バイトをクビになった貧乏大学生の俺、ゴミ置場で口癖が(のじゃ)な巨乳金髪美少女龍を拾って育てられる 作:冰藍雷夏
「どうすっか、マジで」
「……どうするかのう。マジでのう」
「後、15万円でクビか。住み込み三食付きなんだよな。このバイト」
「そうなのじゃ、ご主人様のボロアパート暮らしよりも快適なのじゃ」
「うるさ……はぁ~、まさかボロアパート暮らしよりも質良く暮らせるとは思わんじゃんよ」
昨今都内の急激な物価上昇により経営チェーンや零細企業などは、営業している
「大学も管理局炎上で2週間の臨時休み。管理局も立て込んでてまともなダンジョン探索できないんだよな」
「できないのじゃな~!」
なので、現段階での自力での金策は不可能に近い……が。
俺たちは新たなオアシスを手に入れた。
ジャンヌ店長が切り盛りする「レストラン・カスト」だ。
「あ! そういえば、今日のまかない何だった?」
「ピザじゃ、マルゲリータのチーズとトマトソースがふんだんに使われたジューシーなピザじゃった」
「俺、ステーキだったぜ。牛だぜ、牛! 久しぶりに食べたわ」
ここでアルバイトをしていれば食料に困らないことに俺たちはなんと気がついてしまった。
「お~! いいのういいのう。明日は何を食わせてもらえるかのう?」
「ミニキムチ鍋の在庫が余ってるとか言ってたからキムチうどんとかじゃないか?」
「キムチうどん!? た、楽しみじゃのう!」
「だな! マジで毎日美味しいもん食えるぞ」
「んじゃ、んじゃ」
ここは日本全国にチェーン店を持つ有名飲食店。飲食店ということはまかないも出るし、フードロスを防ぐために賞味期限が切れそうになった食料は、従業員が食べていいという暗黙の了解もある。
「……最初はいやいや働いていたが、ここの店って、クビになったコンビニよりも時給良いんだぜ、アル」
「んじゃ、んじゃ。それにジャンヌ店長はわらわが皿を何十枚割っても手を出してこぬ。最高の上司様じゃ」
「いや、そこは割るなよな」
「うむ!」
バルルンっとアルの巨乳おっぱいが揺れる。
ここ最近はまともな栄養を取っているため張りも良いのだろう。良く揺れる。
「大学とダンジョン管理局からも数分、近くに温泉もある。住み込みOK、清潔な個室付き、三食ごはんに厚待遇OR高時給。休憩時間と休みもちゃんとくれる……やめる利点が思いつかねえな。オマケにここの管理者であるジャンヌ店長は優しくて美人で巨乳だ」
「うむ。ここを追い出されたら、あの蠱毒のようにわんさか虫が現れるボロアパートに逆戻りじゃな」
「オマケに帰ったら違法居候者の魔女っ子と偽造猫狐の世話代まで発生する。今は俺たちが住み込みで働いててボロアパートを放置してるからいいが、借金を返済してボロアパートに帰ったら……」
地獄の極貧貧乏生活が再開されることになる。
「ダンジョン管理局が大慌てな今、シロン頼みの大金がいつ入るかも分からんのじゃろう?」
「あぁ、それに万が一にも大家さんに出くわせば家賃を払えと町内を追いかけ回される」
結局、この間約束していた一緒に出かけるのも連日のバイトで行けないから後日でお願ますと連絡したけど、返信がなかった。
大家さんと会うのが怖い。
「今後の俺たちの理想生活はこうだ。カストの宿舎で暮らしつつ三食ごはん付きの快適アルバイト生活の継続」
「うむ! やめたくないのじゃ」
「それとバイトしながらの並行しての大学生活とダンジョン探索だな。これをしていけば貯金もできるし、食料には困らん。まさに理想的なヒモ生活だ。いや、俺たちの生命維持活動だな。絶対にこの生活を死守。俺たちの生活基盤の安定は必須だ」
俺は右腕を天に掲げ、この
「のじゃ!……が、明らかに初日よりもシフト時間が増えて、返済額もどんどん減ってるのじゃ。これはまるで……」
「大飯食らいの俺たちをさっさと追い出そうとジャンヌ店長が必死になってる証拠だよな?」
「そうなのじゃ! なんというか恐ろしいことしてくれるのじゃ、ジャンヌ店長は! 店のマスコットであるわらわが可愛くないのかのう?」
これはまずい。
やっとアルの腹を満たせて、フードロス的な社会貢献ができると思い始めたというのに、なぜそれに対してジャンヌ店長は抗《あらが》おうとするのか。
しかし、考える生き物というものは追い詰められると必死になるもの。現に俺たちも当初は借金25万円を返すために必死に働いていたが。
久々な温かくてまともな飯に個室という名のプライベート空間を与えられれば出ていきたくなくなるというもの。
俺たちはジャンヌ店長に忠犬のように懐いているというのに酷いものだ。必死で働く俺たちの何が不満だというのだろうか?
「家賃タダで住めて金も腹も溜まる。借金返済後はここで住んでアルバイトしながらダンジョン攻略だ。それしか俺たちが貧乏生活を抜け出して金持ちになれるビジョンが思い浮かばん」
「のじゃ! のじゃ! ここに居座り続けるのじゃな! わらわは毎日牛フィレステーキが食べたいのじゃ」
「俺はランプだな……こうなったらジャンヌ店長に直談判に行くぞ! 店長室にレッツラゴーだ!」
「のじゃ〜!」
俺たちは早速、ジャンヌ店長の元へと向かった。
ジャンヌ店長――――
(一文無しならこの5万円は返します。それは当面の貴方たちの生活費に使って下さい)
(制服お似合いですね。ホール仕事を覚えるのも早いですし、素晴らしいです)
(数時間ごとにちゃんと休憩は入れて下さいね。うちのお店は単価は高いですが、その分サービスは最高級なんですから)
どうか俺たちをまだまだ雇って養ってくれ。
俺の生活はアルの食費と家賃滞納さえなければいいからさ。
◇
カストのレストラン内はビルになっていてそこそこ広い。そして店長室はビル1階の一番奥の狭い部屋となっている。
「お! 明かりがついてる。いるな、店長」
「うむうむ。金づる店長様じゃ」
生き物というものは生き残るためには善意と悪意のハイブリッドでなければ生きていけない。
ジャンヌ店長はすさまじい程に善良なお人好し。その隙を突いて、俺たちは突き進む。
店長室の扉の前まで来た。
「ん? ん〜? 店長の他に誰か居るのか?」
「居るのじゃ?」
俺とアルはそぉ〜と、店長室内を扉の隙間から静かに覗き込んだ。
『秘匿管理局の拠点だったコンビニも旧大学校舎も全焼してしばらく使えなくなってしまいましたので、第二師団の拠点をこのカストにさせて頂きますよ。ジャンヌ』
『お、お待ち下さいお姉様! わたくしは秘匿管理局とはもう…』
ん? ジャンヌ? お姉様? どういうことだ? 何でジャンヌ店長が2人? 中で何が起こってんだ?
『おだまりなさい。いくら実の姉妹で、貴女が秘匿管理局をやめたなどと言い訳しても知りません。組織の指示は絶対……それに「水晶虎」を探しに出向いたシロン殿が行方不明となり、何者かに「金の玉」まで奪われたと報告がきています』
『シロンちゃんが? そんな』
『詳しいことはダンジョン内で話します。行きますよ。元聖少女ジャンヌ』
『……はい、騎士王様』
ガコンッ!
店長室にあった壁が不可思議に動き出し隠し扉が現れた。
そしてその奥へとジャンヌ店長たちは進んで行く。
「……行っちまったな」
「行っちまったのじゃ」
「体に刻まれているこの気配、転移門だ。下にダンジョンがあるな。お宝が」
「なんじゃと? お宝とな?」
アルと目を合わせて共に不思議がる。
カストの店長室に秘密扉などワクワクしかないぜ。
「…………んーーーー! お宝の予感だな。アルは念のため、ボロアパートに戻って俺たちを見放した魔女っ子とシロンを連れてきてくれ。店長たちとシロンは顔見知りみたいだしな。俺たちがダンジョン内で戦闘になってもシロンを差し出せば許してもらえるだろう。これは大金が動くぞ。アル」
「ごぎゃあ!? 大金じゃと!? 了解なのじゃ~! ごぎゃああああああああ!!!」
金や食料が絡むとアルの行動は迅速になる。マッハを越える速度でボロアパートの方へと龍形態となり飛んでいった。
「よし……そして俺はダンジョン内のお宝あさりだな。店長たちにバレなけりゃ大丈夫だろう」
こうして俺はジャンヌ店長たちに見つからないように、カストダンジョンのお宝探しに地下へと向かったのだった。