-次の日の放課後-
「昨日までの練習メニューは……こう、だから……ちゃんとしっかり、復習、を……」
「おーぎっしりと書き込んでる」
中庭にあるベンチに二人で座って、吟の手帳を覗き込むとそこには、昨日、日野下先輩に教えてもらった事を全てとまでは言わないけど、しっかりと書き込んでいた。流石吟である。
「それはそうでしょ。というか、綾羽はなんでここにおるの」
「いやいや…目で付いて来てってテレパシーを送ってきたでしょうに」
え~教室から出る時に、僕の事をジッと見てきたですやん。
「私、そんなんできひんって」
周りに誰かが居たら意味が分からない会話を繰り広げていると、僕達に声をかけてくる勇気のある人が
「ぎーんこちゃんっと綾羽君!」
「うわあああ!!」
「びっくりした…って日野下先輩じゃないですかー驚かないでくださいよーもう」
いきなり過ぎて、驚く吟と僕。心臓が止まるかと思ったわ
「か、花帆先輩!? なにしとらん!?」
「しとらん?」
「な……なんでもない、です。…………ていうか、な、なに?部室には、今から行きます。けど」
「それより!今の手帳すごかったね!あたしの言ったこと、ぜんぶメモってくれてたの!?」
「〜〜っ! そ、それは!」
吟…僕以外に見られたくなかったのか、恥ずかしかっているな
「そりゃ、スクールアイドルの先輩からの、お言葉、だし……」
「吟子ちゃん……かわいい!」
「日野下先輩も分かってくれる…!そうなんですよ吟って可愛いんですよ!」
いやぁ~吟の可愛い所を分かってくれる先輩が居て良かった。
「は、はあ!? 可愛いなんて// て、ていうか!なんなの!なんなんですか!いっつも距離が近い、ですけど!」
「ええー?そんなことないよ。ふつーだよー」
「そういうの、困る……」
「えっ、嫌だった!?ごめんね!」
吟が嫌そうな表情を浮かべたから、日野下先輩が謝ってきた。
「〜〜っ、そうじゃなくて……。その………。私………。今まで、綾羽以外の年の近い人と、あんまり仲良かったことなくて……」
「そうなの?」
「地元でも、じいじ、ばあば……年配の方とは、楽しくお喋りできるんだけど。同年代の友達とか、いないし……作り方も、わかんないし………」
「そっかぁ。だったら……うん、決めた! あたしが吟子ちゃんのお友達になるよ!」
「え?……は?」
日野下先輩の言葉に、吟から戸惑いの声が漏れていた。
「いいじゃん。吟、友達作るの」
「綾羽まで…」
「友達みたいに接してもらえばいいからさ。そうしたら、吟子ちゃんとも、もっと仲良くなれるでしょ? あたし、吟子ちゃんのこともっと知りたいんだ!」
「ほら、まずはやってみて!」
日野下先輩に急かさせる吟。
「そう言われても……………」
「じゃあじゃあ、試しに『花帆ちゃん』って呼んでみるのは? あ、敬語もなくて大丈夫だよ!」
それは_僕でも出来ないです。
日野下先輩は優しいから言っても問題はないとは思うけど
「先輩……それは、さすがに……………」
「もう一声!」
「……………か、花帆先輩」
「うんうん」
「もう、なんなんですかこれ!芸の世界において「上下関係は絶対」っていうのが、伝統なのに!」
「あたし、そういうの知らないし! あ、でも、吟子ちゃんが嫌だったら、無理矢理とは言わないからね?吟子ちゃんの気に入るやり方でいこうね。あたし、吟子ちゃんのことをしっかり考えるから!」
「あーもう! ぐいぐい来すぎ! わかった、わかりましたから! でも、花帆先輩呼びまで!それでいいですよね!?」
「うん、わかった!ありがと!」
「ヘンな人……なんでそっちがお礼言うんですか……」
日野下先輩の対応に、吟は困惑していた。
「ほら、部活いきますよ!部活!」
「えへへ」
「…………今度は、なんですかー」
「なんだか、吟子ちゃんとちょっと仲良くなれた気がして、嬉しいなーって」
「む、むう……………」
「これからも吟子ちゃんのこと、ずーっと見てるからね!」
そして、僕達は部室に向かおうとした。
「そうだ!綾羽君もさ、あたしの事花帆って呼んでくれていいからね」
「そうですね~吟も呼ぶようになりましたし…でも、ただ花帆先輩って言うのも…」
「なんか良い名前ってある感じかな?」
「う~ん…そうだっ!」
僕は咄嗟に思いついた。
「花ちゃん先輩とかどうです?」
「おー!それとってもいい!」
「じゃあ、今から花帆先輩の事、花ちゃん先輩って呼びますね」
「うんうん!」
「なんなんこれ…」
僕と花帆先輩のやり取りに困惑の表情を浮かべる吟なのであった。
日野下花帆
吟子と綾羽と一つ上の先輩。
誰にでも明るく接する性格で、吟子と綾羽をスクールアイドルクラブに引き込む。
そして、綾羽と意気投合する事に成功し、距離が近い為。吟子の嫉妬深さを上げる原因の1人になる。