吾輩は魔王である。そして今日から人類に組みする裏切り者の魔王を探す名探偵である。
《あぁ、彼に力を与えたのは私だよ》
吾輩に掛かればどんな難事件も十秒で解決である。
《それで、グラムは生きているんだね?》
「うむ。
《そうか。まぁ、防具の代わりはまだまだある。人間の教育に掛かる費用や時間に比べれば大した出費じゃあ無い》
「中々良い防具であったな。吾輩の一撃でも内臓を幾つか潰すのが精々であった」
《・・・・・まぁ、即死していなければ大丈夫か》
どうやら、あのグラムとか言う人間は大魔王ルシフェルが人間共の情報を探る為に洗脳していた、信者達の一人であったらしい。
二万年程昔、大魔王ルシフェル自身が、自らを最高神ダシテムと偽り人間共の前に降臨した。
魔王の容姿はそれぞれ異なる。故に愚かな人間共はその偽装を見破ることが出来ず、自らの天敵である大魔王ルシフェルに、人類の舵を明け渡してしまった。実に愚かであるな。
因みに、この時の影響で今日の宗教施設の大半には、ダシテムという名前と共に大魔王ルシフェルの肖像画が飾られているとか。本当に愚かであるな。
《彼は、罰神教という団体の所属でね。あそこは自らの欲望や願望よりも戒律を優先する人間が多いんだ。彼の教育はまだ完璧では無いけど、いずれは魔王に忠実な勇者になってくれると信じているよ》
「ふむ、であれば吾輩と遭遇する前に教えておいて欲しかったな。危うく殺してしまうところであった」
《次からは気を付けよう。でもティノール連峰ばかりに向き合っている訳にはいかないのも事実だ。そこは勘弁してくれよ》
「うむ、仕方あるまい。大魔王と言えど他の魔王より優れている訳だは無いのだ。貴殿は貴殿の仕事をせよ」
《・・・うん、君のいっている事は事実だ。けど知力三百に言われるのは、何か釈然としないね》
何と、失礼な奴め。
翌日、モヒカンとアフロ。そしてホブゴブリン共五匹を引き連れ森を歩く。
今日から狩りの間は一号達とは別行動である。
昨日のブルーブラッドアイデクスとの戦いで一号と二号もかなりレベルが上がっていた。中位の竜種とも戦いが成立するであろう位にはな。
とは言え、余り離れているわけでは無い。声が届く事はなかろうが流石に中位以上の竜種が暴れれば気付く程度には近い。
大魔王ルシフェルからの情報によると、今ノーブルの森にはグラムに近い実力を持つものが幾人か潜んでいるらしい。武具の性能は人間基準であろうが、それでも配下共では太刀打ちできぬであろう。
まだ、ティノール連峰まで入ってくる事は無いだろうとの事だったが、タイムリミットが近付いているのは間違いない。故に急いでレベル上げをせねばならぬ。せめて、吾輩の手を借りずに中位の竜種程度は倒せる様になって貰わねば。
「ふむ、やはり頭数が減った分レベルの上がりは早いな」
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名前: モヒカン
種族:オーガ
Lv: 17
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名前:
種族: ホブゴブリン
Lv: 41
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ティノールベアの肉を喰みながら配下を眺める。
今日は調子が良く既に六匹程獲物を狩れている。そのお陰でモヒカンとアフロは既に旅に出る前の一号と二号のレベルを超えており、ホブゴブリン共も全員進化が見えて来た。
「ホブゴブリン共が進化したらもう少し山頂よりを探索しても良いやも知れぬな。下位、中位の竜種を糧にすれば成長も速かろう」
「はう!あおおえ!へげえ!」
「大丈夫であろうよ。手足と喉さえ潰せば中位竜種とて肉の塊よ。上位が出れば吾輩が疾く殺せば良い」
「オガァ!」
「ごぶぁ!」
「ごぶあ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・ご!?ゴブ!ゴブ!」
「黙って食え」
腹拵えを終え、探索に戻る。日も傾き出してはいたが一号達と合流するには少し早い。今日中に後、一、二匹狩りたい所であるな。さすれば明日の早い時間にホブゴブリン共を進化させ、まだ進化していないであろう一号側のホブゴブリンとオーガ共を交換し、効率よく進化させることができるはずだ。
その為にも良き糧が居れば良いのだが・・・。
「ん?あれは・・・」
陽の位置を確認しようと空を見上げた吾輩の目に大きな影が掛かる。
随分無防備に飛んでおるな・・・。
「【クリエイト・ウェポン】【グレーター・エレクトリカル】」
左手に槍が、右手に電撃が同時に生まれる。
龍脈から離れた吾輩の知力と魔力ではどちらも大したものは生み出せぬが、油断している下位竜種程度なら撃ち落とせよう。
「ふん!」
「・・・ガァ?!ギャァッ!!」
電撃によって動きが鈍ったレッサーワイバーンの右翼を槍が撃ち抜く。元々大した飛行能力も持たないレッサーワイバーンである。そのまま碌に受け身も取れず地面に打ち付けられる。
「・・・ガアァ・・・!」
「やはり愚かであるな、レッサーワイバーンは」
これだけの実力差を見せつけてなお戦意が衰えぬ。まるで恐怖を感じる機能が無い様だ。ブルーブラッドアイデクスや上位の竜種は恐怖に強くとも、それを知らぬわけでは無いぞ。
「ふん!・・・あとは好きにせよ」
手足を切り飛ばされ、満足に動けないレッサーワイバーンに配下共が群がって行くのを眺める。
安全にレベルを上げられるのは素晴らしいが、この作業感は余り好きでは無いな。
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名前: 一号
種族: オーガ
Lv: 24
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名前: 二号
種族: ウェンディゴ
Lv: 27
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名前: マステマ
種族: オーガ
Lv: 7
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名前:
種族: ホブゴブリン
Lv: 39
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レベルは上がっている。がやはり此方よりは少し遅れておるな。
吾輩が居ない分、一匹狩るのに時間が掛かる上、ここらには一号や二号よりも強力な魔物が蔓延っている。安全を考慮すれば狩る相手を選ばなくてはならないのだろう。
「・・・申シ訳アリマセン。主ヨ・・・」
「ごぶぅ・・・」
吾輩の考えを読み取ったのだろう。一号と二号が謝罪の言葉を投げかけてくる。
「謝罪は必要ない。寧ろホブゴブリン共でさえ一匹もかけていない事を褒めるべきであろう」
これは慰めの言葉では無く本心からの言葉である。幾ら成長の早い鬼種であろうと、人間共が直ぐそこまで来ている以上、今失う訳にはいかぬ。それを守り切った二匹を何故攻めることが出来ようか。
「貴様等は勿論、ホブゴブリン達でさえ吾輩にとっては大事な配下なのだからな」
「ごぶぅぅ・・・!」
「・・・主ヨ・・・・」
柄にも無く臭い事を言ってしまった。だがこれもまた本心。獲物の腕を引きちぎり振り回しているマステマとサマエルも、自らの糞を投げ合い喧嘩しているモヒカンやアフロ。イチモツのサイズで競い合っているホブゴブリンすらも吾輩にとっては、大事な・・・大事な・・・。
「やはり竜種を支配したら奴等は捨てるか」
「キサマ等ァァァアアア!!!!!!!」
「おがぁあ!!?!!?」
今日もティノール連峰は平和であるな。