モルタデロとフィレモン よう実スパイ大作戦   作:蒼牙王

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一之瀬帆波だよ。任務でアジトに入って無事に書類は手に入れたけど、敵に見つかろうとする事態に。早く逃げ切って合流しないと!
さあ、今回も始まるよ! 準備は良いかな?

OP:モルタデロとフィレモンのテーマ


第28話 合流からの爆発騒動

 モルタデロ、帆波、鈴音、桔梗の四人は目的となる書類と発明品を手に入れたが、敵に見つからずにアジトをどう脱出するかだ。もし見つかってしまったのなら、急いで逃げて合流するしかない。

 

「っと、すべり――ぎゃーっ!?」

 

 モルタデロがバナナの皮を踏み抜いた瞬間、盛大に宙を舞い、そのままド派手に段ボールの山積みに突っ込んだ。景気よく段ボール箱が崩れ落ち、中に入っていた『装着すると強制的に変な踊りをしてしまう特製スパイウォッチ』が一斉に起動。けたたましい電子音と共に、怪しげな音楽がアジト中に鳴り響く。

 

「な、なんだお前ら――っ!?」

 

 奥の部屋から、怒声を上げた数十人のアフロ頭の男たちが一斉に飛び出してきた。完全に敵に見つかってしまったのも無理はない。

 

「あーーもうっ! だから言ったでしょ、モルタデロ!」

「ふふ、隠れて脱出する計画はパーになっちゃったけど、こっちの方が手っ取り早くて私好みかも♪」

「ちょっと、のんきなこと言ってる場合じゃないよ! でも、やるしかないね!」

 

 鈴音が焦りを隠しながらも鋭い眼光を放ち、すぐさま懐から麻酔弾を装填したスパイガンを構える。桔梗はにっこりと不敵な笑みを浮かべ、再び大型ハンマーを軽々と回す。帆波も姿勢を低く構え、周囲の敵の動きを冷静にフェイントしつつ牽制していた。

 そんな中、なぜか暴走したスパイウォッチの一つがモルタデロの手首にガッチリと装着されてしまい、彼の体が勝手に激しいコサックダンスを踊り出した。

 

「おっとっと! これはまた情熱的なルンバ……ではなくコサックダンスですぞ! いやぁ、体が勝手にリズムを刻んで――って、敵が来ますよ!」

「踊ってる場合じゃないでしょ、このバカエージェント!」

 

 鈴音のツッコミと同時に、アフロの男たちが一斉に飛びかかってくる。しかし、Sクラスの精鋭たちを甘く見てはいけない。

 

「お邪魔しまーす♪」

 

 桔梗のふるった特製ハンマーが、突撃してきた男たちの頭を次々と正確無比にかち割り、鮮やかに道を切り開く。

 その隙に、帆波が目的の『極秘データ入りアタッシュケース』をガッチリと掴みながら、モルタデロの服の襟を強引に引っ張った。

 

「モルタデロさん、データは確保したよ! こっちから脱出するよ!」

「はっ! 華麗なステップでの撤収ですね、了解ですぞ――っと、あーっと!」

 

 踊らされながらもアタッシュケースを死守するモルタデロを先頭に、四人はアンティークショップの裏口を勢いよく突き破り、マドリードの眩しい太陽の下へと飛び出した。

 

「追え! あのガキどもを逃がすな!」

 

 背後から怒号とアフロの男たちの足音が迫る。後は無事に逃げ切れるかだ。

 

 ※

 

 モルタデロたちはフィレモンたちとようやく合流し、後は本部へ逃げるのみだ。しかし、アフロの男たちが追いかけてくる。追いつかれたら戦うしかないが。

 因みにモルタデロはスパイウォッチを外して、踊りから解放済みだ。

 

「おい、モルタデロ。あのアフロ男をどうにかしないとまずいぞ!」

「ご心配なく。鈴音さんたちはアタッシュケースを持って先に向かってください。みーちゃん、お願いします」

「ふふっ、罠の準備なら任せてください! 私の特製『時限式おもしろ爆弾&バナナトラップ』の出番ですね!」

 

 美雨はニッコリと微笑むと、オーバーオールのポケットから次々と怪しげな導火線付きのガジェットを取り出し、ものすごい手際で路地に仕掛けていく。

 そして、勢いよく追いついてきたアフロ男の群れが、見事にその罠の真ん中へと突っ込んだ。

 

「よし、トリガーオープン!」

 

 美雨がスイッチをポチッと押した瞬間――。

 

 ズドオオオオオンッ!!

 

 マドリードの青空に、まるでギャグアニメのような派手なキノコ雲と轟音が響き渡る。アフロの男たちは見事に全員吹き飛び、見事な丸焼きアフロになって気絶していた。

 すかさず恵たちが一斉に駆け寄り、アフロ男たちを次々と捕縛していく。

 

「やったね、大成功……って、あれ?」

 

 帆波が目を丸くして指差す。敵の撃退は大成功したものの、その激しすぎる爆風の余波は、なぜか安全圏にいたはずのフィレモンをも直撃していたのだ。

 

「ぐふっ……! なぜ俺まで爆風の直撃を受けねばならんのだ……!」

 

 見ると、フィレモンは綺麗に頭からつま先まで真っ黒焦げになり、トレードマークの二本の毛からチリチリとした煙を上げながら、ガクリと膝をついていた。その様子を見た美雨は顔を真っ青にしながら恐怖を感じ取り、波留加たちは苦笑いだ。

 

 ※

 

「いやー、よくやった! 君たちのおかげで集団は逮捕。しかも書類を取り戻すとは見事だ!」

 

 本部に戻った鈴音たちは、これまでの事をヴィセンテに全て報告。当然彼に褒められていて、アタッシュケースと試作品も無事に渡す事に成功。これで最初の任務は無事にクリアだが、まだまだ任務はあるのでこれからだ。

 すると、バクテリオはモルタデロ、フィレモン、美雨がいない事に気付く。

 

「ところでモルタデロたちは?」

「外です」

 

 佐枝が指差す方を見ると、全身包帯まみれのフィレモンが美雨とモルタデロを追いかけていた。因みにモルタデロはコウノトリに変身しながら、空を飛んでいた。

 

「待てコラ、モルタデロ――っ!! 今度こそその羽を全部むしり取って焼き鳥にしてくれるわ!!」

「作戦は結果オーライじゃないですか」

 

 全身を包帯でぐるぐる巻きにされたフィレモンが、怒りのあまり血管を浮き上がらせながら、マドリードの石畳を猛ダッシュで追いかけている。その頭上では、モルタデロがコウノトリに変身してパタパタと空を優雅に旋回していた。

 

「ひえー、ボスの怒りが限界突破してるー!」

 

 美雨も叫びながら、四次元オーバーオールのポケットから次々と道具を取り出して逃げ惑っている。

 そのあまりにカオスすぎる外の様子を、総監室の窓からじっと見つめていたヴィセンテたちは、なんとも言えない表情で固まっていた。

 

「まあ、奴らはいつもこうだ。これから宜しく頼むよ」

「は、はあ……」

 

 ヴィセンテの苦笑いに鈴音たちはそう応えるしかなかった。帆波、比瑪は共に組んでいるのでよく分かるが、ひよりだけは楽しそうな表情で見つめていた。

 

「けど、最初の任務は無事にクリアしたからね。フィレモンさんも元気そうだし」

「そうそう。こういうのがあるから、Sクラスは楽しいんだよね」

 

 麻耶と恵の笑顔にひよりたちも同様の表情で頷く。彼らがいるからこそ、Sクラスは楽しさ抜群。今後のスペインでの任務も不安や退屈も無くて大丈夫だろう。




ED:SUMMER EYES(王バージョン)

最初の任務は無事に成功。次は何が起きるのか?

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