バイトをクビになった貧乏大学生の俺、ゴミ置場で口癖が(のじゃ)な巨乳金髪美少女龍を拾って育てられる   作:冰藍雷夏

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第16話 開花の時

 最初は恐怖が勝っていた。

 

「このっ! なぜ、ダメージが通らないのですか!?」

 

「龍魔法だ! 龍鱗(ドラゴンスケイル)も知らないのか? お姉さん」

 

「……………ドラゴンの鱗」

 

 だが、戦いが始まってしまえば関係がなかった。

 恐怖よりも、久(・)し(・)ぶ(・)り(・)に(・)全(・)力(・)の(・)戦(・)い(・)が(・)で(・)き(・)る(・)と(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)に(・)歓(・)喜(・)し(・)て(・)い(・)た(・)の(・)だ(・)か(・)ら(・)。

 

 それにしてもアルの言う通りだった。

 俺は龍魔法適性がありすぎる。

 

(ご主人様はわらわの尻尾(ドラゴンテール)のせいで徐々に龍人化させておったが、なぜかピタリと止まったのじゃ)

 

(いや、俺の了承なしに勝手に龍人化させんでくれ)

 

(いやいや、徐々に龍人化しないとあと数年でご主人様は死ぬのだぞ。顔のホクロ……魅了(チャーム)をどうにかしないと、世界中の頭のおかしい娘たちに惚れられ、嫉妬され、最後は刺されて死ぬのだぞ)

 

(……は?)

 

 俺の顔にあるホクロ。

 じつはれっきとした呪いらしい。

 

 謎の性癖やおかしい性格を持った異性に好意を持たれやすいのだとか。

 

 今は十代だからそこまで深刻化していないが、このまま人の状態だと魅了(チャーム)の呪いが制御できずに刺されるらしい。

 

(どうすりゃいいんだ? つうかなんでそんな大事なことを今まで黙ってた?)

 

(何度も何度も話したが、ご主人様はわらわの話を適当に受け流しておったのじゃ。まぁ、安心せい! ご主人様はこれからわらわと共に半人半龍になり、龍仙人化すれば森羅万象を操る超すごい何者になれるのじゃからな)

 

(……もうわけが分からんわ)

 

(そのうち分かるのじゃ。それよりも、今日も龍魔法の特訓じゃぞ、ご主人様よ!)

 

 ……あの生尻尾食いってメチャクチャ重要だったんだな。

 

「前よりも身体が動かせる! 五感と身体能力がアホみたいに上がってやがるぜ! ハハハハ!!」

 

 

 俺は酔いしれていた。

 久しぶりの全力戦闘。

 

 マジで最初は勝てないと思った……が、そんなことはない。

 

 幼少の頃のお爺様との訓練。

 高校時代の探索者としての経験。

 アルビオンと始めた龍魔法の練習。

 

 全てはこの時のためにあったのかもしれない。

 

「ハハハ!! 龍撃(ドラゴンインパクト)!」

 

「つっ!! 銀・二幻」

 

 両腕を龍化させて、フローライトの攻撃を相殺する。

 

「互角だな、ジャンヌ店長のお姉さん」

 

「……子供が生意気な口を! それにその腕輪は「水虎」ですよね? なぜあなたが持っているのですか?」

 

「は? いや、水虎って誰だよ?」

 

「くっ、返しなさい! それはあなたには過ぎたる力です! 聖剣・銀閃」

 

 剣がレイピアに変わった?

 

 いや、戦闘スタイル自体が変わったのか? 

 

「おいおいおいおい! ここは建物の中だぞ! 何考えてんだ! 天井が崩れ……」

 

「黙りなさい……どのみち秘匿管理局のことを知られたからには、外に返すわけにはいきません。これからあなたはわたしが飼い慣らします!」

 

「………フ、フローライトお姉さま? いきなり何を言ってるんですか?」

 

 ……マジで何言ってんだ、このお姉さんは?

 

「……あなた、顔が良いですね。わたしの奴隷になりなさい! 今はジャンヌの犬なんでしたっけ? そんなのやめて、わたしの奴隷になりなさい!」

 

「……フローライトお姉様? 真也くんはただのうちのアルバイトなんですよ。そんな人権侵害できるわけありませんよ」

 

「お黙りなさい、ジャンヌ!」

 

「は、はい! ごめんなさい、フローライトお姉様」

 

 この2人の姉妹関係がよく分からないな。

 あの謎魔法使い婆さんはジャンヌ姉妹とか言ってたが、どんな関係性なんだろうか?

 

 

「……フローライトさんの目がヤバいな。もしかしてこれが魅了(チャーム)の呪いなのか?」

 

「ハァ……ハァ……わたしの懐に来い!tお前はわたしの物だああああ!! 銀・聖剣!」

 

 そんな大技使ったら大聖堂が……案の定崩壊した。

 

「あー、もうメチャクチャだよ。狙いも定まってねえし。だが、ジャンヌ店長は俺が守る」

 

 あの人に何かあればカフェが回らなくなるんだよ。

 

「真なる龍の一撃を喰らいやがれ!! 龍星(ドラゴン・ノヴァ)!」

 

 フローライトに向かって大口を開ける。

 

 4本の龍牙から魔力が装填され、一気に放たれる収束した龍砲の一撃。

 

「……あれ? わたしは何に酔って……この光は?まさか……キャアアアア!!」

 

「お、お姉様!!!」

 

「店長! 駄目ですって! 巻き込まれます!」

 

「いやっ! 離してください! お姉様が、わたくしの半身があああ!!」

 

 俺の真なる龍撃で吹き飛ぶフローライト。

 

 殺意を全力で向けられているんだから、抵抗しないわけにはいかなかった。だから全力で相手をして倒した。

 

「お~い! ご主人様よ~! 助けに来たのじゃ~!」

「ダーリン、お腹空いた~!」

「こおおおおんん!! 死ぬな小僧~! わっちの首が飛ぶ~!」

 

 

 そして崩壊する大聖堂の天井から現れたのは、俺の仲間たちだった。

 

 

「……フローライトは秘匿管理局の関係者だったか。そして、このダンジョンもその管理下の1つ。戦闘が楽しすぎて気がつかなかったが、これってもしかして対立するってことになるのか? 秘匿管理局と?」

 

「当たり前でありんす! 馬鹿小僧でありんす~!」

 

「ジロン!」

 

「シロンでありんす! あー、第二師団のジャンヌ姉妹にまで手を出すなんて見境がない男でありんす~! こんなのもう立派な秘匿管理局への挑発行為でありんす!」

 

 とのことだった。

 何を大慌てしているのか分からないが、今後は秘匿管理局の方から俺に接触してくれるというのなら効率がいい。

 

「お爺様も座った元帥の椅子。俺が手に入れてやろうじゃねえか! アルと共に鍛えていく、この龍魔法の力でな!」

 

 調子に乗るならとことん乗ろう。

 俺はお爺様のためにも強くなる。

 強くなり、陰日向者だった人生をきっと変えてみせてやる。龍魔法の力をくれたアルビオンのためにもな。

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