モルタデロとフィレモン よう実スパイ大作戦   作:蒼牙王

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皆さん、モルタデロです。我々は夏休みの間、我が祖国スペインに向かう事になりました。鈴音さんたちのスパイ能力を上げる為、T.I.A.本部へ直行となります。彼女たちなら成長できるので大丈夫ですが。
さあ、皆さん。準備は良いですか? 物語スタート!

OP:モルタデロとフィレモンのテーマ


第26話 T.I.A.本部での出会い

 スペインのマドリード空港。モルタデロ一行はようやく目的地に到着する。モルタデロ、フィレモン、比瑪、ブレンたちは出張先からの帰還。帆波は久々で他は初めてだ。

 

「久しぶりのスペイン! ようやく辿り着いた!」

 

 帆波は背伸びをしながら、笑顔で目の前の光景を見ていた。彼女は一年前にもモルタデロによるスパイ研修でスペインに来た事があるので、久々の来訪を心の底から喜んでいるのだ。

 

「やっぱり本場の空気は違うわね。建物も街並みも、日本とは全然雰囲気が違っておしゃれかも!」

「確かに写真映えしそう!」

「ここでの撮影も悪くないかも!」

 

 周囲の景色を見渡しながら、恵が目を輝かせて声を弾ませる。麻耶や愛里も嬉しそうに頷きながら同感していた。

 

「ふふ、見渡す限り歴史ある建物ばかりで素敵ね。まるで海外のサスペンス小説の舞台に迷い込んだみたいだわ」

 

 ひよりはガイドブックを片手に、うっとりと街並みを眺めている。彼女もスペインには興味あるので、海外のサスペンス小説の舞台を巡ろうと考えている。

 

「まあ、旅行気分でいられるのは今のうちかもしれないけどね。あのおじさんたちが絡んでる以上、ただの観光で終わるわけないし……」

「正解です、波瑠加さん!」

 

 波留加の推測にモルタデロが頷きながら応える。今回の目的はスパイ実習なので、そう簡単に終わる筈はない。

 

「今から我々は本部へと向かいます。普通のバスに乗って向かいましょう」

「あ、そこは普通なのね」

「てっきり変なバスかと思った」

 

 モルタデロの説明に鈴音、桔梗は納得の表情で頷き、全員はすぐにバスに乗り込む。そのままバスは、目的地であるT.I.A.本部へと向かい出したのだ。

 

 ※

 

 T.I.A.本部に到着したモルタデロたちは、総監であるヴィセンテのいる部屋に入ってくる。重厚な扉が閉まると、部屋の中央にはT.I.A.の最高責任者であるヴィセンテ総監が、腕を組んで険しい表情で待ち構えていた。そのトレードマークの太い眉がピクリと動き、厳めしい視線がモルタデロたち、そして日本からやってきたSクラスの生徒たちへと向けられる。

 

「よくぞ無事に到着した。……まあ、普通のバスに乗ってきたという時点で、いつもよりは幾分マシだがな」

 

 ヴィセンテが意味深なため息をつくと、モルタデロはわざわざ敬礼のポーズを取りながら大げさに胸を張った。

 

「ふふっ、総監! ご心配なく! 道中、私の天才的なひらめきによるサプライズはあえて封印し、安全第一でここまで参りましたぞ!」

「お前がそれを言うと逆に何か裏があるんじゃないかと不安になるんだが……まあいい。本題に入ろう」

 

 ヴィセンテはデスクの上にあった分厚いファイルをパッと開き、真剣な眼差しを生徒たちに向けた。いよいよ今回の本題である『特別スパイ研修』の概要説明が始まるようだ。

 

「今回の実習――正式名称『T.I.A.合同国際エージェント育成プログラム』について説明する。君たちSクラスが日本の学校で行ってきた特殊な監視任務や試験は、いわば基礎訓練に過ぎない。ここスペイン本部に於いて、本格的なスパイとしての実戦経験を積んでもらう」

 

 その言葉に、鈴音はスッと背筋を伸ばし、真剣な表情で耳を傾ける。恵や麻耶たちも、ただの観光ではない現実に少しだけ表情を引き締めた。

 

「総監、具体的にはどういった内容なのでしょうか?」

 

 比瑪が静かに問いかけると、ヴィセンテは机の上に数枚の写真と地図を広げた。誰もが真剣な表情をしながら、それらを確認している。

 

「内容は至ってシンプルだ。マドリード市街に潜伏した『国際的スリ・盗聴グループ』の足取りを掴み、彼らが隠し持っている『T.I.A.の極秘データが入ったアタッシュケース』を回収すること。ただし、我が方の天才(自称)科学者であるバクテリオ教授が、最近開発した『装着すると強制的に変な踊りをしてしまう特製スパイウォッチ』や『周囲の人間を全員アフロ頭にする香水』などの厄介な試作品が、なぜかそのグループの手に渡ってしまっている」

「なっ……! バクテリオ教授の危険な発明品が外に流出してるってことですか!?」

 

 帆波が顔を青ざめさせながら声を上げる。一年前の研修でそのヤバさを身をもって知っている彼女だからこそ、その事態の深刻さが痛いほど分かっていた。

 

「そういうことだ。敵のエージェントだけでなく、暴走する発明品の罠をも潜り抜けなければならない。グループごとに分かれ、マドリードの街を舞台にした本格的な追跡・潜入捜査を開始してもらう」

 

 ヴィセンテの説明を聞いた鈴音たちは、真剣な表情をしながら頷く。スペインに着いてきて早々、極秘データを奪還する危険な任務に直面してしまった。しかし、ここからが本格的となる以上、やるからには成功するのみだ。

 

「となると、ここはモルタデロ班、フィレモン班、茶柱班、比瑪班の四グループに分ける必要がありますね。なるべく分散した方が効率的です」

「みーちゃんの言う通りだな。じゃあ、早速グループ分けだ」

 

 美雨の意見にフィレモンも同意し、四グループに分かれる話し合いを始める。その結果、この様になった。

 

 モルタデロ班:モルタデロ、帆波、鈴音、桔梗

 フィレモン班:フィレモン、王、ひより

 茶柱班:佐枝、恵、麻耶

 比瑪班:比瑪、愛里、波留加

 

 因みにブレンたちは本部に残るが、ピンチの時は助けに行く事になっている。

 

「では、早速向かいましょう!」

 

 モルタデロの合図と同時にSクラスの面々はそれぞれが割り振られた四つの班に分かれ、ヴィセンテ総監の待つ総監室を後にした。ここからスペインでの本格的な実習も、始まりを告げられたのだ。




ED:SUMMER EYES(王バージョン)

スパイ実習スタート!ここからです!

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