さあ、気を取り直して、今回も盛り上がりましょう!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
Sクラスのスペイン研修はドタバタになりながらも、順調に進みまくっていた。モルタデロたちの団結力も深まるだけでなく、身体能力も向上したのでよい結果にはなっただろう。
そんなある日、ヴィセンテから呼び出しを受けたモルタデロたちは、彼の話を聞いていた。
「総監たちも日本に来るのですか?」
ヴィセンテの話を聞いたモルタデロたちは、まさかの展開に驚きを隠せずにいた。彼らも日本に来てくれるとは予想外としか言えないだろう。
「そうだ。Sクラスの成長のサポートだけでなく、本格的な任務を引き続き取り入れる事になる。その為には我々もスペインから日本へ移動する事になるが」
「なるほど。確かにその方が効率的の様ですし、私たちとしてもありだと思います」
ヴィセンテの説明に鈴音が代表しながら応える。二学期からも本格的な任務を継続する事ができるのは効率的になる為、願ってもない事と言えるだろう。
「そこで、スペインでの最後の任務だ。アメリカに行き、自由の女神の中にとあるコードが隠されている。それを写真で撮影して記録する様に。なお、今回の任務は秘書であるオフェリアも同行する」
「オフェリア……まさかあの秘書ですか!?」
ヴィセンテの説明を聞いたモルタデロ、フィレモン、帆波、比瑪が驚いた直後、そのオフェリアが姿を現す。金髪の女性だが、太っているのが特徴だ。
「Sクラスの皆、今回の任務は私も同行するから宜しくね」
「はい。オフェリアさんって、普通の人だと思うけど……」
桔梗の発言を聞いたモルタデロ、フィレモン、帆波、比瑪は、首を横に振りながら否定する。恐らく何か理由でもあるのだろう。
「いいや。彼女はうぬぼれていて、恋愛運は0。おまけに太っているからな」
フィレモンが説明した直後、オフェリアが怒って彼を殴り飛ばす。その光景を見た鈴音たちは、思わず大量の冷や汗を流してしまった。
「あなたたちもこうなりたくなければ、今の言葉は使わないようにね」
「「「はい!」」」
オフェリアの笑顔の忠告に、鈴音たちは冷や汗を流しながらそう応えるしかなかった。逆らえば同じ目に遭うと分かりながら。
※
大西洋を横断する飛行機の機内。窓の外に広がる雲海を眺めながら、鈴音たちはアメリカ・ニューヨークへの長旅を楽しんでいた……と言いたいところだが、機内の空気はすでに通常運行のドタバタに包まれていた。
「――だから、その『自動操縦型お一人様気球シート』を機内で広げるなと何度も言っているだろ、モルタデロ!!」
「ひゃーっ! ボス、紐が引っ張られて勝手に空気が……っ、天井に頭がぶつかりますーーっ!」
モルタデロがまたしてもバクテリオ博士の怪しげなガジェットを勝手にいじったせいで、エコノミークラスの狭い通路でモコモコした一人用気球が急激に膨らみ、モルタデロの体が天井へ押し付けられていく。お約束としか言えないだろう。
「もう……せっかくのニューヨーク行きなのに、本当に落ち着かないよね……」
「モルタデロさん、相変わらず元気だねぇ……」
恵がやれやれと額に手を当て、比瑪や麻耶も苦笑い。いつもの事としか言えず、これがSクラスの日常と言えるだろう。
そんな中、通路の反対側では、オフェリアが機内誌を優雅にめくりながら、冷ややかな視線をモルタデロに向けていた。
「まったく、騒がしい人たちね。私のロマンチックな空の旅を邪魔する気かしら……。まあいいわ、ニューヨークに着いたら、私の素敵なコーディネートを誰かに見せつけないとね」
その直後、気球シートのゴムが「パーンッ!」と盛大に破裂し、モルタデロがオフェリアの膝の上に勢いよく尻もちをついた。
「ぶふっ……!? お、重い……!?」
「……今、私に何て言ったのかしら、モルタデロ?」
オフェリアの背後から黒いオーラが立ち込め、ギシギシと恐ろしい関節の音が響く。
次の瞬間、機内全体が激しく揺れ動き、モルタデロは窓の外へと放り出されかねない勢いで一撃を食らうのだった。鈴音たちはその光景を見ないふりをしつつ、そっと目を背ける。
※
数時間のフライトと激しい(精神的・物理的)試練を乗り越え、一行は無事にニューヨークのJFK空港へと降り立った。
摩天楼がそびえ立つマンハッタンの街並みに、帆波やひよりは目を輝かせる。
「わぁ、すごい……! テレビで見た通りの景色だね! 建物がすごく高くて圧倒されちゃう!」
「うん、小説の舞台にもよく使われる場所だものね。なんだか創作意欲が刺激されちゃうな」
テンションを上げる少女たちを尻目に、フィレモンが地図と任務のブリーフケースを確認しながら声を張り上げる。今はそんな事をしている場合ではないと判断しているのだ。
「感傷に浸っている暇はないぞ! 今回の任務は『自由の女神の中に隠されたコードの撮影』だ。観光気分はそこまでにして、フェリー乗り場へ急ぐぞ!」
フィレモンの合図でマンハッタンのバッテリー・パークから出航するフェリーに乗り込み、ハドソン川を渡る一向。
海風を受けながら、目の前に徐々にその巨大な姿を現していくのは、世界的に有名な緑青色の巨像――自由の女神だった。
「間近で見ると、やっぱり迫力がすごい!」
「生で見れて良かったよね……」
愛里と波留加は自由の女神の姿を見て、感動しながら見つめていた。今までは映像などで見ていたが、生で見るのは初めてだ。
「あの中に今回のターゲットであるコードが隠されているわけね。油断せずにいきましょう」
鈴音の引き締まった声に、桔梗たちも真剣な表情で頷く。ここからが任務も本番である以上、油断は禁物だ。
※
その頃、高度育成高等学校の地下訓練室では、AからDクラスの特殊訓練がまだまだ続いていた。殆どが脱落していく中、残ったのは綾小路、平田、高円寺、葛城、神崎、伊吹の六名。彼らは多くの訓練をこなしていて、ラストスパートまで進んでいた。
「残ったのはこの六人。それ以外はここまでみたいですね。さて、ここからどうなるのか楽しみですね」
有栖は不敵な笑みを浮かべながら、訓練を乗り越えていく綾小路たちを見つめる。Sクラスとの戦いは最高に面白くなる事を確信しながら。
ED:SUMMER EYES(王バージョン)
あと1話で夏休み編は終了。果たしてどうなるのかに注目です!
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