バイトをクビになった貧乏大学生の俺、ゴミ置場で口癖が(のじゃ)な巨乳金髪美少女龍を拾って育てられる 作:冰藍雷夏
ダンジョン管理局(仮)にやって来た。
「中は入り組んでいて、都内の地下ダンジョン内のどこかに繋がってます」
「へー、都内大学にダンジョンがね。それは初耳ですな」
「はい! それと大学ダンジョン内部は狭いので、1度に入れる1チームは3人までとなってます」
「マジですか? 人数制限付きダンジョンですか」
「はい!」
ダンジョン管理局の新人受付嬢のクルミちゃんに大学ダンジョンの説明を受けている。
ちなみに彼女の豊満な胸の自己紹介プレート欄には、「趣味のFXが大好きです」と書いてある。ゲームか何かが趣味なんだろう。
「へ、へ~! 真也くんの元チームメイト? そんなの初耳なんですけど? こんなに美人な女の子の知り合いがいるなんて聞いてないんだけど? 真也くん!」
「貴女が真也君の幼馴染みエルフ? い、色々と大きいじゃない! こんな可愛いエルフさんの幼馴染みがいるなんて聞いてないわよ! 真也君!」
「まぁまぁ、2人共落ち着いて落ち着いて~! この中で一番可愛いのはボクなんだからさ~! アハハハ…竜籠君、早くこっち来て2人を止めてよ。修羅場だよ、修羅場~!」
俺の後ろで3人が揉めている。
仮のダンジョン管理局とはいえ、周りに一般人も居るんだから静かにしてもらいたいもんだ。
うるさいのはいかん。
「そういえば、この間の未踏破エリアの発見の功績とかで俺の探索者ランク上がったりしてます?」
「ちょっと待って下さい。今調べ……あっ! ランクは上がってますけど、管理局側も今は混乱してまして手続きが遅れてますね。すみません」
くるみちゃんが綺麗な角度のお辞儀をする。すると大きなお乳もたぷんと揺れた。
もうこれだけ見せられたら許すしかあるまい。ありがとうくるみちゃん、FXを頑張ってくれ。
「分かりました。ありがとう」
「は、はい! 竜籠さん…真也さんも頑張って下さい」
またお辞儀したせいでぷるるんとお乳が揺れた。ありがとうございます。
そして俺の予想通りだった。
ランクアップは無し、なので今回も初心者用ダンジョンを潜るが……
「3人までか。パンフレットによると新宿にあった管理局のダンジョンよりも強いモンスターが出るらしいんだよな。ここ」
東京大学キャンパスの旧校舎には、昭和初期からある木造構築の燃えやすい建物が解体されずに残されている。
そこに家を失ったダンジョン管理局の公務員たちが大勢で押し寄せて、仮住まいで仕事を行ってるんだが。
「「「―――――!!!」」」
俺の少し離れた場所で3人が楽しそうに言い争いをしている。きっと三角関係のもつれだろう。愛莉(男だ)は昔から男女を問わずモテる魔性の女装趣味者。
「羨ましいね……さて、残り2人誰を連れて行くか。つうか、あいつ等もそろそろここに来るはず…」
そんなことを言っていると……
「お待たせなのじゃ、ご主人様よ!」
相棒のドラゴン娘が現れ――
「お待たせダーリン。ダーリンに言われた通り、研究室に入り込んで「結晶虎」のリング代わりに貰ってきた」
自称俺の嫁が現れた。
「おー、お疲れ2人とも。そして後ろの三角関係は……」
「「「―――――!!!」」」
キャットファイトしてる。
今は話しかけないほうがいいのかもしれない。
「先にダンジョン潜るか。行くぞ~! 居候諸君」
「なのじゃ~!」
「了解」
三角関係で揉めているシルフィーたちを置いて、俺たちは大学ダンジョンの初心者エリア転移門へと足を踏み入れた。
◇
「なんだここ? 無限城かここは? 鬼でも出そうな造りだな」
「おー、大きな旅館みたいじゃのう。湯に入った鬼婆でも出そうじゃな」
「…………この気配」
そこはどこまでも広がる日本古来の社のようなダンジョンだった。
明治神宮や伊勢神宮のような古い宮の建物が魔改造合体したような場所。
「初めて来た場所だ。慎重に進もう」
この和風ダンジョン、何か怪しい雰囲気だ。
慎重に慎重を重ねてマッピングを…
「うむ! 了解かいなのじゃ! ごぎゃあああああああああああああああああああああ!!
龍形態にも種類があるのだろう。
以前とは違う巨大龍の姿に変身したドラゴン娘は、俺たちが居る半径数百メートルに向かって口から光線を放ち全ての建物を焼き払った。
「す、すごい威力! これが龍人の姫の力。秘匿管理局が欲しがる力の一端」
アホ魔女は目を輝かせて喜ぶ。
「何してんだお前!? 俺たちを殺す気か!?」
ごちんっ!
「ごぎゃあ!? 何するのじゃ? ご主人様よぅ、や、止めよ! 頬《ほ》っぺた引っ張らないでほしいのじゃああ!」
人間形態に戻ると同時に脳天チョップからの柔らかい両頬《りょうほ》っぺたおもいっきり引っ張り、俺はアルにブチギレた。
「ほう。視界が狭いから全てを焼き払って見えやすいように整えたと」
「のじゃ、変な気配がそこらじゅうからしてたのじゃよ」
「変な気配……お前も感じたか」
「んじゃ」
突拍子もない行動だったがちゃんとアホドラゴン娘の話を聞くと、この無差別破壊にも合理性があることが分かった。
建物は破壊尽くしているがモンスターの死骸は殆んど外傷無し……どうやったんだ? こいつ。
「そんなの簡単なことよ。龍魔法の″心眼″を使ったのじゃ、後は機械の熱反応センサーと同じ要領で仕分けするのじゃよ」
「例えが具体的過ぎてわかんねえよ。まぁ、いいや。モンスターの死骸を調べれば、このダンジョンの詳しい特性なんかは分かるからな。だよな? フルー」
「むー、ダーリン。フルーじゃなくて、フィアンセって呼んで。それで私を本格的に養って、夫婦として養って」
相変わらず何を言ってるんですかね、この魔女っ子。
「俺たち殺し合った仲だろう。それに俺たちは赤の他人だ。結果だけ言ってくれ、金になりそうな物はあるか?」
「む~! ダーリンはお金のことばかり。なんでそんなにお金が大切なの? 私のことは大切じゃないの?」
「居候を養うために金が要るんだろうが、いいのか? このままだと、俺たち3人ボロアパートから追い出されてダンジョン生活になるぞ」
「このダンジョン内にいるのは「鬼系統」と「蜘蛛系統」の二種類のモンスターだけど。アルの広範囲攻撃のおかげでほとんどのモンスターは倒せてる。素材はあまり高く売れないけど、鬼の角は精力剤、蜘蛛の糸は上質な衣服になるから奥に進みつつ少しずつ回収したほうがお金になるよ。ダーリン」
ボロアパートに住めなくなるって言った途端に流暢な日本語を話すようになったな、おい。
「そうか。なら素材集めはフルーに任せるわ」
「了解ダーリン」
「おー、相変わらず棒読みの愛の無い告白をありがとうよ。とりあえず斥候は俺とアルで進んで…」
「曲者なのじゃ! ブチ殺すのじゃ!」
「ぎゃあああああ!!」
アルの方を向くと新たなトラブルが始まった。
「少し目を離したと思ったら、何してんだお前!!」
「おお! 見よ! ご主人様よ! 曲者ぞ。わらわたちがせっかく占領《せんりょう》した陣地《じんち》にさっそく曲者が現れたのじゃ。処刑か? さっそく処刑がいいのかのう? ご主人様よう」
「ご、ごめんなさいいいぃ!! あちしは偵察に行ってこいって言われた、か弱い妖狐族のシロンなんですぅ」
アホドラゴン娘に四の字固めを決められている妖狐族があえんびえんで泣いていた。
「なんと妖狐族のジロンか」
「シロンですぅ」
「なら、ちょうど良い。貴様、ご主人様の龍魔法の犠牲者…実験体になるのじゃ。修行の開始じゃぞ! ご主人様よ!」
「ひいいぃ! ごめんなしゃぃ、許して下さい~でありんす~!」
「……マジかよ」
こうして実験体(妖狐族)を俺たちは手に入れ、俺の本格的な修行が始まった。
◎ここまでお読み頂きありがとうございます!
「シルフィーが先だったんですけど?」
「ダンジョンに潜った月日は私のほうが先よ!」
「あの、不法侵入魔女コスプレイヤーはどこだ~!」
「あれ? いつも研究室に引きこもってるはずのはずきちゃんじゃん。何してんの?」
「おう! 女装娘。こっちに全身青タイツの魔女っ子が来なかったか? 研究室にあった大量の魔法スクロールや回復アイテム……それだけじゃない。アタシの技術の全てを注ぎ込んだ「水晶リング」をかっぱらって行きやがったんだ!! 絶対に許さん!」
「へ、へー、それは大変だったね。とりあえず、あの2人の痴話喧嘩止めてくれない? 竜籠君の取り合いで揉めてるんだ」
「あん!? なんだって? お前ら見苦しい喧嘩はするなよ。真也っちはうちの妹のもんだぞ」
「何かな? また新しい女の子なのかな?」
「誰よ、この子?」