「はぁ…緊張する…」
「大丈夫だって、ステージに立ってしまえば慣れる慣れる」
「それは綾羽だからでしょ!」
あれから遂にライブの日がやってきた。
ステージ裏で、ガチガチに固まって緊張している吟に話しかけたら怒られた。
「吟子ちゃん、緊張してるの~?」
僕達二人に声をかけてきたのは、姫芽ちゃん。
部室で再会した時は、お互いにびっくりした。
「姫芽ちゃんは緊張してないの?」
「え~私も緊張してるよ~」
「そんな風には見えないけど?」
姫芽ちゃんは、僕から見る感じでは緊張していなさそうに見えた。
その一方で……
「徒町、ガチガチです」
声まで震えそうになっている小鈴ちゃん。
「ガチガチの徒町…」
「綾羽が変な事を考えてる…」
自分でもしょうもない事を口に出していたら、吟に呆れた目で見られた。
一年生四人で集まっていると、開演時間が迫っていて、先輩が呼びに来て、みんなはステージに立った。
最初は9人でのライブをして、姫芽ちゃんの居るみらくらぱーく!、小鈴ちゃんの居るDOLLCHESTRAと続き、最後は吟の居るスリーズブーケ。
あの時、花ちゃん先輩に聞かせてもらった『Reflection in the mirror』
ステージ裏から聞いているが、本当に吟って良い声してるよなぁ。
-ライブ終了後-
ライブを終えた吟は、ステージに立つ前に比べてすっかり緊張は抜けた様子で戻って来た。
「吟、お疲れ。どうだったよ」
「緊張したけど…」
「けど?」
「楽しかった」
「楽しかったんなら良かったじゃん」
「うん」
吟はそう言って、僕のそばまで寄ってくる。
「何?」
「分からないの?」
吟はそう言って、頭を持ってくる。
つまり_そういう事か。
「やれやれ…」
僕はそう言って、吟の頭を撫でてあげる。
「あらら、吟子さんもそういう事するのね」
「梢先輩!?」
梢先輩が話しかけてきて、吟は飛び跳ねるように僕から離れた。
「先輩もお疲れ様です」
「綾羽君も楽しんでもらえたかしら?」
「はいっ!十分なくらいに楽しめました!」
「良かったわ」
その後、梢先輩はみんなを集めた。
「みんな、お疲れさま。本当に、いいライブだったわ。特に新一年生の3人は、よくがんばったわ。特に新一年生の3人は、よくがんばったわね」
「ね、ね、吟子ちゃん!初めてのライブどうだった!?」
「うまくいえないけど、なんか、すごかった。ああ、これが50年前におばあちゃんも見た光景なんだ、って…」
「吟子ちゃん…うん!よかったね、吟子ちゃん!」
「すずも、お疲れさま。歌もダンスもがんばってたね」
「入部したてのライブは、失敗しても当たり前…………なんて言ったのは、余計なお世話でしたかね。すごくいいステージになっていましたよ!」
「せ、先輩方のパフォーマンスに、泥を塗るわけにはいきませんから!精一杯、やってやりました!」
「ふふふ、今回のチャレンジは、大成功、ですね」
「はいです!」
「で、どう? ちゃーんと楽しめた?」
「そうそう!そこがいちばん重要!」
「めっっっちゃ楽しかったです〜!いっつも下から見てた景色を、たまには上から見るのも最高ですね〜!」
「たまにじゃなくて、これからずっとだけどね!?」
『あはは(うふふ)』
「それじゃあ、名残惜しいけれど、きょうのライブはこれでおしまい。あとはみんなで片づけをして……」
梢先輩がそう言うと、吟が口を開いた。
「あの!」
「花帆先輩から、聞きました。私のために皆さん、お力を貸していただいたと。本当に……ご迷惑をおかけしました」
「違うよ、吟子ちゃん。そこはね、「ありがとう」でいいんだよ。あたしたち、もう同じスクールアイドルクラブのメンバーなんだから」
花ちゃん先輩…
「あ、ありがとうございました!」
「僕からも、皆さんご協力ありがとうございました」
「うん!よーし!これからもみんなでがんばろうね、ってことで!ライブ前のやつ、もう1回やろっ!」
「いいですね」
「おっけ〜!」
「ほらほら、一緒に!」
「は、はい」
「こうですねっ」
「綾羽君も」
「僕もですかっ!?」
「何を言ってるの!綾羽君だってスクールアイドルクラブのメンバーなんだから!」
花ちゃん先輩にそう言われて、僕も吟と姫芽ちゃんの隣に入ってみんなの輪に入った。
「蓮ノ空学院スクールアイドルクラブ!今この瞬間を大切に!『Bloom the smile!』」
『Bloom the dream!』