さあ、今回も物語が始まるわよ。準備は良いかな?
OP:モルタデロとフィレモン
モルタデロたちは羽田空港から飛行機で出発し、闇バイトの黒幕である責任者のいるカンボジアへと向かっていた。恐らく予測からすれば、責任者は何処かに潜んでいる可能性があるだろう。
「ねえ、愛里。責任者はカンボジアにいるけど、その行方は分かったの?」
「うん。カンボジアにある一軒家に潜んでいるよ。けど、油断はできないから気をつけてね」
飛行機内では波留加の質問に対し、愛里は笑顔で応える。彼女のハッキングは相手を逃がす事はないので、役に立つのは確実と言えるだろう。
「となると、Sクラスメンバーは十二人と茶柱先生がいる。このメンバーで行かないと逃げられる可能性もあり得るよね」
「恵の言う通り。私たちも気を引き締めないと」
恵の意見に麻耶も同意。確かに責任者は何をしてくるか分からない。こうなるとフルメンバーで挑む必要があるだろう。
「全員が揃ってこそのSクラス、そしてT.I.A.よ。今回の相手は世界を股にかける巨大犯罪組織の黒幕。どんな不測の事態が起きても、このフルメンバーなら突破できるわ」
鈴音の力強い言葉に、機内を引き締まった空気が包み込む。佐枝は静かにコーヒーを傾けながら、手元のタブレットに映し出されたカンボジアの現地マップに目を光らせていた。
「現場の指揮官として、私も最後まで見届けるさ。……もっとも、モルタデロが変なちょっかいを出さなければの話だが」
「なっ、先生! 今回は世界平和のために一糸乱れぬ完璧な潜入作戦を遂行する予定です! ほら、変装用のカンボジア風ストローハットもこの通り!」
「……絶対それですぐ見つかるやつじゃん」
モルタデロが怪しげな帽子をかぶってアピールすると、美雨がジト目でツッコミを入れる。機内にはクスリと笑いが起こり、適度な緊張とチームワークの良さが絶妙なバランスで保たれていた。
※
数時間のフライトを経て、飛行機はカンボジアの首都プノンペン近郊の空港へと静かに着陸した。
そこからさらに現地の協力車両を乗り継ぎ、Sクラスの一行は黒幕『責任者』が潜伏しているというジャングルの中の一軒家へと近づいていく。
「ターゲットの邸宅まであと五百メートル。周囲には監視カメラと、傭兵崩れのエージェントが数名配置されています」
愛里がポータブル端末の画面を指差しながら、正確な位置情報を全員に共有する。それを聞いたフィレモンが拳を軽く握りしめ、皆を見回した。
「よし、作戦を確認するぞ。正面からの突入はモルタデロと俺で注意を引き付ける。その間に桔梗と帆波、ひよりと鈴音の四人が裏手から音もなく侵入し、退路を完全に断つ。残りのメンバーは外周の警戒とバックアップだ。……いいな?」
「「「了解!」」」
夜のジャングルに響く虫の音に紛れ、Sクラスの十二人と佐枝先生を乗せた包囲網が、音もなく黒幕の潜伏先へと収縮していく。
世界を揺るがす闇バイト組織の最高責任者――その運命の時は、もうすぐ目の前まで迫っていた。
※
潜伏先である邸宅に辿り着くと、モルタデロが手榴弾を取り出す。当然彼は中に手榴弾を入れて爆発を起こすつもりだ。
「おい、モルタデロ! 本当に大丈夫なのか!?」
「心配無用です。このぐらいは……あら」
モルタデロは手榴弾をぐるぐると回していたが、ピンを抜いてしまう事態に。手榴弾はクルクルと綺麗な弧を描きながら、邸宅の中へと落下した。
その直後、手榴弾は邸宅内で大爆発を起こしてしまった……。
※
「黒幕の責任者は真っ黒焦げで捕まえたけど、まさかこんなやり方もあるなんてね……」
「エージェントも全身包帯まみれ。そこまでやる必要あるのかな……」
その後、桔梗と帆波が苦笑いする中、責任者とエージェントは救急車で運ばれているのが見えた。今回の件は流石にやり過ぎたと感じているだろう。
「内容はどうであれ、犯人は逮捕した。それだけでも良いと思うが」
「先生、それでも良いのでしょうか?」
佐枝の頷きに美雨が苦笑いしてしまう。すると、ひよりが回収したタブレットを取り出し、皆に見せようとする。
「みんな、ちょっとこれを見て。責任者の部屋から回収したタブレット……爆風を奇跡的に免れて、データが生きてるみたい」
「さすがひより。どれどれ……っと、これは?」
覗き込んだ鈴音の眉がピクリと動く。画面に表示されていたのはカンボジアだけに留まらず、世界各地に点在する巨大犯罪組織の「次なるアジト」のリスト、そして――。
「裏金ルートの全容に、組織の首謀者たちの個人情報まで……。これがあれば、芋づる式に全員一網打尽にできるわね」
「うん、これだけの証拠があれば、世界平和への大きな一歩になるよ。モルタデロさんの爆破が、結果的にサーバールームの隠し扉をこじ開けたみたいだね」
桔梗がパッと明るい笑みを浮かべ、確信に満ちた声を上げる。帆波もそれに大きく頷き、満面の笑みを見せた。
「取り敢えずは一件落着ですね。さあ、本部に帰って報告です!」
モルタデロの合図に皆が頷き、全員がその場から移動し始める。闇バイト事件は無事に解決し、Sクラスの任務も無事に完了したのだ。
※
その後、モルタデロたちが持ち帰ったタブレットの情報で、世界中のあちこちで犯罪組織が捕まるニュースが続出している。彼らもテレビのニュースを見ながら、お互い顔を見合わせていた。
「まさかニュースで広まるなんてね。でも、役に立ったから良かったんじゃないかな?」
比瑪の苦笑いに鈴音たちも笑顔で頷く。まさか手に入れた情報が、こんなに役に立つとは予想外だ。
「だな。まあ、私としてはこういう結末も悪くはないな。それによってポイントも加算される事になる。後は疲れを癒して次の任務に挑む事を忘れずに」
「そうですね。リラックスマッサージでゆっくりしましょう!」
佐枝の指示に帆波が提案し、彼女たちはマッサージチェアへと向かい出す。今回の任務は大変だったが、無事にやり遂げる事に成功したのだ。
「こういうオチも悪くないですね」
「だな」
モルタデロの意見にフィレモンも同意。二人はマッサージチェアでくつろぐ鈴音たちを見つめたのだった。
ED:淋しい熱帯魚(恵&麻耶バージョン)
闇バイト事件解決です!
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