バイトをクビになった貧乏大学生の俺、ゴミ置場で口癖が(のじゃ)な巨乳金髪美少女龍を拾って育てられる 作:冰藍雷夏
パリンッ!
金が無い。
「また皿を割ってしまったのじゃ~!」
「アルちゃん、何やってるんですか? これで何十枚目だと思ってるんですか?」
「ご、ごめんなさいなのじゃ、ジャンヌ店長~!」
皿洗いしかできない不器用なバイトのアルがジャンヌ店長に怒られている。
止めろ、もう止めてくれアル。これ以上問題を起こさないでくれアルビオン。
……カストで暴飲暴食の宴会の限りを尽くした俺たちには金が無い。そもそも大食いと、うわばみの様に酒を飲む奴らの集まりだぞ。
愛莉《あいり》から借りた5万円じゃ足りるわけ無かったんだわ。
そうあれは深夜まで盛り上がり、宴会が終盤を迎えた時だった。
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「アハハハ!! どれ? どれ? 今の会計金額はと……むぅ!?230232円!?」
「ん〜? 何をそんなに慌ててるの? オカマちゃ……高!?」
「ニャーニャーニャー?(どれどれでありんす。高!?)」
愛莉、フルー、シロンが伝票を見ながら曇った顔をしている。なんだ? うんこでもしたいのか?
普段は「アイドルよりも可愛いボクがうんこなんてするわけないでしょう」とか言ってるくせに、やっぱりうんこするんじゃねえか。ヒック。しかしなんで俺は酔っ払ってんだ?
「お、おいおい~! 未成年の俺に飲ませたアホは誰だよ。何飲ませてくれてんだよ?」
「ごぎゃぎゃ!! 何を言うておるか、ご主人様よ。ただのジンジャーエールを飲んで酔っ払ったのはご主人様じゃろが、ごぎゃぎゃ! ごぎゃぎゃ!」
「お~! そうか、そうだったそうだった。たしかに俺はジンジャーエールを飲むだけで酔っ払うんだったな。アハハハ」
俺とアルは勝利の美酒に酔っていた。
これから始まる大富豪生活に夢を馳せていたんだ。
なんたってうちには金のなる
「ボ、ボク、ちょっと明日モデルの撮影頼まれてるから先に帰るね。バイバイ~!」
「私先にボロアパートに戻って、ダーリンのためにお風呂沸かしとくから、か、帰ろうシロンちゃん」
「ニャ、ニャニャニャニャ~!(さっさと逃げるでありんす。こいつらお馬鹿でありんすから、全然お金が足りないこと気がついてないでありんす~!)」
大慌てで店から出ていく2人と1匹。そんなにうんこが漏れそうだったんだろうか?
「お~! 気をつけて帰れよ。風呂炊き感謝だぜ、フルーいつもは俺にやらせるくせに、アハハハ!!」
「そういえば、あの魔女っ子の可愛いコスプレイヤーは誰なのかな? 真也くん。ねぇ? ねぇ? ねぇ? ねぇ?」
「ちょっと! なんで真也君の周りに可愛い女の子が増えているのよ? それとあの狐は何よ? 誰から貰ったの? 正直に答えなさいよ!」
シルフィーと凪咲が豊満なおっぱいを押しつけてくるが、そんなの関係ねぇ。
「まぁまぁ、今日は色々なめでたいお祝いなのじゃ! ご主人様の詰問など後にして盛り上がろうぞ、皆の衆、なのじゃ!」
「そうだそうだ~! 明日には大金が手に入るんだぞ! そうしたら皆で相模原行こうぜ! 相模原! ヤキネゴの聖地だからな。アハハハ! ほらほら皆でジョッキを持って~!」
再び盛り上がる俺たち4人。
「「「「乾杯~! アハハハ!!!」」」」
その後も楽しい時間は続いていき、俺はジンジャーエールで酔い、大人な3人は酒に呑まれていった。
「どんどん頼むのじゃ!」
「シルフィーも、シルフィーもお酒お代わり~!」
「明日は休みだから、家に泊まりなさいよ! 真也きゅん」
「アハハハ! それも良いかもな。唐揚げお代わり~!」
そして俺たちは気がついていなかった。
加算し続ける飲食の合計金額に深夜サービス料金があるということを――――
「合計金額、358225円になります」
「「へ?」 なのじゃ?」
とんでもない金額に仕上がっていた。
「えっと……シルフィーは会計別でお願いします」
「はい、25070円になります」
「カ、カードでお願いします」
「ありがとうございました~!」
「じゃ、じゃ、シルフィーは先に帰るね。バイバイ~!」
シルフィーが居なくなった。
「……わ、私も会計別で」
「はい、33155円になります」
「え? 高いわね?……でも、30万円払うよりはいいわね。現金でお願いします」
「ありがとうございました~!」
「そ、それじゃあ、私はこれで……今日は楽しかったわ。さようなら!」
凪咲が居なくなった。
「「……………………」」
「残り金額30万円です」
俺とアルは取り残された。
「……………………5万円なら」
「はい、残り25万円になります」
「……………えっと、それがですね。金髪で可愛い店長さん」
「はい、ジャンヌと申します。この後、わたくしには別に仕事が控えているのに、朝日が上るまで宴会してくれた馬鹿なお客様」
メチャクチャ罵声を浴びせられたんだが。
いや、無理もないか。
たしかに俺たちは馬鹿騒ぎしていた。
「ば、馬鹿とはなんじゃ! わらわたちはお客様! お客様は神様なんじゃろう?」
「残り金額二十五万円をお支払下さい。お客様」
「ごきゃあ!? そ、それは!? わ、わらわのご、ご主人様が払うのじゃ」
「あ! お前、汚いぞ! 無一文だからって!」
「無一文? その金髪のシスター様はお金を持っていないのですか?」
「ギクッ! い、いや、そんなわけないですよ。アハハハ……」
まずいまずいまずいまずい。
金が足りない。
このままじゃ無銭飲食になっちまう。い、いや、5万円は払ってるんだし。残りは……アルとアホ魔女共の食い逃げ費用じゃねえか!
「あいつ等、これに気づいて先に帰ったんだな! ちくしょう~!」
「お客様、残りの金額は払えるので?」
「ゔ! ちょ、ちょっとお待ちを……」
今は朝の八時、ダンジョン管理局のゴリラに電話をかければ出てくれるだろう。
『プルルル……ピッ! なんだクソガキ?』
「あ! おっさんか? 今すぐ金がいるんだ! 昨日、ダンジョンで手に入れた素材を今すぐに換金してくれ、相当な額になってるだろう?」
『あっ? なに言ってやがる! ダンジョン管理局の本部も支部も全焼したんだ。そんなの今は無理に決まってんだろう! 換金ができるようになるのは1週間後だ! 馬鹿野郎! 今は忙しいんだから電話なんてかけてくんな! 馬鹿野郎! じゃあな……ブツンッ!』
電話を切られた。そしてメチャクチャ切れていた。なるほど、今ダンジョン管理局死ぬほど忙しいらしい。どうするか?
「……マ、マジかよ。金が手に入るまで1週間? 嘘だろう?」
「ごぎゃ!? ど、どうしたのじゃ? ご主人様よ。顔に精気《せいき》が失われていくぞよ」
「お会計二十五万円になります。お客様」
「ぺ、ぺ、ぺ、ぺ」
声が上手くでない。あまりの緊急事態に喉元がおかしくなっているんだろう。
「ぺ、ぺ、ぺ、ぺ? 現在、ペイベイはカストでは使えませんよお客様。合計金額二十五万円になります」
「お金はこれ以上ありません。この店で働かせて下さい。ジャンヌ店長様」
「あっ!? 合計金額二十五万円になります!お客様!!」
それがジャンヌ店長と俺たちの運命的な出会いだった。
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「お待たせしました。シチリア風ドリアです」
「あ、ありがとう。あ、あの! 新人さんですか? 大学生とか?」
「え? はい、東……ただの貧乏大学生です」
「「「きゃあ~!」」」
常連らしき女子高生にまた絡まれた。何なんだ。
戦闘と家事以外は脳筋と発覚したアルは皿洗い。
コンビニバイト経験がある俺はホールを任され、この店で作ってしまった借金二十五万円を返済するために働いている。
金が足りないとジャンヌ店長に知らせた後、警察に突き出されそうになったがなんとか説得して。
雇ってもらい借金完済まで働くことを条件に今回の無銭飲食はチャラにしてもらえることになった。
「ジャンヌ店長~! ホールは落ち着きました。これから仕込み…」
「はい、お疲れ様です。真也さん。残り金額17万円ですからね」
「えぇ~! なんで増えてんの?」
「アルさんがお皿を割るからです」
「ご、ごめんなさいなのじゃ! ご主人様よ~!」
……この相棒やばいわ。
いや、マジでやばいのは最初に俺たちを見捨てた悪友や魔女っ子共だ。
「あいつ絶対に許さん。今度会ったらお仕置きしてやるからな、覚えてろよ~!」
こうして俺とアルの借金返済住み込みバイト物語は幕を開けた。
◎ここまで読んで頂きありがとうございます。
「ダーリンの部屋の冷蔵庫何もない? 空!?」
「キャットフードも無いでありんす?」
「そう。そして私には生活能力は皆無」
「……とんでもない女でありんす」