伝統を愛する君となら   作:桜紅月音

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12話 初ライブ

 

「はぁ…緊張する…」

 

「大丈夫だって、ステージに立ってしまえば慣れる慣れる」

 

「それは綾羽だからでしょ!」

 

あれから遂にライブの日がやってきた。

ステージ裏で、ガチガチに固まって緊張している吟に話しかけたら怒られた。

 

「吟子ちゃん、緊張してるの~?」

 

僕達二人に声をかけてきたのは、姫芽ちゃん。

部室で再会した時は、お互いにびっくりした。

 

「姫芽ちゃんは緊張してないの?」

 

「え~私も緊張してるよ~」

 

「そんな風には見えないけど?」

 

姫芽ちゃんは、僕から見る感じでは緊張していなさそうに見えた。

その一方で……

 

「徒町、ガチガチです」

 

声まで震えそうになっている小鈴ちゃん。

 

「ガチガチの徒町…」

 

「綾羽が変な事を考えてる…」

 

自分でもしょうもない事を口に出していたら、吟に呆れた目で見られた。

一年生四人で集まっていると、開演時間が迫っていて、先輩が呼びに来て、みんなはステージに立った。

 

最初は9人でのライブをして、姫芽ちゃんの居るみらくらぱーく!、小鈴ちゃんの居るDOLLCHESTRAと続き、最後は吟の居るスリーズブーケ。

 

あの時、花ちゃん先輩に聞かせてもらった『Reflection in the mirror』

ステージ裏から聞いているが、本当に吟って良い声してるよなぁ。

 

 

-ライブ終了後-

 

ライブを終えた吟は、ステージに立つ前に比べてすっかり緊張は抜けた様子で戻って来た。

 

「吟、お疲れ。どうだったよ」

 

「緊張したけど…」

 

「けど?」

 

「楽しかった」

 

「楽しかったんなら良かったじゃん」

 

「うん」

 

吟はそう言って、僕のそばまで寄ってくる。

 

「何?」

 

「分からないの?」

 

吟はそう言って、頭を持ってくる。

つまり_そういう事か。

 

「やれやれ…」

 

僕はそう言って、吟の頭を撫でてあげる。

 

「あらら、吟子さんもそういう事するのね」

 

「梢先輩!?」

 

梢先輩が話しかけてきて、吟は飛び跳ねるように僕から離れた。

 

「先輩もお疲れ様です」

 

「綾羽君も楽しんでもらえたかしら?」

 

「はいっ!十分なくらいに楽しめました!」

 

「良かったわ」

 

その後、梢先輩はみんなを集めた。

 

「みんな、お疲れさま。本当に、いいライブだったわ。特に新一年生の3人は、よくがんばったわ。特に新一年生の3人は、よくがんばったわね」

 

「ね、ね、吟子ちゃん!初めてのライブどうだった!?」

 

「うまくいえないけど、なんか、すごかった。ああ、これが50年前におばあちゃんも見た光景なんだ、って…」

 

「吟子ちゃん…うん!よかったね、吟子ちゃん!」

 

「すずも、お疲れさま。歌もダンスもがんばってたね」

 

「入部したてのライブは、失敗しても当たり前…………なんて言ったのは、余計なお世話でしたかね。すごくいいステージになっていましたよ!」

 

「せ、先輩方のパフォーマンスに、泥を塗るわけにはいきませんから!精一杯、やってやりました!」

 

「ふふふ、今回のチャレンジは、大成功、ですね」

 

「はいです!」

 

「で、どう? ちゃーんと楽しめた?」

 

「そうそう!そこがいちばん重要!」

 

「めっっっちゃ楽しかったです〜!いっつも下から見てた景色を、たまには上から見るのも最高ですね〜!」

 

「たまにじゃなくて、これからずっとだけどね!?」

 

『あはは(うふふ)』

 

「それじゃあ、名残惜しいけれど、きょうのライブはこれでおしまい。あとはみんなで片づけをして……」

 

梢先輩がそう言うと、吟が口を開いた。

 

「あの!」

 

「花帆先輩から、聞きました。私のために皆さん、お力を貸していただいたと。本当に……ご迷惑をおかけしました」

 

「違うよ、吟子ちゃん。そこはね、「ありがとう」でいいんだよ。あたしたち、もう同じスクールアイドルクラブのメンバーなんだから」

 

花ちゃん先輩…

 

「あ、ありがとうございました!」

 

「僕からも、皆さんご協力ありがとうございました」

 

「うん!よーし!これからもみんなでがんばろうね、ってことで!ライブ前のやつ、もう1回やろっ!」

 

「いいですね」

 

「おっけ〜!」

 

「ほらほら、一緒に!」

 

「は、はい」

 

「こうですねっ」

 

「綾羽君も」

 

「僕もですかっ!?」

 

「何を言ってるの!綾羽君だってスクールアイドルクラブのメンバーなんだから!」

 

花ちゃん先輩にそう言われて、僕も吟と姫芽ちゃんの隣に入ってみんなの輪に入った。

 

「蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ!今この瞬間を大切に!『Bloom the smile!』」

 

『Bloom the dream!』

 

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