さあ、今日から体育祭後半! お見逃しなく!
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
「うひょーっ! 見てくださいよこの豪華絢爛なラインナップを! 弁当の定番おかずから日本各地の絶品おにぎりまで、よりどりみどりじゃないですか!」
待ちに待った昼休み。Sクラスはアジト内の専用レストランへ。その扉が開くなり、モルタデロは目をハートマークにさせながら猛ダッシュでビュッフェ台へと突進していく。
ずらりと並んだ大皿の上には、外側がカリッと揚がった特製の特大唐揚げ、美しく巻き上げられた出汁巻き卵、タコさんウインナー、エビフライといったお弁当の花形おかずが山のように積まれていた。
さらにその隣には、職人顔負けの握り加減で作られた数種類のおにぎりがズラリ。定番の紀州南高梅や塩鮭、ツナマヨはもちろん、ピリ辛の韓国風チャンジャおにぎりや、スペイン風の生ハムが贅沢に巻かれた変わり種おにぎりまで所狭しと並んでいる。
「わあ、すごーい……! おにぎりの種類だけでも十種類以上はあるよ!」
「あたし、この明太子マヨネーズと、定番の唐揚げの組み合わせは絶対に外せないわ!」
愛里が目を輝かせながら大きなお皿を手にとり、どれにしようかと嬉しそうな悩ましげな表情を浮かべる。その隣で恵も、さっそくお皿に次々と美味しいおかずを盛り付けていく。
「ふふ、午前中の体育祭でかなりカロリーを消費しましたからね。ここでしっかりと栄養を補給しておかないと、午後の競技に差し支えます」
ひよりはすでに席を確保し、片手に上品なおにぎり、もう片手に文庫本を持ったまま、のんびりと優雅なランチタイムの準備を整えていた。これが彼女なりの休み方であり、本人にとっては一番最高と言えるだろう。
「いやあ、午前中は色々あったけど、こうして美味しいご飯を食べられるなら最高の体育祭ね!」
波留加が大きなスパムおにぎりを豪快にガブリと一口で頬張りながら満足そうに笑う。麻耶や比瑪、美雨たちもそれぞれの好みの料理を皿に盛り、楽しそうに席を囲んでいた。
この様にSクラスの面々は冷房の効いた快適なアジトで、極上のビュッフェを心ゆくまで満喫している。
「確かにそうね。だけど、午後からは本番よ。綱引き、障害物パニックリレー、二人三脚、AからDクラスで争う最強決定戦があるから」
「二人三脚での組み合わせは私とモルタデロさん、フィレモンさんと桔梗ちゃんとなっているからね。あとは他クラスの最強決定戦は観戦だけど」
鈴音の説明に帆波も同意しながら頷く。
二人三脚ではモルタデロと帆波、フィレモンと桔梗が出る事に。障害物パニックリレーは鈴音、美雨、恵、麻耶、波留加の五人。綱引きは全員出るが、ブレンたちがいれば余裕で勝てる。あとは最強決定戦となる殴り合いだが、モルタデロたちは観戦する事になっているのだ。
「私とモルタデロさんの二人三脚に、フィレモンさんと桔梗ちゃんのペアか……。なんだかスタートする前から波乱の予感しかしないね」
帆波が少し苦笑いを浮かべながら、手元のおにぎりを一口かじる。それに対し、当のモルタデロはビュッフェのデザートコーナーからケーキを山盛りに皿へ積み上げながら、得意げに胸を張って振り返った。
「ご心配なく、帆波さん! 我がT.I.A.には、二人三脚の相棒と一心同体になれる秘密兵器――『超音速ロケット内蔵・足並み完全同調ベルト』が用意してあります! これさえつければ、どんな険しいコースも秒速で音速の彼方へ……!」
「絶対にそれ使わないでよね! 下手をしたら足ごと宇宙の彼方に吹っ飛ばされるわよ!」
桔梗が鋭いツッコミを入れ、この光景に帆波たちが苦笑いする。楽しいレストランでのランチによって、Sクラスはゆっくり休める事ができたのだ。
※
一方、他のクラスの生徒たちが学食の混雑や激しい争奪戦に巻き込まれながら、ボロボロの体を引きずって質素な弁当を頬張っている。まさに天地の差と言えるだろう。
そんな中、食堂では綾小路、平田、須藤、池、山内の五人が、午後の競技について話をしていた。
「綱引きはロボットを使うし、リレーは障害物もあるから油断できない。二人三脚は普通に行われるようだ」
「なるほど。けど、AからDクラスによる最強決定戦だけど、誰が考えたのか気になるよね……僕は審判をするけど……」
綾小路の意見に平田は苦笑いしながら応える。
二人三脚が普通に行われるのは幸いだが、リレーと綱引きはSクラスの独断場だ。更に最強決定戦は殴り合いの展開となっているが、Sクラスは観戦となっている。因みに平田も観戦だが、何故か審判に抜擢されていた。
「にしてもさぁ……あいつら、午前中からあんなぶっ飛んだメカ出して暴れ回ってたろ? 午後の綱引きなんて、どうせあの不気味なロボットを引っ張り出してくるに決まってるぜ……!」
「ったく、ふざけやがって……! 次の綱引きで一泡吹かせてやりたいところだが、あんなバケモノロボ相手じゃ勝ち目ゼロだろ」
「だよな! そもそも俺たち、午前中の障害物と騎馬戦でHPほとんど削られてんだぜ……?」
山内が冷え切ったおにぎりを不満そうに噛み締めながら、ボロボロの腕をさする。須藤も頭に巻いた包帯を鬱陶しそうに直しながら、苦虫を噛み潰したような顔をした。池も頷きながら、すっかり戦意喪失モードである。
そんな中、平田は複雑な笑みを浮かべつつ、手元の水を一口飲んだ。
「まあ、午後の部も厳しい戦いになりそうだけど……僕たちは僕たちで、できる限りのベストを尽くそう。それに、平穏に終わりそうな競技もあるみたいだしね」
「二人三脚のことか……。あれは確かにT.I.A.のエージェントたちが関わっているとはいえ、普通の布紐で行われる予定だ。少なくとも、宇宙の彼方に飛ばされる心配はないだろう」
平田の説明に綾小路が淡々と紅茶を飲みながら分析する。
確かに二人三脚は普通で行われるが、組み合わせはどうなるかだ。変な組み合わせでなければ良いが。
「とはいえ、問題は最後の『最強決定戦』だ。AからDクラスによる殴り合いの勝負……。一体どんなルールで行われるのやら……」
平田が不安げにため息をつくと、須藤がある事を思いつく。その様子だと何か知っている様だ。
「殴り合いというかスポーツチャンバラの戦いだ。防具をつけて指定素材の武器を構えて戦い、当てられたら失格になる」
「なんだ、スポーツチャンバラか! それならただの血みどろの殴り合いじゃなくて安心したぜ……!」
「だよな! 木刀みたいなやつでペシペシ叩き合う奴なら、俺の反射神経でワンチャンあるかも……!」
須藤の説明を聞いた途端、池が心底ほっとしたように胸をなで下ろし、山内も急に調子を取り戻す。安全な競技であるのなら、大丈夫そうだ。
「あぁ、甘く見るなよ。安全なスポチャンとはいえ、各クラスの運動部からガチ勢がゴロゴロ選出されてるからな。俺もバスケで鍛えたフットワークとリーチを活かして、ボコボコにしてやるつもりだ」
「怪我人が出ない安全なルールなら、みんなで正々堂々と競い合えるね。それなら僕も、審判として公平に裁けそうだ」
須藤が不敵に鼻を鳴らし、闘志の炎をメラメラと燃え上がらせる。平田はその頼もしい姿に苦笑しつつ、安堵の笑みを浮かべた。
「ふむ、スポーツチャンバラか。剣術の素養というよりは、武器の特性、リーチの長さ、そして間合いの管理が勝負の分かれ目になりそうだな」
綾小路が淡々と紅茶を飲み干しながら分析する。殴り合いではなく安全なスポーツ競技であると判明したことで、他クラスの生徒たちにもようやく落ち着きと新たな闘志が戻ってきたようだ。後はモルタデロたちが大人しくできるかだが、鈴音たちの手に掛かっている事は確実である。
ED:淋しい熱帯魚(恵&麻耶バージョン)
最強決定戦はスポーツチャンバラ。その結末はどうなるのかに注目です!