マドリードに潜伏している『国際的スリ・盗聴グループ』の足取りを掴み、彼らが隠し持っている『T.I.A.の極秘データが入ったアタッシュケース』を回収する事に。彼女たちにとっては本格的な実戦となるが、果たしてどうなるかだ。
それじゃ、今回も行ってみようか!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
モルタデロ、帆波、鈴音、桔梗の四人は、スリグループの拠点を見つける作戦に取りかかっていた。書類については拠点内にある確率が高いので、あとはどの様に見つけるかだ。
「確認ですが、『装着すると強制的に変な踊りをしてしまう特製スパイウォッチ』や『周囲の人間を全員アフロ頭にする香水』などの厄介な試作品もあります。博士の試作品は本当に困った物です」
「そうそう。モルタデロさんの髪の毛が無くなったのも、あの発明品のせいだからね……」
モルタデロと帆波の説明を聞いた桔梗は、苦笑いしながら応えるしかなかった。彼らもまたバクテリオの発明品の恐怖の体験をしたので、苦労したのも無理はない。
「静かにして。……周囲の人ごみの流れ、特定のエリアを避ける市民の動向、そしてあきらかに不自然に大きなアタッシュケースを抱えて歩く人間の足取りを分析すれば、答えは自ずと見えてくるわ」
鈴音は目を細め、自身の卓越した観察眼と論理的推論をベースに独自で磨き上げた「サーチスキル」をフル回転させる。マドリードの複雑に入り組んだ路地や人通りのデータを脳内で高速処理していくその姿は、まさに冷静沈着なプロのエージェントそのものだ。
「おお、素晴らしい洞察力です、鈴音さん! ままるで血に飢えた猟犬……いや、優秀なブラッドハウンドのようですな!」
「誰が猟犬よ。……もう少し例えを選びなさいよね、モルタデロ」
モルタデロの余計な一言に鈴音の眉間がピクリと動くが、彼女はすぐに意識を目の前のデータへと集中させる。敵の行方を探すのが任務である以上、余計な事は考えない。
「――導き出された答えはここよ。あの古いアンティークショップの裏手にある、廃墟を偽装した隠しアジト……間違いないわ」
鈴音が指し示した先には、歴史ある石造りの街並みに溶け込むように佇む、古びたアンティーク雑貨店があった。一見すると観光客向けの普通の店にしか見えないが、よく見ると店の裏手から微かに電子音が漏れ聞こえ、さらには店に入っていく男たちの頭がなぜか全員見事にアフロヘアへと変わっているのが窓越しに確認できる。
「あんな分かりやすく全員アフロになっていたら、隠れる意味が全くない気がするけど……」
「さすが鈴音ちゃん、すごいね! 私たちの時より圧倒的にスムーズに拠点を見つけ出しちゃったよ」
桔梗は優雅に微笑みながら納得の表情を浮かべ、帆波が感心したように拍手を送る。それらを聞いた鈴音はふっと小さく息をついて首を横に振った。
「感心するのは中に入ってデータを回収してからよ。相手もプロのスリ・盗聴グループだし、何よりバクテリオの危険な試作品が罠として仕掛けられている可能性があるわ。油断しないで」
「了解です、ボス(代理)! では、一流のスパイである私が華麗に正面突破を――」
「ダメよ、モルタデロ。あなたがいきなり突っ込んだら、また別の意味で建物ごと爆破されかねないわ。今回は私の立てた潜入プラン通りに動くこと!」
鈴音の鋭い命令に、モルタデロは見事な敬礼で応じる。そのまま彼らは扉の前に移動し、中に人がいるか確認し始める。その様子だといるのは確実だ。
「ここは扉から出たと同時に、ハンマーで人を叩くわよ。櫛田さん、お願い」
「はいはーい」
鈴音の鋭い指示を受け、桔梗はにっこりと愛らしい笑みを浮かべたままで、いつの間にかどこからか取り出した(あるいはモルタデロから手渡された)ピコピコハンマー……ではなく、ずっしりと重そうな特製の大型ハンマーを軽々と担ぎ上げる。そのギャップが逆に恐ろしい。
「任せて。こういう実戦的なお仕事、嫌いじゃないから♪」
桔梗の黒い笑顔の裏にある圧を感じつつ、鈴音は頷き、モルタデロに合図を送る。モルタデロはスパイらしく忍び足……のつもりで派手に足音を立てながら、アンティークショップの隠し扉をノック……ではなく、勢いよく蹴破った。
「こんにちは! T.I.A.特命エージェントのお通りですぞ――っと!」
「馬鹿、ノックの意味がないでしょ!」
鈴音のツッコミが響くのと同時に、アジトの中から「んだ、てめぇら――っ!?」と、完璧なアフロ頭の男が驚愕の表情で顔を出す。
しかし、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。
「お疲れ様です♪」
パコーン! と心地よい(そしてものすごい威力の)打撃音が廃墟に響き渡り、顔を覗かせたアフロの男は綺麗に白目を剥いて、そのまま崩れ落ちるように気絶した。一撃必殺の鮮やかすぎる手際に、モルタデロと帆波は思わず「おぉ……」と感嘆の声を漏らす。
「さ、流石は櫛田さん……。見た目の可愛さとは裏腹に、エージェントとしての戦闘力もカンストしてるね……」
「ふふ、これくらい基本だよ?」
桔梗は涼しい顔でハンマーを肩に担ぎ直し、まるで花畑でも散歩するかのように軽やかな足取りでアジトの内部へと足を踏み入れた。まるで恐ろしいとしか言いようがない。
「ボーッとしてないの、入るわよ!」
鈴音の指示で、モルタデロ、帆波、そして最後に鈴音自身が素早く隠しアジトの内部へと潜入する。
薄暗い室内の中心には、情報が詰まっていそうな怪しげな机と、そして問題のバクテリオ教授の発明品――「装着すると強制的に変な踊りをしてしまう特製スパイウォッチ」が山積みになった段ボール箱、さらに中央には目的の『極秘データ入りアタッシュケース』がドンと置かれていた。
「ありました! あれがT.I.A.の極秘データが入ったアタッシュケースです!」
モルタデロが目を輝かせて指差すが、その足元にはなぜか怪しげなバナナの皮が落ちており、嫌な予感がプンプンと漂っている。迂闊に近づいたら碌でもない事に間違いない。
「ちょっとモルタデロ、そこ動かないで! 絶対に変な罠が仕掛けられているから……!」
鈴音が警告を発するよりも早く、モルタデロの足がバナナの皮を踏み抜いてしまう。そのまま彼はひっくり返ったが、その衝撃でアタッシュケースが飛んでしまい、鈴音の手元に渡っていた。
「怪我の功名ね。まあ、よしとしましょう」
「そうね。あと、試作品も回収っと!」
鈴音はアタッシュケース、帆波と桔梗は発明品の入った箱を回収。モルタデロも普通に起きて行動しようとしたその時、足音が聞こえ始める。恐らく増援が来た合図だろう。
「やっぱりね……見つからない内に逃げないと!」
鈴音の合図に全員が頷き、急いでその場から逃げ出し始める。果たして敵に見つからず、無事に仲間の元へと合流する事ができるのか。
ED:SUMMER EYES(王バージョン)
アタッシュケース、回収成功! ここからどうなるのか。
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