モルタデロとフィレモン よう実スパイ大作戦   作:蒼牙王

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みーちゃんだよ。私たちは水泳で頑張っている最中、Cクラスでは須藤君が勉強を頑張っていた。今のままでは負けると思って、ピンチだったのかもね。
さあ、今回も物語が始まるよ! 準備は良いかな?

OP:モルタデロとフィレモンのテーマ


第60話 闇バイトを終わらせろ(前編)

 ある日のSクラスでは、ヴィセンテから任務が発せられていた。その内容は犯人逮捕だ。

 

「昨日、栃木県のある場所で強盗殺人事件が起こった。恐らく闇バイトの仕業としか考えられない」

「闇バイト……確か近頃の犯罪で話題になっていますね……」

 

 ヴィセンテの話を聞いた鈴音は、真剣な表情で考える。

 闇バイトは最近の犯罪の中でも話題になっていて、中高生たちが次々と逮捕されている。今回の任務も彼らが絡んでいるだろう。

 

「実行犯、指示役、黒幕という形だが、奴らの行方はこちらで指示する。お前たちは警察と協力し、犯人を全員捕まえるように」

「「「了解!」」」

 

 ヴィセンテからの指示にモルタデロたちは一斉に応え、Sクラス生徒全員と担任の佐枝が一斉に駆け出していく。今回の任務はかなり難易度が高いが、彼らなら大丈夫だ。

 

 ※

 

「さて、実行犯どもが逃げ込んだのは栃木県内……。報道や警察のリーク情報によると、宇都宮市周辺のビジネスホテル、あるいはネットカフェの個室に潜伏している可能性が高いわね」

 

 新幹線の車内、ノートパソコンの画面を真剣な眼差しで見つめながら鈴音が分析結果を告げる。隣に座る佐枝も腕を組み、険しい表情で頷いた。

 今回の事件は、巧妙に組織された闇バイトによる強盗殺人。実行犯の若者たちは使い捨ての駒に過ぎないが、彼らを逃せば黒幕(指示役)への糸口が絶たれてしまう。

 

「ほうほう、闇バイトの末端とはいえ、凶悪な強盗殺人に手を染めた連中……。通常の生徒なら尻込みするところですが、我がSクラスのエージェントたちにかかれば、お茶の子さいさいです!」

「モルタデロ、気を抜くなよ。相手は一線を越えた連中だ。万が一の反撃に備えて、各自ガジェットの最終点検をしておけ」

 

 フィレモンの引き締まった声に、帆波や桔梗、そして他のメンバーも真剣な表情で頷く。誰もがスパイ衣装を身に纏いながら、それぞれの装備を確認し始めた。

 

 ※

 

 列車が宇都宮駅に到着すると、現地の警察関係者と合流するための極秘ブリーフィングが駅前の喫茶店(を貸し切った臨時の対策本部)で行われた。

 そこに待っていたのは、地元の捜査一課を率いる厳めしい顔つきの警部だった。

 

「君たちが、上層部から通達のあった特務機関の……。いや、高校生だなんて聞いていないぞ!」

「見た目は学生ですが、実力は保証します。それで、犯人グループの足取りは?」

 

 鈴音が毅然とした態度で警察官に歩寄り、資料を要求する。その圧倒的なオーラに押された警部は、苦笑いしながら最新の捜査データを差し出した。

 ――データによると、実行犯の男四人は市内の古いアパートの一室に立てこもっているという。さらに、すでに警察の機動隊が建物の周囲を包囲しつつあるが、犯人が凶器を所持しているため迂闊に踏み込めずにいる状態だった。

 

「なるほど、正面から突入すれば人質に危害が加えられる恐れがあるわけですね」

「だったら、正面は警察に任せて、私たちが裏からスマートに潜入して無力化すればいいんじゃない?」

 

 桔梗が不敵に微笑みながら提案し、鈴音たちも同意する。それを聞いたモルタデロはにやりと笑い、自慢の特製ドローンを取り出した。

 

「素晴らしい作戦です! それでは――我がT.I.A.の最新ステルス・ガジェットを駆使して、奴らの不意を完全に打ち砕いてやりますよ!」

 

 モルタデロの合図と同時に、Sクラスは一斉に動き出す。ここから彼らの作戦が始まりを告げられたのだ。

 

 ※

 

 目的地に着いたSクラスの面々は、音もなく警察の包囲網をすり抜け、ターゲットである古いアパートの裏手へと回り込んだ。

 二階建てのモルタル造りのアパート。その一室の窓からは、カーテンが固く閉ざされたまま、微かに男たちの荒い話し声が漏れ聞こえてくる。

 

「正面は機動隊が目くらましとして派手に威圧しているわ。裏からの潜入は私たちが完璧にカバーする。……モルタデロ、変なガジェットで自爆しないでよ?」

「ご安心を、鈴音さん! 今回の私は一味違います。この『壁面吸着型ステルス・ヤモリシューズ』があれば、垂直の壁だって垂直に登れます!」

 

 自信満々に胸を張るモルタデロだったが、シューズのスイッチを入れた瞬間に強力すぎる吸着力が働いてしまう。しかも壁ではなく自分の靴同士がガッチリ張り付いてしまい、その場で盛大にひっくり返る。

 

「って、足が、足が離れません――!?」

「こいつ、最初の数秒で何をやっているんだ……! 帆波、すまないがそいつを引っペがしてくれ」

「はーい、ちょっと失礼するね、モルタデロさん!」

 

 帆波が片手で軽々とモルタデロの襟首をつかんで引き剥がし、事なきを得る。呆れ顔を浮かべるフィレモンを先頭に、いよいよメンバーは二階の窓から突入する態勢を整えた。

 

「正面の警察が突入のカウントダウンを始めたわ。私たちも同時に動くわよ」

 

 鈴音がスマートに小型のガラスカッターを取り出し、窓ガラスを音もなく円形にくり抜く。桔梗がその隙間からひょいと顔を突っ込み、室内の様子を素早くスキャンした。

 

「ふむふむ……いるいる。実行犯の男が四人、テレビのニュースを見ながらガタガタ震えてるわ。凶器のナイフとバールはちゃっかり手元に置いているけれど、完全にビビッて腰が引けてる状態ね」

 

 桔梗の報告通り、部屋の中の若者たちは闇バイトのノリで引き返せなくなり、追い詰められた末の恐怖と焦燥感に支配されていた。やはり犯罪を犯すとこうなるのも無理はない。

 

「警察だ! 観念して扉を開けろ!!」

 

 次の瞬間、正面から機動隊の突入を告げる怒号が響き渡る。犯人たちがそちらへと、一斉に意識を向けてしまった。

 

「行くぞ!」

 

 フィレモンの低く鋭い合図とともに、Sクラスの精鋭たちが一斉に窓から部屋へと雪崩れ込む。そのまま犯人たちを後ろから押さえ込み、顔面を床に叩いて気絶させた。

 

「よし! これでバッチリ!」

「やり過ぎたけどね」

 

 恵と麻耶がお互い微笑む中、美雨が一足早くドアを開ける。そのまま機動隊に対して報告をし始めた。

 

「犯人は気絶させました! 今からそっちに送ります!」

 

 美雨の合図と同時に、鈴音たちが気絶した実行犯四人を投げ飛ばす。機動隊が上手くキャッチし、護送車に次々と入れまくった。

 

「流石に気絶はどうかと思うけど」

「いや、無駄な抵抗をされて人質に危害が加えられるリスクを考えれば、秒速で無力化するのがセオリーよ。恵も麻耶も、いい仕事だったわ」

 

 帆波の苦笑いに鈴音がこう評価する。その内容に比瑪たちも同意しながら頷いた。

 実行犯は逮捕したが、黒幕と指示役がまだ残っている。むしろここからが本番だ。




ED:淋しい熱帯魚(恵&麻耶バージョン)

実行犯逮捕!残るは黒幕と指示役のみ!

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