吾輩は魔王である。名前はまだない。   作:逆ギレ伯爵

7 / 13
竜って飛べるんだって('ω')ノ


吾輩、初めての竜

吾輩は魔王である。もう一度言う、吾輩は魔王である。

 

ノーブルの森にて吾輩は思考に耽る。

レイピア使いに思いの外手間取ってしまった。おそらく奴は勇者、あるいは古代龍(エンシェント・ドラゴン)が人に化けた個体だったのであろう。

そのせいで人間共に逃げられてしまった。今頃は砦にたどり着き、この森に強大な魔王が現れたと流布している筈。

 

困った。

例え勇者であろうが古代龍(エンシェント・ドラゴン)であろうが一対一であれば確実に吾輩が勝つ。

しかし戦力の整っていない現状、その両方を同時に相手取るとなると流石の吾輩も少し厳しい。取り巻きを含めると尚更に。

 

「かといって、今すぐに配下を増やす。と言うのも現実的ではない。ならばこちらから攻め込むか?いや、そんな事をすれば確実に横槍が入る」

「ごぶ?」

「何でもない。さっさと片付けよ」

 

となれば残された道は一つ。

洞穴を拡張し迷宮(ダンジョン)にする。迷宮がある程度の深さに達し龍脈に繋がれば、吾輩の魔力量問題もある程度は解決する上、魔王の固有魔法を使えば龍脈が垂れ流す魔力から、竜種の影響を受けていない魔物が勝手に生まれる筈。其奴らを配下に加えれば戦力の増強も容易い。

 

「ごぶぶーぶぶーぶぶ」

「食い終わったか、では帰還する。ついて参れ」

「はぁひゃ〜!」

「ゴブゥ・・・」

 

騒がしい奴らである。

 

 

 

 

現在地がノーブルの森だと分かれば洞穴に戻るのは容易い。

 

「お帰りなさいませ、陛下。」

「うむ、出迎えご苦労。変わりないか」

 

吾輩が洞穴に戻ると、山の様にとは言えないまでも、かなりの数の丸太の側で側近の出迎えを受ける。

さすが側近である。吾輩の考えを予測し、先に樹木を集めていた様であるな。

 

「洞穴は三十メートル程拡張しております。ゴブリンに関しては傷一つなく、後三日か四日程で次代が産まれるかと。」

「うむ、龍脈に関しては」

「未だ反応ございません。竜種が塒にしている山頂方面に向けて洞穴を拡張してはおりますが、接続するには未だ深さが足りない様です。」

 

龍脈の深さは場所による。とは言え、浅い所でも数十メートル掘った程度では届かないであろう。ホブゴブリン六匹に穴を掘らせ、吾輩と側近が付きっきりで壁を固めたとしても一週間以上はかかるであろうな。

故に問題がある。食料が足りぬのだ。

 

吾輩と側近は、周りの魔力である程度は補える。それでも食事が一切必要ないと言うわけではないが、普通の生物の様に一週間断食した程度では死なぬ。だがゴブリン共はそうはいかぬ。

肉を食らい、水を飲み、睡眠取る。どれか一つでも怠ればすぐに死ぬ。

 

故、二手に分かれる。やることは変わらぬ。

側近とホブゴブリン四匹は洞穴にとどまり龍脈の捜索。ホブゴブリンに拡張を任せ、側近が壁を固める。魔力が切れたのなら集めた樹木で天井と壁を補強し無理矢理洞穴を広げる。

吾輩と二匹のホブゴブリンは食料調達である。食料を集めるだけであれば吾輩のみで十分であるが、連れて行く二匹が進化すれば食料調達や次に産まれてくる子ゴブリン共のレベル上げを任せられる。

ティノール連峰と言えどオーガ二匹を狩れるのは竜種くらいであろうしな。

 

「では行くぞ、一号、二号」

「ごぶ!」

「・・・ゴ」

 

連れて来た二匹には、わかりやすい様名前を付けてやった。此奴らにはこれからゴブリン共のリーダーとして働いてもらう故な、先払いの報酬という奴よ。

魔王が名付け親である。光栄であろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 一号

種族: ホブゴブリン

Lv: 13

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 二号

種族: ホブゴブリン

Lv:10

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

連れて来た二匹は一番強い個体と、一番知力が高い個体だ。弱者にリーダーなど務まらぬし、愚者が率いる群れなど何の役にも立たぬ故だ。

 

今回のレベル上げは洞穴に食料を届ける為、毎日日が暮れる前に拠点に戻る。故に、そう遠くへは行けぬ為、効率はあまり良くないであろう。しかし、吾輩は魔王、言い訳などせぬ。三日だ。三日以内にニゴブを進化させて見せよう。魔王の名にかけて。

 

 

 

 

 

あれから三日が過ぎ、今日は四日目である。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 一号

種族: ホブゴブリン

Lv: 41

HP: 142

MP: 24

STR: 54

DEF: 36

INT: 4

AGI: 61

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 二号

種族: ホブゴブリン

LV: 36

HP: 95

MP: 38

STR: 41

DEF: 29

INT: 12

AGI: 53

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

誤算である。まさか魔物が吾輩を恐れて洞穴付近に近寄らなくなるとは。それと思っていたよりホブゴブリンの進化が遅い。てっきり三十かそこらで進化すると思っていたのであるが、まさか四十を超えて進化せぬとは・・・。うむ、誤算である。故に賭けは不成立であるな、仕方あるまい。

こっちを見るな、目を潰すぞ。

 

 

だが今日は昨日までとは違う。食料の備蓄もかなりできてる故、日暮までに帰るという縛りが無いのだ。

この三日で洞穴付近の魔物は姿を消したが、少し遠出すれば幾らでもおろう。糧となる魔物が居ればレベル上げなど容易い、今日中に進化まで行けるはずだ。

流石に五日目は避けねば・・・。

 

昨日まで探索していた範囲を抜け直ぐ、手負いのティノールベアに遭遇した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:

種族: ティノールベア

Lv: 18

HP: 68/171

MP: 1/13

STR: 103

DEF: 79

INT: 35

AGI: 39

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

近くに別のティノールベアの骸があった。恐らく縄張り争いでもしていたのであろうな。だが、都合が良い。片目、片足を欠損したティノールベアであれば、吾輩の武器を持たせたニゴブでもどうにかなるであろう。

 

「一号、二号。貴様らだけでやってみよ。【クリエイト・ウェポン】」

「ごぶぶ!!」

「・・・・ゴォォオ」

 

一号には直剣、二号には短槍を、それぞれ渡し戦わせる。これで攻撃は通り、素早さに関しても元々ニゴブの方が上である。

 

「グルァァァアア!!!」

 

走り迫るニゴブに対し、ティノールベアは咆哮し威嚇する。が、ニゴブは怯む事はない。

うむ、問題なかろう。これならばそう時間もかからず仕留められる筈。

次からは最初からやらせても良いかも知れぬな。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 一号

種族: ホブゴブリン

Lv: 47

ーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前: 二号

種族: ホブゴブリン

Lv: 44

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

やはり手負いとは言え、吾輩が弱らせた時よりレベルの上昇が大きい。恐らくあと一、二度、ティノールベアクラスを狩ればニゴブとも進化するであろう。

 

不幸中の幸いか、吾輩から逃げた魔物が他の魔物の領域に入り込み、そこら中で縄張り争いが行われている。これだけ騒がしければ次の獲物を見つけるのも難しくはなかろう。

 

「では次に行く「・・・・ゴォォ・・・!!」どうした二号」

 

吾輩の言葉を遮り、二号が威嚇を始めた。また人間共であるか?懲りぬ奴等め。

 

ズドンッッ!!

 

何かが吾輩の背後に爆音を響かせ降り立つ。

人間共の次は貴様らか、流石竜種の巣窟ティノール連峰、イベントに事欠かぬな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

名前:

種族: レッサーワイバーン

Lv: 7

HP: 213

MP: 73

STR: 141

DEF: 172

INT: 32

AGI: 48

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

よっわ。・・・・・・ふむ、レッサーワイバーンか、下位竜種であるワイバーンの更に劣等種。ブレスも吐けなければ、助走無しでは飛行もままならぬ竜種の面汚し。というかブルーブラッドアイデクスより弱い。竜種辞めよ貴様。

 

「怖気るでない。一号、二号。相手はブレスも吐けぬ竜種の面汚しよ。この環境ならティノールベアとそう大差ない。貴様らだけで殺し尽してみよ」

「・・・ごぶ!!」

「ゴォオブゥゥ・・・・!」

 

竜殺しのホブゴブリン。悪くない響きではないか。




僕も飛べるよ('ω')ノ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。