしちゃうな」
恵がやれやれといった様子で額に手を当て、愛里も小さくうなずいた。更にひよりに至っては目を輝かせながら、楽しそうにメモ帳を取り出そうとする。それを横目で見た鈴音が、堪えきれないといった様子で深いため息をついた。
「ワクワクしている場合じゃないでしょ、ひより。私たちは一応、このサバイバルで不正をしているか確認しているなのよ。それがどうして、味方同士で殺伐とした果物投げ大会を始めているわけ……」
「まあまあ、鈴音ちゃん。二人の仲が良い証拠だと思うよ。でも、ギスギスするよりはこれくらい賑やかな方が、緊張感がほぐれて良いかもしれないよ?」
帆波がふんわりと微笑みながらそう言うと、比瑪もコクコクと大きく頷く。確かに賑やかだからこそ、自分たちらしいと言えるだろう。
「そうね。私の故郷でも、たまに変な動物に追いかけ回されるトラブルはあったから……これくらい日常の範囲内だからね」
「いや、比瑪さんの故郷がどんなところか逆に怖いですよ!」
波瑠加の鋭いツッコミがジャングルの空に響き渡り、美雨、桔梗、麻耶も苦笑いで応えるしかなかった。これから先のサバイバル試験も、絶対に何かやらかすと思いながら。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
サバイバル試験は爆笑展開の日々が続く事になります。果たして次の犠牲者は?
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