さあ、今回も始まるよ! 準備は良いかな?
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
実行犯逮捕から翌日。モルタデロたちの活躍は全国ニュースで伝えられていた。高度育成高校のCクラスでも話題になっている。
「まさかSクラスが闇バイトの実行犯を逮捕するとは凄えな……ってか、これテレビのニュースにモルタデロの変なオッサンも映ってねぇか!?」
教室の前方のモニターに映し出された朝の報道番組を指差しながら、池が目を見開いて叫ぶ。
画面には、昨日の栃木県での事件に関する特集が組まれており、「謎の高校生集団が凶悪犯グループを電撃制圧」「警察と連携した異例のスピード解決」といったテロップと共に、例のド派手なウェットスーツ姿でドヤ顔をするモルタデロの姿がバッチリと全国放送されていた。
「本当だ……しかも、堀北などのかつてのクラスの面々も何食わぬ顔で映ってるじゃないか。あいつら、表向きは普通の高校生のはずなのに、裏ではいったい何をやってるんだか……」
山内が冷や汗を流しながら呟く。
先日の体育祭での大騒動(有栖の逃走劇など)の記憶もまだ新しいというのに、今度はまさかのリアルな犯罪組織の壊滅に関わっていると知って、Cクラスの生徒たちはドン引きと驚愕が入り混じった複雑な表情を浮かべていた。
「無理もないよな。だが、あいつらが動いているってことは、それだけ世の中の裏側じゃヤバい事件が起きているってことだろ」
須藤は腕を組みながら、テレビ画面を険しい目で見つめる。勉強への熱意だけでなく、周囲の状況を冷静に捉える視野も少しずつ広がりを見せている証拠だ。
「確かにそうだね。僕らの方もいつ何が起こるか分からない。皆で用心していこう」
平田の呼びかけに、教室の空気がキュッと引き締まる。かつては個人の利害ばかりが優先されていたCクラスだったが、今やクラス全体で危機感を共有し、お互いを守り合おうという連帯感が確実に育まれていた。
※
その頃のSクラスは、臨時の対策本部で次の作戦フェーズへと移っていた。残るは指示役と黒幕である責任者。彼らを捕まえなければ事件解決とは言えない。
「手始めの雑魚は片付いたが……本番はここからだ。指示役と責任者の行方を探す必要がある」
佐枝が腕を組みながら、対策本部のモニターに映し出された地図を見つめる。それに鈴音たちも真剣な表情で頷いた。
すると、愛里が先ほど押収した実行犯のスマートフォンから抽出した通信履歴を大型ディスプレイにハッキング――もとい、解析表示させた。
「報告です。この通信記録によると、指示役からの次なる連絡先は……宇都宮市内の別の場所にいる『仲介ブローカー』に繋がっているようです!」
ディスプレイに表示されたGPSの座標と暗号化されたチャットログ。そこには、今回の強盗殺人の黒幕へと繋がる極めて重要なヒントが残されていた。
因みに愛里はスペインでハッキング作業を習っていて、今ではベテラン以上のレベルを発揮する事が可能だ。
「仲介ブローカーね。後は指示役の居場所は?」
「指示役は夫婦一組でビジネスホテルから空港に移動しようとしているの。どうやら国外へ逃亡しようとしているわ!」
愛里からの報告に鈴音たちは驚きを隠せずにいた。こうなると二手に分かれて捕まえるのが得策だ。
「その通りね。時間が無いわ。国外逃亡を許したら、黒幕の『責任者』にたどり着く糸口が完全に途絶えてしまう。二手に分かれて、同時並行で叩くわよ!」
鈴音の鋭い号令の下、対策本部の空気が一気に戦闘モードへと切り替わる。愛里がキーボードを叩き直しながら、二つのルートの最新情報を次々と大画面に映し出していく。
「指示役の夫婦は、すでにレンタカーで宇都宮市内のホテルを出発し、羽田空港(または成田空港)へ向けて高速道路を走行中……! 到着までにおよそ一時間半、このままだと出国手続きを済ませて海外に高飛びされちゃいます!」
「そして、もう一つのルート――仲介ブローカーの方は、宇都宮市内のとある廃ビルの地下にアジトを構えているわ。こちらも動きが怪しいわね」
絶妙なタイミングで要求される判断。モルタデロがビシッと敬礼をしながら声を上げる。
「ボス、これはもう『二面作戦』しかありませんぞ! 我がT.I.A.のエージェントの機動力を舐めてもらっては困ります!」
「分かってるさ。……よし、メンバーを分担するぞ!」
フィレモンが腕を組み、素早くチーム分けを指示する。
空港急行チームはフィレモンと桔梗、帆波とひよりの四人。高速道路を爆走し、空港へ逃走中の指示役夫婦を空中あるいは陸上から完全包囲して拘束する。
ブローカー急襲チームはモルタデロと鈴音、愛里と美雨、波留加と比瑪の六人。宇都宮市内の廃ビルに潜む仲介ブローカーを制圧し、黒幕である『責任者』の居場所を吐かせる事だ。
因みに恵と麻耶、佐枝の三人は対策本部での指示役だ。
「それぞれのチーム、目的を達成し次第、直ちに連絡を取り合うこと。……いいわね、絶対に逃がさないわよ!」
鈴音の力強い宣言に、全員が真剣な眼差しで頷く。そのまま彼らはそれぞれの目的地へと急いで向かい始めた。
※
成田空港では指示役と見られる夫婦が空港に到着。そのままチケットを購入しようとしたその時、フィレモンたちが彼らを囲み始めた。
「今だ、捕まえろ!」
フィレモンの合図で桔梗、帆波、ひよりの三人は指示役の夫婦に襲い掛かる。そのまま彼らを縄で縛り、捕まえる事に成功したのだ。
すると、夫婦が持っているベビーカーに赤ちゃんがいる事に気付く。見た目からすればまだ数カ月ぐらいだ。
「ありゃ。この夫婦、赤ちゃんがいたのね。大丈夫よ。この子は危害を加えないから」
帆波は笑顔で赤ちゃんを抱き上げ、優しくあやして落ち着かせる。これで指示役の夫婦逮捕に成功したのだ。
すると、フィレモンのスマホにモルタデロからの通信が入ってきた。
「ボス。こちらもブローカーを捕まえて居場所を吐かせました。責任者は既にカンボジアへ出国したようです!」
「そうか。だが、責任者がカンボジアに行ったとなると、我々も行かなければならないからな」
「そうですね。すぐに地元警察に身柄を引き渡してください。我々も空港へ向かいます」
モルタデロからの通信が切られた後、フィレモンは皆に指示をする。今の話を聞いた以上、ここから先は気を引き締める必要があるのだ。
「おい、みんな聞いてくれ。責任者が逃げた先はカンボジアだ。奴を野放しにすれば、国際的な闇バイト組織の網の目はさらに広がる。俺たちも直ちに現地へ飛ぶぞ!」
フィレモンからの号令に帆波と桔梗、ひよりも真剣な表情で頷く。すると、地元警察が駆けつけて、指示役の夫婦と赤ん坊の身柄を受け取った。帆波は先程まであやしていた赤ん坊を名残惜しそうにしつつも、すぐに真剣な表情に切り替える。
「ええ。私たちの手で終わらせましょう!」
帆波の宣言に桔梗とひよりも同意しながら頷く。闇バイト事件はカンボジアへ舞台が変わり、新たな戦いの幕が落とされようとしていたのだ。
ED:淋しい熱帯魚(恵&麻耶バージョン)
舞台はカンボジアへ。果たして?
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