まさかSクラスで学園の外に出られるのは驚いたよ。これで自由に行き来できるし、楽しみも増えてきた! Sクラスに入って良かった!
さっ、今回も始まるよ! 皆、準備は良いかな?
OP:モルタデロとフィレモンのテーマ
初めての外出から数日後。モルタデロとフィレモンは教室の中で待機していた。それは一之瀬たちと茶柱のスパイ衣装であり、どんな姿をするよか気になっていた。
「さて、彼女たちはスパイ衣装を手に入れましたが、あとはどうアレンジして完成させるかですね。早く完成が楽しみです」
「確かに今後の活動ではスパイ衣装も必要となるからな。さて、どんな衣装で来るかだ」
モルタデロの意見にフィレモンも同意したその時、最初に一之瀬が入ってくる。衣装はへそ出しキャミソールとブルーデニムバギージーンズの組み合わせで、動きやすさを重視している。
「デニムジーンズが好きなので、この組み合わせにしてみました!」
「なるほど。確かに動きやすくて一之瀬さんにはピッタリだな!」
「実に見事ですね」
モルタデロとフィレモンは一之瀬の衣装を褒めていて、彼女はニッコリと微笑む。特にバギージーンズがお気に入りで、感触も好んでいるのだ。
次に入ってきたのは椎名。彼女は水色の袖無しワンピースと黒いジーンズ。ガーリースタイルが特徴である。
「私は雰囲気を漂わせる為に、水色のワンピースとジーンズを組み合わせました!」
「この衣装も似合いますね」
椎名のガーリースタイルにモルタデロが称賛する中、堀北と櫛田がスパイ衣装で入ってきた。
堀北はへそ出しの袖無しシャツと黒いスキニージーンズだが、袖無しのデニムジャケットも羽織っている。動きやすさとスパイ活動に適した衣装を元に、この姿となっているのだ。
対する櫛田はTシャツとサスペンダー付属の赤いデニムジーンズ。こちらも動きやすさを考えているが、サスペンダー付属のスタイルとは前代未聞。恐らく見た目を考えて決めたのだろう。
「私なりに考えてみましたが、これで十分です」
「サスペンダーが好きなので、この様にしました!」
「ほう。この服装もありだな」
フィレモンが堀北と櫛田の衣装に納得した直後、王がこっそりと姿を現す。その様子だと恥ずかしくて、前に出るのが難しいみたいだ。
「どうしたの、みーちゃん?」
「う、うん……恥ずかしくて前に出づらくて……」
一之瀬の質問に対し、王は恥ずかしくモジモジしてしまう。今着ている服装に自信がなく、馬鹿にされるのでは無いかと不安になるのも無理はない。
「大丈夫だよ。落ち着いていけば問題ないから」
「う、うん……」
櫛田のアドバイスに王は頷いたと同時に、自分のスパイ衣装を見せる。白い短めのチューブトップと青緑色のカーゴデニムオーバーオールだ。ダボダボの裾が特徴である。
「素晴らしい! とても似合います!」
「ありがとうございます……実はこの胸ポケット、四次元機能があるのでどんな道具を出せます」
「は? 四次元機能?」
王の説明を聞いた堀北は、思わずポカンとした表情をしてしまう。まさかオーバーオールの胸ポケットに四次元機能があるなんて予想外だ。
「はい。機械を扱う仕事をしたいので、このポケットを改造しました。三階の改造室で改良しましたので!」
「なるほど! それはありですね!」
「良いのかな……」
王美雨の予想外すぎる「四次元ポケット」の告白に全員がポカンとする中、教室の扉が勢いよく開いた。
「お待たせ! 私のスパイ衣装、こんな感じにしてみたんだけど、どうかな?」
軽井沢が自信満々にポーズを決めて入ってきた。選んだスパイ衣装は、トレンドを意識したへそ出しタンクトップにライトブルーのダメージジーンズという、抜群のスタイルを引き立てるコーディネートだ。
「おお、恵ちゃん似合ってる! スパイっていうより、海外のモデルさんみたい!」
「ファッショナブルかつ実戦的ですね!」
「ふふ、動きやすさもバッチリだし、これならどんな敵が来ても一瞬でかわしてあげるわよ」
軽井沢がくるりと回ると、ダメージジーンズの裾が軽やかに揺れる。一之瀬が絶賛し、モルタデロも右手の親指を立てて褒めちぎった。
続いて、少し照れくさそうに、しかし以前よりもずっと前を向いた表情で入ってきたのは佐倉だ。
「あ、あの……私の衣装は、こんな感じです……」
佐倉が着ていたのは、爽やかな袖無しブラウスとデニムオーバーオール。すっきりと整えたストレートヘアと相まって、彼女の持つピュアな透明感とアクティブさが絶妙にマッチしている。
「おっ、愛里ちゃん、すごく似合ってるよ! オーバーオール仲間だね!」
先ほど自分のオーバーオールで驚かせた王が嬉しそうに駆け寄ると、佐倉はふわりと微笑んだ。同じオーバーオール仲間ができて、嬉しさ抜群なのも当然だ。
「うん、動きやすいし、これなら外での活動も頑張れそう……ありがとう、みーちゃん」
「素晴らしいですね! 清楚でありながら、いざという時は泥臭く戦える素晴らしいチョイスです!」
「はいはい、茶番はそこまでにして」
モルタデロが感動したようにハンカチで目頭を押さえる真似をすると、長谷部が呆れたような顔をしながら一歩前に出た。
彼女が選んだスパイ衣装は、シンプルなTシャツにダメージワイドレッグデニムジーンズ。過度な装飾を削ぎ落とし、いつでもどこでも臨戦態勢に入れるクールで無骨なスタイルだ。
「私の衣装はこれ。余計な装飾はいらないし、とにかく足回りが軽くて動きやすいのが一番だからね。……どう? 変じゃないでしょ」
「ううん、波瑠加ちゃんのクールな雰囲気にめちゃくちゃ合ってるよ!」
「……まあ、悪くないか」
一之瀬が笑顔で太鼓判を押すと、長谷部は笑顔で小さく鼻を鳴らした。本当は褒められてとても嬉しく、この衣装でやっていこうと考えているが。
そして――最後に教室のドアが重々しく開かれた。そこに立っていた人物の姿を見た瞬間、室内の空気が完全に凍りついた。
そこにいたのは、担任である茶柱だった。彼女が身にまとっていたのは、なんと引き締まった肉体をこれでもかと露出させたスポーツブラと、本格的な迷彩柄のカーゴパンツという、教師の威厳をすべてかなぐり捨てた完全戦闘特化スタイルだった。
「なっ……! 茶柱先生!?」
「ちょっと待て、教師がそんなファイターすぎる格好をしてどうするんだ!」
あまりのスパルタンすぎる姿に、堀北が思わず声を裏返らせる。フィレモンも盛大にツッコみ、櫛田たちはポカンとした表情で呆然としてしまう。いくら教師でもやり過ぎな部分があるのは確実で、大丈夫なのかと心配の声も出ている。
しかし、当の茶柱は微動だにせず、腕を組んで冷徹に言い放つ。
「何を驚いている。T.I.A.の特別スパイクラスの担任を務める以上、いついかなる時も最前線で動ける準備をしておくのは当然だ。……それに、この格好は意外と風通しが良くて動きやすい。文句はあるまい」
「文句しかないですけど……似合いすぎてて何も言えません……!」
櫛田が冷や汗を流しながら苦笑いを浮かべる。まあ、この場合は仕方がないが。
一之瀬、椎名、堀北、櫛田、王、軽井沢、佐倉、長谷部、そして担任の茶柱――。
個性豊かなスパイ衣装に身を包んだ全員が揃った光景を見て、モルタデロは満足げに深くうなずいた。
「素晴らしい! 完璧です! デニムやオーバーオール、そして戦闘用迷彩に至るまで、我がSクラスの戦闘力と美しさは最高潮に達しました!」
「……まあ、これだけ揃えば、どんな任務が来ても怖くはなさそうね」
堀北が自分のデニムジャケットの袖をキュッとまくり上げ、不敵な笑みを浮かべる。これでどんな任務でも万全なのは確実だ。
T.I.A.特別Sクラス――衣装も戦力も完全に整った彼女たちは、高度育成高等学校の枠を完全に踏み越え、さらなる狂騒の任務へと歩み出すのだった。
ED:Rock'n Rouge(一之瀬バージョン)
皆のスパイ衣装が決まりました! 次回もお見逃しなく!
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